「キーワードプランナーを無料で使う方法」を調べると、登録手順はどの記事にも書いてあります。足りないのはそのあとです。画面に出てくる「月間平均検索ボリューム」が何を数えた数字なのか、Googleの定義を読んだうえで使っている人はほとんどいません。Googleのヘルプには「キーワードとその類似パターンが検索された平均回数」「検索ボリュームのデータは概数です」と書かれています。さらに「競合性」は入札している広告主の数を相対的に示す指標であって、SEOの難易度を表す欄ではありません。この記事では、無料で使うまでの条件を公式の記述で確認したうえで、出てきた数字をどこまで信じてよいかを一つずつ切り分けます。
この記事でわかること
結論。無料で使えるが、お支払い情報の入力は要る
先に答えを置きます。この記事の内容は、Google広告ヘルプの記述を確認したものです。
| よくある疑問 | 公式の記述から言えること |
|---|---|
| ツールの利用料はかかるか | キーワードプランナー自体の利用料についての記載はない。Google広告の機能として提供されている |
| お支払い情報の入力は要るか | 要る。「基本機能を利用するには、お支払い情報を入力して、アカウント設定を完了する必要があります」と明記 |
| 広告を出さないと使えないか | 広告の配信そのものを必須とする記載はない |
| カードに請求が立つことはあるか | 「一時的な請求が表示されることがあります」「通常は 1 週間以内に削除されます」と記載 |
| 検索ボリュームは正確か | 「検索ボリュームのデータは概数です」と明記 |
| 数字は1キーワード分か | 違う。「キーワードとその類似パターンが検索された平均回数」 |
登録手順を解説した記事は山ほどあります。この記事の中身は、そのあとの「出てきた数字の読み方」に置いています。手順だけ知りたい方は4章から読んでください。
Googleが「必要です」と書いていること
まず、いちばん誤解の多いところから。Google広告ヘルプ「キーワード プランナーを使う」には、こう書かれています。
「新しいキーワードの候補を取得する」などの基本機能を利用するには、お支払い情報を入力して、アカウント設定を完了する必要があります。
英語版でも同じ内容が確認できます。
You must complete your account setup by entering your billing information to access basic features like “Get ideas for new keywords”.
ここで押さえておきたいのは、「お支払い情報の入力」と「広告費の支払い」は別だということです。ヘルプが必要としているのは前者で、後者を必須とする記述は見当たりませんでした。
手順そのものについても、同じヘルプに簡潔な記述があります。
Google 広告の利用を始めるのに必要な手順は、わずか 3 ステップです。ビジネス情報を追加し、キャンペーン目標と予算を選択して、お支払い情報を入力するだけです。
つまり、アカウントを作る過程でキャンペーンと予算の設定を通ることになります。ここが「広告を出さないといけないのでは」という不安の出どころです。
課金されるのかという疑問に、公式の記述で答える
「カードを登録したら勝手に引き落とされるのでは」という質問が、この分野でいちばん多く来ます。Google広告ヘルプの登録手順のページに、そのまま答えになる記述があります。
クレジット カードまたはデビットカードを使用している場合、カード アカウントに一時的な請求が表示されることがありますが、通常は 1 週間以内に削除されます。正確な金額は、登録時に Google 広告アカウントに表示されます。
また、登録時に、確認のため少額の前払いが必要になることがあります。前払いを求められた場合は、アカウントの指示に沿って登録手続きを完了した後で前払いを行うことができます。このお支払いは、今後の広告費用に充てられます。払い戻しをリクエストするか、アカウントを閉鎖すると、全額払い戻しされます。
読み取れることを整理します。
| 公式の記述 | 実務での意味 |
|---|---|
| 一時的な請求が表示されることがあります | 必ず起きるとは書かれていない。カード明細に見慣れない行が出ても、それ自体は想定内 |
| 通常は1週間以内に削除されます | 放っておけば消える前提の記述。消えない場合は問い合わせる対象 |
| 確認のため少額の前払いが必要になることがあります | 国や決済手段によって挙動が違う。自分のアカウントで表示される金額を確認する |
| 払い戻しをリクエストするか、アカウントを閉鎖すると、全額払い戻しされます | 前払いが発生しても、戻す手段が用意されている |
