
アプリは入れた。画面も開いた。でも、入力欄の前で手が止まる。「何を聞けばいいのか分からない」。AIを使い始めた人が最初につまずくのは、たいていここです。この記事は、今日そのまま送れる10の言葉を、暮らしと仕事に分けて並べたものです。コピーして貼るだけなので、考える必要はありません。
先に結論を3つ書いておきます。1つ目。最初は「調べもの」ではなく「面倒な作業」を渡すとうまくいきます。調べものは答えが合っているか確認する手間がかかりますが、文章を整える作業は結果がその場で分かります。2つ目。うまくいく言葉には共通の形があります。誰に・何を・どれくらいの長さで・何を避けたいか。この4つを入れるだけで、返ってくるものが変わります。3つ目。10個のうち、自分に関係あるものを2つ試せば十分です。全部やる必要はありません。
この記事の無料版でできる範囲は、ChatGPTの公式料金ページで確認した内容です。条件は変わることがあるので、実際に使う前に公式ページで最新を確かめてください。
最初の1回でつまずく理由
「何を聞けばいいか分からない」の正体は、聞くことがないからではありません。AIに聞いていいことの範囲が分からないからです。ここを先に片づけます。
検索と同じ使い方をすると、がっかりする
多くの人が最初にやるのが、検索窓に入れるような単語を入れることです。「東京 天気」「確定申告 やり方」。こう入れても答えは返ってきますが、検索で出てくる内容と大きくは変わりません。しかも、AIの答えが最新である保証はないので、結局あとで調べ直すことになります。
AIが得意なのは、調べることではなく文章を作る・整える・言い換える作業です。頭の中にある材料を渡して、読める形にしてもらう。この使い方をすると、検索では代わりにならない仕事をしてくれます。だから最初の1回は、自分がすでに持っている情報を渡す質問から始めてください。
うまくいく言葉に共通する4つの条件
この記事で紹介する10の言葉には、すべて同じ4つの条件が入っています。誰に向けたものか(小学生に、上司に、義理の両親に)。何をしてほしいか(短くする、言い換える、リストにする)。どれくらいの長さか(3行で、200字で、箇条書き5つで)。何を避けたいか(専門用語は使わない、断定しない、意見は書かない)。
慣れてきたら、この4つを自分の言葉で組み立てられるようになります。最初のうちは、下の10個をそのままコピーして、カッコの中だけ自分の状況に置き換えてください。それで十分に動きます。逆に、この4つがないと、長くて使いどころのない文章が返ってきます。
今日送る10の言葉(暮らし編5つ)
まず、家のことから5つです。どれも1分で結果が出ます。
1. 冷蔵庫の中身から晩ごはんを決める
献立を考えるのは、毎日のことなのに毎日しんどい作業です。材料を並べて渡すだけで、候補が出てきます。
「冷蔵庫に、卵3個、豆腐1丁、にんじん2本、豚こま肉300グラムがあります。大人2人分の晩ごはんの候補を3つ、30分以内で作れるものに絞って出してください。手順は3行以内で、特別な調味料は使わないでください。」
材料の数と量まで書くのがコツです。「野菜がある」ではなく「にんじん2本」。人数と時間も入れます。これを入れないと、4人前の手の込んだ料理が返ってきて使えません。献立をもっと本格的に任せたい場合は、冷蔵庫の写真を送って1週間分の献立を立ててもらう手順も別の記事にまとめてあります。
2. 説明書が読めないときに代わりに読んでもらう
家電やアプリの説明が分からないとき、その文章をそのまま貼って、言い換えてもらいます。
「次の説明を、機械が苦手な人に向けて、専門用語を使わずに言い換えてください。手順があるなら番号をつけて、1つの手順は1行にしてください。説明はここから:」
貼り付ける文章は、説明書を撮った写真ではなく、文字で入れてください。写真から文字を読む機能もありますが、型番や小さい文字は読み間違いが起きます。また、説明書の写真には購入者の情報が入っていることもあるので、文字で必要な部分だけ渡すほうが安全です。
3. 予定を立ててもらう
やることが多すぎて順番が決められないときに使います。決めてもらうのではなく、並べ直してもらう、が正しい使い方です。
「土曜の午前中にやることが5つあります。買い物、掃除、銀行、病院の予約電話、子どもの送り迎え。移動が少なくて済む順番に並べ替えて、それぞれの目安時間も書いてください。無理そうなら、削る候補も教えてください。」
最後の「削る候補も教えてください」が効きます。全部やる前提で組み立てると、たいてい間に合いません。何を諦めるかまで出してもらうと、現実的な計画になります。
4. 言いにくいことの言い方を考えてもらう
