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HubSpotのインポートは取り消せない|上書きした値は戻りません。取り込み前の5つのチェックと、事故ったときの対処

公開 2026年9月26日

一方通行を示す道路標識のモノクロ写真

顧客リストをCSVでHubSpotに取り込んだあと、「列がずれていた」「古いデータで上書きしてしまった」と気づく。この瞬間にまず探すのが「取り消し」ボタンですが、見つかりません。

HubSpotのインポートには、一括で元に戻す機能がありません。公式ヘルプにも、既存レコードを更新したインポートについては、レコードを削除したうえで正しい情報で入れ直すか、手作業でプロパティーを直す必要がある、と書かれています。

つまり、上書きしてしまった値は戻ってきません。取り込む前にどう防ぐかがすべてになります。

この記事では、何が消せて何が消せないのか、取り込み前に見るべき5点、そして事故ったときの対処の順番を扱います。

先に結論:インポートは一方通行です

  1. 一括の取り消しはできません。新しく作られたレコードは削除できますが、上書きされた値は戻りません
  2. 上書きは、固有IDが一致したときに起きます。コンタクトはメールアドレス、会社はドメイン。レコードIDが入っていればそちらが優先されます
  3. だから、本番の前に必ずテストの1件を通す。これだけで事故のほとんどが防げます

インポート自体は無料ツールを含むすべてのプランで使えます。関連付けラベルの設定だけProfessional以上です。

前提:インポートに「取り消し」はありません

表計算ソフトに慣れていると、まず「Ctrl+Z」を探します。HubSpotのインポートには、それにあたるものがありません。

公式ヘルプが示している対処は次のとおりです。既存レコードを更新してしまったインポートについては、そのレコードを削除したうえで正しい情報を入れ直すか、手作業でプロパティーを直す。この2つしかありません。

数件なら手で直せます。数百件だと現実的ではありません。だからこの記事の大半は「事故ってからの対処」ではなく「事故らせない準備」に割いています。

新規作成分は消せる。上書き分は戻らない

1回のインポートの結果は、2種類に分かれます。ここを分けて理解すると、取り返しがつくかどうかが判断できます。

CSVを取り込む 新しく作られた分 固有IDが一致しなかった 行が新規レコードに 削除できます 取り返しがつきます 上書きされた分 固有IDが一致した行が 既存レコードを更新 元に戻せません 手で直すしかない 怖いのは右側です しかも、上書きは画面上では静かに起きます 「何件を更新しました」という結果しか出ません 前の値が何だったかは、どこにも残りません

「更新」の件数が多いときは要注意

インポート後の結果画面には、作成された件数と更新された件数が出ます。新規リストを入れたつもりなのに「更新」の件数が多い場合、既存レコードに上書きが走っています。

ここで初めて気づくことが多いのですが、その時点ではもう戻せません。だから結果画面ではなく、取り込む前に予測しておく必要があります。

上書きが起きる条件:固有IDの優先順位

どういうときに上書きされるのか。ルールは明快です。固有IDが既存レコードと一致したときです。

オブジェクト 固有IDとして使われるもの
コンタクト メールアドレス(推奨)/レコードID
会社 ドメイン名(推奨)/レコードID
その他のオブジェクト レコードID

そして、ここが重要です。CSVにレコードIDの列を含めてマッピングすると、レコードIDが他の固有IDより優先されます。

レコードIDを入れるときがいちばん危ない

レコードIDは、HubSpot側で各レコードに振られている番号です。エクスポートしたCSVには、この列が入っています。

エクスポートしたファイルを編集して入れ直す、という作業はよくあります。このときレコードID列が残っていると、メールアドレスが違っていても、そのIDのレコードが確実に上書きされます。

行がずれた状態でこれをやると、AさんのデータがBさんのレコードに入ります。しかも戻せません。エクスポート由来のファイルを扱うときは、レコードID列を残すかどうかを意識的に決めてください。

