
ワークフローを組んで、1回目はちゃんと動いた。ところが同じ人が条件を満たしても、2回目からはうんともすんとも言わない。
「設定が間違っているのか」「HubSpotの不具合なのか」と管理画面を往復した経験がある方は多いはずです。
結論から言うと、これはほぼ全部が仕様どおりの動作です。HubSpotのワークフローは、既定では1レコードにつき1回しか動かないように作られています。2回目を動かすには「再登録」という設定を明示的にオンにする必要があり、しかもオンにしただけでは動かないケースが3つあります。
この記事では、その4つを上から順に切り分けられる形で解説します。内容はすべてHubSpot公式のナレッジベース(日本語版)で確認したものです。
先に結論:動かない原因は4つしかありません
- 再登録が既定でオフのまま(いちばん多い)
- オンにしたが、トリガーを「もう一度満たす更新」が起きていない
- 使ったフィルターが再登録に使えない種類だった
- そのレコードがまだワークフローに登録中だった
上から順に確認すれば、だいたい3分で切り分けられます。手順は本文で1つずつ解説します。
前提:ワークフローはProfessional以上の機能です
先にプランの話をしておきます。ここを知らずに探し続けても見つかりません。
ワークフローはProfessionalまたはEnterpriseの機能です。無料版とStarterのメニューには存在しません。対象となる製品はMarketing Hub・Sales Hub・Service Hub・Data Hub・Smart CRM・Revenue Hubで、いずれもProfessional以上が必要です。
また、設定を触るにはスーパー管理者権限、またはワークフローの権限が必要です。「メニューにはあるのに編集ボタンが押せない」という場合は、プランではなく権限のほうを疑ってください。
料金はシート数と製品の組み合わせで変わるため、金額はHubSpot公式の料金ページでご確認ください(2026年9月6日時点でこのページに掲載されています)。無料版・Starterをお使いで、それでも「同じ人に条件付きで繰り返しメールを送りたい」という場合の代替案は、記事の後半で触れます。
原因1:再登録は、既定でオフになっています
いちばん多い原因がこれです。
公式ナレッジベースの説明では、レコードがワークフローに登録されるのは「登録トリガーの条件を初めて満たしたとき」か「手動で登録されたとき」だけです。再登録は、既定では有効になっていません。
つまり、何も設定していない状態のワークフローは1レコードにつき生涯1回しか動きません。これは不具合ではなく初期設定です。
「1回しか動かない」が正しい場面のほうが多い
そもそも、なぜ既定がオフなのかを考えると納得しやすくなります。
たとえば「初回問い合わせのお礼メール」を送るワークフローで再登録がオンになっていると、その人が2回目の問い合わせをしたときにも「初めまして」のメールが飛びます。ウェルカムメール、初回ヒアリングの案内、初期設定のガイドといった「最初の1回だけ送りたいもの」は、むしろオフのままが正解です。
再登録が必要になるのは、「資料をダウンロードするたびにお礼を送る」「ライフサイクルステージが変わるたびに担当者へ通知する」といった繰り返し起きてほしい処理だけです。まず「このワークフローは繰り返すべきものか」を決めてから設定に入ってください。
判断に迷ったときの目安を整理すると次のようになります。
| ワークフローの目的 | 再登録 | 理由 |
|---|---|---|
| 初回問い合わせのお礼メール | オフのまま | 2回目の問い合わせで「初めまして」が飛ぶ |
| ウェルカムメール・初期設定ガイド | オフのまま | 一生に1回でよい案内 |
| 資料ダウンロードのお礼 | オン | ダウンロードのたびに送りたい |
| ライフサイクルステージ変更の社内通知 | オン | ステージが動くたびに知りたい |
| 商談化したときのタスク作成 | オン | 同じ相手と再商談することがある |
| 解約後のフォローメール | オフのまま | 誤って複数回送ると心証を損ねる |
迷ったらオフのまま始めて、必要になってからオンにするのが安全です。オフからオンへの変更はいつでもできますが、誤って何度も送ってしまったメールは取り消せません。
再登録をオンにする手順(画面が2種類あります)
