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HubSpotにタグ機能を探すと止まります|代わりになる3つの仕組みと、選び方

公開 2026年10月4日

黒い背景に吊るされた無地の荷札

他のツールから移ってくると、最初に探すのが「タグ」です。この顧客は紹介、この顧客は展示会。付箋を貼るように印を付けたい。

ところが、その名前の機能を探しても見つかりません。HubSpotでは、タグでやっていたことをプロパティーとリストで表現します。

名前が違うだけに見えますが、作り方を間違えると「あとから絞り込めない」状態になります。しかも、入力が積み上がってから気づきます。

この記事では、タグの代わりになる3つの仕組みと、どれを選ぶかの基準を扱います。

先に結論:3つのどれかに置き換えます

  1. 1件に複数付けたい → 「複数のチェックボックス」型のプロパティー。これがタグにいちばん近い形です
  2. 1件に1つだけ → 「ドロップダウン選択」型のプロパティー。選べる値は1つに限定されます
  3. 条件で自動的にまとまってほしい → リスト。人が付ける必要がありません

プロパティーの作成は、すべての製品とプランで行えます。ただし作れる数には上限があります。

前提:顧客に「タグを貼る」という機能を探すと止まります

タグという言葉は、ツールによって指すものが違います。メール配信ツールでは顧客に付ける印、ブログツールでは記事の分類、会計ソフトでは取引の区分です。

HubSpotで顧客の情報を扱うときは、「その人の属性を記録する箱」であるプロパティーと、「条件に当てはまる人の集まり」であるリストに分かれています。

名前の違いではなく、構造の違いです

タグは、1つの箱に好きな言葉をいくつでも放り込める仕組みです。自由度が高いぶん、同じ意味の言葉が別々に増えていきます。「展示会」「展示会2026」「展示会・春」が並ぶ、あの状態です。

プロパティーは、先に箱の種類と選択肢を決めます。手間は増えますが、あとから絞り込める状態が最初から保証されます。

「とりあえず印を付けたい」が危ない

いちばん多い失敗は、決めきれないまま1行テキストの項目を作り、そこに言葉を書き込んでいくやり方です。

最初はうまくいきます。ところが3か月後、「展示会で会った人だけに送りたい」と思ったときに、絞り込めません。表記が揃っていないからです。詳しくは後の章で書きます。

タグの代わりになる3つの仕組み

順番に見ていきます。公式のフィールドタイプの説明も併せて引きます。

1. 複数のチェックボックス

公式には「複数のオプションが含まれているチェックボックスを保存します」と説明されています。1件のレコードに、複数の値を同時に持たせられるのはこの型だけです。

タグに置き換えるなら、まずこれです。「紹介」「展示会」「広告」のうち、当てはまるものを複数選べます。

2. ドロップダウン選択

公式の説明は「複数のオプションを格納しますが、値として選択できるのは1つのオプションのみです」。選択肢は複数用意できるが、入る値は1つという型です。

「契約プラン」「案件区分」のように、どれか1つに決まるものはこちらです。複数選べると、かえって入力がぶれます。

3. リスト

人が印を付けるのではなく、条件を書いておくと自動的に集まる仕組みです。「過去90日以内にフォームを送信した人」のような集まりは、タグを付けて回る必要がありません。

タグでやろうとしていたことの半分は、実はリストで足ります。人の手が要るのは、記録に残っていない事実だけです。

どれを使うかの判断基準

迷ったら、次の順番で考えてください。

その情報は、記録から自動で分かるか フォーム送信、訪問、金額、日付など 分かる → リストで足ります(人は付けない) ↓ 分からない 1件に複数、同時に当てはまるか 紹介でもあり、展示会でもある 当てはまる → 複数のチェックボックス ↓ 1つだけ ドロップダウン選択 契約プラン、案件区分、担当エリアなど 1行テキストは選ばないでください

