
英作文をAIに添削させるのは、もう普通のことになりました。無料で、24時間、何度でも直してくれます。ただ、半年続けても自分の英語が変わっていない人がかなりいます。原因ははっきりしていて、直された英文を受け取って、そのまま送っているからです。
この記事では、プロンプトを10個集める話はしません。1つのプロンプトを、記録が残る形に作り替えます。
添削させても英語が伸びない理由
添削自体は機能しています。問題は、受け取り方にあります。
完成品だけを受け取っている
「この英文を直して」とだけ頼むと、きれいな英文が返ってきます。それをコピーして送れば、その日の仕事は終わります。ただ、次に同じ場面が来たとき、また同じ間違いをします。直された結果だけを見ても、どこがなぜ悪かったのかは頭に残らないからです。翻訳サービスを使っているのと変わらない状態で、これは学習ではなく代行です。代行が悪いわけではありませんが、伸びることを期待するなら受け取り方を変える必要があります。
直しの量が多すぎて読まない
長い文章を丸ごと添削させると、赤字が20か所くらい返ってきます。全部読む気にはなりません。しかも、その20か所には「絶対に直すべき間違い」と「好みの問題」が混ざっています。重要度が並列で出てくるので、どれを覚えればいいのか分かりません。結果、全部読まずに完成品だけ使うことになります。量を絞る指示を先に入れておくべき場所です。人に添削してもらう場合も同じで、良い指導者は全部を直しません。今のレベルで直せるものだけを選んで返してくれます。AIは頼まれた通りに全部返すので、絞る役目をこちらが引き受ける必要があります。
自分の癖が見えていない
同じ人が何度も同じ間違いをします。冠詞、時制、前置詞、受動態の多用。人によって癖は決まっています。ところが、1回ごとに添削を受け取って捨てていると、自分の癖が何なのか永遠に分かりません。10回分の添削を並べて初めて、「自分はいつも the を落としている」と気づけます。記録が残らない使い方をしている限り、この気づきは来ません。逆に言えば、癖さえ特定できれば、書く前に自分で確認できるようになります。「今回も冠詞を飛ばしていないか」と一度見るだけで、添削に出す前の精度が上がる。添削の回数が減っていくのが、伸びているサインです。
直された文より、直された理由を受け取る
受け取り方を変えるだけで、同じAIから得られるものが変わります。
| 受け取り方 | 結果 |
|---|---|
| 完成品だけ | 代行。次も同じ間違い |
| 直した理由つき | 別の文にも応用できる |
| 癖の指摘つき | 書く前に自分で防げる |
出力の形式を先に決める
添削を頼むとき、出力の形を指定してください。「元の文」「直した文」「なぜ変えたか」の3点セットにします。3列目があるかないかで、記憶への残り方がまったく違います。理由が分かっていない訂正は、次も同じ間違いをします。逆に「冠詞が必要なのは、特定のものを指しているから」と一度理解すれば、別の文でも応用が効きます。手間は増えません。指示に1行足すだけです。
指摘は3つまでに絞らせる
全部直させないでください。「重要な順に3つだけ」と指定します。そうするとAIは、好みの問題ではなく、意味が変わる間違いや不自然さの強い箇所から挙げてきます。3つなら読みます。読めば残ります。残りの細かい部分は、修正済みの英文のほうに反映されているので、実務上は困りません。学習として受け取るのは3つ、実務として使うのは完成品、と役割を分けます。
重要度を言わせる
3つの指摘それぞれに、「意味が変わる」「不自然」「好みの問題」のどれかを付けさせます。これで、覚えるべきものと、気にしなくていいものが分かれます。意味が変わる間違いだけは確実に潰す。不自然は次第に直す。好みの問題は無視してよい。この区別ができるようになると、英語を書くときの不安がかなり減ります。全部を完璧にしようとするから、いつまでも自信が持てません。
そのまま使える添削プロンプト
ここまでの条件を入れた形です。〔 〕だけ差し替えてください。
出力は次の形式でお願いします。
1. 修正後の英文(全体)
2. 直した箇所のうち、重要な順に3つだけを次の形式で
・元の文 → 直した文
・なぜ変えたか(日本語で1〜2文)
・重要度(意味が変わる/不自然/好みの問題)
3. 私がこの文章で繰り返している癖が1つあれば、日本語で指摘してください
条件:元の意図を変えないでください。丁寧さを足しすぎないでください。
〔英文を貼る〕
「丁寧さを足しすぎないで」が効く
