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HubSpotの権限で最初に切るのは3つ|一括削除・インポート・エクスポート

公開 2026年10月14日

壁に並んだ白いスイッチ

人を招いたあと、何をどこまで触らせるか。この設定が権限です。

難しそうに見えますが、1〜10人の会社で本当に考えるべきなのは、取り消せない操作をどう扱うかだけです。

一括削除、インポート、エクスポート。この3つには、それぞれ独立した権限が用意されています。ここを押さえれば、あとは細かく設定しなくても回ります。

この記事では、最初に切るべき3つと、絞りすぎないための線引きを扱います。

先に結論:3つのスイッチだけ見てください

  1. 一括削除。リストやボードからまとめて消せる権限です
  2. インポート。取り込みは取り消せません。上書きも起きます
  3. エクスポート。持ち出しに関わる権限で、承認を挟む設定もあります

権限の設定自体は、すべての製品とプランで行えます。

前提:権限の設定は無料でもできます

公式ヘルプの冒頭は「すべての製品とプラン」です。無料ツールのみのアカウントでも、権限を設定できます。

ここが使えるのは大きい

この媒体で書いてきたとおり、見るだけの席は無料で人数の制限がありません。そこに権限の設定が組み合わさると、かなり柔軟な運用ができます。

外部の協力会社を招くとき、「全部見えてしまうから招けない」という制約がありません。必要な範囲だけを共有できます。

ただし、上位プラン向けの仕組みもあります

あらかじめ用意された型を割り当てる機能や、権限のまとまりを保存する機能は、上位プランの領域です。1〜10人の会社では、1人ずつ設定して問題ありません。

人数が少ないうちは、「誰にどの設定をしたか」をメモに残しておくだけで足ります。次の人を追加するときに、それを見ながら同じにすればいい。

最初に切るべきは「取り消せない3つ」

権限の項目は多いのですが、優先順位は明確です。取り消せない操作から順に考えてください。

1. 一括削除 リストやボードからまとめて消せます 誤操作の被害がいちばん大きい 2. インポート 取り込みは取り消せません 上書きされた値は戻りません 3. エクスポート 持ち出しに関わります 承認を挟む設定もあります

1. 一括削除

公式には、セグメント内やボードビューなどからコンタクトを削除できる専用のスイッチがあると記載されています。

この操作は、件数が多いほど被害が大きくなります。1件ずつ消すのと、300件をまとめて消すのは、事故の規模が違います。

1〜10人の会社なら、一括削除を持つのは1人か2人で十分です。日常の業務で必要になる操作ではありません。

2. インポート

公式には、CRMレコードの一括・単発のインポートを許可する独立した権限があると記載されています。

この媒体で以前扱ったとおり、インポートには取り消しがありません。上書きされた値は戻りません。

名刺の取り込みや名簿の移行は、担当を決めて、その人だけが実行する形にしてください。複数人が思い思いに取り込む状態が、いちばん危険です。

3. エクスポート

公式には、レコードとレポートのエクスポートについて、「承認なし」と「承認」のオプションがあると記載されています。

顧客情報の持ち出しに関わる操作です。退職が決まった人の権限を、ここだけ外すという使い方もできます。

疑うためではなく、あとから「誰が何を持ち出したか」を説明できる状態にしておくためだと考えてください。

とくに、顧客の個人情報を扱う業種では、この説明ができるかどうかが問われます。何も設定していない状態は、「誰でも持ち出せた」ということになります。

「表示」と「編集」の違い

基本になる2つの区別です。

公式には、「表示」はコンテンツを表示できるが作成や編集はできない、「編集」は作成・編集・削除の権限を与えると記載されています。

「編集」には削除が含まれます

ここを見落とす人が多い。編集を許すと、1件ずつの削除もできるということです。

一括削除だけが別のスイッチになっているのは、まとめて消す操作の影響が大きいからです。1件ずつの削除は、編集の一部として扱われます。

迷ったら「表示」から始める

あとから広げるのは簡単です。最初は表示だけにして、必要だと言われたら編集に上げる。

逆の順番だと、すでに触ってしまったものを戻す作業が発生します。

権限のカテゴリは6つ

設定画面は、大きく6つに分かれています。

カテゴリ 主な内容
CRM コンタクト・会社・取引の表示、編集、削除
マーケティング メール、セグメント、フォーム、ファイル
営業 テンプレート、シーケンス、見積
サービス フィードバック、ナレッジベース記事
レポート ダッシュボード、アナリティクス
アカウント ユーザー管理、設定の編集