最初の問いがいちばん効きます

「それは記録から自動で分かることか」を先に聞いてください。ここで半分が消えます。

資料請求した人、料金ページを見た人、3か月連絡していない人。これらは全部リストで出ます。人がタグを付ける作業は要りません。

人が付けるのは「その場でしか分からない事実」だけ

残るのは、記録に出てこないものです。どこで知り合ったか、なぜ失注したか、紹介者は誰か。

この種類の情報は、そのときに入れないと永遠に分かりません。だから、入力してもらう項目はここに絞ります。絞るほど入力率が上がります。

いちばんやってはいけない入れ方

1行テキストの項目を作って、そこにカンマ区切りで書き込む。これが最悪の形です。

入れ方 あとで起きること
1行テキストに「展示会,紹介」 絞り込めない。表記が揃わない
複数のチェックボックスで2つ選択 どちらの条件でも絞り込める

人によって書き方が変わります

「展示会」「展示会・春」「展示会(東京)」。3人が入力すれば3通りになります。検索しても、全部は出てきません。

しかも、それに気づくのは件数が増えたあとです。100件たまってから選択式に移すのは、ほぼ手作業になります。

あとから型を変えるのも安全ではありません

フィールドタイプは変更できますが、公式には「既存のプロパティーのフィールドタイプを変更すると、保存されている現在の値が無効になることがある」と書かれています。変更前のエクスポートも推奨されています。

つまり、直せるが痛みを伴う。選択肢が3つ程度で想定できるなら、最初から選択式にしてください。

複数のチェックボックスを作る手順

作業そのものは5分で終わります。作業にはプロパティー設定の編集権限が必要です。

  1. 右上の設定アイコンを開きます
  2. プロパティーを選びます
  3. 上部の選択欄で、対象のオブジェクト(コンタクト・会社・取引)に切り替えます
  4. プロパティーを作成をクリックします
  5. グループ、ラベル、説明を入力します
  6. フィールドタイプで「複数のチェックボックス」を選びます
  7. 選択肢を入力して、作成して保存します

保存する前に内部名を見てください

ラベルを日本語で入れると、内部名が自動で作られます。内部名は作成後に変更できません。保存前に欄を開いて、読める名前になっているかを確認してください。10秒の確認で、あとの作り直しを防げます。

選択肢は最初に出し切る

あとから足せますが、運用が始まってから足すと、それ以前のデータに空欄が残ります。目安は3個から5個。「その他」を1つ入れておけば、想定外は吸収できます。

カスタムプロパティーには上限があります

ここは見落とされがちですが、運用に効きます。

公式ヘルプには、「作成できるカスタムプロパティーの数は、HubSpotサブスクリプションによって異なります」と明記されています。無制限ではありません。

プランを下げたときの挙動に注意

さらに重要なのがここです。プランを下げた場合について、公式は「既存のカスタムプロパティーを表示および編集することはできますが、すでに制限を超えている場合は新しいプロパティーを作成できません」と書いています。

つまり、作ったものは残るが、新しく作れなくなる状態が起こり得ます。上位プランで項目を増やしてから下げると、身動きが取りづらくなります。

だから「タグ感覚」で増やさない

タグの発想で項目を増やすと、上限に近づきます。1つの複数選択プロパティーに選択肢を持たせるほうが、項目を3つ作るより枠を消費しません。

「紹介フラグ」「展示会フラグ」「広告フラグ」と3つ作るのではなく、「初回接点の経路」という1つの項目に3つの選択肢を置く。同じことができて、消費は1つです。

他のツールからタグを移すとき

すでに別のツールでタグを運用している場合、移行の設計が必要です。順番を間違えると、移したあとに絞り込めません。

まず、タグの一覧を書き出して分類する

いきなり移さないでください。タグの一覧を出して、3つに仕分けます。

元のタグ 移し先
資料請求済み、サイト来訪 リスト(移さない)
紹介、展示会、広告 複数のチェックボックス
Aプラン、Bプラン ドロップダウン選択
2026春キャンペーン 静的リスト

日付や期間が名前に入っているタグは、プロパティーではなく静的リストに向きます。「そのとき誰がいたか」を残すのが目的だからです。

この仕分けをせずに全部を項目にすると、1年後に「2026春キャンペーン」「2026秋キャンペーン」という選択肢が延々と並ぶことになります。入力する人は、毎回その長い一覧から選ぶことになります。