断る、頼む、謝る。この3つは、文面を考えるのに時間がかかります。角の立たない言い方を出してもらいます。
「習い事の体験教室を、今回は見送りたいと先方に伝えたいです。角が立たない断り方を3パターン、それぞれ100字以内で書いてください。嘘の理由は使わず、また機会があればお願いしたい気持ちが伝わるようにしてください。」
3パターン出してもらうのがコツです。1つだけだと、しっくりこなかったときにもう一度頼むことになります。3つ並べば、その中から選ぶか、組み合わせて自分の言葉にできます。
5. 子どもの「なんで?」に答えてもらう
答えは知っているけれど、子どもに分かる言葉にできない。そういうときに使えます。
「小学3年生に、氷がとける理由を説明したいです。身近なたとえを使って、3文以内で説明してください。そのあと、子どもが自分で確かめられる簡単な実験を1つ教えてください。」
学年を書くのが大事です。「子どもに」だけだと、何歳向けか決まりません。それと、返ってきた説明は一度自分で読んでから伝えてください。子ども向けの説明では、分かりやすさを優先して正確さが落ちることがあります。お子さんがAIを自分で使う場合は、子どもに使わせる前に親がやっておく設定とルールを先に済ませておくことをおすすめします。
今日送る10の言葉(仕事・手続き編5つ)
続いて、仕事と手続きから5つです。こちらは、送る前に固有名詞を置き換えてください。会社名は「A社」、人の名前は「担当者A」で通じます。
6. メモを読める文章にする
走り書きのメモを、人に見せられる形にしてもらいます。会議のあとに一番使う言葉です。
「次のメモを、『決まったこと』『やること(担当と期限つき)』の2つの見出しで箇条書きに整えてください。メモにない情報は足さないでください。分からない部分は『メモに記載なし』と書いてください。メモはここから:」
「メモにない情報は足さないでください」は必ず入れてください。これがないと、それらしい内容が勝手に補われます。議事録として使う場合の詳しい手順は、会議の議事録をスマホの無料版で作る手順にまとめてあります。
7. 長い文章の要点だけ知る
読む時間がない資料や、長いメールの要点を先に押さえます。
「次の文章の要点を、箇条書き5つ以内でまとめてください。そのあと、書かれていないけれど確認したほうがよい点を2つ挙げてください。文章はここから:」
後半の「書かれていないけれど確認したほうがよい点」が便利です。要約だけなら自分で読んでも分かりますが、抜けを指摘してもらうと、次に何を聞けばいいかが見えます。ただし、指摘そのものが的外れなこともあるので、判断は自分でしてください。
8. 分からない言葉を自分用に言い換える
契約書や規約、役所の書類に出てくる言葉を、自分の状況に引き寄せて説明してもらいます。
「次の言葉の意味を、法律を知らない人に向けて説明してください。一般的な説明を3行以内で書いたあと、どういう場面で自分に関係してくるかを2つ挙げてください。言葉は『(分からない言葉)』です。」
契約書の全文は貼らないでください。分からない言葉だけを抜き出して聞きます。金額や相手の名前が入った文章をそのまま貼ると、外部のサービスに契約内容を送ることになります。言葉の意味を知るだけなら、その言葉だけで足ります。
9. 相談に行く前の質問リストを作る
病院、役所、保険の窓口。何を聞けばいいか分からないまま行くと、帰ってから「あれを聞き忘れた」となります。
「(相談したい内容)について、窓口で聞くべき質問リストを10個作ってください。専門用語は使わず、そのまま口に出せる言い方にしてください。判断や意見は書かず、質問だけを並べてください。」
最後の「判断や意見は書かず」が線引きです。AIに結論を出させると、その結論を前提に話を進めてしまいます。質問リストだけを作らせて、答えは窓口の人からもらう。この形なら、間違った情報に引きずられません。
10. 覚えたいことを問題にしてもらう
資格の勉強や、仕事で覚えることがあるとき。読むだけより、問題にしたほうが早く覚えられます。
「次の内容から、4択の問題を5問作ってください。答えと、なぜその答えになるのかの説明も付けてください。ひっかけ問題は入れず、基本的な理解を確かめる問題にしてください。内容はここから:」
自分が持っているテキストの内容を貼るのがコツです。貼らずに「簿記3級の問題を作って」と頼むと、実際の試験と範囲がずれた問題が出てくることがあります。手元の教材から作らせれば、その心配がありません。
答えが的外れだったときの直し方
10個のうちどれを試しても、1回目でぴったりの答えが返ってくるとは限りません。やり直すのではなく、続けて短く言い足すのが正解です。
足す言葉は4種類だけ
