
夜、布団の中でChatGPTに今日あった嫌なことを打ち込んで、返ってきた言葉に少しほっとする。そんな使い方をしている20代は、もう珍しくありません。実際、ChatGPT利用者の3人に1人が「自分自身の悩み相談」に使っていて、その割合は年代が若いほど高いのが特徴です。
一方で、「ChatGPT 悩み相談 危険」「ChatGPT 相談してはいけないこと」と検索する人も増えています。頼りすぎて大丈夫なのか、話した内容はどこに行くのか、本当に落ち込んでいるときに任せていいのか。この記事では、公的な調査とOpenAI自身が公表しているデータをもとに、ChatGPTに悩み相談をするときのリスクと、安全に使うためのルールを整理します。
ChatGPT利用者の3人に1人が、悩みを相談している
マーケティングリサーチ会社の株式会社アスマークが2025年11月に公開した「ChatGPTに関するアンケート調査」(調査期間2025年9月3日〜5日、ChatGPTを利用したことがある18〜59歳の男女、本調査800サンプル)によると、ChatGPTの利用目的は「情報の収集」が55.3%で最多でした。ただ、2番目に多かったのは「自分自身の悩み相談」で32.6%、3番目は「日常的な会話や雑談」で32.4%です。
つまり、ChatGPT利用者の3人に1人は、調べものではなく「話し相手」としてChatGPTを使っています。
この傾向は、年代が若いほど顕著です。同じ調査で「日常的な会話や雑談」は20代以下で39.5%と、全体より5ポイント以上高くなっていました。悩み相談の中身を見ると、全体では「身体の健康についての相談」が55.2%、「心の健康についての相談」が47.9%と健康関連が上位ですが、20代以下では「人間関係についての相談」が50.7%と、全体より10ポイント以上高い結果です。仕事の人間関係や友人・恋人との関係を、まずAIに話してみる。そんな使い方が、20代では一般的になりつつあります。
背景の一つとして、孤独感も見逃せません。内閣府が令和7年12月に実施した「人々のつながりに関する基礎調査」(全国16歳以上、有効回答11,873人)では、20〜29歳で孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人は5.5%(全体4.5%)、「時々ある」16.4%、「たまにある」20.1%を合わせると、何らかの孤独感を感じている人は約42%にのぼる計算です(調査全体では約38%、30代から50代ではさらに高い水準)。20代でも5人に2人が孤独感を抱えているなかで、深夜でも否定せずに返事をくれる相手として、AIが選ばれやすい土壌があるといえるでしょう。
ChatGPTが「相談相手」として選ばれる理由と、実際の返答
ChatGPTが相談相手として選ばれる理由は、大きく分けて3つです。24時間いつでも返事が返ってくること、人に話すときのような「重いと思われないか」という遠慮がいらないこと、そして、話しているうちに自分の気持ちが整理されていくこと。
実際にどんな返答が来るのか、2026年9月10日にログインなしの無料版ChatGPTで試してみました。入力したのは、次の一文です。
仕事で先輩に強めに注意されて、家に帰ってからもずっと引きずっています。ただ話を聞いてほしいだけで、アドバイスはいりません。まず気持ちを整理する手伝いをしてもらえますか。
返ってきた文章の一部を、そのまま引用します。
うまく整理して話そうとしなくて大丈夫です。まずは、先輩に何を言われたのか、そしてそのとき自分はどんな気持ちになったのか。
「悔しかった」「怖かった」「恥ずかしかった」「納得いかなかった」「自分が悪いのは分かるけど、あの言い方はつらかった」みたいに、矛盾した気持ちがあっても全部そのままで大丈夫です。
「アドバイスはいらない」と伝えれば、その通りに聞き役に回ってくれます。感情に名前をつける言葉を並べてくれるので、モヤモヤの正体が見えやすくなるのは確かです。この「否定されない安心感」が、ChatGPTに相談する最大のメリットといえます。
ただし、同じ安心感が、次に説明するリスクの入口にもなる点には注意が必要です。
「ChatGPTへの相談は危険」と言われる4つの理由

理由1:使うほど孤独になる人がいる(感情的依存)
OpenAIとMITメディアラボは2025年3月、ChatGPTの利用と感情面の関係を調べた研究を公開しました。約1,000人が4週間ChatGPTを使う無作為化比較試験と、約4,000万件の会話をプライバシーに配慮して自動分析した調査の2本立てです。