Googleの書き方は一貫して「〜ことがあります」です。この記事でも、そこを断定に書き換えることはしません。「必ず請求される」でも「絶対に請求されない」でもなく、起きうる挙動と、起きたときの戻し方が公式に書かれている、というのが正確なところです。
経理の観点で言えば、法人カードを登録する前に、経理担当に「Google広告の登録で一時的な与信枠の確保が入る可能性がある」と一言伝えておくと、明細の照合で止まりません。
使い始めるまでの手順
ここから先は画面の話になります。ひとつ断っておくと、管理画面のボタン名や配置はGoogle側の都合でよく変わります。この記事では、どこを押すかではなく「何を通過する必要があるか」という要件のレベルで書きます。要件は画面が変わっても残るからです。
| 通過する必要があるもの | 根拠 | 注意点 |
|---|---|---|
| Googleアカウント | Google広告の前提 | 会社として使うなら、個人の私物アカウントではなく会社のアカウントで作る |
| Google広告アカウントの作成 | キーワードプランナーはGoogle広告の機能 | 「新規作成したアカウント名に URL を含むことはできません」とヘルプに記載あり |
| ビジネス情報・キャンペーン目標・予算 | 「3 ステップ」の記述 | 広告を出す予定がないなら、この時点で設定した内容は後で見直す |
| お支払い情報の入力 | 「基本機能を利用するには…必要があります」 | ここを飛ばすとキーワード候補の取得ができない |
担当者に渡すなら、ここまでを1枚にしておくと迷いません。作業そのものは30分から1時間の範囲です。
そして、広告を出す予定がないなら、登録が終わった時点でキャンペーンの状態を必ず自分の目で確認してください。意図せず配信が続いていないかは、ツールの使い方ではなく支出管理の話です。金額の大小にかかわらず、月次で誰かが見る仕組みにしておくほうが安全です。
検索ボリュームは「そのキーワードの数」ではない
ここからが本題です。キーワードプランナーで最初に見るのは「月間平均検索ボリューム」ですが、Googleの定義はこうです。
月間平均検索ボリューム: 指定した月単位の期間と検索ネットワーク上の地域で、キーワードとその類似パターンが検索された平均回数です。この情報を基に、設定したキーワードの検索回数が 1 年間のどの時期に多くなるかを分析できます。デフォルトでは、言語に関係なくそのキーワードの 12 か月間の平均検索ボリュームが表示されます。
英語版では “the average number of times people have searched for a keyword and its close variants” となっています。
この一文には、実務に効く条件が3つ含まれます。
| 定義に書かれていること | 実務への影響 |
|---|---|
| キーワードとその類似パターンの合算 | 表示されている数字は、入力した表記だけの検索回数ではない。表記ゆれや近い言い回しが含まれている |
| 言語に関係なく | 日本語だけを数えた数字ではない可能性がある。多言語表記の語では特に注意 |
| 12 か月間の平均(デフォルト) | 直近の値ではない。季節性のある商材では、平均値だけ見ると山も谷も見えない |
「類似パターン」が含まれるという点は、記事の企画に直接響きます。たとえば「1,000」と表示された語を見て「月1,000回この表記で検索されている」と読むと、その表記に最適化したページを作ったのに想定の流入が来ないということが起きます。実際に流入している語は、Search Consoleの検索パフォーマンスで確認するほうが確実です。そちらは自社サイトに実際に届いた検索語だからです。
もうひとつ、マッチタイプの扱いにも注記があります。
平均月間検索ボリュームなどの過去の統計情報は、完全一致の場合にのみ表示されます。たとえば、「ブラック チョコレート」というキーワードを例に考えてみましょう。このキーワードの平均月間検索ボリュームを確認すると、インテント マッチ、フレーズ一致、完全一致のどのマッチタイプを使用しているかにかかわらず、同じ完全一致の統計情報が表示されます。
つまり、マッチタイプを変えても検索ボリュームの数字は動きません。動くのはクリック数や費用といった予測データのほうです。広告担当が「マッチタイプを広げたのにボリュームが増えない」と言ってきたら、これが理由です。
「概数です」と書いてある意味
Googleは、過去の指標についての注意事項をこう書いています。
検索ボリュームのデータは概数です。複数の地域を対象にキーワード候補を取得した場合は、各地域での検索ボリュームを足した値が期待どおりの値にならない可能性があります。
