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メール返信をAIに下書きさせる|副業の問い合わせ対応を1通2分短くする

ノートパソコンでメールを確認している手元

副業をしていると、返信だけで時間が溶けます。案件の問い合わせ、確認事項、納品の連絡、請求のやり取り。1通ずつは3分でも、1日10通あれば30分です。

この記事では、その返信を「下書きが用意されている状態」にするまでの手順を書きます。送信までは自動にしません。下書きまでです。ここが重要なので、理由も含めて書きます。

使うのはGmailとGoogle Apps Scriptで、どちらも無料です。プログラミングの知識は要りません。コードはAIに書かせます。

※本記事の仕様は公式ドキュメントで確認したものです。


なぜ「下書きまで」で止めるのか

自動返信そのものは、技術的には簡単です。条件を決めて、文面を決めて、送る。それだけです。

それでも下書きで止めるべき理由が、3つあります。

① 誤送信は取り消せない

自動化の事故で最も重いのがこれです。条件の設定を1文字間違えただけで、関係のない相手に定型文が飛びます。しかも、飛んだことに気づくのが相手からの返信です。

下書きにしておけば、送信ボタンを押すまでに必ず人の目が入ります。この1手間が、取り返しのつかない失敗を全部止めます。

② 返信の内容は、毎回同じではない

似た質問でも、相手との関係、これまでのやり取り、いまの状況で答えは変わります。「毎回同じ手順か」で判断すると、返信は同じ手順ではありません。

同じなのは「下書きを用意するところまで」です。ここが自動化していい範囲の線です。

③ 下書きだけで、時間はほぼ削れる

1通の返信で時間を食っているのは、「送る」ことではありません。「白紙から書き出す」ところです。

工程 手動 下書きがある場合
メールを開いて内容を読む 30秒 30秒(変わらない)
何を返すか考える 60秒 20秒(案が出ている)
白紙から書き出す 90秒 0秒
読み直して直す 30秒 40秒(他人の文を見るぶん少し増える)
送信 5秒 5秒
合計 約3分35秒 約1分35秒

1通あたり2分。10通なら20分です。送信を自動にしなくても、削れる部分はほとんど削れています。

全体の流れ

自動にするのは「下書きまで」 読む・決める・送るは人。書き出すところだけ任せる ① 対象のメールを拾う(自動) ラベルや検索条件で絞る。全部を対象にしない ② 下書きを作る(自動) 型に沿った文面を作って、下書きとして保存する ③ 目で読んで直す(人) ここを省かない。金額・日付・相手の名前を必ず見る ④ 送信ボタンを押す(人)

手順1:返信の型を3つ書き出す

先にコードを書きたくなりますが、ここからです。型が決まっていないと、何を自動にするか決められません。

過去の返信を10通見る

送信済みフォルダを開いて、直近の返信を10通読んでください。たいてい3つか4つの型に分かれます。副業でよくあるのは、次のような型です。

型 中身 毎回変わる部分
受領の連絡 依頼を受け取ったことを伝える 相手の名前、件名、着手の目安
確認の質問 不明点をまとめて聞く 質問の中身
納品の連絡 成果物を渡す ファイル名、補足事項
日程の調整 候補日を出す、または合わせる 日付

右の列が「毎回変わる部分」です。ここは人が書きます。左の枠組みだけを自動にします。

型は3つまでにする

最初から全部の型を作らないでください。よく使う3つに絞ります。

理由は、型が多いと「どの型を使うか」を選ぶ時間が発生するからです。3つなら迷いません。使っていて足りなければ、後から足せます。

手順2:対象のメールを絞る

ここが事故を防ぐいちばん大事な設定です。受信トレイの全部を対象にしないでください。

ラベルで絞るのが安全

Gmailのフィルタ機能で、対象のメールに自動でラベルを付けます。そして、そのラベルが付いたものだけを処理の対象にします。

Apps Scriptのドキュメントには、ラベルを扱うメソッドが用意されています。

  • createLabel(name) — 「指定された名前の新しいユーザーラベルを作成します。」
  • getUserLabelByName(name) — 「ラベル名で指定されたラベルを取得します。」
  • getUserLabels() — 「ユーザーが作成したラベルのリストを取得します。」

出典: GmailApp クラス

検索条件で絞ることもできます。search(query) は「指定されたクエリで Gmail を検索します。」とあります。ただ、最初はラベルのほうが安全です。検索条件は書き方ひとつで対象が広がりますが、ラベルは自分が付けたものにしか付きません。

絞り込みの設計

やり方 安全度 向いている場面
特定のラベルが付いたものだけ 高い 最初はこれ。自分で付けたものだけが対象
特定の差出人だけ 高い 取引先が決まっている場合
件名に特定の語が入るもの 中 プラットフォームからの通知など
未読の全部 低い 使わない