最後の「アカウント」がいちばん重要です

ユーザーの追加や設定の変更が、ここに含まれます。ここを許すと、その人が他の人の権限も変えられます。

1〜10人の会社なら、アカウントの権限を持つのは代表者と実務の担当者の2人で十分です。

使っていない製品のカテゴリは、触らなくて構いません

サービス向けの機能を使っていないなら、その項目を細かく設定する意味はありません。使っている範囲だけを見てください。

スーパー管理者の扱い

公式には、スーパー管理者はすべてのアカウントツールおよび設定へのアクセス権が付与されると記載されています。

ただし、有料のSales HubまたはService Hubの機能は除くとも書かれています。それらを使うには、席の割り当てが必要です。

「スーパー管理者にすれば全部できる」ではありません

ここを誤解すると、「管理者なのに画面に出てこない」という相談になります。席の問題と、権限の問題は別です。

まず席が割り当たっているか。次に権限があるか。この順番で確認してください。

スーパー管理者は2人以上にする

この媒体で繰り返し書いていることですが、1人だけだとその人が辞めるときに詰まります。

代表者と、実務の担当者。この2人が持っている状態を基本にしてください。

見える範囲を3段階で絞る

表示の範囲は、対象ごとに3段階で選べます。

範囲 見えるもの 向いている場面
すべて 全件 少人数で全員が全体を見る
チームのもの 所属チームの担当分 部門が分かれている
自分のもの 自分の担当分 外部の協力者、業務委託