結果として、1日の利用時間が長い人ほど、孤独感・ChatGPTへの感情的な依存・問題のある使い方の度合いが高く、人との交流は少ない傾向がありました。一方で、感情的なやり取りを含む会話は全体から見ればごく一部で、大多数の利用者には当てはまらないことも同時に報告されています。
つまり、「ChatGPTに相談すると必ず依存する」わけではありません。ただ、話し相手がAIだけになっていくと、孤独感がむしろ深まる人が一定数いる、というのが現時点の研究結果です。
理由2:自分の考えを肯定しすぎる
ChatGPTは基本的に、話し手の気持ちに寄り添う方向で返答します。落ち込んでいるときには救いになる一方、「相手が全部悪い」「自分は誰にも理解されない」といった考えを、そのまま強めてしまう危険と隣り合わせです。
OpenAIはこの問題を認めていて、2025年10月に公開した「デリケートな会話におけるChatGPTの回答を強化」の中で、モデルの行動指針(Model Spec)を改訂し、「ユーザーの現実世界における関係性をサポート、尊重し、精神的また感情的な苦痛に関連しそうな根拠のない信念を肯定しない」よう学習させたと説明しました。裏を返せば、改訂前はそこが弱点だったということです。
理由3:深刻な状態のとき、AIには限界がある
同じ発表でOpenAIは、特定の週にアクティブだったユーザーのうち、約0.15%が自殺の計画や意図の可能性を明示的に示す会話をしており、約0.07%が精神障害や躁状態に関連する兆候を示していたという初期分析を公表しました。170名以上のメンタルヘルス専門家と協力してモデルを改善し、望ましくない回答を65〜80%減らしたとしていますが、「まれなケースですが、デリケートな状況で意図したとおりにモデルが動作しない場合があります」とも明記されています。
2026年2月27日の「メンタルヘルスに関する取り組みの最新情報」では、成人ユーザーがあらかじめ通知先を指定できる「信頼できる連絡先」機能を近日中に導入すると発表されました。安全対策は進んでいますが、裏を返せば、それだけ深刻な相談がAIに寄せられている現実があるということです。眠れない日が続く、食欲がない、消えたい気持ちが浮かぶ。そうした状態は、AIではなく人に相談する領域です(窓口は後半で紹介します)。
理由4:話した内容が残る・学習に使われる
無料版・Plusのデフォルト設定では、会話内容がモデルの改善(学習)に使われることがあります。相談内容には、自分の悩みだけでなく、上司や友人の名前、会社の状況といった「他人の情報」も混ざりがちです。OpenAI公式ヘルプのData Controls FAQによると、設定で学習利用をオフにでき、「一時チャット」を使えば、そのままにしておく限り会話は学習に使われません(公式ヘルプには、安全確保の目的で最大30日間コピーが保持されることがあると書かれています)。逆にいえば、何も設定しないまま実名入りで相談を続けるのは避けた方がよい、ということです。
ChatGPTに話してはいけないことと、最低限やっておく設定
相談に使うなら、「話してよいこと」と「話してはいけないこと」の線引きを先に決めておくと安心でしょう。
| 区分 | 内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 話してよい | 自分の気持ち、出来事の流れ、考えの整理 | ChatGPTが最も得意な領域。名前や会社名を伏せれば個人が特定されにくい |
| 伏せて話す | 上司・友人・恋人の実名、会社名、部署名、住所 | 自分だけでなく他人の情報を第三者のサービスに渡すことになる。「A先輩」「会社」などに置き換える |
| 話さない | 会社の機密情報、顧客情報、まだ公表されていない社内の話 | 多くの会社で就業規則やガイドラインの対象。学習利用の設定に関係なく入力しない |
| AIに判断させない | 「病気かどうか」「薬をやめていいか」「消えたい気持ちへの対処」 | OpenAI自身が「意図したとおりに動作しない場合がある」と明記している領域。医療機関・相談窓口の担当 |
そのうえで、相談に使う前に次の2つだけは設定しておきましょう。いずれもOpenAI公式ヘルプに記載されている手順です。
設定1:会話を学習に使わせない
ChatGPTの「設定」→「データコントロール」を開き、「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにしてください。オフにしても会話履歴は残りますが、モデルの学習には使われなくなります。設定はアカウント全体に適用されるので、スマホとPCで別々に設定する必要はありません。