ウェブ トラフィックは季節やイベントなどさまざまな要因に左右されます。そのため、キーワードの検索数も常に変化します。
「概数」と明記されているのに、社内資料では小数点まで含む計算に使われていることがあります。よく見るのが次の式です。
| よくある試算 | 問題点 |
|---|---|
| 検索ボリューム1,000 × 1位のクリック率30% = 月300セッション | 元の1,000が概数で、しかも類似パターンの合算。掛ける相手の「1位のクリック率」にも公式の出典がない |
| 月300セッション × CVR2% × 客単価10万円 = 月60万円 | 概数に3回推定を掛けている。出てきた数字は稟議で使える精度ではない |
| 地域Aの800+地域Bの400 = 1,200 | Googleが「足した値が期待どおりの値にならない可能性があります」と明記している |
こうした試算をするなというつもりはありません。やるなら、根拠のレベルを資料に書いておくことです。「Googleが概数と明記している数値に、社内の想定値を3つ掛けた参考値」と一行添えるだけで、読む側の受け取り方が変わります。数字が独り歩きして、達成できなかったときに現場が責められる、という流れを止められます。
逆に、概数でも十分に役に立つ使い方があります。桁を見ることです。10なのか、1,000なのか、10万なのか。この差は概数でも消えません。企画会議で「この語とこの語、どちらを先に書くか」を決めるには、桁が分かれば足ります。
「競合性」をSEOの難易度と読むと間違える
この記事でいちばん伝えたいのがここです。キーワードプランナーには「競合性」という列があり、「低」「中」「高」で表示されます。Googleの定義はこうです。
競合性: 個々のキーワードと Google で扱っているすべてのキーワードを比較し、入札している広告主の数を相対的に示す指標です。このデータは、指定した地域と検索ネットワークのターゲット設定に基づいて算出され、「低」、「中」、「高」で表示されます。
定義に書かれているのは「入札している広告主の数」です。検索結果で上位を取ることの難しさについては、この定義に含まれていません。
ここから先は、この定義を読んだうえでの筆者の解釈です。「競合性・低」は「SEOで勝ちやすい」という意味にはならないと考えています。理由は2つあります。
| 競合性の表示 | 広告の世界での意味 | 検索結果で起きうること |
|---|---|---|
| 低 | そのキーワードに入札している広告主が相対的に少ない | 広告主が少ない理由が「商売にならないから」の場合もあれば、「情報系の語で広告が馴染まないから」の場合もある。後者では、大手メディアや公的機関が上位を占めていて、SEOはむしろ難しい |
| 高 | 入札している広告主が相対的に多い | お金を払ってでも取りたい語、つまり売上に近い語である可能性が高い。SEOでも競争は激しいが、取れたときの価値も大きい |
実例で考えると分かりやすいと思います。「〇〇とは」のような情報収集段階の語は、広告主にとって買う理由が薄いので競合性が低く出やすい。けれども検索結果には辞書サイトや大手メディアが並んでいて、後発の中小企業サイトが上位を取るのは簡単ではありません。一方で「〇〇 業者 比較」のような語は競合性が高く出ますが、それはそこにお金が動いているという情報でもあります。
SEOの難易度を見たいなら、競合性の列ではなく、実際に検索結果を開いて上位10件を見るほうが早いです。どんなサイトが並んでいるか、どのくらいの分量が書かれているか、公的機関が入っているか。この3点だけでも判断材料になります。
この記事はツールの数字の読み方に絞ります。キーワードそのものの選び方は、検索結果を実際に見る手順を13章に置きました。
入札単価の低額帯・高額帯は何を表しているか
「ページ上部に掲載された広告の入札単価」という列が2つあります。Googleの定義は次のとおりです。
ページ上部に掲載された広告の入札単価(低額帯): 過去に対象のキーワードでページ上部に広告を表示した広告主様の単価実績の中で、低い範囲の入札単価(第 20 百分位数の近似値)が示されます。このデータは、お客様が指定した地域と検索ネットワークの設定に基づきます。
ページ上部に掲載された広告の入札単価(高額帯): 過去に対象のキーワードでページ上部に広告を表示した広告主様の単価実績の中で、高い範囲の入札単価(第 80 百分位数の近似値)が示されます。
百分位数という言葉が出てきますが、要するに実績の分布のうち、下から20%あたりと80%あたりを示した値です。最安値と最高値ではありません。
もうひとつ、期間の条件があります。
入札単価の範囲データには、過去 30 日間の入札単価情報が表示されます。過去の入札単価情報が限られているキーワードについては、入札単価の範囲のデータが表示されない場合があります。