ここが地味につまずくポイントで、コンタクトベースのワークフローと、それ以外(会社・取引・チケットなど)で、クリックする場所が違います。他社の解説記事どおりに操作しても見つからないのは、これが理由であることが多いです。
コンタクトベースのワークフローの場合
- 左メニューの[自動化]→[ワークフロー]を開きます
- 対象のコンタクトベースワークフローの名前をクリックします
- 画面上部の[コンタクト登録トリガー]のボックスをクリックします
- 左側パネルの[再登録]タブをクリックします
- [ワークフローの完了後にコンタクトの再登録を許可]のスイッチをオンにします
- 再登録に使いたいトリガーのチェックボックスを選択します
- [保存]をクリックします
会社・取引・チケットなどのワークフローの場合
- 同じく[自動化]→[ワークフロー]から対象のワークフローを開きます
- [登録トリガー]のボックスをクリックします
- 左側パネルの[設定]タブをクリックします(コンタクト用の「再登録」タブとは名前が違います)
- [再登録]のスイッチをオンにします
- 再登録に使いたいトリガーのチェックボックスを選択します
- [保存]をクリックします
手順6を飛ばすと、オンにしても動きません
スイッチをオンにしただけで満足して閉じてしまうのが、よくある失敗です。
再登録は「どのトリガーで再登録するか」を個別に選ぶ仕組みになっています。登録トリガーが3つあるワークフローなら、そのうちどれを再登録の対象にするかをチェックボックスで指定します。1つも選ばずに保存すると、スイッチはオンなのに再登録は起きません。
保存したあと、もう一度[再登録]タブを開いて、チェックが実際に入っているかを目視で確認してください。
原因2:トリガーを「もう一度満たす更新」が必要です
再登録をオンにして、トリガーも選んだ。それでも動かない場合、次に疑うのがここです。
公式の説明では、再登録が起きるのは「再登録トリガーとの不一致が、一致に更新されたとき」です。ここが直感と食い違うポイントで、条件を満たし続けているだけでは再登録されません。いったん条件から外れて、もう一度入り直す必要があります。
テストで確認するときの注意
動作確認をするとき、自分のテスト用コンタクトのプロパティーを条件に合う値で上書きしても、もともと条件に一致していれば何も起きません。
正しく試すには、いったん条件から外れる値に変えてから、もう一度条件に合う値に戻します。たとえば「ライフサイクルステージがリードなら」というトリガーなら、別のステージに変更して保存し、そのあとリードに戻す、という2段階の操作が必要です。
リストメンバーシップをトリガーにしている場合は、リストから外れて再度参加したタイミングで再登録されます。フォーム送信をトリガーにしている場合は、新しい送信が発生するたびに再登録されます。「毎回きちんと動くトリガー」を選ぶことが、設計上の要点です。
原因3:再登録に使えないフィルターがあります
ここが最も気づきにくい原因です。登録トリガーとして使えるフィルターでも、再登録トリガーには使えないものがあります。選択画面にそもそも出てこないため、「選んだつもり」で終わってしまいます。
公式ナレッジベースで再登録に使えないとされているものは次のとおりです。
| 再登録に使えないもの | 実務でよく当たる場面 |
|---|---|
| 日付・数値の絞り込み | 「金額が10万円以上」「契約日が今月」 |
| 計算プロパティー | 合計金額、スコアなど自動計算される項目 |
| アクティビティー関連 | 通話・ミーティング・タスクの履歴 |
| プライバシー同意イベント | 同意の取得状況を条件にしたいとき |
| 「最終変更日」「値がある」 | 「何か更新されたら」という広い条件 |
| 複数値を指定した「次のいずれかである」等 | 候補をまとめて指定したいとき |
どう回避するか
使えないフィルターを条件にしたい場合は、その条件を「単一の値と等しいプロパティー」に置き換えるのが定石です。
たとえば「取引金額が10万円以上になったら」を再登録の条件にしたいとき、金額そのもの(数値)は使えません。代わりに「金額区分」のようなドロップダウンのプロパティーを1つ作り、別のワークフローで「10万円以上なら区分を『大口』にする」と書き込みます。そのうえで、再登録トリガーには「金額区分が大口と等しい」を指定します。これなら単一値の一致なので再登録に使えます。
手順に落とすと、次の3ステップです。