ただし公式ヘルプには、オフにしていても回答に高評価・低評価のフィードバックを送ると、その会話全体が学習に使われることがあると書かれています。またチャットをアーカイブしても、学習に使われるかどうかは変わりません。履歴の整理と学習の設定は別の話です。
設定2:深い相談は「一時チャット」で
新しいチャットを始めるときに「一時チャット」を選ぶと、その会話は履歴に残らず、学習にも使われません。ただし公式ヘルプによると、安全確保の目的で最大30日間コピーが保持されることがあります。また、あとから保存すると通常のチャットに変わり、以降はアカウントの設定に従います。誰かに見られたくない相談や、感情が高ぶっているときの吐き出しは、一時チャットを選ぶのがおすすめ。
安全に使うための「信号機ルール」
ChatGPTへの相談を「やめる」必要はありません。大事なのは、どこまでをAIに任せて、どこから人に切り替えるかを、落ち着いているうちに決めておくことです。信号機になぞらえて、3段階で整理しました。
青:AIに話してOKの範囲
その日のモヤモヤ、気持ちの整理、「明日どう言い返そうか」といった言い方の練習は、ChatGPTの得意分野です。ただし1回30分以内を目安にし、深夜に長時間続けないこと。研究結果が示すとおり、利用時間が長くなるほど依存や孤独感が高まる傾向があるからです。スマホのスクリーンタイムでChatGPTアプリの利用時間を確認しておくと、自分の「使いすぎ」に気づきやすくなります。
黄:AIで整理してから、人に話す
同じ悩みを3日以上相談し続けている、あるいは上司や恋人など「相手がいる」人間関係の問題は、AIだけで完結させないのが原則です。ChatGPTに「今の話を3行にまとめて」と頼めば、人に説明しやすい形になります。その要約を持って、友人や家族、信頼できる先輩に話す。AIは「人に話す前の下書き」と割り切るのがコツです。
赤:AIではなく、人や窓口に頼る
眠れない、食べられない、何をしても楽しくない状態が2週間続いている。消えたい気持ちが浮かぶ。動悸や頭痛など体に不調が出ている。こうしたサインがあるときは、ChatGPTを閉じて、次に紹介する窓口か医療機関に連絡してください。OpenAI自身が「意図したとおりに動作しない場合がある」と認めている領域を、AIに任せる必要はありません。
AIでは足りないとき、20代が使える相談窓口
厚生労働省の「まもろうよ こころ」には、電話・SNSで相談できる窓口がまとめられています。年齢の制限はなく、20代でももちろん対象です。
| 窓口 | 連絡先 | 受付 |
|---|---|---|
| よりそいホットライン | 0120-279-338 | 24時間対応・通話無料 |
| こころの健康相談統一ダイヤル | 0570-064-556(通話料有料) | かけた地域の公的な相談窓口につながる(受付時間は地域により異なる) |
| いのちの電話 | 0120-783-556(通話無料) / 0570-783-556(通話料有料) | 0120は毎日16時〜21時(毎月10日は8時〜翌日8時)、0570は午前10時〜午後10時 |
| こころのほっとチャット | SNS・Webチャット | 毎日7時〜23時50分(受付は23時まで) |
| 生きづらびっと | LINE | 月・金 6時〜22時30分、その他の曜日 8時〜22時30分(受付は22時まで) |
| あなたのいばしょチャット相談 | Webチャット | 24時間365日・無料・匿名 |
「電話は気が重い」という人は、チャット窓口から始めてみてください。0570で始まる番号はナビダイヤルのため通話料がかかり、携帯電話の定額プランの無料通話は適用されません。ChatGPTと同じ「文字で話す」形式なので、ハードルは意外と低いはずです。受付時間や最新の情報は、上記の厚生労働省のページで確認できます。
一人暮らしで話し相手がいないことが根本の悩みなら、一人暮らしが寂しいと感じる20代への記事も参考にしてください。
今日からできること

ステップ1(今夜):データコントロールを確認する
ChatGPTの「設定」→「データコントロール」を開き、「すべての人のためにモデルを改善する」がオンになっていればオフにします。所要時間は1分です。あわせて、過去の相談で実名や会社名を書き込んでいないか、履歴をざっと見返しておきましょう。
ステップ2(今週中):自分の「信号機」を書き出す
