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AI画像の「使ってよい素材」を見分ける|配布元のライセンスを5分で読む

白紙の上に置かれた虫眼鏡とペン

AIで画像を作るとき、素材そのものを使う場面が必ず出てきます。参考にする写真、組み合わせる背景、文字を載せるためのフォント。

配布ページに「無料」「クレジット表記不要」と書かれていると、それで読み終えた気になります。ところが、禁止事項はそこから下に書かれています。

この記事では、ライセンスを5分で読み切るための5つの質問を決めて、実際の配布元4つに同じ質問をぶつけます。答えが全部違うので、「だいたい同じだろう」が通らないことが分かります。

※本記事で引用したライセンス文は各配布元の公式ページで確認したものです。ライセンスは改定されるため、実際に使う前にご自身で最新の内容をご確認ください。この記事は法的助言ではありません。


全文を読まない。5つの答えだけ探す

ライセンス文を最初から読むと、5分では終わりません。終わらないから、読まずに使うことになります。

先に探す答えを決めてください。この5つです。

この5つの答えだけを探す 全文を読むのではなく、答えが書いてある行を見つける ① 商用で使えるか commercial / 商用 で検索。「個人利用のみ」なら仕事には使えない ② クレジット表記は必要か。必要なら、どの形式か attribution / credit / 表記 で検索。形式まで指定されていることがある ③ 加工してよいか。逆に、加工しないと駄目か modify / 加工 で検索。「加工せずに売るな」という条件が付くことがある ④ 再配布・転売はできるか sell / redistribute / 再配布 で検索。素材として売り直す形はほぼ禁止 ⑤ 写っている人・ブランドの扱いに条件があるか people / trademark / 商標 で検索。素材のライセンスとは別の話になる

③がいちばん盲点です。「加工してよいか」ではなく「加工しないと駄目か」という条件が付いている配布元があります。これを逆に覚えていると、そのまま売って違反になります。

同じ5問を4か所にぶつけると、答えが全部違う

実際に確認した結果を並べます。4つとも無料で、商用利用ができます。それでも条件はここまで違います。

配布元 クレジット 加工の条件 特に見落としやすい点
Pexels(写真・動画) 不要 加工は自由。ただし未加工のまま売るのは不可 商標・商号としての使用が禁止されている
Unsplash(写真) 不要 「significant modification」なしには売れない 競合サービスを作るための収集が禁止
SIL OFL(フォント) 同梱が必要 改変可。ただし名前を引き継げない 単体での販売は不可。同梱ならば可
VOICEVOX(音声) 必須 ― 声ごとに別の規約がある

クレジット表記だけ見ても、不要が2つ、同梱が必要が1つ、必須が1つです。「無料素材はクレジット不要」という覚え方が成立していません。

① Pexels:クレジット不要。ただし禁止は5つある

ライセンスページの冒頭は、こう始まります。

All photos and videos on Pexels are free to use.

Attribution is not required. Giving credit to the photographer or Pexels is not necessary but always appreciated.

出典: Pexels License

ここで読むのをやめる人が多い。この下に禁止事項が5つ並んでいます。

Don’t sell unaltered copies of a photo or video, e.g. as a poster, print or on a physical product without modifying it first.

Don’t redistribute or sell the photos and videos on other stock photo or wallpaper platforms.

Don’t use the photos or videos as part of your trade-mark, design-mark, trade-name, business name or service mark.

Don’t imply endorsement of your product by people or brands on the imagery.

Identifiable people may not appear in a bad light or in a way that is offensive.

副業で引っかかりやすいのは1つめと3つめです。

  • 1つめ:ダウンロードした写真をそのままグッズにして売る形が該当します。「まず加工すること」が条件になっています
  • 3つめ:ロゴや屋号の一部に使うのが禁止されています。クライアントのロゴ制作に素材を使う場合、ここに当たる可能性があります

4つめと5つめは、写真に写っている人やブランドの話です。素材そのものの利用許可とは別の層にあります。

② Unsplash:「significant modification」の一語

Unsplashの許諾は、範囲がかなり広く書かれています。

Unsplash grants you an irrevocable, nonexclusive, worldwide copyright license to download, copy, modify, distribute, perform, and use images from Unsplash for free, including for commercial purposes, without permission from or attributing the photographer or Unsplash.

