
AIが出した分析結果を、そのまま資料に載せていないでしょうか。計算は合っているのに、結論がおかしいことがあります。公式ヘルプには、データによくある問題が4つ挙げられ、それを洗い出す一文まで載っていました。
この記事では、OpenAIの公式ヘルプに書かれている内容を並べ、分析結果を確かめる場面に置き直して整理します。内容は公式ページで確認したものです。参照したページは英語で公開されているため、引用は原文を示したうえで日本語に置き直しています。仕様は更新されるため、運用を決める前には原典で最新の記載をご確認ください。公式に記載のない部分は、実務の提案であることを本文で明示しています。
結論:結果より先に、データを見る
先に結論です。分析結果が間違っているとき、原因は計算ではなく渡した表の側にあることが多いと思います。公式ヘルプにも、その前提で書かれた項目がありました。しかも、確かめる手順とそのまま使える一文まで具体的に示されています。
「元データが正確であること」から始まっている
公式ヘルプの異常の検出と対処という項目に、こうあります。When making decisions with data, it’s important to ensure that your source data is as accurate as possible.データで意思決定をするときは、元となるデータができるかぎり正確であることが重要だ、という書き出しです。そして続きにChatGPT knows how to identify data which might be missing or incorrect.とあります。欠けているかもしれない、あるいは誤っているかもしれないデータを見つけられるという説明です。結果を出す機能ではなく、データを点検する機能として書かれています。
点検は、分析の前に置かれている
順番も明確です。同じ項目にStart your analysis with a prompt like thisという一文があり、そのあとに実際のプロンプトが示されています。分析を、このプロンプトから始めなさいという書き方です。分析させてから結果を疑うのではなく、分析の1手目が点検という順番になっています。ここは実務の感覚ですが、多くの人は逆をやっていると思います。まず集計させて、出てきた数字を見て、おかしいと感じたときだけ戻る。戻る判断ができるのは、元の数字を知っている場合だけです。以降の節で、点検の中身を順に見ていきます。
公式が挙げるよくある4つ
出典:OpenAI Help Center
よくある問題が4つ挙げられている
点検する対象は、自分で決めなくてよい形になっていました。公式ヘルプに、よくある問題が名指しで並んでいます。どれも身に覚えのあるものばかりで、しかも、間違え方の形がそれぞれ違っていました。ここから順に見ます。
4つの並び
公式ヘルプにはこうあります。Common issues ChatGPT can identify and repair include: Missing values / Outlier values / Duplicate rows / Incorrect data types.見つけて直せるよくある問題として、欠損値、外れ値、重複行、データ型の誤りの4つが挙げられています。identify and repair、つまり見つけるだけでなく直すところまでが対象です。ここは実務の感覚ですが、この4つはExcelの画面を見ているだけでは気づきません。行数が多いほど、目視では無理になります。
結果への効き方が、それぞれ違う
ここからは実務の提案です。4つは、間違え方の形が違います。欠損値は、空欄をゼロとして数えるか除外するかで平均が変わります。外れ値は、1件あるだけで平均が引っぱられます。重複行は、合計と件数だけが増えて、平均は変わらないこともあります。データ型の誤りは、数字が文字として入っていると集計から落ちます。落ちるのか、増えるのか、引っぱられるのか。この違いを知っていると、出てきた数字のどこがおかしいかで原因の見当が付きます。
直すときは、選択肢が出る
直し方についても書かれています。Once ChatGPT has identified common issues, you can ask it to fix those issues. Depending on the issues encountered, ChatGPT may offer multiple options for you to choose from.見つかった問題によっては、複数の選択肢が提示されるという説明です。欠損値なら、除外するか、平均で埋めるか、ゼロにするか。どれを選ぶかで結果が変わります。そして続きにこうあります。If you’re uncertain about the implications of these choices, try asking ChatGPT for more information.選んだ結果どうなるか分からないときは、追加で聞けという案内です。選ばせる設計になっている以上、任せきりにはできません。
最初に打つ一文が決まっている
ここが、いちばんすぐ使える部分です。公式ヘルプには、そのまま打てるプロンプトが載っていました。しかも1つではなく、場面ごとに示されています。どれも短い一文で、覚える必要すらありません。コピーして使えます。
点検の一文
1つ目がこれです。Start your analysis with a prompt like this: Check this data for common issues.日本語にすると「このデータによくある問題がないか確認して」です。これだけです。何を確認するかは、前の節の4つが対象になります。ここは実務の提案になりますが、日本語で使うなら欠損値、外れ値、重複行、データ型の誤りがないか確認してくださいと4つを書き添えるほうが、意図がぶれないと思います。公式が挙げている4つを、そのまま指示に入れる形です。