これを書かないと、AIは装飾の多い英文を返します。would、could、possibly、I was wondering if を重ねた、読むのに時間がかかる文です。実務のメールでは、丁寧さより用件が先に分かることのほうが評価されます。この1行を入れるだけで、出てくる英文が実務向きになります。同じ理由で「短くしてください」も併用できますが、まず丁寧さの抑制から試してください。
「元の意図を変えないで」で暴走を止める
AIは、こちらが書いた内容を良かれと思って書き換えることがあります。断っていたはずが検討する形になっていたり、条件を付けていたはずが無条件になっていたり。英文としては自然でも、伝える内容が変わっています。この条件を入れておくと、書き換えの範囲が言い回しに限定されます。それでも、送る前に自分の意図が残っているかは確認してください。
3番目の「癖の指摘」が本命
1回では分からなくても、同じ指摘が3回出てきたら、それが自分の癖です。冠詞なのか、時制なのか、文が長すぎることなのか。癖が特定できると、次に書くときに自分で気をつけられるようになります。これがAIを教材として使うということで、代行との違いはここにあります。プロンプトの3番目を消さないでください。
添削の前に、日本語で何を言いたいか1文書く
添削の精度は、元の英文の出来だけでなく、意図が伝わっているかにも左右されます。プロンプトの最後に「この文章で伝えたいのは〔日本語で1文〕です」と添えてください。AIは、その意図に沿って直すようになります。これがないと、英文の表面だけを整えた結果、言いたかったことと違う文になることがあります。1文足すだけなので、手間はほぼありません。
直してもらう範囲を先に区切る
「全部直して」と頼むと、構成や段落の順番まで変えてくることがあります。本文の内容は確定していて、英語だけ整えたい場合は、「内容と段落構成は変えず、英語の表現だけ直してください」と範囲を指定します。逆に、構成から見てほしいときは、添削とは分けて「構成について気になる点を3つ」と別に聞くほうが整理されます。1回の依頼に2つの目的を混ぜないのが要点です。
AIの添削で起きるずれ3つ
便利な一方で、任せきりにできない部分があります。
| ずれ | 起きること | 対処 |
|---|---|---|
| 丁寧すぎる | 用件がぼやける | 条件で抑える |
| 意図が変わる | 断りが検討に化ける | 日本語で照合 |
| 文体が揃わない | 毎回トーンが違う | 相手を指定する |
意図が変わっていないかは日本語で確かめる
出てきた英文を読んで判断するのは、慣れていないうちは難しいです。そこで、添削後にもう1問だけ聞きます。「この英文を日本語に訳してください。意訳せず、書かれている通りに」。訳文を読めば、自分の意図と違う部分がすぐ分かります。断りが検討になっていないか、期限が消えていないか、条件が落ちていないか。往復が1回増えるだけで、送信後の事故がかなり減ります。
文体は、相手を指定すると揃う
同じ人に送っているのに、毎回トーンが違う英文になるのは、相手の情報を渡していないからです。プロンプトの冒頭に「社外の取引先、3回目のやり取り」と書くだけで、文体が安定します。社内の同僚なのか、初めての相手なのか。この一言があると、AIは丁寧さの度合いを固定できます。毎回同じ相手なら、同じチャットの中で続けるのがいちばん揃います。
文法の指摘が常に正しいとは限らない
AIの指摘は多くの場合正しいのですが、100パーセントではありません。特に、業界特有の言い回しや、社内で定着している表現を「不自然」と判定することがあります。取引先が普段使っている表現なら、そちらに合わせて構いません。指摘された箇所が腑に落ちない場合は、「なぜそう直すのか、もう少し詳しく」と聞いてください。説明が曖昧なら、従わない判断もあります。
添削を記録に変える
ここが、伸びる人と伸びない人を分けます。手間は1回30秒です。
| 重要度 | 扱い |
|---|---|
| 意味が変わる | 必ず覚える |
| 不自然 | 次第に直す |
| 好みの問題 | 無視してよい |
指摘された3つのうち1つだけ残す
全部を記録しようとすると続きません。3つのうち、いちばん「知らなかった」と感じたものを1つだけメモします。書き方は「元の文 → 直した文」で十分です。1日1つなら、2週間で10個前後たまります。10個並べたときに同じ種類が3つあれば、それが自分の弱点です。数を追う必要はなく、並べて眺められる状態にしておくことが目的です。
週に1回、前の指摘を見てから書く
たまった記録は、見返さなければ意味がありません。週の初めに30秒だけ見返してください。見てから書くと、その週は同じ間違いが減ります。逆に見返さないと、同じ指摘を延々と受け続けることになります。これは英語の問題ではなく、記憶の仕組みの話です。直後に読むだけでは残らず、間隔を空けて再会したときに残ります。
