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AI副業の確定申告と経費|ツールの月額はどこまで経費になるか

電卓とレシート、ノートを広げて家計の計算をしている机の上

AI副業を続けていると、ツールの月額、パソコン、通信費と、出ていくお金が積み上がります。「これって経費になるのかな」と気になりながら、確定申告の時期まで放置しているのではないでしょうか。

この記事では、AI副業で発生しやすい支出を1つずつ取り上げて、国税庁の資料に照らして整理します。判断が分かれるものは「分かれる」と書きます。

先に、いちばん大事な点を書きます。経費になるかどうかを決めているのは、金額でも品目でもなく「業務に必要だったことを説明できるか」です。国税庁の書き方はそこで一貫しています。

※本記事は国税庁のページで確認した内容をもとにしています。税額や申告の要否は個人の状況で変わります。判断に迷う場合は、お住まいの地域の税務署か税理士にご相談ください。この記事は税務相談ではありません。


まず、必要経費の定義を読む

国税庁の「やさしい必要経費の知識」には、必要経費に算入できる金額としてこう書かれています。

総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額

その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

出典: 国税庁「やさしい必要経費の知識」

読みにくい文ですが、要点は「その収入を得るために要した費用」です。裏を返すと、収入と関係のない支出は入りません。

必要経費にならないものとして挙げられているもの

同じページに、明確に入らないものが列挙されています。

  • 生計を一にする親族への地代家賃や給与
  • 所得税や住民税
  • 罰金、科料および過料
  • 公務員に対する賄賂

AI副業で関係してくるのは、実質的に2つめだけです。所得税と住民税は経費になりません。これは間違えやすいところです。

家事関連費:ここがいちばん迷う

副業の経費でいちばん判断に迷うのが、プライベートと共用しているものです。パソコン、スマートフォン、通信費、電気代。AIツールの月額も、私用と兼ねていれば同じです。

国税庁の書き方

取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます

ポイントは3つです。

  1. 「取引の記録などに基づいて」 — 感覚ではなく、記録が要る
  2. 「明らかに区分できる場合」 — 区分できないものは対象外
  3. 「その区分できる金額に限られます」 — 全額ではなく、区分した分だけ

つまり、「だいたい半分くらい仕事で使っているから50%」では説明として弱いということです。何らかの記録に基づいて区分する必要があります。

区分の根拠として使えるもの

対象 区分の根拠になりうるもの
パソコン 使用時間の記録(何時間を業務に使ったか)
通信費 使用時間、または業務に使った日数の割合
電気代 作業時間、作業スペースの面積の割合
AIツールの月額 業務での利用回数、または業務専用として使っているか
家賃 作業スペースの面積の割合

ここで、これまでの記事で書いてきた作業時間の記録がそのまま使えます。

スプレッドシートの集計をAIに任せるで作った7列の表には、日付と工程とかかった分が入っています。1か月の業務時間の合計が出るので、それを根拠に割合を出せます。

作業時間を測る話は生成AI副業が「稼げない」と言われる理由でも書きましたが、記録は「続けるため」だけでなく「説明するため」にも効きます。

業務専用にしてしまうという手もある

区分の説明が面倒なら、最初から分けてしまうという選択もあります。

  • AIツールのアカウントを、業務専用に1つ用意する
  • 副業用の銀行口座とクレジットカードを分ける
  • 作業場所を家の中で固定する

特に2つめは、やっておくと後が楽です。明細を見れば業務の支出だけが並ぶので、区分そのものが不要になります。

10万円の線:買った年に全額か、分けるか

パソコンなどを買ったとき、金額によって扱いが変わります。国税庁の「減価償却のあらまし」から引きます。

使用可能期間が1年未満のものまたは取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします。

出典: 国税庁「減価償却のあらまし」

そして、10万円以上20万円未満については、こうあります。

取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下でその減価償却資産の全部または特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間の各年分において必要経費に算入することができます。

整理するとこうなる

取得価額 扱い
10万円未満 買った年に全額を必要経費にできる
10万円以上20万円未満 一定の要件のもと、合計額の3分の1を3年間にわたって必要経費にできる(一括償却資産)
20万円以上 減価償却の対象。資産の種類ごとに定められた年数で分ける

AI副業でこの線に関わるのは、ほぼパソコンです。買う前に、この区切りを知っているかどうかで、その年の経費の額が変わります。

なお「使用可能期間が1年未満のもの」も全額の対象です。1年以内に使えなくなるものが該当します。

AI副業で出やすい支出を、1つずつ見る

ここからは具体的に見ていきます。「経費になる/ならない」を断言できるのは、業務との関係が明らかなものだけです。判断が分かれるものは、その旨を書きます。

支出を3つに分けてから考える 迷うのは真ん中だけ。上と下は迷わない ① 業務専用のもの 業務用に契約したAIツール/副業専用の口座の手数料/納品用の外部サービス → 区分の説明が要らない。明細がそのまま根拠になる ② プライベートと共用しているもの(家事関連費) パソコン/スマートフォン/通信費/電気代/家賃 → 記録に基づいて区分できた分だけ。作業時間の記録が根拠になる ③ そもそも対象外のもの 所得税・住民税/罰金・科料・過料/生計を一にする親族への地代家賃や給与 → 国税庁のページに明記されている