移す順番も決まっています

仕分けが終わったら、次の順番で進めてください。先に受け皿を作り、あとから値を入れます。

  1. 移し先のプロパティーを作る(選択肢まで入力する)
  2. 元のツールからCSVを書き出す
  3. 1件だけ取り込んで、値の入り方を確認する
  4. 問題なければ全件を取り込む
  5. リストに移すものは、取り込み後に条件を組む

3つ目を飛ばす人が多いのですが、ここがいちばん効きます。1件で確かめれば、全件を流したあとの手戻りがなくなります。

取り込みは取り消せません

インポートで既存の値を上書きした場合、元の値は戻りません。本番の前に数件だけで試して、入り方を確かめてください。

複数選択の項目に複数の値を入れる場合、区切り文字の扱いが決まっています。取り込み画面の案内に従って、1件で試してから全件を流してください。ここを想像で進めると、値が1つの長い文字列として入ります。

人に付けるか、会社に付けるか

タグの感覚で作ると、ここを飛ばします。同じ「業種」という項目でも、人に付けるか会社に付けるかで、あとの使い勝手がまったく変わります。

会社に付けるもの 担当者が代わっても変わらない情報 業種、規模、地域、取引の有無 請求先、契約の区分 担当者が5人いても、1か所で済みます 人に付けるもの その人ごとに違う情報 役職、初回接点の経路、興味のある分野 配信の可否、言語 会社に付けると、個別の違いが消えます

判断は「変わるタイミング」で決まります

迷ったときは、その情報が変わる瞬間を想像してください。担当者が異動しても値が変わらないなら会社、担当者ごとに違うなら人です。

業種は会社のものです。担当者が3人いる会社で、3人それぞれに業種を入れると、同じ値を3回入力することになります。しかも、そのうち1件だけ直して、残り2件が古いまま残ります。

間違えると、あとから移せません

ここが痛いところです。プロパティーのオブジェクトタイプは、作成後に変更できません。人に作ってしまったものを、会社に付け替えることはできない。

直すには、会社側に新しく作り、値を移し、古いほうを消すことになります。件数が増えてからだと、それなりの作業です。作る前の1分で決めてください。

取引に付けるべきものもあります

3つ目の選択肢が取引です。案件ごとに変わるものは取引に付けます。失注理由、案件区分、次回アクション日などです。

同じ会社から2件目の相談が来たとき、1件目とは条件が違います。会社に付けていると、2件目で上書きされて1件目の情報が消えます。「1社につき1つ」か「案件ごと」かを、先に決めてください。

業種別:最初に作る項目の例

何から作ればいいか分からない、という段階の方向けに、3つの業種で例を挙げます。いずれも「記録から自動で分からない情報」だけに絞っています。

工務店・リフォーム

人に付けるのは「初回接点の経路」。複数のチェックボックスで、現場看板、紹介、ポータルサイト、ウェブ検索、の4つです。看板を見て検索した人は2つ付きます。だから複数選択が要ります。

取引に付けるのは「工事区分」と「失注理由」。工事区分はドロップダウンで、新築、増改築、修繕。失注理由に「時期が合わない」を入れておくと、半年後に見返すリストが作れます。

士業事務所

会社に付けるのは「関与区分」。ドロップダウンで、顧問、スポット、過去の関与先。過去の関与先という選択肢が効きます。一度離れた先は、案内を送る文面が変わるからです。

人に付けるのは「役職区分」。代表、経理、現場、の3つ程度で足ります。誰に何を送るかが、これで分かれます。

受託開発・制作会社

取引に付けるのは「引き合いの種類」。複数のチェックボックスで、新規開発、改修、保守、コンサル。1件の相談に複数含まれることが多い業種なので、単一選択では表せません。