同じ指摘が3回出たら、型として覚える
3回出た指摘は、単語として覚えるのではなく、型として覚えてください。たとえば冠詞なら「初めて出す名詞には a、すでに話題に出たものには the」という判断の順番として持つ。時制なら「メールを書いている時点で終わっている動作は過去形」と決めてしまう。文単位で暗記するより、判断の基準を1つ持つほうが応用が効きます。
業務の文章を貼るときの線引き
実際のメールを添削させる以上、避けて通れない部分です。
固有名詞を外してから貼る
取引先名、担当者名、型番、金額、未公開の日付。添削に必要ありません。「取引先A」「製品X」に置き換えても、文法や言い回しの添削精度は変わりません。置き換える手間は数十秒です。そして、戻し忘れて送る事故が起きやすいので、送信前に固有名詞だけもう一度確認してください。この確認を習慣にしておくと、置き換えを面倒に感じなくなります。
社内のルールを先に確認する
会社によっては、外部のAIサービスへの業務データ入力が禁止されています。契約プランによって扱いが違うこともあります。個人で線を引く前に、情報システム部門の規程を確認してください。ルールがある会社で、知らずに違反するのがいちばん避けたい事態です。規程が整備されていない場合は、上長に一度確認しておくと後々もめません。
設定は自分のアカウントで確かめる
各サービスには、入力内容を学習に使うかどうかの設定や、履歴を残さないモードがあります。名称も既定値も変わることがあるため、ここで仕様を断定はしません。使う前に自分のアカウントの設定画面を開いて確認してください。メールを扱うときの考え方は英語のメールに返信するとき、AIにどう指示すれば失礼にならないかでも触れています。
添削の回数が減ることを目標にする
毎日添削に出している状態が続いているなら、まだ癖が特定できていません。記録を見返して癖が分かってくると、書く前に自分で確認できるようになり、添削に出す前の精度が上がります。結果として、添削の必要な文章が減っていく。これが、伸びているかどうかのいちばん分かりやすい指標です。回数が減らないなら、記録を見返す工程が抜けている可能性を疑ってください。
まとめ
添削で伸びるかどうかは、受け取り方で決まります。
- 完成品だけ受け取るのは代行。学習にはならない
- 出力は「元の文 → 直した文 → なぜ」の3点セットにする
- 指摘は重要な順に3つまで。重要度も言わせる
- 「繰り返している癖を1つ」を必ず聞く。3回出たらそれが弱点
- 意図が変わっていないかは、日本語に訳し戻して確認する
- 記録は1日1つ。週に1回、書く前に見返す
プロンプトを増やすより、1つのプロンプトに「なぜ」と「癖」を足すほうが、半年後の差は大きくなります。
よくある質問
無料のままでも添削はできますか
テキストの添削は、無料の範囲でもできます。利用回数の上限や使えるモデルはプランによって変わり、条件も改定されるため、現在の内容は各サービスの料金ページで確認してください。まず無料で試して、回数が足りなくなってから検討する順番で問題ありません。
長い文章はどう添削させますか
段落ごとに分けてください。全体を一度に投げると指摘が20か所を超えて、読まずに終わります。段落単位なら指摘は数個に収まり、3つに絞る指示も効きます。全体の流れを見てほしい場合は、添削とは別に「構成について気になる点を3つ」と聞くほうが整理されます。
どのAIを使えばいいですか
この記事のプロンプトは特定のサービスに依存しない書き方にしてあります。出力の形式を指定する形なので、どれでも機能します。複数使えるなら、同じ英文を2つに添削させて、指摘が一致した箇所を優先して覚えるという使い方もできます。一致しない箇所は、好みの問題であることが多いです。
添削された英文を丸暗記すべきですか
おすすめしません。文を覚えても、次の場面では条件が変わります。覚えるのは判断の基準です。「初めて出す名詞には a」のような形で持っておくと応用が効きます。文として残すなら、自分がよく使う場面のものだけを数本にしてください。
自分で書かずに、最初からAIに書かせてはだめですか
急ぎの実務なら、それで構いません。ただ、その場合は添削ではないので、英語は伸びません。時間に余裕がある日だけ、まず自分で書いてから添削させる。この配分にすれば、実務を止めずに学習も進みます。全部を学習にしようとすると、忙しい週に破綻します。目安として、週に1通だけ「自分で書いてから添削させる」メールを決めておくといいです。残りは急ぎの実務として処理して構いません。1通でも、記録が残れば癖は見えてきます。