集計の一文
2つ目は集計です。You can expand a table and select one or more numerical columns, and then use a prompt like this: Calculate the median and standard deviation for this data.「このデータの中央値と標準偏差を計算して」です。注目したいのが、平均ではなく中央値と標準偏差が例に選ばれていることだと思います。外れ値があると平均は動きますが、中央値は動きにくい。標準偏差はばらつきの大きさを示します。この2つを並べて見ると、外れ値の存在に気づきやすくなります。なお、集計できるものとして合計、平均(中央値、平均値、最頻値)、最小値と最大値、異なる値の件数、標準偏差が挙げられています。
解釈を聞く一文
3つ目は分析のあとに使うものです。An effective prompt can be: Is there anything notable or unusual about this analysis?「この分析で、注目すべき点や異常な点はありますか」です。同じ段落にはIf you’re not sure which technique is most appropriate for your data, try telling ChatGPT what you want to understand, and ask it to recommend the best analysis technique.ともあり、手法が分からないときは何を知りたいかを伝えて、適切な手法を勧めてもらうという使い方が示されています。点検、集計、解釈。3つの場面にそれぞれ一文が用意されている形です。
表の作り方で、結果が変わる
渡すファイルの形についても、条件が整理されていました。使うべき形と避けるべき形が、それぞれ3つずつ挙げられています。社内で回っているExcelは、だいたい避けるべき側に当てはまると思います。見比べてみてください。
使う形が3つ
公式ヘルプのPreparing spreadsheetsという項目に、Useとして3つ並びます。Descriptive column headers in the first row、One row per record、Plain-language column names。1行目に内容の分かる見出し、1件につき1行、平易な言葉の列名です。3つ目が見落とされやすいと思います。平易な言葉、つまり社内の略号ではなく、読んで分かる名前です。冒頭にもFor best results, upload structured data with clear column names and one record per row.と書かれており、同じ条件が繰り返されています。
避ける形が3つ
Avoidとして並ぶのがこの3つです。Multiple unrelated tables in one sheet、Empty rows or columns that split the data、Images that contain values ChatGPT needs to analyze。1枚のシートに関係のない複数の表、データを分断する空行や空列、分析したい値が画像に入っているの3つです。社内で回っている集計シートは、1枚に複数の表が置かれていることが多いと思います。見出しの上に空行を入れて見やすくしているものも、ここに当たります。人が見やすい形と、機械が読める形が違うという話です。
画像の中の数字は、正確に読めない
3つ目の画像については、よくある質問にも記載があります。ChatGPT may not reliably extract exact values from image-based tables, scanned files, or files with complex visual layouts. When exact values matter, upload a spreadsheet or text-based file instead.正確な値が重要なときは、表計算ファイルかテキスト形式のファイルを渡すという案内です。スキャンした資料やスクリーンショットから数字を読ませる使い方は、公式が明確に勧めていません。ここは実務の提案ですが、紙の資料しかない場合は、読み取らせた結果を必ず元の紙と突き合わせる工程を入れることになります。
読み込めても、全部は分析されない
ここが、いちばん怖い記載だと思います。ファイルのアップロードが成功しても、中身が全部見られているとは限りません。そうなる条件が4つ挙げられていて、しかもどれもエラーにはなりません。黙って一部だけ見られます。
成功と完全は別だと書かれている
よくある質問にWhy might ChatGPT not analyze the full file?という項目があり、回答がこうです。A file may upload successfully but still be too large, complex, image-heavy, or poorly structured for complete analysis.アップロードには成功しても、大きすぎる、複雑すぎる、画像が多い、構造が悪い場合は、完全な分析にならないことがある、という説明です。エラーは出ないのに、一部しか見られていない状態があるわけです。件数を確かめる意味が、ここにあります。
