
「保険に入っているのは分かっているけれど、何に、いくら払っているのか、正直よく分からない」。この状態の人はとても多いです。この記事は、手元の保険をChatGPTに整理してもらい、「何のための保険に、月いくら、いつまで払っているか」を1枚の表にする手順を、書類の集め方から、送る言葉、返ってきた表の見方まで順番に書いたものです。所要時間は20分ほどです。
先に結論を3つ書いておきます。この使い方は無料版で足ります。写真を送る必要はなく、文字で伝える方が正確です。ChatGPTが得意なのは「整理」と「言い換え」で、「あなたにこの保険が必要かどうか」を決めることではありません。そして、証券番号や氏名、受取人の名前は入力しません。この3つを守れば、保険の書類は怖くなくなります。
この記事のChatGPTの機能や上限は、OpenAI公式ヘルプをもとにしています。保険の見直しや解約の判断は、必ず保険会社の窓口かファイナンシャルプランナーなどの専門家に確認してください。この記事は、その相談に行く前の「準備」の方法です。
この方法でできること、できないこと
保険の話をAIに聞くと、それらしい答えが返ってきます。だからこそ、最初に「できること」と「できないこと」の線を引いておきます。この線を引かずに始めると、AIの答えを判断だと思い込んでしまいます。
できること:整理、言い換え、質問づくり
ChatGPTが得意なのは3つです。1つ目は、バラバラの情報を1枚の表にまとめること。保険の種類、月々の保険料、いつまで払うか、何が保障されるかを、こちらが文字で伝えれば、見やすい表にしてくれます。2つ目は、難しい言葉の言い換えです。「特約」「解約返戻金」「更新型」「払込免除」のような言葉を、小学生にも分かる言葉で説明してくれます。3つ目は、専門家に相談するときの質問リストを作ることです。「これを聞けばいい」が分かっていると、窓口での時間が半分になります。
この3つは、どれも「あなたの情報を整理する」作業です。ChatGPTはこの作業がとても速く、疲れません。書類を前に固まっていた時間が、20分で終わります。しかも、整理した内容はそのままチャットに残るので、半年後に「あれ、どうなっていたっけ」と思ったとき、同じチャットを開けば続きから見直せます。書類の山をもう一度広げる必要がなくなる、というのが、この使い方のいちばんの効果です。
できないこと:あなたに必要な保障を決める、約款を正確に読む
一方で、ChatGPTにできないことも3つあります。1つ目は、「あなたにこの保険が必要か」を決めること。ChatGPTはあなたの健康状態、家計の全体、家族の将来の予定を知りません。一般論としての「こういう人にはこういう保障が多い」は言えますが、それはあなたの答えではありません。2つ目は、約款や契約内容を正確に読むこと。保険の条件は、契約ごと、会社ごとに細かく違います。ChatGPTの説明は一般論であって、あなたの契約の説明ではありません。3つ目は、解約や乗り換えの判断です。解約には、返戻金が少なくなる、再加入時に告知で断られる、といった取り返しのつかない不利益があり得ます。
公式ヘルプにも「ChatGPTは誤りを犯すことがあります」と明記されています。整理はAI、判断は人。この線を守ってください。
無料版で足りる理由
この記事の手順は、文字のやり取りだけで完結します。ChatGPTの無料版は、文字のやり取りが回数無制限です(公式料金ページ)。写真を送る場合は無料版で1日3ファイルの上限がありますが、後で書くとおり、保険の書類は写真より文字で伝える方が正確なので、上限を気にする場面はほぼありません。
手順1:手元の保険を集めて、送る前に「隠すもの」を決める
まず、書類を集めます。ここで大事なのは、集めた書類をそのまま送らないことです。送る前に、隠すものと、文字に置き換えるものを決めます。
集めるもの
次の3種類のどれかがあれば足ります。全部そろえる必要はありません。
- 保険証券:契約したときに届く、契約内容が書かれた紙。いちばん情報が多い
- 契約内容のお知らせ:年に1回程度届く、現在の契約内容が書かれた通知。証券が見つからないときはこれで十分
- 保険料控除証明書:年末調整や確定申告に使う紙。年間の保険料が書いてあるので、金額だけ知りたいならこれが早い
加入している保険が複数あるなら、1つずつ用意します。家族の分も整理したい場合は、家族ごとに分けておいてください。「夫の分」「妻の分」「子どもの学資保険」のように分けると、あとで表にしたときに見やすくなります。
隠すもの:証券番号、氏名、受取人、住所
保険の書類には、ChatGPTに伝える必要のない情報が多く書かれています。次の項目は、写真を撮る前に隠すか、文字で送るときに書かないでください。