出典: Unsplash License

商用利用も、加工も、クレジットなしの使用も明示的に認められています。そのうえで制限が2つあります。

Images cannot be sold without significant modification.

Compiling images from Unsplash to replicate a similar or competing service

1つめの「significant modification」には、具体的な線が書かれていません。どこからが「significant」なのかは、読む側が判断することになります。

実務では、こう考えるのが安全です。「元の写真を知っている人が、別の作品だと認識するか」。色を少し変えただけ、文字を1行載せただけでは、そう言いにくい。この判断に迷う案件では、素材を売り物の中心に据えない形に変えたほうが早いです。

2つめは、素材を集めて別のサービスを作る形の禁止です。「まとめサイトを作って広告を貼る」形が、ここに触れることがあります。

③ フォント:使うことと、埋め込んで配ることは別

AIでショート動画を作る手順で、動画に使うフォントはライセンスで選ぶと書きました。その中身を詰めます。

オープンなフォントの多くが採用しているSIL Open Font Licenseには、次の条項があります。

Neither the Font Software nor any of its individual components, in Original or Modified Versions, may be sold by itself.

Original or Modified Versions of the Font Software may be bundled, redistributed and/or sold with any software, provided that each copy contains the above copyright notice and this license.

出典: SIL Open Font License, Version 1.1

読み分けると、こうなります。

  • フォント単体を売ることは、改変版であっても不可
  • 他のものと一緒に配ったり売ったりすることは可。ただし条件が付く
  • その条件が「著作権表示とライセンス文を各コピーに含めること」

3つめが実務で効きます。フォントファイルを納品物に同梱する場合、ライセンス文のファイルも一緒に入れる必要があります。これを入れ忘れる形がいちばん多い。

改変したら、名前を引き継げない

もう1つ、見落とされる条項があります。

No Modified Version of the Font Software may use the Reserved Font Name(s) unless explicit written permission is granted by the corresponding Copyright Holder.

フォントを加工して使う場合、元のフォント名を名乗れません。字形を少し詰めた、ウェイトを足した、という改変でも同じです。書面での許可がなければ、別の名前にする必要があります。

ふつうに文字を打つだけなら関係ありませんが、ロゴを作るときに字形をいじる場面では関わってきます。

④ 要約ページで済ませてはいけない

「CC BY」「CC0」といった表記を見かけます。Creative Commonsの表示ページは読みやすくできていて、こう書かれています。

Share — copy and redistribute the material in any medium or format for any purpose, even commercially.

Attribution — You must give appropriate credit, provide a link to the license, and indicate if changes were made.

出典: Creative Commons Attribution 4.0 International

クレジットの要件が、3つに分かれている点に注目してください。名前を書くだけでは足りません。ライセンスへのリンクと、変更したかどうかの明記までが求められています。

そして、同じページにこう書かれています。

This deed highlights only some of the key features and terms of the actual license. It is not a license and has no legal value.

この読みやすいページは、ライセンスそのものではありません。要点の紹介だと明記されています。判断に迷ったときは、ここで止めずにライセンス本文を開く必要があります。

素材の許可と、写っているものの権利は別

ここが5つめの質問です。配布元が「使ってよい」と言っていても、写っているものの権利は別に残ります。

Pexelsのライセンスに、商標としての使用禁止と、人やブランドによる推薦を装うことの禁止が並んでいるのは、この層があるからです。

写っているもの 確認すること
人の顔 推薦しているように見える使い方になっていないか
ロゴ・商品パッケージ そのブランドと関係があるように見えないか
建物・美術作品 被写体そのものに権利が残っている場合がある
看板・書籍の表紙 文字が読める状態で大きく写っていないか

ブランドのロゴが写った写真を、そのブランドと無関係な広告に使う。これは素材サイトのライセンスの範囲内でも、別の問題になります。アイキャッチにロゴを入れないほうがいいのは、この理由です。

5分で終わらせる手順

実際の作業はこうなります。

  1. 配布ページで「ライセンス」または「License」のリンクを開く(30秒)
  2. ページ内検索で5語を順に引く。commercial / attribution / modify / sell / trademark。日本語のページなら 商用 / 表記 / 加工 / 販売 / 商標(2分)
  3. ヒットした行だけ読む。前後1文ずつで足ります(2分)
  4. 5問の答えを1行に書いて残す(30秒)