会社に付けるのは「利用している技術」ではなく「決裁の形」。稟議が必要か、担当者の裁量で決まるか。これは記録に出てこないうえ、次回の進め方を大きく左右します。

共通しているのは「次の行動が変わるか」

3業種とも、選んだ項目はその値によって次にやることが変わるものです。逆に、知っていても行動が変わらない情報は作っていません。

項目を思いついたら、「この値が違ったら、自分は何を変えるか」と聞いてください。答えが出てこなければ、その項目は要りません。

増やしすぎないための運用

タグの運用が破綻する理由は、どのツールでも同じです。増やすのが簡単で、消すのが面倒だからです。

作る前に「月に1回使うか」を聞く

判断基準はこれだけで足ります。この項目がないと困る場面が、月に1回以上あるか。答えがノーなら作りません。

あったら便利そう、で作った項目は、最初の数件しか入力されません。そして空欄だらけの項目が画面に並び、他の項目まで入力されなくなります。

選択肢は年に1回見直す

使われていない選択肢は、入力の迷いを生みます。年に1回、各選択肢が何件に付いているかを数えてください。0件のものは消す候補です。

消す前に、その選択肢を条件にしたリストやレポートがないかを確認します。使用中のものを消すと、そちらが壊れます。

説明欄を必ず埋める

項目の説明欄に、誰が・いつ・何のために入れるかを1行書いてください。半年後、別の人がこの項目を見たとき、説明がなければ使い方が分かりません。

分からない項目は入力されず、入力されない項目は意味を失います。タグ的な項目ほど、この1行が効きます。

入力されない項目は、画面の問題であることが多い

作った項目が埋まらないとき、原因を「入力する人の意識」に求めがちです。ただ、実際にはレコードの画面に20個も項目が並んでいて、上から順に埋める気をなくしているだけ、というケースがほとんどです。

対処は、画面に表示する項目を絞ることです。よく使う項目だけを上に出し、残りは折りたたんでおく。この設定は変更できます。項目を消さなくても、見える数を減らすだけで入力率は上がります。

入力する人に「何に使うか」を伝える

もう1つ効くのが、その項目が何に使われるかを伝えておくことです。「初回接点の経路を入れておくと、広告を止めるかどうかの判断ができる」と一度説明するだけで、入力の質が変わります。

使い道の分からない項目は、埋められても値が雑になります。とりあえず「その他」が並ぶ状態は、入力されていないのとほぼ同じです。

まとめ

タグでやっていたことは、3つに分けて置き換えます。

  1. 記録から自動で分かることは、リストに任せます。人が印を付ける必要はありません
  2. 1件に複数当てはまるものは、複数のチェックボックス。タグにいちばん近い形です
  3. 1つに決まるものは、ドロップダウン選択。1行テキストは選ばないでください
  4. カスタムプロパティーの数には上限があります。項目を増やすより、選択肢を増やすほうが枠を使いません
  5. プランを下げると、上限を超えている場合は新規作成ができなくなります。増やす前に考えてください

最初に5分かけて型を決めれば、半年後に絞り込めます。タグの自由さは、あとで自由を奪います。

今すでに1行テキストで運用している場合も、件数が少ないうちなら移せます。今日の件数が、これから先でいちばん少ない件数です。気づいた日に手を付けてください。

よくある質問(FAQ)

HubSpotでタグを付けることはできますか

顧客の情報にタグという名前の機能を探すと見つかりません。同じことは「複数のチェックボックス」型のプロパティーで行えます。1件に複数の値を同時に持たせられるのは、この型です。

1行テキストに書いてしまいました。どうすればいいですか

新しく選択式のプロパティーを作り、値を移すのが確実です。フィールドタイプの変更もできますが、公式には「保存されている現在の値が無効になることがある」と書かれており、変更前のエクスポートが推奨されています。件数が少ないうちに移してください。

プロパティーはいくつまで作れますか

作成できるカスタムプロパティーの数は、契約しているプランによって異なると公式に記載されています。具体的な数は、公式の製品・サービスカタログで確認してください。

プランを下げると、作った項目は消えますか

消えません。公式には、既存のカスタムプロパティーは表示・編集できるが、すでに制限を超えている場合は新しいプロパティーを作成できない、と書かれています。

リストとプロパティー、どちらを先に作るべきですか

プロパティーが先です。リストは「プロパティーの値がこうなっている人」という条件で作るため、入れ物がないと条件を組めません。ただし、フォーム送信や訪問のように最初から記録される情報だけで足りるなら、プロパティーを作らずにリストだけで済みます。

HubSpotは無料で始められます

コンタクト管理・フォーム・メール配信・商談管理を1つにまとめたCRMプラットフォームです。プロパティーの作成とリストの作成は、無料ツールのみのアカウントでも行えます。プランごとの違いと料金は公式サイトでご確認ください。

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