過去30日という短い窓なので、季節商材では見る時期によって値が変わります。また、空欄になっている語は「安い語」ではなく「直近30日の実績が足りない語」です。ここを取り違えると、実際には需要のない語を「穴場」と判断してしまいます。
この列をSEOの判断に使うなら、金額そのものより広告主がお金を払っている語かどうかの手がかりとして見るのが妥当だと考えています。ただし、入札単価が高いからSEOでも上位が取りにくい、といった相関を示す記述はGoogleのヘルプにはありません。そう書いている解説記事はありますが、出典は確認できませんでした。
オーガニック検索のインプレッション シェアという列
ほとんどの解説記事が触れていない列があります。Googleの定義はこうです。
オーガニック検索のインプレッション シェア: 特定のキーワード候補を使ったウェブ検索で、お客様のウェブサイトのページが表示された回数の割合を指します。「広告主様のウェブサイトが表示されたウェブ検索数」を「キーワード候補が検索された合計回数」で割った値です。
広告の指標ではなく、自然検索で自社が表示された割合です。同じ画面の中に、広告の指標と自然検索の指標が並んでいることになります。
もう1つ、混同しやすい列があるので定義を並べておきます。
広告インプレッション シェア: 先月の広告の表示回数を、ターゲットとする地域とネットワークにおいてキーワードと完全一致した検索数で割った値です。なお、キーワード プランナーの [広告インプレッション シェア] は、管理画面の掲載結果表に表示されるインプレッション シェアや完全一致のインプレッション シェアとは異なります。
Google自身が「管理画面の掲載結果表に表示されるインプレッション シェアや完全一致のインプレッション シェアとは異なります」と注記しています。同じ名前の指標が別の計算で出てくるということです。広告代理店のレポートとキーワードプランナーの数字が合わない、という相談を受けたときは、まずここを疑ってください。
また、データが足りないときの表示についても記載があります。
[広告インプレッション シェア] 列に「-」が表示されているのは、計算のためのデータが不十分であるという意味です。
「-」はゼロではありません。計算できていない、という意味です。ゼロとして集計に入れると、平均が実態より低く出ます。
「予測データ」と「過去の指標」は別物
キーワードプランナーには2種類のデータが混在しています。Googleはこう書いています。
予測データは入札単価、予算、季節性などの要素を考慮したものであるのに対し、過去の指標はこうした要素を考慮していませんのでご注意ください。
整理すると次のようになります。
| 過去の指標 | 予測データ | |
|---|---|---|
| 主な列 | 月間平均検索ボリューム、競合性、入札単価の低額帯・高額帯、オーガニック検索のインプレッション シェア | クリック数、表示回数、費用、クリック率、平均クリック単価 |
| 入札単価・予算・季節性 | 考慮していない | 考慮している |
| マッチタイプ | 完全一致の統計のみ表示 | 選んだマッチタイプを反映 |
| SEOで使えるか | 規模の目安として使える | 広告を出す前提の推定値。SEOの流入予測には向かない |
予測データの更新頻度についても記載があります。
予測データは毎日更新されます。このデータは、過去 7~10 日間のデータをもとに、季節的な要因を考慮に入れて推定されます。
過去7〜10日という短い窓です。Googleはこれを踏まえたうえで、変動が大きいときの使い方も書いています。
市場の変化の影響を受ける場合は、市場が安定するまで、月ごとや四半期ごとではなく週ごとにプランを作成することをおすすめします。
予測の精度が下がる条件についても、複数の記載があります。
| 条件 | Googleの記述 |
|---|---|
| 対象地域が狭い | 「狭い地域を掲載対象に設定している場合は、予測データの基となるデータが少ないため、予測データの精度が低くなる可能性があります」 |
| 類似キーワードが多い | 「複数の類似キーワードでクリック数を予測する場合、キーワード プランナーではそれらのキーワード間でトラフィックがどのように分散するか予測を試みます。その結果、予測データの精度が下がります」 |
| 複数キャンペーンにまたがる | 「複数のキャンペーンにまたがるキーワードはチェックしないため、キャンペーン間の競合は予測データに反映されません」 |