最後の行は避けてください。想定外のメールに下書きが作られて、下書きフォルダが埋まります。

手順3:下書きを作るコードを書かせる

ここはAIに頼みます。自分で書く必要はありません。

頼み方

Google Apps Scriptのコードを書いてください。
Gmailで「要返信」というラベルが付いたスレッドを探し、それぞれに対して返信の下書きを作成する関数をお願いします。
下書きの本文は、次の型を使ってください。
——(ここに型を貼る)
すでに下書きがあるスレッドは、重複して作らないようにしてください。
処理したスレッドには「下書き済」というラベルを付けて、「要返信」のラベルを外してください。

最後の2行が要点です。これを言わないと、実行するたびに同じスレッドに下書きが増え続けます。

使われるメソッド

公式ドキュメントに記載されている、下書き作成のメソッドはこちらです。

createDraft(recipient, subject, body) — メール メッセージの下書きを作成します。メールのサイズ(ヘッダーを含む)は割り当てによって制限されます。

createDraft(recipient, subject, body, options) — 省略可能な引数を使用して、メール メッセージの下書きを作成します。メールにはプレーン テキストまたは HTML 形式の本文を含めることができます。

コードの中身がわからなくても動かせますが、動かす前に「このコードが何をするか、3行で説明して」と聞いてください。自分のメールを触るものなので、意図しない動作をしないかだけは確認しておくべきです。

最初は1件で試す

いきなり全件で動かさないでください。手順はこうです。

  1. テスト用のラベルを作って、自分宛のメール1通だけに付ける
  2. その1件で実行する
  3. 下書きフォルダを開いて、中身を確認する
  4. 問題なければ、本番のラベルに切り替える

1件で確認せずに本番のラベルで動かすと、下書きフォルダが想定外のメールで埋まります。消す作業のほうが時間を食います。

手順4:いつ動かすかを決める

手で実行してもいいのですが、それだと結局やらなくなります。時間で動かします。

トリガーの設定

  1. Apps Scriptの画面で、左側のトリガー(時計のアイコン)をクリック
  2. 右下のトリガーを追加をクリック
  3. イベントのソースを「時間主導型」にする
  4. 時刻を、メールを見る時間帯の少し前にする
  5. 保存をクリックする

公式ドキュメントには、押さえておくべき制限も書かれています。

  • 「インストール可能なトリガーは、常に作成者のアカウントで実行されます」
  • 「割り当て上限が適用されます」

出典: インストール可能なトリガー

頻度は1日1〜2回でいい

「なるべく細かく」と設定したくなりますが、1日1回か2回で足ります。朝と夕方、くらいの粒度です。

理由は2つあります。割り当て上限を無駄に消費しないこと。そして、頻繁に動かすと下書きフォルダが常に散らかることです。まとめて処理して、まとめて確認するほうが速く終わります。

手順5:確認を仕組みにする

下書きができても、確認を飛ばしたら意味がありません。ここも手順にしておきます。

送信前に必ず見る4点

確認 なぜ
宛先 いちばん取り返しがつかない。ラベルの付け間違いはここに出る
相手の名前 型に入れた名前が前の相手のまま、という事故が起きる
日付・金額 型に入っている数字が古いことがある
添付の有無 納品の連絡で最も多い抜け

この4つだけなら、1通20秒で終わります。それでも面倒に感じるなら、下書きの冒頭にチェック項目をコメントとして入れておくという手があります。送る前に消す前提の行を1行入れておくと、消すときに必ず目に入ります。

止まったことに気づく仕組み

自動化で本当に困るのは、壊れることではなく壊れたのに気づかないことです。

この仕組みの場合、「下書きが作られなくなった」ことに気づかないと、返信が遅れます。対策は単純で、処理の結果を自分宛にメールで送るようにしておきます。

処理が終わったら、「3件のスレッドに下書きを作成しました」のように件数を入れたという内容のメールを自分宛に送ってください。0件のときも送ってください。

最後の一文が大事です。0件のときも送るようにしておくと、メールが来なければ止まっているとわかります。

作った後に効いてくる3つの改善

最初の仕組みが動き出したら、使いながら足していく部分があります。いきなり全部入れると複雑になるので、この順で足してください。

① 型を「使った回数」で見直す

1か月使うと、3つの型のうち1つはほとんど使っていないことがあります。逆に、型にしていない返信を毎回手で書いていることに気づきます。

月に1回、下書きフォルダと送信済みを見比べてください。下書きを大きく書き換えている型は、型が合っていません。実際に送った文面に寄せて書き直します。

この作業は5分です。ただ、これをやらないと「下書きが毎回使いものにならない」状態が続いて、そのうち仕組みごと使わなくなります。

② 定型の返信先を「よく使う順」に並べる

取引先が増えると、相手ごとに書き方の細かい差が出てきます。敬称、書き出し、締めの言葉。

これは型を増やすのではなく、型の中に「相手ごとの差分」だけをメモとして持つほうが軽く済みます。スプレッドシートに1行ずつ書いておいて、下書きを作るときに参照させる形です。

