
会議が終わったあと、殴り書きのメモを前にして「これを議事録の形に打ち直すのが一番しんどい」と感じたことはないでしょうか。この記事は、スマホ1台と無料のChatGPTだけで、会議中のメモを「決まったこと・やること・担当・期限」が並んだ議事録に組み替えてもらう手順を、会議中にやっておくことから、送る言葉、返ってきた文章の直し方まで順番に書いたものです。会議のあと10分ほどで終わります。
先に結論を3つ書いておきます。1つ目。会議を録音して自動で議事録にする機能(記録モード)は、有料プランかつmacOSのパソコンアプリだけの機能です。スマホの無料版にはありません。この記事はその代わりに、無料でも確実にできる方法を書いています。2つ目。ChatGPTがやってくれるのは「文章の組み替え」です。録音を聞き取る作業は別の手段で用意するか、自分のメモで代用します。3つ目。会議の内容は会社の情報です。そのまま送ってよいものと、置き換えてから送るものの線引きを、手順の中に組み込んであります。
この記事の料金・機能は、OpenAIの公式ヘルプと公式の料金ページで確認した内容です。AIのサービスは月単位で変わるので、実際に使う前に公式ページで最新を確かめてください。
先に知っておくこと:スマホの無料版に「録音して議事録」はない
「ChatGPT 議事録」で調べると、録音したファイルを丸ごと渡せば議事録ができあがる、という説明をよく見かけます。ここを最初にはっきりさせておきます。会議を録音して自動で要約する記録モードという機能は確かに存在しますが、使える条件が限られています。
記録モードが使える条件
OpenAIの公式ヘルプには、記録モードはPlus・Pro・Business・Enterprise・Eduのワークスペースで利用でき、macOSのデスクトップアプリでのみ利用できると書かれています。つまり、無料プランでは使えず、有料プランであってもiPhoneやAndroidのアプリ、ブラウザ版では出てきません。Windowsのパソコンでも対象外です。
録音時間は1セッションあたり4時間(240分)までで、それを超えたセッションは自動的に停止してメモが作られます。また公式は「現時点では英語で最もよく機能し、他の言語の精度は改善中だがばらつきがある」と明記しています。日本語の会議を丸ごと任せる前提で考えないほうが安全です。
では無料のスマホで何ができるのか
できることは2つあります。1つは、会議中に自分が取ったメモを、議事録の形に組み替えてもらうことです。これがこの記事の本筋で、録音が不要なので一番手軽で、会社のルール上も問題になりにくい方法です。もう1つは、別のアプリで文字起こしした文章を貼って、そこから要点を抜いてもらうことです。こちらは後半で扱います。
どちらの場合も、ChatGPTが担当するのは「すでに文字になっているものを読みやすく整える」部分だけです。音を聞き取る部分は別の道具か、自分の手で用意します。ここを分けて考えると、何が無料でできて何ができないのかが一度に整理できます。
| やること | 無料のスマホ | 備考 |
|---|---|---|
| 録音を自動で議事録にする | できない | 記録モードは有料かつmacOSアプリのみ |
| メモを議事録の形に整える | できる | この記事の本筋 |
| 文字起こし済みの文章を要約する | できる | 長すぎると分割が必要 |
| 音声で要点を吹き込む | できる | マイクアイコンの音声入力 |
手順1:会議中にスマホでやっておくこと
議事録の質は、会議のあとではなく会議中に決まります。とはいえ、話を全部書き取る必要はありません。あとでChatGPTが組み替えてくれるので、順番も文章もぐちゃぐちゃで構いません。拾うべきものだけ決めておきます。
拾うのはこの4つだけ
メモに残すのは「決まったこと」「やること」「誰が」「いつまでに」の4つです。会議中の発言をそのまま書こうとすると手が追いつかず、結局あとで読めないメモになります。4つに絞ると、単語の羅列でも十分に足ります。たとえば「見積り 再提出 田中 金曜」のような書き方で構いません。
逆に、雑談、言い回し、誰がどんな口調で言ったかは拾わなくて大丈夫です。議事録に必要なのは、あとで誰かが読んで動けるかどうかだけです。迷ったら「これを読んだ人は何をすればいいか分かるか」を基準にしてください。
手が追いつかないときは音声入力を使う
会議の直後、廊下や席に戻ってすぐ、ChatGPTのメッセージ欄にあるマイクアイコンを押して、覚えているうちに口で吹き込む方法もあります。これは音声入力という機能で、無料プランでも使えます。公式ヘルプによると、録音した音声は文字起こしのためにOpenAIへ送られ、文字になって返ってきたものを送信する前に自分で編集できます。