AIツールの月額

業務のために契約したものであれば、必要経費の定義に当てはまります。判断の分かれ目は私用と兼ねているかどうかです。

  • 業務専用のアカウント — 区分の説明が要りません。いちばんすっきりします
  • 私用と兼用 — 家事関連費として、記録に基づいて区分できた分だけ

兼用にするなら、業務で使った回数や日数がわかる記録を残しておいてください。

外貨建ての請求に注意する

AIツールの多くは米ドル建てです。日本円の引き落とし額は、為替とカード会社の手数料で毎月変わります。

記録するのは、実際に引き落とされた円の金額です。「$20だから約3,000円」と自分で換算して書くと、明細と合わなくなります。カードの利用明細に出た金額をそのまま使ってください。

パソコン・周辺機器

前述の10万円の線が効きます。そして、プライベートでも使うなら家事関連費として区分が必要です。

この2つが重なると少しややこしくなります。金額の判定は、区分する前の取得価額で見るのが原則ですが、実際の適用は状況によるので、高額なものを買う場合は事前に確認したほうが確実です。

通信費・電気代

これも家事関連費です。区分の根拠として使いやすいのは、業務に使った時間の割合です。

1か月の業務時間が40時間で、その月の総時間が720時間だとしても、「40÷720」を使うわけではありません。生活時間全体で割るのか、起きている時間で割るのか、といった考え方の違いがあります。ここは判断が分かれる領域なので、自分で決めた基準を書き留めておいて、一貫して使ってください。年によって基準を変えるのが、いちばん説明しにくくなります。

書籍・情報収集

業務に必要な知識を得るためのものであれば、必要経費の定義に当てはまります。ただし、業務と関係のないジャンルの本まで含めると、区分が説明できなくなります。

有料の講座・セミナー

ここは慎重に見てください。業務に必要なものであれば対象になりえますが、そもそも支払う前に内容を確認する必要があります。

消費者庁は2025年6月26日、簡単な副業をうたって高額なサポートプランを契約させる事業者について注意喚起を出しています。経費かどうか以前の問題として、生成AI副業が「稼げない」と言われる理由に書いた見分け方を先に読んでください。

今日からやっておく4つ

申告の時期に慌てないために、いま決めておくことです。

① 副業用のカードか口座を1つ用意する

いちばん効きます。明細を見れば業務の支出だけが並ぶので、1年後に「これは何だったか」と思い出す作業が消えます。

新しくカードを作らなくても、いま持っているカードのうち1枚を副業用と決めるだけでかまいません。

② 領収書・明細の置き場所を1か所にする

紙の領収書は写真を撮ってフォルダに入れる、メールの領収書は専用のラベルを付ける。置き場所を決めるだけで、探す時間がなくなります。

③ 家事関連費の区分の基準を、いま書いておく

「通信費は業務時間の割合で区分する」「パソコンは業務時間の割合で区分する」と、基準を文章で1行書いておいてください。年末に決めようとすると、根拠のない数字になります。

基準を書いたファイルは、記録と同じ場所に置いておくと見つかります。

④ 月1回、10分だけ見る日を決める

毎日やる必要はありません。月末に10分だけ、その月の支出を分類する日を決めておく。年に12回、合計2時間です。

これをやらないと、申告の時期に1年分をまとめてやることになります。12か月前の支出が何だったかを思い出すのは、ほぼ不可能です。

1年の流れを、先に見ておく

「確定申告」と聞くと2月3月の作業に見えますが、実際には1年かけて少しずつ積み上がるものです。月ごとに何をするかを決めておくと、まとめてやる作業がなくなります。

時期 やること かかる時間
始めるとき 副業用のカードか口座を決める/区分の基準を1行書く 30分
毎月末 その月の支出を分類する/レシートを1か所に入れる 10分
年の途中で機材を買ったとき 金額を確認して、10万円の線のどちら側かを控える 5分
年末 1年分の集計を出す/区分の割合を確定する 1時間
申告の時期 集計をもとに申告書を作る/迷う点は税務署に相談する 状況による

合計すると、月10分×12回で2時間、年末に1時間。3時間ちょっとです。1年分をまとめてやると、これでは済みません。

月末の10分で、実際にやること

手順を具体的に書きます。これ以上増やさないでください。増やすと続きません。

  1. 副業用カードの明細を開く(分けていれば、これだけで一覧になっています)
  2. 各行を3つに仕分ける。「業務専用」「共用(家事関連費)」「対象外」
  3. 共用のものには、その月の業務時間を横に書いておく
  4. レシートの写真を、その月のフォルダに入れる