- 証券番号、契約番号
- 契約者、被保険者、受取人の氏名
- 住所、電話番号、生年月日
- 保険料の引き落とし口座、クレジットカードの番号
- 健康状態や病歴に関する記載(告知内容)
これらは、保険を整理するために必要ありません。「35歳の夫」「9歳の娘」のように年齢と続柄だけ伝えれば、ChatGPTは表を作れます。1本目の記事で書いた「氏名、住所、番号、家族の情報は入れない」という線引きは、保険の書類でも同じです。
写真より文字で伝える理由
保険証券をスマホで撮って送りたくなりますが、この記事では文字で伝える方法をおすすめします。理由は2つあります。1つは、上で書いた個人情報が写り込むこと。もう1つは、読み取りの精度です。ChatGPTの公式ヘルプ「画像入力FAQ」には、「日本語や韓国語など、ラテン文字以外の文字を含む画像の処理では性能が低下します」と書かれています。細かい日本語がぎっしり並んだ保険証券は、AIがいちばん苦手とする種類の画像です。
文字で書く型は、次のとおりです。会社名や商品名は書かなくても構いません。書くのは、種類、月額、払込期間、主な保障、加入した年の5つです。
(書き方の例)
保険1:医療保険。月額3,200円。払込は終身。入院1日5,000円、手術1回5万円。2019年加入。
保険2:生命保険(定期型)。月額4,800円。60歳まで。死亡時に1,500万円。2021年加入。
保険3:学資保険。月額10,000円。子どもが18歳まで。満期で200万円。2020年加入。
証券のどこを見ればいいか分からないときは、「月額」は引き落とし額、「払込期間」は「払込満了」や「保険料払込期間」の欄、「保障」は「保険金額」や「給付金」の欄です。見つからない項目は「不明」と書いて構いません。
手順2:送る言葉(整理表を作らせる)
書類の情報を文字にしたら、ChatGPTに送ります。3通に分けて送るのがコツです。1通目で表を作らせ、2通目で言葉を言い換えさせ、3通目で質問リストを作らせます。
1通目:整理表を作らせる
「私が加入している保険を整理したいです。以下の情報を、『何のための保険か』『月いくら』『いつまで払うか』の3列の表にまとめてください。最後に、月額の合計と年間の合計を出してください。あなたの意見や商品の提案はまだ書かないでください。
保険1:医療保険。月額3,200円。払込は終身。入院1日5,000円、手術1回5万円。2019年加入。
保険2:生命保険(定期型)。月額4,800円。60歳まで。死亡時に1,500万円。2021年加入。
保険3:学資保険。月額10,000円。子どもが18歳まで。満期で200万円。2020年加入。」
「あなたの意見や商品の提案はまだ書かないでください」の一文が大事です。これがないと、表と一緒に「見直しをおすすめします」のような文章が付いてきて、判断を急がされた気持ちになります。まずは事実だけを表にします。3列に絞るのは、スマホの画面で読める幅にするためです。
2通目:難しい言葉を言い換えさせる
「私の保険の書類に、『特約』『解約返戻金』『更新型』『払込免除』という言葉が出てきます。それぞれ、小学生にも分かる言葉で、2文以内で説明してください。一般的な意味で構いません。私の契約でどうなっているかは、書類で確認します。」
「一般的な意味で構いません」と「私の契約でどうなっているかは書類で確認します」を付けているのは、ChatGPTに「あなたの契約ではこうです」と断定させないためです。言葉の意味が分かれば、書類の該当欄を自分で読めるようになります。それが、この2通目の目的です。
3通目:家族構成を伝えて、質問リストを作らせる
「家族構成は、私(38歳・会社員)、夫(40歳・会社員)、娘(9歳)です。上の表をもとに、保険会社の窓口かファイナンシャルプランナーに相談するときに聞くべき質問を、5つ以内で作ってください。商品の提案や、解約の勧めは書かないでください。質問は、保障の重なり、保障の空白、払込期間の3つの観点から作ってください。」
ここでもChatGPTに判断させません。作らせるのは「質問」です。「医療保険が2つあるが、入院時の給付は重ならないか」「就業不能のときの保障はあるか」「学資保険の払込免除の条件は何か」のような質問が返ってきます(一例です。返ってくる内容は毎回変わります)。この質問を持って専門家に行くと、相談が「勧められる場」から「確認する場」に変わります。
手順3:返ってきた整理表の使い方
表ができたら、それを眺めるだけで気づくことが3つあります。この3つを見てから、専門家に行きます。
合計額を「年間」で見る