- 判定用のプロパティーを作る。[設定]→[プロパティー]から新規作成し、フィールドタイプは「ドロップダウン選択」にします。取引の金額区分なら、選択肢は「大口/中口/小口」のように3〜5個に絞ります。選択肢を増やしすぎると、あとで再登録トリガーの指定が複雑になります
- 書き込む側のワークフローを作る。登録トリガーに「金額が100,000以上」のような数値条件を置き、アクションは[プロパティーを設定]で金額区分に「大口」を入れるだけ。ここでは数値も日付も自由に使えます(使えないのは再登録トリガーの側だけです)
- 実際に処理をするワークフローの再登録トリガーに、「金額区分が大口と等しい」を指定する。単一値の一致なので再登録に使えます
作業時間は、慣れていれば15分ほどです。ワークフローが1本増えますが、条件を変えたくなったときに書き込む側だけ直せば済むので、あとの保守はむしろ楽になります。
ひと手間かかりますが、この「判定用のプロパティーを1つ挟む」やり方は、再登録に限らずHubSpotの自動化全般で応用が効きます。条件が複雑になってきたら、まずこの形を検討してください。
原因4:まだ登録中のレコードは、再登録されません
4つ目の原因はシンプルですが、テスト中に何度もひっかかります。
すでにそのワークフローに登録されているレコードは、再登録されません。公式の説明でも、再登録が起きるのは「手動で登録解除されたか、ワークフローから除外されたあと」だけとされています。
待機アクションを含む長いワークフローだと、レコードは何日も「登録中」のままです。その間に条件を満たし直しても、二重には登録されません。テストで動かないときは、まず対象のレコードがいま登録中でないかを確認してください。
登録中かどうかを確認する手順
ワークフローの詳細画面を開き、上部のタブから[登録履歴]を選ぶと、そのワークフローに登録されたレコードの一覧が出ます。対象のコンタクトを検索して、ステータスが「進行中」になっていれば登録中です。
テストを繰り返したい場合は、その画面から手動で登録解除してから、もう一度条件を満たし直してください。登録解除しないまま何度プロパティーを書き換えても、再登録は起きません。テストで30分溶かす原因のほとんどがこれです。
なお、待機アクションの秒数を短くしたテスト用のコピーを別に作っておくと、検証が一気に楽になります。本番のワークフローは「3日待つ」でも、テスト用は「5分待つ」にしておけば、同じ日のうちに一周確認できます。
有効化しても、過去のレコードには遡りません
もうひとつ押さえておきたいのが、再登録を有効にしても、レコードが遡って登録されることはないという点です。
「昨日までに条件を満たしていた人にも送りたい」と思っても、設定をオンにしただけでは何も起きません。過去分を対象にしたい場合は、リストで対象者を抽出して手動でワークフローに登録するという別の操作が必要になります。
3分で切り分ける手順
ここまでの4つを、実際に確認する順番に並べたものが次の図です。上から順に見ていけば原因にたどり着きます。
確認に使うと早い画面
ワークフローの詳細画面には、そのワークフローにいま登録されているレコードの一覧と、過去に登録された履歴を見られる場所があります。「動いていない」と思っていたら実は登録済みで待機中だった、というのはここを見ればすぐ分かります。
切り分けの2番目(条件から一度外れたか)を確認するときは、対象コンタクトのレコードを開き、該当のプロパティーにカーソルを合わせて[履歴を表示]をクリックします。値がいつ・何から何に変わったかが時系列で並ぶので、「不一致→一致」の変化が実際に起きたかどうかがひと目で分かります。
ここで「値は書き換えたが、条件に一致したままだった」と判明することが非常に多いです。記憶や操作した感覚ではなく、必ず履歴で判断してください。
切り分けの3番目(使えるフィルターか)は、再登録タブのチェックボックス一覧を見るのが最短です。登録トリガーには表示されているのに、再登録タブには出てこない条件があれば、それが使えないフィルターです。画面に出ていないものは選べないので、探しても見つかりません。
そもそも再登録を使わない設計にする
ここまで読んで「条件が複雑で、再登録で組むのは無理がありそうだ」と感じた方もいると思います。実際、無理に1本のワークフローで完結させないほうがうまくいく場面は多いです。
判定用のプロパティーを挟む
原因3で触れたやり方の一般形です。「複雑な条件を判定するワークフロー」と「実際の処理をするワークフロー」を分けるという考え方になります。