地域が狭いほど精度が落ちる、という点は店舗ビジネスにそのまま効きます。市区町村単位で絞ると、数字は出るが根拠が薄くなる。MEOの判断材料としては、キーワードプランナーの数字より、Googleビジネスプロフィールの実際の指標を見るほうが確かです。この考え方はMEO対策とは何かを整理した記事でも触れました。
入力の制限で詰まるところ
実務でつまずきやすい制限が、ヘルプのよくある質問に書かれています。
各キーワードは全角 40(半角 80)文字以下にしてください。単語数の上限はキーワードにつき 10 語です。
長い質問文のような検索語を調べたいときに、ここで止まります。生成AIに話しかけるような長い文章での検索が自社にどれだけ届いているかを調べようとすると、この制限に当たります。
この制限の回避策はありません。長い検索語の実態を見たいなら、キーワードプランナーではなくSearch Consoleの検索パフォーマンスを見てください。そちらは自社サイトに実際に届いた検索語なので、文字数の制限がかかりません。しかも、キーワードプランナーと違って「類似パターンの合算」ではなく、実際の検索語がそのまま並びます。
| 知りたいこと | 向いているツール | 理由 |
|---|---|---|
| まだ記事がない分野の需要規模 | キーワードプランナー | 自社に流入がなくても数字が出る |
| 実際に自社に届いている検索語 | Search Console | 実データ。類似パターンの合算ではない |
| 長い質問文での検索の実態 | Search Console | キーワードプランナーは全角40文字の制限がある |
| 広告を出したときの費用の目安 | キーワードプランナーの予測データ | 入札単価と予算を考慮した推定値 |
| 季節による波 | キーワードプランナーの月別推移 | 12か月平均だけでなく月ごとの値も見る |
経営者がこの数字で判断してよいこと・いけないこと
ここまでの内容を、意思決定の単位でまとめ直します。
| 判断 | キーワードプランナーで足りるか | 理由 |
|---|---|---|
| どの分野の記事から書くか、優先順位をつける | 足りる | 概数でも桁は分かる。桁が違えば優先順位は決まる |
| 季節商材の繁忙期がいつか | 足りる | 月別の推移が見られる。ただし12か月平均だけを見ると分からない |
| 広告を出したときのおおよその費用感 | 足りる | 予測データはそのための機能 |
| SEOで上位が取れるかどうか | 足りない | 競合性は入札している広告主の数の指標。検索結果を直接見る |
| 記事を出したら何セッション来るか | 足りない | 概数に推定を掛けた値になる。予算の根拠には弱い |
| 実際に自社に届いている検索語は何か | 足りない | Search Consoleの領域 |
| 外注先の提案が妥当か | 部分的 | 提案書の検索ボリュームが概数であることを前提に読む |
外注先から「月間検索ボリューム1万のキーワードで1位を取れば、月3,000セッション増えます」という提案が来たら、この記事の内容がそのまま質問になります。その1万に類似パターンがどれだけ含まれているか。3,000という数字の根拠は何か。答えられる相手かどうかで、その後の付き合い方が決まります。
提案を受けるときの確認の仕方は、SEO外注の失敗事例でも整理しました。
記事の企画に落とす手順
最後に、実際の使い方を順番で書きます。ここは筆者が社内でやっている手順です。
| 順番 | やること | 使うもの |
|---|---|---|
| 1 | 事業に関係する語を、思いつく限り書き出す | 紙かスプレッドシート |
| 2 | キーワード候補を取得して、桁で3つに分ける | キーワードプランナー |
| 3 | 桁が大きい語から、検索結果を実際に開いて上位を確認する | ブラウザ |
| 4 | 上位が公的機関や大手メディアだけの語を、いったん外す | 目視 |
| 5 | 残った語のうち、自社が具体を書ける語を選ぶ | 社内の知見 |
| 6 | 公開後、実際に届いた検索語を確認して次の企画に回す | Search Console |
ポイントは、キーワードプランナーを使うのが2番目だけだということです。規模の当たりをつけるために使い、そのあとは検索結果と自社の知見で決める。ツールが決めてくれるのは優先順位の候補までで、書くべきかどうかは別の判断です。
5番目の「自社が具体を書ける語」は、いちばん外注に渡しにくいところです。数字の入った事例、現場で実際に起きた失敗、料金の内訳。ここが書ける語を選ぶほうが、検索ボリュームが大きいだけの語を追うより結果が出ます。
まとめ
- お支払い情報の入力は必要。Googleが「基本機能を利用するには、お支払い情報を入力して、アカウント設定を完了する必要があります」と明記している
- 一時的な請求や少額の前払いは「起きることがある」。通常は1週間以内に削除、前払いは払い戻し可能とヘルプに記載