月額で見ていると気づきにくいのですが、年間にすると印象が変わります。上の例なら、月額の合計は18,000円、年間で216,000円です。「この金額を10年払うと」と考えると、この保険は何のためだったかを、改めて考えるきっかけになります。年間の合計を出すには、1通目の表のあとに「月額の合計を12倍した年間の額と、それを10年続けた場合の額も出してください」と一言足せば済みます。ただし、ここで「高いからやめよう」と決めないでください。金額が高いか安いかは、保障の中身と家計の全体で決まることで、表の合計だけでは判断できません。
重なりと空白を見る
表を見て確認したいのは、「同じ目的の保険が2つないか」と「必要そうなのに何もない目的はないか」の2つです。たとえば、医療保険と、生命保険に付いている医療特約で、入院の保障が重なっていることがあります。逆に、働けなくなったときの収入の保障が、どの保険にも入っていないこともあります。
これは「気づき」であって「結論」ではありません。重なりに見えても、給付の条件が違って両方必要な場合もあります。空白に見えても、勤め先の制度や公的な保障でカバーされている場合もあります。気づいたことを、そのまま質問にして専門家に持っていく。これが正しい使い方です。
質問リストを持って、専門家に行く
3通目で作った質問リストと、1通目の表を印刷するか、スマホで見せられる状態にして、相談に行きます。相談先は、加入している保険会社の窓口か、ファイナンシャルプランナーです。無料相談の窓口は、特定の保険会社の商品を勧める仕組みになっていることがあるので、「今日は契約せず、質問の確認だけしたい」と最初に伝えると、話が早くなります。
相談で答えが出た質問は、その場でメモしてください。帰ってから、そのメモをChatGPTに送って「この回答を、表に反映してください」と頼めば、整理表が更新されます。この往復を1回か2回すれば、自分の保険が「分かっている状態」になります。
うまくいかないときの直し方
この手順を試した人がつまずきやすいところを3つまとめます。どれも、送る言葉を少し変えるだけで解決します。
書類の言葉が、ChatGPTの説明と合わない
保険の言葉は、会社によって呼び方が違います。「更新型」を「定期」と書いてある会社もあれば、「払込免除」を「保険料免除」と書いてある会社もあります。ChatGPTの説明が書類と合わないと感じたら、書類に書いてある言葉をそのまま伝えて、「この言葉は、一般的にはどの言葉と同じ意味ですか。分からなければ分からないと答えてください」と聞いてください。「分からなければ分からないと答えて」の一文で、それらしい推測を減らせます。
ChatGPTが特定の商品や会社を勧めてきた
「意見を書かないで」と伝えていても、会話が進むうちに「この商品がおすすめです」と返ってくることがあります。その部分は使わないでください。ChatGPTが挙げる商品名は、古い情報だったり、実在しない組み合わせだったりすることがあります。「商品名は挙げないでください。私が確認すべき『観点』だけを教えてください」と返して、話を戻します。
表が長すぎてスマホで読めない
保険が5つ以上あると、表が横に広がって読みにくくなります。そのときは「表ではなく、保険ごとに3行の箇条書きにしてください」と頼み直してください。1行目に目的、2行目に月額と期間、3行目に主な保障、という形になり、スマホでも読めます。合計額だけは、最後に1行で出してもらいます。パソコンで見られる環境があるなら、表のままコピーして表計算ソフトに貼り付けると、あとで自分で書き足せる整理表になります。
入力してはいけないもの、任せてはいけないこと
保険の整理は、お金と健康の情報に触れます。1本目の記事の線引きに加えて、この記事では3つ、はっきり書いておきます。
証券番号、受取人、口座、病歴は入れない
手順1で書いたとおり、証券番号、氏名、受取人、住所、口座、カード番号は入力しません。加えて、病歴や健康状態の詳細も入れないでください。保険の整理には、「持病がある」程度の情報で十分で、病名や通院歴を書く必要はありません。ChatGPTの設定で「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにしていれば学習には使われませんが、そもそも入れないのがいちばん安全です。設定の手順は1本目の記事にまとめてあります。
解約や乗り換えは、AIに決めさせない
保険の解約には、取り返しのつかない不利益があります。貯蓄性のある保険を途中で解約すると、払った額より返ってくる額が少ないことがあります。新しい保険に入り直そうとしても、健康状態によっては告知で断られることがあります。ChatGPTはこうした「あなたの場合の不利益」を知りません。解約、減額、乗り換えの判断は、必ず保険会社の窓口か専門家に確認してから行ってください。この記事の手順は、その相談の準備であって、判断の代わりではありません。