2つめで何もヒットしないときは、そのページはライセンス文ではありません。紹介ページを読んでいる可能性が高いので、本文へのリンクを探してください。

記録は1行で足りる

次に同じ配布元を使うときに読み直さないよう、答えを残します。

2026/09/27 Pexels 商用可/クレジット不要/未加工での販売と商標利用は不可/人・ブランドの推薦を装うのは不可

この1行があれば、2回目からは確認が要りません。記録の置き場所はスプレッドシートの集計をAIに任せるで作った表に1タブ足す形で足ります。

納品物ごとに、使った素材を並べておく

もう1つ、後で効く記録があります。納品した成果物ごとに、使った素材の配布元とURLを残しておくことです。

クライアントから「この画像はどこの素材ですか」と聞かれることがあります。半年後に聞かれても答えられるようにしておくと、それだけで信用の差になります。探し直すと1時間かかる作業が、記録があれば10秒で終わります。

まとめ

  1. 全文を読まず、5つの答えだけ探す。商用可否/クレジット/加工/再配布/写っているものの扱い。この5つで判断がつきます
  2. 「無料・クレジット不要」でも禁止事項は残る。Pexelsは未加工のままの販売と商標としての使用を禁止しています。Unsplashは「significant modification」なしに売れないと書いています
  3. フォントは、使うことと埋め込んで配ることが別。SIL OFLでは単体販売が不可で、同梱するなら著作権表示とライセンス文を含める必要があります。改変版は元の名前を名乗れません
  4. 読みやすい要約ページは、ライセンスではない。Creative Commonsの表示ページには「It is not a license and has no legal value」と明記されています

そして、答えを1行残してください。同じ配布元を毎回読み直す時間が、これで消えます。この記事で短縮できるのは作業時間で、確認そのものを省く話ではありません。

よくある質問

AIで生成した画像なら、素材のライセンスは関係ないのでは?

生成した画像だけを使うなら、その生成サービスの規約を見ることになります。ただ実務では、生成物と素材を混ぜる形がほとんどです。背景に写真を敷く、文字にフォントを使う、参考画像を渡す。混ざった時点で、両方のライセンスが関わります。

生成サービス側の規約については生成AIの規約違反になりやすい使い方に書きました。

「商用利用可」と書いてあれば、それで足りますか?

足りません。商用利用の可否は5問のうちの1問です。Pexelsは商用利用を認めたうえで、未加工での販売と商標としての使用を禁止しています。「商用可」と「何をしてもよい」は別です。

クレジットを書いておけば、だいたい安全ですか?

クレジットは、求められている場合に求められた形式で書くものです。書けば禁止事項が消えるわけではありません。

そして、形式の指定があることに注意してください。Creative Commonsの表示条件は「give appropriate credit」「provide a link to the license」「indicate if changes were made」の3つに分かれています。名前だけでは条件を満たしません。

ライセンスが英語で読めません

5語を検索して、ヒットした行だけを訳せば足ります。全文を訳す必要はありません。翻訳にAIを使ってかまいませんが、禁止事項の行は原文も残しておいてください。訳が曖昧になったときに戻れます。

配布元のライセンスが更新されていたら、過去の納品物はどうなりますか?

ここは個別の判断になるので、断定を避けます。ただ、いつ確認したかの記録が残っているかどうかで、話のしやすさが変わります。本記事で1行の記録をすすめているのは、この理由もあります。

素材サイトの方針が実際に変わった例として、AI画像を売る副業が成立しにくくなった理由で国内大手の取扱い停止を扱いました。方針は変わる前提で記録してください。

フォントを納品物に同梱するのが不安です

不安なら、同梱しない形に変えるのが早いです。文字を画像に焼き込んでしまえば、フォントファイルを渡す必要がなくなります。編集できる形で渡す必要があるかを、先にクライアントに確認してください。

編集できる形が必要な場合は、著作権表示とライセンス文を同じフォルダに入れて渡します。ファイル名は配布元のものをそのまま使ってください。

次に素材を使うとき、5語だけ検索する

commercial / attribution / modify / sell / trademark。ヒットした行だけ読んで、答えを1行残す。2回目からは確認が要りません。

ライセンス文の例を読んでみる

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