編集できる、というのがここでは大事な点です。口で言ったときに会社名や個人名がまざってしまっても、送信ボタンを押す前に消したり別の言葉に置き換えたりできます。吹き込んだそのままが送られるわけではありません。ただし、吹き込んだ音声そのものの扱いには注意点があるので、後半の「入力してはいけないもの」で改めて説明します。
送る前に置き換えるものを決める
メモができたら、送る前に一度だけ目を通して、固有名詞を置き換えます。取引先の会社名は「A社」、担当者名は「担当者A」、社内のメンバーは「Bさん」、商品名は「商品X」にします。金額は、そのまま出すと外に出て困るものであれば「金額1」としておき、返ってきた議事録に自分で入れ直します。
この置き換えは面倒に見えますが、慣れると30秒で終わります。そして、この30秒があるかないかで「会社の情報を社外のサービスに送った」かどうかが変わります。最初から癖にしておくのが、結局いちばん早い方法です。
手順2:送る言葉(メモを議事録の形に組み替えてもらう)
ここからが本番です。ChatGPTを開いて、新しいチャットを始めます。下の文をそのままコピーして、最後の「ここにメモを貼る」の部分に自分のメモを貼ってください。
「会議のメモを議事録に整えてください。形式は、1行目に会議の目的を1文、そのあとに『決まったこと』『やること(担当と期限つき)』『次回までの宿題』の3つの見出しで箇条書きにしてください。メモにない情報は足さないでください。分からない部分は『メモに記載なし』と書いてください。社外に出す文章なので、断定しすぎず、事実だけを書いてください。メモはここから:」
この送る言葉には4つの条件が入っています。形式を指定する(見出し3つ)、作り話を止める(メモにない情報は足さない)、抜けを可視化する(分からない部分は「記載なし」)、文体を指定する(断定しすぎない)です。この4つを入れておかないと、それらしい文章は返ってきますが、実際には会議で出ていない内容が混ざります。
実際にどう変わるのか
言葉だけでは分かりにくいので、置き換えを済ませたメモの例を出します。会議中に手元に書いたのが、次のような状態だったとします。「見積り A社 再提出 金曜」「仕様変更 担当者A 確認待ち」「納期 来月末 たぶん大丈夫」「予算 金額1 承認まだ」「次回 再来週 場所未定」。単語の羅列で、順番もばらばらです。
これを上の送る言葉と一緒に貼ると、返ってくるのはこういう形です(あくまで一例で、毎回同じ文章が返るわけではありません)。「決まったこと」の下に「A社への見積りを金曜までに再提出する」「次回の打ち合わせは再来週に実施する」が並び、「やること」の下に「担当者A:仕様変更の確認(期限はメモに記載なし)」が入り、「次回までの宿題」に「予算 金額1 の承認」「次回の会場決め」が入ります。
ここで見てほしいのは、「たぶん大丈夫」が議事録から消えていることと、期限が書いていない項目に「メモに記載なし」がついていることです。前者は事実だけを書くよう指定した効果で、後者は抜けを見えるようにした効果です。この2つがあるだけで、配ったあとの「これ誰がやるんでしたっけ」がほとんどなくなります。
担当と期限が決まっていない会議だったとき
会議によっては、担当も期限も決まらないまま終わることがあります。そのときは、上の言葉に次の1文を足してください。「担当や期限が決まっていない項目は、『未定』と書いたうえで、決めるべき項目として最後にまとめてください」。
こうすると、議事録の最後に「決まっていないこと」の一覧が出てきます。これがそのまま次回の議題になります。議事録を配るときに「ここが未定です」と添えられると、次の会議が短くなります。ChatGPTに決めさせるのではなく、決まっていないことを見える形にしてもらう、という使い方です。
もっと短く、メール1通で送りたいとき
議事録を正式な文書として残すのではなく、関係者に共有するだけでよいこともあります。その場合は形式を変えます。
「このメモを、関係者に送るメールの本文にしてください。300字以内、挨拶は1行だけ、本題は『決まったこと』『お願いしたいこと』の2つに分けて、最後に返信してほしい期限を1行入れてください。メモはここから:」
字数を先に指定するのが要点です。指定しないと長いメールが返ってきて、結局自分で削ることになります。300字という数字は、スマホの画面でスクロールせずに読める分量の目安です。
手順3:返ってきた議事録の直し方
返ってきた文章は、そのまま配ってはいけません。たたき台として扱います。確認する順番を決めておくと、毎回2分で終わります。