長すぎるときは「半分の長さにしてください」。固いときは「もう少し柔らかい言い方にしてください」。ずれているときは「そこは求めていません。(本当に知りたいこと)を教えてください」。具体性が足りないときは「例を3つ付けてください」。この4つで、ほとんどの場合が直ります。
最初から完璧な指示を書こうとしなくて大丈夫です。むしろ、長い指示を1回送るより、短い指示を3回送るほうが、思っているものに近づきます。会話のように直していけるのが、検索との一番の違いです。
それでも合わないときは、条件を1つ足す
何度直してもずれる場合は、4つの条件のどれかが抜けています。誰に向けた文章か書いていない。長さを指定していない。避けたいことを伝えていない。このどれかです。
特に抜けやすいのが「避けたいこと」です。「専門用語を使わないでください」「断定しないでください」「商品名は出さないでください」。こういう一文を足すだけで、返ってくるものが変わります。うまくいった言葉は、スマホのメモに残しておくと次から早く使えます。
聞いてはいけないこと、任せてはいけないこと
10個試してみると、AIは思ったより何でも答えてくれると分かります。だからこそ、線引きを先に決めておいてください。
入れてはいけない6つ
自分の氏名・住所・電話番号・メールアドレス。マイナンバー、口座番号、クレジットカード番号などの番号類。家族や友人の名前、学校名、勤務先。会社の未公開の情報(取引先名、金額、契約条件)。診断書や処方薬の内容など、健康に関わる具体的な記録。自分や他人の顔が写った写真、書類を撮った写真。
上の10個の言葉は、どれもこの6つを入れなくても成立するように作ってあります。カッコの中を埋めるときに、名前や会社名を入れたくなったら、「A社」「担当者A」「長女」に置き換えてください。答えの質はほとんど変わりません。
それでも心配な方は、設定で学習に使われないようにしておくこともできます。ただし、学習をオフにしても会話は履歴に残ります。設定は保険であって、送った内容を消す機能ではありません。順番としては、入れないことが先、設定はそのあとです。
健康・お金・法律は「整理」までにする
病気のこと、お金のこと、契約や手続きのこと。この3つは、AIに判断させないでください。整理してもらうのは構いません。分からない言葉を言い換えてもらう、質問リストを作ってもらう、加入しているものを表にしてもらう。ここまでがAIの役割です。保険の整理を例にした具体的な手順は、加入中の保険をChatGPTに整理してもらう手順で書いています。
最終的な判断は、必ず人に確認します。病院の窓口、税務署、役所、保険会社、専門家。AIの答えは、その人たちに相談しに行くための準備として使ってください。整理はAI、判断は人。この線を越えなければ、AIは怖い道具ではありません。
答えが本当か確かめるとき
数字や事実が出てきたときは、そのまま信じないでください。特に、金額、日付、法律の条件、医療の情報は、必ず公式のページで確認します。AIは、もっともらしい間違いを自信たっぷりに書くことがあります。
確かめ方は単純です。返ってきた答えの中の数字や固有名詞を、そのまま検索して公式のページを探します。見つからないなら、その情報は使わない。これだけで、ほとんどの間違いを避けられます。
もう1つ、聞き方でも減らせます。答えのあとに「この内容の根拠になる公式のページを教えてください」と送ってみてください。出てきたページを自分で開いて、書いてある内容と合っているか見ます。ここで、出どころを示せない、あるいは示したページに書いていない、ということが起きます。そのときは、その部分は使わない判断でかまいません。
無料でどこまで続けられるか
最後に、お金の話をします。ここまでの10個は、すべて無料の範囲でできます。
文字のやり取りは上限がない
ChatGPTの公式の料金ページによると、無料版でも通常のテキストチャットは無制限に使えます(不正利用を防ぐための安全対策は適用されます)。つまり、この記事の10個のような「文章を渡して整えてもらう」使い方は、回数を気にせず続けられます。
上限があるのは別の機能です。公式ページには、無料版はアップロードを含むメッセージ数に上限があること、画像生成の回数に上限があり速度も制限されること、音声チャットに上限があること、メモリに上限があることが書かれています。写真を何枚も送ったり、画像を作ったりし始めると、上限に当たります。
課金を考えるタイミング
最初から有料プランを選ぶ必要はありません。まずは無料で、この記事の10個を試してください。上限に当たって不便を感じたときが、はじめて課金を検討するタイミングです。当たらないなら、無料のままで問題ありません。