前者は日付や数値、計算プロパティーを自由に使って、結果を単純なドロップダウンのプロパティーに書き込みます。後者はそのプロパティーの値だけを再登録トリガーにします。条件を変えたくなったときに、前者だけ直せば済むという保守上の利点もあります。
無料版・Starterの場合の代替
ワークフロー自体が使えない場合、完全な自動化はできません。ただし、近いことは手動で回せます。
手順は次のとおりです。
- [CRM]→[リスト]から新規リストを作ります。種類は「アクティブリスト(動的リスト)」を選びます。条件に合う人が自動で出入りするので、毎回作り直す必要がありません
- 条件を設定します。ワークフローの登録トリガーに書きたかった内容を、そのままリストの条件として組みます。リストの条件には日付も数値も使えます(制約があるのは再登録トリガーだけです)
- [マーケティング]→[Eメール]からメールを作り、送信先にそのリストを指定して送ります
- 次回送るときは、同じメールを複製して送信するだけです。リストの中身は自動で更新されています
「繰り返し」の部分だけが手作業になりますが、月に1回まとめて送る運用なら、1回あたり15分ほどで終わります。1〜10人の会社であれば、この形で十分に回ります。
ひとつ注意点があります。アクティブリストは条件に合う人が自動で入ってくるため、前回すでに送った人が今回も残っていることがあります。同じ人に2回届くのを避けたい場合は、送信済みの人を除外する条件(「このメールを受信した人ではない」など)をリストに足しておいてください。
逆に、リストの更新とメール送信を週に何度も繰り返すようになったら、そこが自動化を検討するタイミングです。作業時間がProfessionalの費用に見合うかどうかで判断してください。
まとめ
ワークフローが2回目から動かないとき、確認するのは次の4つだけです。
- 再登録は既定でオフ。スイッチをオンにしたうえで、どのトリガーで再登録するかのチェックも必ず入れる
- 条件を満たし続けているだけでは動かない。いったん外れて、また入り直す必要がある
- 日付・数値・計算プロパティー・アクティビティーは再登録に使えない。判定用のプロパティーを1つ挟んで回避する
- まだ登録中のレコードは再登録されない。有効化しても過去には遡らない
まずは対象のワークフローを開いて、[再登録]タブにチェックが入っているかだけ見てみてください。ここで解決することが、体感でいちばん多いです。
よくある質問(FAQ)
再登録をオンにすると、過去に条件を満たした人にも送られますか
送られません。公式ナレッジベースにも、再登録を有効にしてもレコードが遡って登録されることはないと明記されています。過去分を対象にしたい場合は、リストで抽出して手動でワークフローに登録してください。
再登録をオンにしたら、同じ人に何度も送られてしまいませんか
再登録トリガーの条件を満たし直すたびに送られます。頻度を抑えたい場合は、トリガーに使うプロパティーを「頻繁には変わらないもの」にするか、ワークフロー内に待機アクションを入れて間隔を空けてください。
「再登録」タブが見当たりません
コンタクトベース以外のワークフロー(会社・取引・チケットなど)では、タブの名前が[設定]になっています。[登録トリガー]のボックスを開いてから[設定]タブを探してください。それでも無い場合は、プランがProfessional未満である可能性があります。
取引金額を再登録の条件にできません
数値による絞り込みは再登録トリガーに使えない仕様です。金額を区分に変換するプロパティー(例:金額区分=大口/中口/小口)を作り、別のワークフローでその値を書き込んだうえで、再登録トリガーには「金額区分が大口と等しい」を指定してください。
テストしても再登録されません
3つ確認してください。①そのレコードがまだワークフローに登録中でないか ②プロパティーの値が条件に一致したままになっていないか(いったん外れる値に変える必要があります) ③選んだトリガーが再登録に使える種類か。多くはこのどれかです。
無料版でも再登録に近いことはできますか
ワークフロー自体がProfessional以上の機能なので、自動化はできません。リストで対象者を抽出してマーケティングメールを送る運用で代替できます。繰り返しの部分だけが手作業になります。
参考にした公式ドキュメント
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