確認する順番は「固有名詞、数字、抜け」
まず、置き換えておいた固有名詞を元に戻します。「A社」を実際の会社名に、「担当者A」を実際の名前に戻していきます。ここで戻し忘れると、社内の人が読んだときに誰のことか分からない議事録になります。
次に数字です。日付、金額、個数は、メモと突き合わせて1つずつ確認します。AIは数字を自然な形に整えようとして、メモになかった数字を補ってしまうことがあります。「メモにない情報は足さないでください」と指定していても、完全には防げません。数字だけは必ず人の目で見てください。
最後に抜けです。「メモに記載なし」と書かれている行を見て、自分の記憶で埋められるものは埋め、埋められないものは会議の出席者に確認します。この行があるおかげで、何を確認すればよいかが一目で分かります。
文章が固すぎる・柔らかすぎるとき
文体が社内の雰囲気と合わないときは、返ってきた文章に続けて短く指示を足すだけで直ります。「もう少し柔らかい言い方にしてください」「箇条書きを短くして、1行20字以内にしてください」「敬語をそろえてください」といった一文で十分です。
最初から完璧な文体を指定しようとすると、送る言葉が長くなって使い回しにくくなります。最初は短く送って、返ってきたものを見てから直すほうが、結果的に早く終わります。会話のようにやり取りできるのがChatGPTの利点なので、そこを使ってください。
できあがった議事録の残し方
返ってきた文章は、ChatGPTの画面の中に置いたままにせず、いつも議事録を保管している場所に移してください。社内の共有フォルダ、メールの下書き、メモアプリなど、これまで使っていた場所で構いません。チャットの履歴は検索しづらく、あとから「あの会議の決定事項」を探すのに向いていません。
移すときは、長押しでコピーするか、返ってきた文章の下に表示されるコピーのボタンを使います。コピーしたあと、そのチャットを削除しておくと、会議の内容が履歴に残り続けるのを避けられます。使い終わったら消すを習慣にしておくと、あとで社内から「どこに残っているのか」と聞かれたときに答えやすくなります。
文字起こしの文章を貼るときの手順
会議の録音があり、別のアプリですでに文字起こしが済んでいる場合は、その文章を貼って要点を抜いてもらえます。ただし、注意点が2つあります。
長さの上限に気をつける
文字起こしの文章は長くなります。無料プランでは一度に扱える文章の長さに上限があり、公式の料金ページでは無料版の入力の目安が「約12ページ分のテキスト」と説明されています。1時間の会議の文字起こしは、これを超えることがあります。
超えそうなときは、議題ごとに分けて貼り、それぞれの要点を出してもらってから、最後に全部をまとめてもらいます。一度に全部を渡すよりも、途中の抜けが少なくなります。分けるときは「これは3回に分けて送る文字起こしの1回目です。まだ要約しないで、読んだとだけ返してください」と先に伝えると、途中で勝手に要約されずに済みます。
ファイルとして渡す場合の上限
文字起こしをファイルにして渡すこともできますが、無料プランは1日あたり3ファイルまでとOpenAIの公式ヘルプに書かれています。会議が続く日にはすぐに上限に届きます。貼り付けで済むものは貼り付けで渡すほうが、回数を気にせずに使えます。
「これから会議の文字起こしを貼ります。話し言葉のままなので、言い直しや相づちは無視してください。そのうえで『決まったこと』『やること(担当と期限)』『保留になったこと』の3つに分けて箇条書きにしてください。文字起こしにない情報は足さないでください。文字起こしはここから:」
入力してはいけないもの、録音の前に確かめること
ここが、この記事でいちばん大事な部分です。議事録は会社の情報のかたまりなので、他のテーマよりも線引きをはっきりさせる必要があります。
入れてはいけないもの
取引先の会社名と担当者名、社員の氏名、未公開の金額や契約条件、個人の評価や人事に関する発言、顧客の名前や連絡先。これらは置き換えてから送ってください。手順1で説明した「A社」「担当者A」の置き換えは、このために行います。
また、会社によってはそもそも生成AIの利用にルールがあります。使う前に、社内の規定を一度確認してください。ルールがある会社では、ここで挙げた置き換えをしても外部サービスへの送信自体が禁止されていることがあります。
録音するときは、先に同意を得る
OpenAIの公式ヘルプは、記録モードの説明のなかで「他者を録音する前に、必ず現地の法律を確認し、適切な同意を得てください」「録音モードの使用が適用法に従っていることを確認する責任は利用者にある」と明記しています。これは記録モードに限った話ではなく、スマホの録音アプリを使う場合も同じです。