対処も書かれている
続きに対処法があります。If the result seems incomplete, ask ChatGPT to inspect specific sheets, rows, columns, or sections, or split the file into smaller files.結果が不完全に見えるときは、特定のシート、行、列、セクションを調べるよう頼むか、ファイルを小さく分割するという2つの方向です。ここは実務の提案になりますが、その前に読み込んだ件数を聞く工程を入れるほうが確実だと思います。自分が渡した行数と一致するかを最初に確かめる。一致しないなら、そこから先の数字はすべて疑うことになります。
読み込めない場合とは別の話
混同しやすいので分けておきます。ファイルがそもそも読み込めない場合は、サイズや形式の上限に当たっているケースが多く、これは別の話です。この節で扱っているのは、読み込みは通ったのに、分析が全部に及んでいないケースです。エラーが出ないぶん、こちらのほうが気づきにくいと思います。なお、対応しているファイルとして.xls、.xlsx、.csv、PDF、.json、.xml、.yaml、.txt、.mdが挙げられており、コネクタが使える場合はGoogle Drive、OneDrive、SharePointからも添付できるとされています。
聞き方しだいで、勝手に結合される
複数のファイルを渡したときの動きです。ここは便利な反面、知らないと結果の意味を取り違えます。しかも明確に「自動で」と書かれていて、こちらが頼まなくても起きる動きでした。先に知っておきたい部分だと思います。
共有のIDで、つながる
公式ヘルプにこうあります。ChatGPT can also merge multiple datasets together based on shared identifiers.共有されている識別子をもとに、複数のデータセットを結合できるという説明です。例として、顧客の一覧と購入履歴の2つを渡し、customer_idでつながっている場合が挙げられています。そして「ゴールドプランの顧客による購入の合計はいくらか」といった質問に答えられる、とされています。ファイルをまたいだ集計が、こちらで結合しなくてもできる形です。
「自動で」と明記されている
問題は次の一文です。ChatGPT automatically merges datasets for you when you ask a question where it is required.必要となる質問をしたときは、自動的に結合すると書かれています。頼まなくても結合されるということです。ここは実務の提案になりますが、結合されたかどうかを、結果の前に確認する工程が要ると思います。結合の仕方によっては、片方にしかない行が落ちたり、1対多の関係で行が増えたりします。合計が想定と違うとき、計算ではなく結合の段階で起きている可能性があります。
手法の選択も、任せきりにしない
同じ性質の記載が、もう1つあります。ChatGPT may choose an analysis method or chart type that does not match your intent on the first try. Ask it to use a specific method, chart type, grouping, or column when you need a particular approach.最初の試行では、意図と違う分析手法やグラフの種類が選ばれることがあるという説明です。そして、必要なら手法、グラフの種類、グループ化、列を指定するよう案内されています。選ばれた手法が何だったかを聞くところまでが、確認の範囲になると思います。
出てきた数字の確かめ方
最後に、結果そのものの検算です。分析の中身を見る方法が用意されていました。見る対象も具体的に書かれていて、計算だけでなく前提まで含まれているのが、いちばんの要点だと思います。環境の制約とあわせて見ます。
コード・出力・前提の3つを見る
公式ヘルプのReviewing analysis detailsという項目に、こうあります。When ChatGPT uses Python for analysis, review the generated code, outputs, and assumptions before relying on the result.結果に頼る前に、生成されたコード、出力、前提を確認する、という書き方です。3つ目のassumptions、つまり前提が入っているのが要点だと思います。どの行を対象にしたか、何を除外したか、欠損をどう扱ったか。数字が合わない原因は、たいていここにあります。続きにIf the answer depends on a specific method, ask ChatGPT to show or adjust that method.とあり、手法を見せてもらうか、調整してもらうという対応が示されています。
外部にはアクセスできない
制約も明記されています。The Python environment used for data analysis cannot make external web requests or API calls.分析に使われる環境は、外部へのウェブリクエストやAPI呼び出しができないという説明です。続きにIf analysis depends on external data, upload the data or connect an available source before asking ChatGPT to analyze it.とあります。外部のデータが必要なら、先に渡すか接続する。渡していない情報は、分析に入っていないことが確定する記載です。裏を返せば、結果に出てきた数字は、渡したファイルの中にしかありません。