なお、一度に渡せる文章の長さにも違いがあります。公式の料金ページでは、無料版の入力の目安が「約12ページ分のテキスト」と説明されています。長い資料を丸ごと貼りたい場合は、ここが効いてきます。その場合も、章ごとに分けて貼れば無料のままで進められます。
他のAIも一緒に使っていい
AIは1つに絞る必要はありません。同じ質問を2つのサービスに送って、返ってきた内容を見比べる、という使い方もできます。片方だけが言っていることは、いったん疑う。両方が同じことを言っているなら、確かめる優先度を下げる。そういう判断材料になります。
ただし、増やすほど入力してはいけない情報を送る機会も増えます。最初のうちは1つに慣れて、物足りなくなってから2つ目を足す順番をおすすめします。どのサービスでも、線引きは同じです。氏名、番号類、他人の情報、会社の未公開情報、健康の記録、顔や書類の写真。この6つは、どこにも入れない。
まとめ
「何を聞けばいいか分からない」の答えは、自分がすでに持っている材料を渡すことです。冷蔵庫の中身、走り書きのメモ、読めない説明文、断りたい用件。どれも、頭の中や手元にはあるけれど、形になっていないものです。これを渡して、読める形にしてもらう。それがAIのいちばん確実な使い道です。
送る言葉に入れるのは4つだけです。誰に向けたものか。何をしてほしいか。どれくらいの長さか。何を避けたいか。この記事の10個は全部この形で書いてあるので、カッコの中を自分の状況に置き換えれば、そのまま使えます。
そして、入れない6つ。氏名、番号類、他人の情報、会社の未公開情報、健康の記録、顔や書類の写真。これを守ったうえで、10個のうち2つだけ試してみてください。1回でも「これは早い」と感じられれば、次からは自分で言葉を作れるようになります。
最後に、使い分けの目安を1つ。暮らしのことは、だいたい任せて大丈夫です。献立でも、片づけの順番でも、間違っていたら自分で気づけます。手続きとお金の話は、下調べまでにしてください。返ってきたものを、そのまま出さない。窓口の名前や期限だけは、自分で確かめる。この線だけ引いておけば、10の言葉はどれも安心して試せます。うまくいかなかったら、言い方を変える前に、条件を1つ足してみてください。
よくある質問(FAQ)
10個のうち、最初に試すならどれがいいですか?
1つ目の献立か、6つ目のメモの整理をおすすめします。どちらも、自分が答えを知っている材料を渡す形なので、返ってきたものが合っているかどうかをその場で判断できます。逆に、知らないことを調べる質問から始めると、答えが正しいか分からず、手応えを感じにくくなります。
うまい言葉が思いつきません。どうすればいいですか?
思いつかなくて大丈夫です。この記事の10個をコピーして、カッコの中だけ自分の状況に置き換えてください。慣れてきたら、誰に・何を・どれくらいの長さで・何を避けたいか、の4つを自分の言葉で組み立てられるようになります。うまくいった言葉は、スマホのメモに残しておくと次から早く使えます。
答えが長すぎて読む気になりません。
返ってきた文章に続けて「半分の長さにしてください」「箇条書き5つ以内にしてください」と送れば短くなります。最初から長さを指定しておくのがいちばん確実で、この記事の10個にはすべて長さの指定が入っています。「3行以内」「100字以内」のように数字で書くと、そのとおりに返ってきます。
無料版だと、途中で使えなくなりませんか?
公式の料金ページによると、通常のテキストチャットは無料版でも無制限です。この記事の10個のような文章のやり取りなら、回数を気にせず続けられます。上限があるのは、アップロードを含むメッセージ、画像生成、音声チャット、メモリなどです。写真や画像を多く使い始めると、そこで上限に当たります。
AIの答えが間違っていたら、どうやって気づけますか?
数字、日付、金額、法律の条件、医療の情報が出てきたら、そのまま信じずに公式のページで確認してください。確かめ方は、返ってきた答えの中の数字や固有名詞をそのまま検索して、公式のページを探すだけです。見つからないなら、その情報は使わない。これだけで、ほとんどの間違いを避けられます。
家族の相談をしたいのですが、名前を入れても大丈夫ですか?
入れないでください。家族や友人の情報は、その人が入れてよいと言ったわけではありません。「長女」「近所の病院」「上の子の担任の先生」のように、関係性だけで書けば十分に通じますし、答えの質もほとんど変わりません。自分以外の人が出てくる話では、送信ボタンを押す前に一度読み返してください。
まずは2つだけ、今日試す
まだアプリを入れていない方は、ChatGPTをスマホで始める手順に、入れ方と最初に変える設定をまとめています。料金や機能の条件は変わることがあるので、公式ページでも最新をご確認ください。