- 検索ボリュームは「キーワードとその類似パターン」の合算で、しかも概数。1キーワード分の実数ではない
- 「競合性」は入札している広告主の数の指標。SEOの難易度を表す欄ではない
- 入札単価の低額帯・高額帯は第20・第80百分位数の近似値で、過去30日が対象
- 「予測データ」と「過去の指標」は別物。予測は入札単価・予算・季節性を考慮し、過去の指標は考慮していない
- 桁を見る用途では十分に使える。セッション数の予測には向かない
このツールの価値は、精密な数字を出すことではなく、まだ流入のない分野の規模感が分かることにあります。そこだけに使うと決めれば、無料で十分に元が取れます。
よくある質問
キーワードプランナーは本当に無料で使えますか
Googleのヘルプには、ツール自体の利用料についての記載はありません。ただし「「新しいキーワードの候補を取得する」などの基本機能を利用するには、お支払い情報を入力して、アカウント設定を完了する必要があります」と明記されています。お支払い情報の入力と、広告費の支払いは別の話です(ヘルプの記述)。
カードを登録すると課金されますか
ヘルプには「カード アカウントに一時的な請求が表示されることがありますが、通常は 1 週間以内に削除されます」「登録時に、確認のため少額の前払いが必要になることがあります」「払い戻しをリクエストするか、アカウントを閉鎖すると、全額払い戻しされます」と書かれています。起きうる挙動も、その戻し方も、公式に書いてあります。
広告を出さないと使えませんか
ヘルプで必須とされているのはお支払い情報の入力を含むアカウント設定の完了で、広告の配信そのものを必須とする記述は確認できませんでした。ただし登録の過程でキャンペーンと予算の設定を通るため、配信の状態は必ず自分の目で確認してください。
検索ボリュームの数字はそのキーワードだけの数ですか
違います。Googleの定義は「キーワードとその類似パターンが検索された平均回数」で、英語版では “a keyword and its close variants” となっています。表記ゆれや近い言い回しが合算されたものです。
数字が範囲で表示されるのはなぜですか
今回確認した3つのヘルプページ(キーワード プランナーを使う/キーワード プランナーの予測データについて/キーワード プランナーで新しいキーワードを絞り込む)には、検索ボリュームが範囲で表示される条件についての記載は見当たりませんでした。ヘルプに「範囲」として定義があるのは、入札単価の低額帯・高額帯のほうです。
競合性が「低」なら上位を取りやすいですか
Googleの定義は「入札している広告主の数を相対的に示す指標」で、検索結果で上位を取る難しさについては含まれていません。広告主が少ない理由が「情報系の語で広告が馴染まないから」の場合、上位に大手メディアや公的機関が並んでいてSEOはむしろ難しい、ということが起こります。
マッチタイプを変えたのにボリュームが変わりません
仕様です。ヘルプに「平均月間検索ボリュームなどの過去の統計情報は、完全一致の場合にのみ表示されます」と書かれています。マッチタイプで変わるのは、クリック数や費用といった予測データのほうです。
入札単価の欄が空欄の語は狙い目ですか
空欄は「安い語」という意味ではありません。ヘルプには「過去の入札単価情報が限られているキーワードについては、入札単価の範囲のデータが表示されない場合があります」と書かれています。データが足りない語です。
複数の地域の検索ボリュームを足してもよいですか
Googleは「複数の地域を対象にキーワード候補を取得した場合は、各地域での検索ボリュームを足した値が期待どおりの値にならない可能性があります」と明記しています。足した数字を根拠にするのは避けてください。
長い検索語を調べたいのですが入力できません
ヘルプに「各キーワードは全角 40(半角 80)文字以下にしてください。単語数の上限はキーワードにつき 10 語です」と記載があります。長い検索語の実態を見たい場合は、Search Consoleの検索パフォーマンスを使ってください。
市区町村単位で調べた数字は信用できますか
ヘルプに「狭い地域を掲載対象に設定している場合は、予測データの基となるデータが少ないため、予測データの精度が低くなる可能性があります」と書かれています。店舗ビジネスでは、Googleビジネスプロフィールの実際の指標を併せて見てください。
代理店のレポートと数字が合いません
Googleは「キーワード プランナーの [広告インプレッション シェア] は、管理画面の掲載結果表に表示されるインプレッション シェアや完全一致のインプレッション シェアとは異なります」と注記しています。同じ名前でも計算が違う指標です。