グラフの種類にも条件がある
細かい点ですが、資料を作るときに効きます。指定できるグラフとして折れ線、棒、円、ヒストグラム、散布図、箱ひげ図、ヒートマップなど多くの種類が挙げられていますが、interactive なのは bar, pie, scatter, line のみとされています。それ以外は静的な画像として返ります。ダウンロードの形式についても、表はCSV、グラフは既定でPNGと書かれています。資料に貼るなら画像、再計算するならCSVという使い分けになります。
まとめ
AIの分析結果を信じる前に見るのは、結果ではなくデータでした。公式ヘルプにはWhen making decisions with data, it’s important to ensure that your source data is as accurate as possibleとあり、よくある問題としてMissing values / Outlier values / Duplicate rows / Incorrect data typesの4つが挙げられています。欠損値、外れ値、重複行、データ型の誤りです。そしてStart your analysis with a prompt like this: Check this data for common issues.と、最初に打つ一文まで示されています。直すときはChatGPT may offer multiple options for you to choose fromとされ、選ぶのは使う側です。
渡す表の形も決まっています。Descriptive column headers in the first row、One row per record、Plain-language column namesを使い、Multiple unrelated tables in one sheet、Empty rows or columns that split the data、Images that contain values ChatGPT needs to analyzeを避ける。そして、いちばん見落としやすいのがA file may upload successfully but still be too large, complex, image-heavy, or poorly structured for complete analysisという一文です。読み込めたことと、全部が分析されたことは別でした。
結合についてもChatGPT automatically merges datasets for you when you ask a question where it is requiredと書かれており、頼まなくても結合される場合があります。検算の手順はreview the generated code, outputs, and assumptions before relying on the result。コード、出力、そして前提の3つです。環境についてはcannot make external web requests or API callsとされ、渡していないデータは入っていません。点検してから集計し、前提を読んでから使う。これが手順になります。
よくある質問(FAQ)
分析の前に何を確認すればよいですか
公式ヘルプには、よくある問題として欠損値、外れ値、重複行、データ型の誤りの4つが挙げられています。そして、分析を「Check this data for common issues.」というプロンプトから始めるよう書かれています。
どんな表の形で渡せばよいですか
公式ヘルプには、1行目に内容の分かる見出し、1件につき1行、平易な言葉の列名を使い、1枚のシートに関係のない複数の表、データを分断する空行や空列、分析したい値が入った画像を避けるよう書かれています。
ファイルは読み込めたのに、結果が足りません
公式ヘルプには、アップロードに成功しても、大きすぎる、複雑、画像が多い、構造が悪い場合は完全な分析にならないことがある、と書かれています。対処として、特定のシートや行、列、セクションを調べるよう頼むか、ファイルを小さく分割することが挙げられています。
複数のファイルを渡すと、どうなりますか
公式ヘルプには、共有されている識別子をもとに複数のデータセットを結合でき、必要となる質問をしたときは自動的に結合する、と書かれています。結合されたかどうかは、結果を使う前に確認する部分になります。
出てきた数字はどう確かめますか
公式ヘルプには、Pythonが使われた場合、結果に頼る前に生成されたコード、出力、前提を確認するよう書かれています。答えが特定の手法に依存している場合は、その手法を見せてもらうか調整してもらうよう案内されています。
スキャンした資料の数字も読めますか
公式ヘルプには、画像ベースの表やスキャンしたファイル、視覚的に複雑なレイアウトのファイルからは、正確な値を確実には抽出できない場合がある、と書かれています。正確な値が重要なときは、表計算ファイルかテキスト形式のファイルを渡すよう案内されています。
原典で記載を確認する
機能と条件は更新されます。運用を決める前に、Extracting Insights with ChatGPT Data Analysis(OpenAI Help Center)で最新の記載をご確認ください。