カスタムプロパティーも固有IDにできます

自社の顧客番号のように、固有値の設定をしたカスタムプロパティーも固有IDとして使えます。基幹システムの番号で突き合わせたい場合はこれが便利です。

ただし、使うと決めた項目は途中で変えないでください。あるときはメールアドレスで、あるときは顧客番号で突き合わせると、同じ人が2件に分かれます。

取り込む前の5つのチェック

ここが本題です。5分かければ、ほとんどの事故は防げます。

チェック1:テスト用に1行だけのファイルを作る

いちばん効きます。本番のファイルから1行だけ抜き出したCSVを作り、先にそれを取り込んでください。

そのうえで、実際のレコードを開いて確認します。狙った項目に、狙った値が入っているか。別の項目に入っていないか。ここで気づけば、被害は1件で済みます。

チェック2:更新か新規かを予測する

取り込もうとしているファイルの中に、既存レコードと同じメールアドレス(会社ならドメイン)がどれだけ含まれているかを、事前に把握してください。

方法は簡単です。HubSpotからコンタクトをエクスポートして、取り込みたいファイルとメールアドレスで突き合わせます。表計算ソフトの照合関数で数分です。この件数が、上書きされる件数の見込みになります。

チェック3:列のずれを目視する

CSVを開いて、1行目の見出しと、2行目・最終行の値を並べて見てください。特に最終行です。途中で改行が混ざっていると、そこから下がずれます。

電話番号の列に住所が入っている、といったずれは、見出しだけ見ていても気づけません。実データを1行、端から端まで追ってください。

チェック4:バックアップをエクスポートしておく

取り込む前に、対象になりそうなレコードをエクスポートして手元に保存しておきます。これが唯一の「戻すための材料」です。

取り消し機能がない以上、元の値を持っているのは自分だけです。5分の手間で、最悪の事態を「手作業で戻せる状態」に変えられます。

チェック5:マッピング画面で全列を確認する

インポートの途中に、CSVの列とHubSpotのプロパティーを対応させる画面が出ます。ここを流さないでください。

似た名前のプロパティーに自動で割り当てられていることがあります。「電話番号」と「携帯電話番号」、「会社名」と「関連付けられた会社」。1列ずつ、目で追って確認してください。

チェックリストとして使ってください

確認すること 所要 防げる事故
1行だけのテストを通す 2分 ほぼすべて
更新になる件数を見積もる 3分 意図しない上書き
最終行まで列のずれを見る 1分 別人の項目に混入
対象をエクスポートして保存 2分 戻せない状態
マッピング画面を全列確認 2分 似た名前の項目に混入

合計10分です。数百件を手で直す時間と比べれば、比較になりません。急いでいるときほど、この10分を飛ばしたくなりますが、飛ばした回に限って事故が起きます。

空欄の扱いは、自分でテストしてから

よく聞かれるのが「CSVの列を空欄にしておいたら、既存の値は消えるのか、残るのか」という点です。

ここは公式ヘルプに明確な記載を見つけられませんでした。推測で書くとお使いの環境で食い違う可能性があるので、断定しません。

代わりに、確実な進め方を書きます。チェック1のテスト1行で、空欄の列を含めて試してください。取り込んだあとにレコードを開けば、消えたのか残ったのかが1分で分かります。自社の環境での挙動が、いちばん確かな根拠です。

そもそも不要な列は削っておく

迷ったら、更新したい列だけを残したCSVを作るのが安全です。関係のない列を持ち込まなければ、その項目が書き換わる心配はありません。

エクスポートしたファイルをそのまま編集して戻す、という進め方は手軽ですが、意図していない列まで一緒に投げ込むことになります。列を削る一手間を惜しまないでください。

よくある3つの事故パターン

実際に起きるパターンは、だいたい3つに集約されます。自分が当てはまらないかを確認してください。

パターン1:エクスポートしたファイルを編集して戻した

いちばん多い形です。HubSpotからコンタクトをエクスポートして、表計算ソフトで住所や役職を追記し、そのまま取り込む。

問題は、エクスポートしたファイルには関係のない列も全部入っていることです。編集していない列も一緒に投げ込むので、その間に元データ側が更新されていた場合、古い値で上書きされます。

