
オンライン英会話を半年続けた。レッスンでは普通に話せている。それなのに、会議では相変わらず発言できない。
これはレッスンの場が、実際の会議とは別の条件で成り立っているためです。人の講師が相手だからこそ起きる構造があります。
レッスンでは話せるのに、会議では話せない
この差が出るのは、努力が足りないからではありません。
条件が違いすぎる
レッスンは、1対1で、相手は待ってくれて、話題も選べます。会議は、複数人で、割り込みが必要で、話題は向こうが決めます。同じ「英語で話す」でも、要求されるものが別です。レッスンでできることが会議でできないのは、当然と言えば当然です。
できた感覚だけが積み上がる
レッスンで会話が成立すると、伸びた感じがします。この感覚は事実ですが、測っているのはレッスンという条件下での成績です。会議で使える力とは別の指標を、半年間伸ばしていたことになります。
原因はAI相手のときと違う
同じ「効果がない」でも、機械相手と人相手では構造が違います。機械相手の場合は、AI英会話で効果が出ないときで書いたように、測り方の問題が大きい。人の講師の場合は、相手が合わせてくれることが原因になります。
講師が合わせてくれている
これが最大の要因です。
| 講師がしていること | 結果 |
|---|---|
| 語彙を易しく調整する | 知らない語に出会わない |
| ゆっくり話す | 本番の速度に慣れない |
| 言い終わるまで待つ | 割り込みの練習にならない |
| 崩れた文を汲み取る | 通じない経験をしない |
プロだから、合わせるのが上手い
講師は、学習者と話すことに慣れています。こちらのレベルを判断して、伝わる語と速度を選んでくれる。これは技能であって、手抜きではありません。ただ、その結果として、こちらは実力以上に話せている状態になります。
実際の相手は、合わせてくれない
会議の相手は英語教育の専門家ではありません。自分の速度で、自分の語彙で話します。聞き取れなくても、察してはくれない。レッスンで通じていた崩れた文も、通じないことがあります。この差が、半年経っても縮まらない理由です。
「合わせないでほしい」と頼む
対策は単純で、講師に頼むことです。「通常の速度で話してください」「私の文が崩れていたら、汲み取らずに聞き返してください」。この2つを最初に伝えるだけで、レッスンの性質が変わります。頼まないと、講師は親切に合わせ続けます。
毎回リセットされる構造
講師が毎回変わる形式には、別の問題があります。
25分のうち5分が前置きに消える
毎回違う講師だと、自己紹介と状況説明から始まります。1回あたり5分としても、週3回で月に1時間。年間では12時間が前置きに使われます。同じ講師を指名できるなら、そのほうが効率は上がります。
前回の課題が引き継がれない
講師が変わると、前回指摘された点を知らないまま進みます。同じ誤りを何度指摘されても、記録が残らない。自分で記録を持って、毎回冒頭に渡す形にしないと、指摘が蓄積されません。
同じ講師を選ぶと、別の問題が出る
同じ講師を続けると、相手がこちらの癖に慣れます。崩れた文でも通じるようになり、通じない経験がさらに減る。月に1回は別の講師を入れて、初対面の相手に通じるかを確認してください。
フリートークが伸びない理由
自由に話せる時間は、一見いちばん実践的に見えます。
話せる話題しか出さない
自由だと、自分が話しやすい話題を選びます。趣味、週末の予定、最近の出来事。語彙が足りている領域です。つまり、できることの反復になります。苦しい話題を避けられる設計が、伸びを止めます。
仕事の話題は準備が要る
本当に必要なのは、自分の業務を説明する練習です。ただ、これは準備なしでは話せません。フリートークの時間にいきなり始めると、途中で止まります。話す内容を日本語で3行書いてから臨むだけで、内容が変わります。
教材を進めることが目的化する
教材があると、ページを進めることが目的になります。終わったページ数は増えますが、同じ表現を実際に使えるかは別です。1つの教材を2回やるほうが、新しい教材を1回やるより残ります。
月5時間で伸びると思わない
ここは計算しておいたほうがいいです。