青・黄・赤のそれぞれに、自分の場合は何が当てはまるかをメモに書き出してみてください。例えば「青=仕事の愚痴、黄=同じ相手の話が3回続いたら、赤=眠れない日が続いたら」のように、具体的な条件にしておくと、落ち込んだときにも判断しやすくなります。
ステップ3(今月中):「人に話す先」を1つ決めておく
黄・赤になったときに連絡する相手を、今のうちに1人決めておきます。友人でも家族でも、上の表の窓口でも構いません。スマホの連絡先に登録しておけば、いざというときに探す手間がなくなります。
まとめ
ChatGPTに悩みを相談すること自体は、3人に1人が使っている一般的な使い方であり、気持ちの整理には確かに役立ちます。ただ、利用時間が長いほど孤独感や依存が高まる傾向があること、深刻な状態にはAIの限界があるとOpenAI自身が認めていること、会話が学習に使われる設定になっていることは知っておきたいところです。
学習利用をオフにし、実名を伏せ、1回30分以内を目安に使う。そして、同じ悩みが続いたら人に話し、体や眠りに影響が出ているときは窓口や医療機関に切り替える。この線引きさえ決めておけば、ChatGPTは20代の心強い「話し相手のひとつ」になります。
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よくある質問(FAQ)
Q1. ChatGPTに悩み相談をする人はどれくらいいますか?
アスマークの2025年調査(ChatGPT利用経験のある18〜59歳、800サンプル)では、32.6%が「自分自身の悩み相談」に使っています。20代以下では「日常的な会話や雑談」が39.5%、悩みの内容では「人間関係についての相談」が50.7%と、いずれも全体より高い結果でした。
Q2. ChatGPTに悩み相談するのは危険ですか?
使い方次第です。OpenAIとMITメディアラボの研究では、利用時間が長い人ほど孤独感や感情的な依存が高い傾向がありましたが、大多数の利用者には当てはまりませんでした。1回30分以内を目安にし、深刻な状態のときは人や窓口に切り替えれば、リスクは抑えられます。
Q3. ChatGPTに相談してはいけないことは何ですか?
会社の機密情報や顧客情報、他人の実名・住所などの個人情報は入力しないでください。また「病気かどうか」「薬をやめていいか」「消えたい気持ちへの対処」は、AIに判断させず医療機関や相談窓口に相談する領域です。
Q4. ChatGPTに話した内容は誰かに見られますか?
無料版・Plusのデフォルト設定では、会話がモデルの改善(学習)に使われることがあります。「設定」→「データコントロール」で「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにするか、「一時チャット」を使えば学習には使われません。一時チャットは、安全確保の目的で最大30日間コピーが保持されることがあります。なお、回答に高評価や低評価のフィードバックを送ると、オフにしていてもその会話全体が学習に使われることがあります。
Q5. ChatGPTはメンタルヘルスの相談にどう対応していますか?
OpenAIは2025年10月、170名以上のメンタルヘルス専門家と協力してモデルを改善し、望ましくない回答を65〜80%減らしたと発表しました。2026年2月には、成人ユーザーが通知先を指定できる「信頼できる連絡先」機能を近日中に導入すると発表しました。ただし、意図したとおりに動作しない場合があることも明記されています。
Q6. どんな状態になったらAIではなく人に相談すべきですか?
眠れない・食べられない・何をしても楽しくない状態が2週間続く、消えたい気持ちが浮かぶ、動悸や頭痛など体に不調が出ている場合は、ChatGPTではなく相談窓口や医療機関に連絡してください。同じ悩みを3日以上相談し続けている場合も、人に話す段階です。
Q7. 20代が使える相談窓口はありますか?
よりそいホットライン(0120-279-338、24時間・通話無料)、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556、通話料有料)、いのちの電話(0120-783-556は毎日16時〜21時)などの電話窓口のほか、「あなたのいばしょチャット相談」(24時間365日)、「こころのほっとチャット」(毎日7時〜23時50分)、「生きづらびっと」(LINE)などのチャット窓口があります。厚生労働省「まもろうよ こころ」が一覧の入口です。