外部の人を招くときに効きます

前述のとおり、見るだけの席は無料です。そこに「自分のもの」を組み合わせると、担当分だけを共有できます。

広告の代理店に、その案件だけを見てもらう。他の顧客情報は見えません。この形なら、社外の人も安心して招けます。

少人数の会社では「すべて」で構いません

3人の会社で、3人が別々のものしか見えない状態にすると、誰かが休んだときに何も分かりません。

社内の人には、基本的に全体が見える状態にしておく。絞るのは、社外の人と、明確に分ける理由がある場合だけです。

1〜10人の会社での設計

ここまでを踏まえた、実際の設計例です。3つの型で足ります。

型1:代表者・実務の中心者

スーパー管理者。すべての操作ができます。人数は2人。

この2人だけが、ユーザーの追加、設定の変更、一括削除、インポートを行います。

2人にする理由は、1人だと不在のときに何も進まないからです。3人以上にすると、今度は誰が何を変えたかが追いにくくなります。

型2:社内の担当者

CRMの表示と編集は「すべて」。アカウントの設定には入れない。一括削除とインポートはオフ。

日々の業務は全部できて、取り返しのつかない操作だけができない状態です。これが、いちばん人数の多い型になります。

型2の人数が、いちばん多くなります

実際に運用してみると、社員のほとんどがこの型に入ります。そして、この型でも日々の業務は何も困りません。

顧客を登録する、記録を書く、リストを作る、メールを送る。ここまで全部できます。できないのは、まとめて消すことと、取り込むことだけです。

「権限を絞られた」という感覚を持たれにくいのも、この型の利点です。日常の操作で壁に当たらないからです。

型3:社外の協力者

見るだけの席。表示の範囲は「自分のもの」または必要な範囲のみ。エクスポートはオフ。

契約の終了日に無効化する、と決めておいてください。外部の人は、退職のような区切りがありません。

絞りすぎると仕事が止まります

ここは、バランスの話です。

「保存できない」が頻発します

慎重になりすぎて権限を絞ると、編集しようとして保存できない場面が増えます。そのたびに管理者が呼ばれます。

結局、管理者の手間になります。そして、現場は記録を残さなくなります。面倒だからです。

記録されないほうが、リスクが大きい

権限を絞る目的は、事故を防ぐことです。ところが、絞りすぎると記録そのものが残らなくなります。

顧客とのやりとりが個人のメールにしか残っていない状態。これは、誤操作より大きな損失です。

絞るのは「設定画面」と「取り消せない3つ」だけ

この線引きが現実的です。日々の業務データは触れるようにしておいてください。

全員が全部を触れる状態でも、1〜10人の会社で実害が出ることは、あまりありません。困るのは、記録が残らないことのほうです。

設定する手順

画面の操作自体は短時間で終わります。迷うのは、どこを触るかだけです。

1 対象の人を開く 設定からユーザーとチームへ ↓ 2 取り消せない3つを決める 一括削除・インポート・エクスポート ↓ 3 本人の画面で確認してもらう 管理者の画面では全部見えています 3人分でも15分で終わります