会議の冒頭で「議事録用に録音してもよいですか」と一言確認する。それだけで済みます。黙って録ったものを外部のサービスに送るのは、会社のルール以前の問題になります。
音声入力を使うときの設定
マイクアイコンから吹き込んだ音声について、公式ヘルプには次のように書かれています。音声はそのチャットが履歴に残っている限り保持され、チャットを削除すると関連する音声も30日以内に削除されます。そして、設定によっては音声がAIの学習に使われることがあります。
学習に使わせたくない場合は、設定のデータコントロールを開き、「音声録音を含める」をオフにするか、「すべての人のためにモデルを改善する」自体をオフにします。後者をオフにすると、音声入力と音声チャットの両方で音声の共有が止まります。仕事の話を吹き込む前に、ここを一度見ておいてください。
まとめ
会議の議事録をスマホの無料版で作る手順を、もう一度短くまとめます。会議中は「決まったこと・やること・誰が・いつまでに」の4つだけをメモします。会議のあと、固有名詞を「A社」「担当者A」に置き換えます。ChatGPTに、3つの見出しで整えるよう指定した送る言葉と一緒にメモを貼ります。返ってきた文章は、固有名詞を戻し、数字を確認し、「記載なし」の行を埋めてから配ります。
録音を丸ごと渡して自動で議事録にする機能は、いまのところ有料プランのmacOSアプリに限られ、しかも日本語の精度にはばらつきがあると公式が認めています。無料のスマホでできるのは、自分が取ったメモや、すでに文字になっている文章を整える部分です。聞き取りは人か別の道具、組み替えはAI。この分け方が、いまのところ一番確実です。
そして、議事録は会社の情報です。置き換えの30秒と、録音前の一言の確認を省かないでください。この2つを守れば、生成AIを使うことが問題になる場面はかなり減ります。
よくある質問(FAQ)
無料版でも議事録は作れますか?
作れます。ただし「録音ファイルを渡すと自動で議事録が出てくる」形ではありません。無料版でできるのは、自分が取ったメモや、別のアプリで文字起こしした文章を、議事録の形に組み替えてもらうことです。この記事の手順は、すべて無料プランのスマホでできる範囲で書いています。
録音した音声ファイルをそのまま送れますか?
無料プランではファイルのアップロードが1日3ファイルまでという上限があり、音声から議事録を作る記録モードは有料プランのmacOSアプリ限定です。無料のスマホで音声ファイルを渡して議事録にする、という使い方は現実的ではありません。文字起こしは別の手段で用意して、文章を貼る形にしてください。
会議の内容をそのまま貼っても大丈夫ですか?
おすすめしません。取引先の会社名、担当者名、社員の氏名、未公開の金額や契約条件は、「A社」「担当者A」「金額1」に置き換えてから送ってください。返ってきた議事録の中で自分が元に戻します。また、会社に生成AIの利用ルールがある場合は、そのルールが優先します。
ChatGPTが会議に出ていない内容を書いてきました。どうすればいいですか?
送る言葉に「メモにない情報は足さないでください」「分からない部分は『メモに記載なし』と書いてください」の2文が入っているか確認してください。入れていても補われることがあるので、日付・金額・個数の数字は必ずメモと突き合わせます。数字の確認だけは省かないでください。
吹き込んだ音声は残りますか?
公式ヘルプによると、音声入力の音声はそのチャットが履歴に残っている限り保持され、チャットを削除すると関連する音声も30日以内に削除されます。また、設定によってはAIの学習に使われることがあります。設定の「データコントロール」で「音声録音を含める」をオフにするか、「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、音声の共有が止まります。
会議を録音するときに気をつけることはありますか?
先に同意を得てください。OpenAIの公式ヘルプも、他者を録音する前に現地の法律を確認し、適切な同意を得るよう明記しています。会議の冒頭で「議事録用に録音してもよいですか」と確認するだけで済みます。あわせて、社内に録音や生成AIに関するルールがないかも確認してください。
聞き取りは人、組み替えはAI
ChatGPTをまだ入れていない方は、1本目の記事「ChatGPTをスマホで始める手順」で、入れ方と最初に変える設定(学習に使わせない設定)をまとめています。会社の情報を扱うときは、社内のルールを先に確認してください。