たとえば、エクスポートした翌日に営業担当が電話番号を直したとします。その翌週に元のファイルを取り込むと、直した電話番号が古い番号に戻ります。誰も操作していないのに値が戻っている、という不可解な現象の正体はこれです。

対処は単純で、更新したい列と固有IDの列だけを残してから取り込むことです。

パターン2:文字コードで文字化けした

日本語のCSVでは定番の事故です。表計算ソフトで保存した形式によっては、日本語がそのまま文字化けした状態で取り込まれます。

厄介なのは、文字化けしていても「成功」として取り込まれる点です。エラーにならないので、レコードを開くまで気づけません。

これも1行テストで防げます。テストの1件を開いて、日本語が正しく表示されているかを見てください。文字化けしていたら、CSVを保存し直します。

パターン3:全角と半角が混ざっていた

メールアドレスや電話番号に全角文字が混ざっていると、固有IDとして一致しません。その結果、更新されるはずの行が、新しいレコードとして作られます。

見た目はほとんど同じレコードが2件並ぶことになります。上書き事故とは逆方向ですが、あとで統合する手間が発生する点では同じくらい面倒です。

取り込む前に、メールアドレスの列だけでも半角に統一しておいてください。表計算ソフトの関数で一括変換できます。前後の空白も同時に取り除いておくと確実です。

インポート履歴の見方

過去のインポートは記録が残っています。場所を知っておくと、事故の調査が早くなります。

  1. 設定から「データ管理」を開きます
  2. 「データ連携」に移動します
  3. 「ファイルのインポート」タブを開きます
  4. 一覧から、対象のインポート名をクリックします

詳細画面には、概要・エラー・レコードのタブがあります。「レコード」タブで、そのインポートで作られた(または更新された)レコードを一覧できます。これが事故後の復旧作業の起点になります。

コンタクト一覧からも絞り込めます

コンタクトのインデックスページで、詳細フィルターから「インポート」を探すと、特定のインポートに紐づくレコードだけを表示できます。

この絞り込みができるので、「あのとき入れた分だけをまとめて削除する」ことは可能です。ただし繰り返しになりますが、削除できるのは新規作成分だけです。

事故ったときの対処(順番があります)

まず、追加の操作を止める 2回目のインポートで悪化するのが定番です ↓ インポート履歴で更新件数を見る ここで取り返しがつくかが決まります 更新が0件 新規作成分だけです フィルターで絞り込み まとめて削除すれば復旧 更新がある 上書きが起きています 戻せるのは手元の エクスポートだけです バックアップが無ければ、影響範囲を特定して 関係者に共有し、手作業で直せる分から直します

それでも起きてしまったときのために、順番を書いておきます。

手順1:追加の操作を止める

まず、直そうとして別のインポートを走らせないでください。2回目のインポートで状況が悪化するのがよくある展開です。いったん手を止めます。

手順2:何が起きたかを数える

インポート履歴の詳細画面を開き、作成件数と更新件数を確認します。更新が0件なら、被害は新規作成分だけです。この場合は削除すれば元に戻ります。

手順3:新規作成分を削除する

コンタクト一覧の詳細フィルターで、そのインポートに絞り込みます。一覧を確認したうえで、まとめて削除します。絞り込みが正しいかを必ず目で見てから実行してください。

手順4:上書き分は手元のバックアップから戻す

更新が発生していた場合、戻す材料はチェック4でエクスポートしたファイルだけです。それを使って、正しい値で入れ直します。

バックアップを取っていなかった場合、戻せません。この場合は、影響範囲を特定して、関係者に共有したうえで、手作業で直せるところから直すしかありません。厳しいようですが、これが実情です。

会社との関連付けも確認してください

コンタクトのインポートでは、会社レコードとの関連付けも同時に起きることがあります。CSVに会社名やドメインの列が含まれていると、その値をもとに会社レコードが作られたり、既存の会社に紐づいたりします。

ここで表記ゆれがあると、同じ会社が複数作られます。「株式会社サンプル」「(株)サンプル」「サンプル」が別々の会社レコードになる、という具合です。

会社の突き合わせに使われるのはドメイン名なので、会社名ではなくドメインの列を入れておくほうが確実です。メールアドレスから機械的に作れるので、取り込み前に1列足しておいてください。