3番目がポイントです。区分の割合は年末に決めるとしても、そのときに必要な数字(その月の業務時間)を先に置いておくと、年末の作業が計算だけになります。

記録に残しておく5項目

項目 書く内容
日付 支払った日(引き落とし日ではなく)
金額 実際に引き落とされた円の金額
内容 何に使ったか。サービス名だけでなく用途も
区分 業務専用/共用/対象外
業務との関係 共用の場合のみ。1行でいい

最後の「業務との関係」の列が、後から効きます。「このサービスは何のために契約したのか」を1行書いておくだけで、1年後の自分が判断できます。

これはスプレッドシートの集計をAIに任せるで作った表に、列を足す形でも作れます。作業時間の表と支出の表を同じファイルに置いておくと、年末に突き合わせる手間がなくなります。

この記事で書けないこと

正直に書いておきます。次のことは、この記事では判断できません。

  • あなたが確定申告をする必要があるかどうか。所得の額、給与の有無、他の所得の状況で変わります
  • 個別の支出が経費として認められるかどうかの最終判断。業務との関係は個別の事情によります
  • 家事関連費の具体的な割合。「何割が妥当か」は状況次第で、一律の正解がありません

この記事でできるのは、「どういう考え方で整理するか」と「そのために何を記録しておくか」までです。実際の申告に迷ったら、お住まいの地域の税務署に相談してください。無料で相談できます。

そもそも何から始めるかを決めていない場合は、AI副業は何から始めるかを先に読んでください。

経費のうち、ツールの月額をどう見るかは契約の形で変わります。無料の範囲で足りるかどうかはAIの無料枠でどこまで副業できるかを先に見てください。そして、いつから経費として記録を始めるかは、AI副業で最初の1件を作るまでで決めた練習と本番の境目に合わせると分かりやすくなります。

まとめ

AI副業の経費で押さえるのは3点です。

  1. 必要経費は「その収入を得るために要した費用」。所得税・住民税は経費になりません
  2. プライベートと共用しているものは家事関連費。「取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます」と明記されています。感覚での割り振りでは説明になりません
  3. 10万円が線。10万円未満なら買った年に全額。10万円以上20万円未満は一定の要件のもと3年に分ける方法があります

そして、区分の根拠になるのは作業時間の記録です。これまでの記事で「続けるために測る」と書いてきましたが、測った記録は説明にも使えます。

今日やることは1つで足ります。副業用のカードか口座を1つ決めること。これだけで、来年の作業が大きく減ります。

よくある質問

副業の所得が少額でも、記録は必要ですか?

申告が必要かどうかと、記録が必要かどうかは別の話です。申告が不要な額であっても、記録がなければ「いくらだったか」を自分で把握できません。額が小さいうちに記録の習慣をつけておくほうが、増えてから始めるより楽です。申告の要否は所得の額や給与の状況で変わるので、税務署か税理士にご確認ください。

AIツールを私用でも使っています。全額を経費にできますか?

できません。国税庁の記述は「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます」です。私用と兼ねているなら、区分した分だけになります。区分の説明が面倒なら、業務専用のアカウントを別に用意するほうがすっきりします。

レシートがない支出は、経費にできませんか?

領収書やレシートは、支出があったことを示すための記録です。カードの明細や銀行の振込記録でも支払いの事実は確認できます。ただ、何に使ったかがわかる記録は残しておいてください。判断に迷う場合は税務署にご相談ください。

パソコンを15万円で買いました。どうなりますか?

10万円以上20万円未満なので、国税庁のページには「一定の要件の下で」一括償却資産として、合計額の3分の1を3年間にわたって必要経費に算入できる方法が示されています。他の方法が選べる場合もあり、プライベートとの共用があればさらに区分が必要です。金額が大きいので、購入した年のうちに税務署で確認しておくことをおすすめします。

ドル建ての請求は、いくらで記録すればいいですか?

実際に引き落とされた円の金額をそのまま記録してください。為替とカード会社の手数料で月ごとに変わるので、自分でドルから換算すると明細と合わなくなります。カードの利用明細に出た金額を使うのがいちばん確実です。

家事関連費の割合は、毎年変えてもいいですか?

働き方が実際に変わったのなら、それに合わせるのが自然です。ただ、根拠なく年ごとに変えるのはおすすめしません。なぜその割合なのかを説明できることが大事なので、基準を文章で残して、変えるときは理由も一緒に書き留めておいてください。

迷ったら、国税庁の原文にあたる

必要経費と家事関連費の考え方は、国税庁のページに短くまとまっています。解説記事より原文のほうが早いことも多いので、一度読んでおくと判断の軸ができます。

国税庁「やさしい必要経費の知識」

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