1. 設定からユーザーの一覧を開く

右上の設定アイコンから、ユーザーとチームの画面に入ります。一覧から、設定したい人を選びます。

このとき、一覧の権限の列をざっと眺めてください。誰がどのくらい持っているかが、この画面で分かります。

2. 取り消せない3つを決める

細かい項目を上から順に見ていくと、時間がかかります。まず3つだけ決めてください。

それ以外は、既定のままで構いません。あとから必要に応じて調整すればいい。最初に完璧を目指すと、設定作業で止まります。

3. 本人に開いてもらう

これを省かないでください。管理者の画面では、すべてが見えています。

設定した相手に開いてもらって、必要なものが見えるかを確認する。2分で終わりますし、ここでほとんどの設定ミスが見つかります。

事故が起きたあとに見るところ

権限を設定していても、事故は起きます。そのときに何を見るかを、先に知っておいてください。

変更履歴を見る

レコードの項目には、変更の履歴が残ります。いつ、誰が、何をどう変えたか。

「金額が違う」「担当者が変わっている」という指摘が来たとき、ここを見れば経緯が分かります。記憶に頼らずに済みます。

インポートの履歴を見る

値がおかしくなっているときは、取り込みを疑ってください。いつ、誰が、どのファイルを取り込んだかが残っています。

この媒体で以前書いたとおり、取り込んだファイルが特定できれば、正しい値はそこにあります。

責める前に、仕組みを直す

事故が起きたとき、やってしまった人を責めても再発は防げません。その人がその操作をできる状態だったこと自体を、設定で直してください。

一括削除を持っていた。インポートができた。権限を見直せば、同じ事故は二度と起きません。

設定したあとに確認すること

設定して終わりにしないでください。

本人の画面で確認する

管理者の画面では、すべてが見えています。設定した相手に、実際に開いてもらってください。

見えるべきものが見えているか。触れないはずのものに入れないか。2分で終わります。

新しい人を追加したときに、毎回見直す

人が増えると、既存の設定が実態と合わなくなります。追加のたびに、全員の設定を一覧で眺めてください。

とくに、退職した人が権限を持ったままになっていないか。ここは必ず確認してください。

設定を変えたら、本人に伝える

黙って権限を狭めないでください。ある日突然、できていた操作ができなくなります。

本人は「壊れた」と思って時間を使います。そして、管理者に聞きにきます。伝えておけば発生しなかった時間です。

伝え方も大事です。「信用していないから」ではなく、「取り消せない操作なので、実行する人を絞っています」と、理由を機能の側に置いてください。

実際、そのとおりです。個人を疑う話ではなく、戻せない操作を戻せる人数に限るという設計の話です。

半年に一度、棚卸しする

ユーザーの一覧を開いて、権限の列を見る。5分で終わります。

「この人、まだ一括削除を持っている」に気づけるのは、この5分だけです。

棚卸しの日は、更新日の確認と同じ日にまとめてしまうと忘れません。席の数、権限、使っていないユーザー。この3つを一度に見る日を、年に2回だけ作ってください。

業種別:どこを絞るか

絞るべき場所は、扱っている情報の性質で変わります。3つの業種で例を挙げます。

士業事務所

いちばん絞るべきはエクスポートです。顧問先の情報は、そのまま持ち出せる形にしておくべきではありません。

職員が増えたときも、エクスポートは代表者だけという形が現実的です。日常の業務で書き出す必要は、ほとんどありません。

逆に、表示の範囲は絞らないほうがいい。誰が休んでも、他の人が対応できる状態のほうが、顧問先にとっての価値が高いからです。

工務店・リフォーム

ここで絞るべきは、一括削除とインポートです。協力業者や職人を招くことがあるためです。

現場の進行を共有するために招いた人が、誤ってまとめて消してしまう。悪意がなくても起こります。

招く相手が社外なら、見るだけの席と、必要な範囲の表示で十分です。編集が必要な場面は、思ったより少ない。

受託開発・制作会社

外部の協力者が多い業種なので、表示の範囲を「自分のもの」にする使い方が効きます。

案件ごとに人が入れ替わるので、契約終了の日に無効化する運用を、権限の設定とセットで決めてください。

そして、退職や契約終了が決まった時点で、まずエクスポートだけ外す。他の権限はそのままでも、これだけで説明できる状態になります。

共通しているのは「社外の人がいるかどうか」

3業種とも、絞る理由は社外の人の存在です。社内だけで使っている会社なら、設定画面と取り消せない3つだけで足ります。

まとめ

権限は、細かく設定するものではありません。

  1. 権限の設定は、すべての製品とプランで行えます。無料でも使えます
  2. 最初に切るのは一括削除、インポート、エクスポートの3つ。取り消せない操作です
  3. 「編集」には削除が含まれます。迷ったら表示から始めてください
  4. スーパー管理者でも、有料機能には席が必要です。権限と席は別の話です
  5. 絞りすぎると記録が残らなくなります。設定画面と取り消せない3つだけで足ります

目的は、疑うことではありません。戻せない操作を、戻せる人数に限ることです。

今日やるなら、ユーザーの一覧を開いて、一括削除とインポートを持っている人を数えてください。3人以上いるなら、そこが最初に手を入れる場所です。10分で終わります。

よくある質問(FAQ)

無料版でも権限を設定できますか

できます。公式ヘルプの対象は「すべての製品とプラン」です。見るだけの席が無料で人数無制限であることと組み合わせると、必要な範囲だけを共有する運用が無料で組めます。

最初に何を設定すればいいですか

一括削除、インポート、エクスポートの3つです。いずれも独立した権限が用意されています。取り消せない操作なので、持つ人を限ってください。

「編集」を許すと削除もできますか

できます。公式には、編集は作成・編集・削除の権限を与えると記載されています。まとめて消す一括削除だけが、別のスイッチになっています。

スーパー管理者にすれば全部できますか

できません。公式には、スーパー管理者はすべてのアカウントツールと設定にアクセスできるが、有料のSales HubまたはService Hubの機能は除くと記載されています。それらには席の割り当てが必要です。

社外の人に一部だけ見せられますか

できます。表示の範囲を「自分のもの」に絞れば、担当分だけが見えます。見るだけの席は無料で人数の制限がないため、外部の協力会社を招く用途にも使えます。

権限を狭めるとき、本人に伝えるべきですか

伝えてください。黙って狭めると、本人は「壊れた」と思って時間を使い、結局管理者に聞きにきます。伝え方は「取り消せない操作なので、実行する人を絞っています」と、理由を機能の側に置いてください。個人を疑う話ではありません。

事故が起きたら何を見ればいいですか

レコードの変更履歴と、インポートの履歴です。いつ、誰が、何をどう変えたかが残っています。そして、やってしまった人を責めても再発は防げません。その人がその操作をできる状態だったこと自体を、権限で直してください。

どこまで絞るべきですか

設定画面と、取り消せない3つだけで足ります。絞りすぎると「保存できない」が頻発し、現場が記録を残さなくなります。記録が残らないほうが、誤操作より大きな損失になります。

参考にした公式ドキュメント

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