二度目を防ぐ運用

一度やってしまうと身にしみますが、仕組みにしておかないと再発します。3つだけ決めてください。

インポートは1人に絞る

複数人が思い思いに取り込む状態が、いちばん危険です。誰が実行するかを決めて、その人以外はファイルを渡す側に回ります。1〜10人の会社なら、これで十分に機能します。

「1行テスト」を手順書に書く

頭で覚えていると、急いでいるときに飛ばします。社内の手順書に「本番の前に1行だけ取り込む」と明記してください。たった1行の記載で、事故の確率がかなり下がります。

エクスポートを月次で回す

インポートの直前だけでなく、月に一度、コンタクトと会社をエクスポートして保存しておきます。これがあれば、インポート事故だけでなく、誤削除や誤編集にも備えられます。

ファイル1つを月初に書き出すだけです。かかる時間は3分で、いざというときの価値は計り知れません。

取り込んだ記録を1行だけ残す

もう1つ、負担が小さいわりに効くのがこれです。いつ、どのファイルを、何件、何の目的で取り込んだか。この4つを1行、メモやスプレッドシートに残してください。

おかしな値に気づくのは、たいてい数週間後です。そのとき「あのとき取り込んだやつかもしれない」と思っても、どのファイルだったかが分からないと調べようがありません。元のファイルさえ特定できれば、正しい値はそこに残っています。

インポート履歴の画面でも実行日は確認できますが、「何のために」だけは記録が残りません。半年後の自分に向けて、そこだけ書き足しておく。1行です。

まとめ

HubSpotのインポートは一方通行です。この前提に立って準備するのが、いちばん確実です。

  1. 一括の取り消しはありません。新規作成分は削除できますが、上書きされた値は戻りません
  2. 上書きは固有IDの一致で起きます。コンタクトはメールアドレス、会社はドメイン。レコードID列を含めると、そちらが優先されます
  3. 本番の前に1行だけ取り込む。これが最も効く対策です
  4. 取り込む前にエクスポートしておく。取り消し機能がない以上、元の値を持っているのは自分だけです
  5. 空欄の扱いは自社環境でテストして確かめる。公式ヘルプに明記がないので、推測で進めないでください

5分の準備で、数百件の手作業を避けられます。次にCSVを開くときは、まず1行だけのファイルを作るところから始めてください。

よくある質問(FAQ)

インポートを取り消すボタンはどこにありますか

ありません。公式ヘルプでも、既存レコードを更新したインポートについては、レコードを削除して正しい情報で入れ直すか、手作業でプロパティーを直す必要があるとされています。新規に作られたレコードは削除できます。

新規作成分だけをまとめて削除できますか

できます。コンタクト一覧の詳細フィルターで対象のインポートに絞り込むと、そのインポートで入ったレコードだけを表示できます。削除の前に、絞り込みが正しいかを目で確認してください。

CSVの列を空欄にすると、既存の値は消えますか

公式ヘルプに明確な記載を見つけられなかったため、断定は避けます。本番の前に1行だけのテストファイルで試し、自社の環境での挙動を確認してください。不要な列はそもそも削っておくのが安全です。

レコードIDの列は入れたほうがいいですか

確実に既存レコードを更新したいときは有効ですが、他の固有IDより優先されるため、行がずれていると別人のレコードを上書きします。エクスポートしたファイルを編集して戻すときは、この列を残すかどうかを意識的に決めてください。

インポートは無料版でも使えますか

使えます。インポート自体はすべての製品とプランで利用できます。関連付けラベルの設定だけProfessional以上です。

取り込んだあとに列のずれに気づきました

まず追加の操作を止めてください。直そうとして2回目のインポートを走らせると、状況が悪化します。インポート履歴で更新件数を確認し、0件なら新規作成分の削除で戻ります。更新が発生していた場合は、事前にエクスポートしたファイルから入れ直すしかありません。

参考にした公式ドキュメント

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