「一般論」を「自分の契約」と思わない
2通目で言葉を言い換えてもらうとき、ChatGPTが説明するのは一般的な意味です。あなたの契約で、その言葉が具体的にどう働くかは、約款と契約内容の書類にしか書いてありません。「解約返戻金は一般的にこうです」と分かったら、次は自分の書類の該当欄を読む。分からなければ保険会社に電話して聞く。この順番を守ってください。保険会社の窓口は、契約内容の説明であれば無料で答えてくれます。
まとめ
手元の保険をChatGPTに整理してもらう手順を、短くまとめます。
- 保険証券、契約内容のお知らせ、控除証明書のどれかを集める
- 証券番号、氏名、受取人、住所、口座、病歴は書かない。写真ではなく文字で伝える
- 種類、月額、払込期間、主な保障、加入年の5つを、保険ごとに1行で書く
- 1通目で3列の表を作らせる。「意見や商品の提案は書かないで」と付ける
- 2通目で難しい言葉を言い換えさせる。「一般的な意味で構いません」と付ける
- 3通目で家族構成を伝え、専門家に聞く質問を5つ以内で作らせる
- 表と質問を持って、保険会社の窓口か専門家に確認に行く。解約や乗り換えの判断はそこで
整理はAI、判断は人。この線を守れば、保険の書類は「分からないもの」から「確認できるもの」に変わります。
最後に、写真で渡すときの注意を1つ。公式は画像の制限として「日本語や韓国語など、ラテン文字以外の文字を含む画像の処理では性能が低下します」と書いています。日本語が名前で挙がっています。保険の証券は日本語で、しかも細かい字です。だから、金額と期間だけは写真に頼らず、自分で打ち込んでください。この記事の手順でも、写真ではなく文字で渡す形にしているのは、この理由です。公式自身も「ChatGPTは誤りを犯すことがあります」と書いています。
よくある質問(FAQ)
保険証券の写真を送った方が早くないですか?
おすすめしません。証券には証券番号や氏名、受取人などの個人情報が印字されています。また、公式ヘルプによると、日本語の文字を含む画像はAIの読み取り精度が下がります。細かい文字が並ぶ保険証券は、読み取りを間違えやすい書類です。種類、月額、払込期間、主な保障、加入年の5つを文字で書く方が、早くて正確です。
ChatGPTに「この保険は必要ですか」と聞いてもいいですか?
聞くこと自体は構いませんが、答えを判断にしないでください。ChatGPTはあなたの健康状態、家計、家族の予定を知りません。返ってくるのは一般論です。この記事では、判断を聞く代わりに「専門家に聞く質問」を作らせる方法をおすすめしています。
家族全員の保険をまとめて整理できますか?
できます。「夫:保険1…」「妻:保険2…」のように、家族ごとに分けて書いてください。表には「誰の保険か」の列を足すと分かりやすくなります。ただし、家族の氏名や生年月日は書かず、「夫(40歳)」「娘(9歳)」のように続柄と年齢だけにしてください。
無料相談の窓口に行くと、契約を勧められませんか?
無料相談の窓口は、特定の商品を勧める仕組みになっていることがあります。最初に「今日は契約せず、質問の確認だけしたい」と伝えてください。加入している保険会社の窓口なら、契約内容の説明は無料で受けられます。ChatGPTで作った質問リストを見せると、話が早く終わります。
整理表を作ったあと、何を基準に見直せばいいですか?
この記事では、見直しの基準は示していません。基準は家計の全体、健康状態、家族の予定で変わり、専門家と一緒に決めるものだからです。表で「重なり」と「空白」に気づいたら、それを質問にして専門家に持っていく、という使い方にとどめてください。
ChatGPTに送った保険の情報は、どこかに残りますか?
公式ヘルプによると、会話は履歴に残り、設定によってはAIの学習に使われることがあります。設定の「データコントロール」で「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにするか、一時チャットで送ると、学習には使われません。いずれにしても、証券番号や氏名などの個人情報は最初から入れないでください。
整理はAI、判断は人
ChatGPTはまだ入れていない、という方は、1本目の記事「ChatGPTをスマホで始める手順」で、入れ方と最初に変える設定(学習に使わせない設定)をまとめています。保険の解約や乗り換えは、必ず保険会社の窓口か専門家に確認してから行ってください。