| 頻度 | 月の合計 | 年の合計 |
|---|---|---|
| 週2回×25分 | 約3.3時間 | 約40時間 |
| 週3回×25分 | 約5時間 | 約60時間 |
| 毎日×25分 | 約12.5時間 | 約150時間 |
実際に自分が話す時間は、その半分
25分のレッスンでも、講師が話している時間があります。自分の発話は、半分程度と考えるのが現実的です。週3回なら、月に2時間半しか話していません。この量で会議の英語が変わるとしたら、そのほうが不思議です。
レッスン外に何をするかで決まる
伸びている人は、レッスン以外の時間に何かをしています。通勤中に音声を聞く、メールを英語で下書きする、会議の発言を事前に書く。レッスンだけで完結させようとすると、時間が足りません。
それでも続ける価値はある
時間が足りないからやめる、という話ではありません。レッスンには、他で代えにくい機能があります。人と話す緊張、反応が返ってくる感覚、通じなかったときの気まずさ。これは1人では作れません。位置づけを変えるだけです。
レッスンを検査の場に変える
練習の場ではなく、確認の場だと考えると、使い方が決まります。
レッスンの前に、話す内容を準備する
次のレッスンで話す内容を、事前に3行書いてください。日本語で構いません。業務で実際に説明する内容にします。準備したものを話して、通じるかを見る。これが検査です。準備なしで臨むと、できることの確認にしかなりません。
通じなかった箇所を記録する
レッスン中に聞き返された箇所を、1つでいいのでメモしてください。その語や表現が、いまの課題です。レッスン後に調べて、次のレッスンで使ってみる。この往復が、実際の伸びになります。通じた箇所は記録しなくて構いません。
月に1回、同じ題材で話す
自分の業務説明など、同じ内容を月に1回話してください。前月と比べて、詰まる回数が減っているかを見ます。毎回違う話題だと、比較ができません。同じ題材を定点として持っておくと、伸びが見えます。オンライン英会話が続かない理由でも書きましたが、見えないものは続きません。
まとめ
レッスンで話せるのに会議で話せないのは、条件が違うからです。
- 講師は語彙も速度も合わせてくれる。実力以上に話せている状態になる
- 「通常の速度で」「汲み取らずに聞き返して」と最初に頼む
- 毎回違う講師だと、25分のうち5分が前置きに消え、課題も引き継がれない
- フリートークは、話せる話題に寄るので反復になる
- 週3回25分は月5時間。うち自分の発話は半分程度
- レッスンは練習の場ではなく、準備したものを検査する場にする
- 通じなかった箇所だけ記録し、月1回は同じ題材で話して比べる
時間が足りないのは事実ですが、やめる理由にはなりません。位置づけを変えると、同じ時間でも残るものが変わります。
よくある質問
講師に「合わせないで」と頼むのは失礼ですか
失礼になりません。学習者からの要望として一般的なもので、講師も慣れています。むしろ、要望を出さないと標準的な進め方になるので、伝えたほうが双方にとって効率的です。レッスンの冒頭に1文で伝えれば足ります。
毎日やったほうがいいですか
続くなら有効ですが、毎日を目標にすると崩れたときに止まります。週3回で半年続けるほうが、毎日を1か月で終えるより残ります。回数より、レッスン前の準備があるかどうかのほうが効きます。
ネイティブ講師に変えれば違いますか
速度や表現の面では近づきますが、講師である以上は合わせてくれます。料金差に見合うかは、自分の目的次第です。会議の相手が英語を母語としない人ばかりなら、優先度は高くありません。
半年やって伸びていない気がします
同じ題材で比べていないと、伸びは見えません。まず定点を作ってください。それでも1か月変化がないなら、レッスン外の時間の使い方を見直す段階です。レッスンの回数を増やしても、同じ結果になる可能性があります。
教材とフリートーク、どちらがいいですか
目的によります。表現の型を増やしたいなら教材、自分の業務を説明する練習ならフリートークです。ただしフリートークは準備なしだと話しやすい話題に寄るので、内容を用意してから臨んでください。