型を相手の数だけ作ると、管理が破綻します。

③ 返信していないものを可視化する

下書きを作る仕組みには、副産物があります。「要返信」ラベルが付いたまま残っているものが、返信漏れそのものだということです。

処理の結果を送るメールに、1行足してください。

「要返信」ラベルが3日以上ついたままのスレッドがあれば、その件名も一覧で送ってください。

これで、返信漏れが自動的に浮き上がります。副業では、返信が遅れること自体が信用に響くので、この1行の価値は下書きの自動化より大きいかもしれません。

やらないほうがいいこと

送信まで自動にする

冒頭に書いたとおりです。誤送信は取り消せません。削れる時間のほとんどは下書きの段階で削れているので、送信を自動にして得られる追加の効果は、1通5秒です。それとリスクが釣り合いません。

メールの本文をそのままAIに渡す

相手のメールには、氏名、連絡先、取引の内容が入っています。外部のサービスに送る前に、何を渡す必要があるのかを考えてください。

返信の型を作るだけなら、実際のメール本文は要りません。「こういう種類の問い合わせに、この型で返す」という設計だけを渡せば、コードは書けます。

本業のメールを扱う場合は、さらに慎重にしてください。会社の情報を個人のアカウントで動くスクリプトに通すのは、勤務先の規程に触れる可能性があります。

全部の返信を型にする

謝罪、条件の交渉、断りの連絡。こういうメールは型にしないでください。相手との関係で書き方が変わる部分は、毎回自分で書いたほうが速く、そして安全です。

この仕組みは、ほかの作業と組み合わせると効きます。全体の作り方はClaude Codeで副業を自動化する、どこまで自動にするかの線は「完全自動化」を目指すと続かないに書いています。

まとめ

メール返信の自動化で押さえるのは3点です。

  1. 自動にするのは下書きまで。誤送信は取り消せない。そして、削れる時間のほとんどは下書きの段階で削れている(1通あたり約2分)
  2. 対象はラベルで絞る。受信トレイの全部を対象にしない。最初はテスト用のラベルで1件だけ試す
  3. 重複防止と、処理結果の通知を必ず入れる。「すでに下書きがあるスレッドは作らない」「0件のときも結果を送る」の2行を、コードを頼むときに必ず言う

コードはAIに書かせて問題ありません。ただし、動かす前に何をするコードかを説明させること。そして、最初の1件は必ず自分の目で確認すること。

定期実行の設定そのものはスプレッドシートの集計をAIに任せると同じ手順です。あわせて読むと、1回の設定で2つの仕組みが動きます。

よくある質問

Gmail以外のメールでもできますか?

この記事の手順はGmailとApps Scriptの組み合わせが前提です。他のメールサービスでも同等の仕組みは作れますが、使う道具が変わります。無料で完結させたいなら、副業用のメールアドレスをGmailで1つ作ってしまうのが早いです。副業用と私用を分けること自体、経費の区分でも有利になります。

AIが書いた文面が、自分の書き方と違います

型を作るときに、自分が過去に送った返信を5通ほど渡して「この書き方に合わせて型を作って」と頼んでください。ゼロから作らせると、一般的なビジネスメールの文面になります。自分の文面を渡すほうが、直す時間が減ります。ただし、渡すメールから相手の氏名や連絡先は消しておいてください。

下書きが作られませんでした。どこを見ればいいですか?

Apps Scriptの画面の左側に実行数という項目があります。エラーで止まっている場合は、そこに記録が残っています。よくある原因は、ラベル名の打ち間違いと、対象のスレッドが1件もないことの2つです。ラベル名は全角と半角、スペースの有無まで一致している必要があります。

スクリプトが自分のメールを外部に送ることはありませんか?

コードに書かれていないことは起きません。だからこそ、動かす前に「このコードが何をするか」を説明させてください。自分宛以外の宛先が出てくる、外部のURLに接続する、といった記述があれば、その理由を確認してください。納得できなければ動かさないでください。

返信の速さは、そんなに重要ですか?

速さそのものより、「返信を溜めないこと」のほうが効きます。溜まると、1通あたりの心理的な負荷が上がって、さらに溜まります。下書きが用意されていると、その悪循環が起きにくくなります。なお、返信の速さが評価にどう影響するかはプラットフォームや相手によって違うので、一律には言えません。

本業のメールにも使っていいですか?

勤務先の規程を必ず確認してください。会社のメールを個人のアカウントで動くスクリプトに通すことは、情報の持ち出しとみなされる可能性があります。この記事の手順は、自分の副業用アカウントで完結させる前提で書いています。

まずは、送信済みフォルダを10通読む

型が3つ見つかれば、あとはコードをAIに書かせるだけです。使えるメソッドは公式ドキュメントに一覧があるので、頼むときに添えると精度が上がります。

GmailAppの公式ドキュメント

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