
データを書き出す作業は、普段は必要ありません。ところが、必要になる場面は必ず来ます。
取り込みの前の保険。プランを下げる前の控え。会計との突き合わせ。そして、何かを消してしまったあとの復元です。
ここで知っておくべき仕様が1つあります。書き出したファイルのダウンロードリンクは、30日で有効期限が切れます。
この記事では、手順と上限、そして月1回の型にする方法を扱います。
先に結論:3つだけ押さえてください
- ダウンロードのリンクは30日で失効します。届いたらすぐ保存してください
- 関連付けの列は、1列あたり最大1,000件です。それ以上は入りません
- 24時間で最大300回、同時に3つまで。実務で当たる上限ではありません
対象はすべての製品とプラン。ただしエクスポートの権限が必要です。
前提:ダウンロードのリンクは30日で切れます
公式には、エクスポートしたファイルのダウンロードリンクについて「30日後に有効期限が切れます」と記載されています。
「書き出した=保存した」ではありません
ここが、いちばん誤解されるところです。エクスポートを実行しただけでは、手元には何も残っていません。
届いたリンクからダウンロードして、自社のどこかに保存して、はじめて控えになります。
バックアップのつもりが、何も残っていない
実際に多いのがこのケースです。「毎月エクスポートしています」と言う会社で、ファイルがどこにあるか聞くと、誰も答えられない。
メールのリンクを開いていないか、開いてダウンロードしたが、その人のパソコンの一時フォルダに入ったまま。どちらも、いざというときに使えません。
保存先を先に決めてください
共有のフォルダに、年月のフォルダを作る。そこに置くまでを1つの作業にしてください。
「エクスポートする」ではなく「エクスポートして、共有フォルダに置く」。手順書には、この形で書いてください。
エクスポートの手順
公式の手順に沿って書きます。操作自体は短時間で終わります。
- 書き出したいレコードの種類に移動します(コンタクト、会社、取引など)
- 対象のビューを開きます
- 一覧またはボードの画面から、エクスポートを選びます
- ファイル形式、ファイル名、列見出しの言語を指定します
- 含める項目を選びます
- 実行すると、ダウンロードのリンクがメールで届きます
権限がないと、この選択肢が出てきません
公式には、エクスポートの権限が必要と記載されています。メニューにエクスポートが見当たらない場合は、まず権限を確認してください。
前の記事で書いたとおり、エクスポートは独立した権限です。編集ができても、書き出しはできない設定になっていることがあります。
列見出しの言語を選べます
見落とされがちですが、列の見出しを日本語にするか英語にするかを選べます。
社内で共有するなら日本語、外部のツールに取り込むなら英語。取り込み先が決まっているなら、そちらに合わせてください。あとから直す手間が消えます。
含める項目は絞ってください
全項目を選ぶと、列が数十本のファイルになります。開いた人が、どの列を見ればいいか分かりません。
目的に合わせて選ぶ。バックアップなら多めに、会計との突き合わせなら必要な列だけ。
迷ったときの基準は、そのファイルを開く人が誰かです。自分だけが見るなら多くても構いません。他の人に渡すなら、必要な列だけに絞ってください。
ファイル形式の選び方
公式には、CSV、XLSX、XLSから選べると記載されています。
| 形式 | 向いている用途 |
|---|---|
| CSV | 他のツールへの取り込み、保管 |
| XLSX | そのまま表計算ソフトで開いて作業する |
| XLS | 古い環境との互換が必要な場合 |
保管が目的ならCSVです
形式が単純なので、数年後でも開ける可能性が高い。バックアップの用途では、これがいちばん安全です。
ただし、日本語の文字化けに注意
CSVを表計算ソフトでそのまま開くと、日本語が化けることがあります。これはHubSpot側の問題ではなく、開くソフト側の文字コードの扱いによるものです。
化けた場合は、インポート機能から文字コードを指定して読み込むか、XLSX形式で書き出し直すのが早い。慌てて「データが壊れた」と判断しないでください。
関連レコードは1,000件までです
公式には、「関連付け列あたり最大1,000件の関連付けられたレコードIDと関連付けられたレコード名が含まれます」と記載されています。
大きな会社に、担当者が1,000人いる場合
その会社のレコードを書き出したとき、紐づく担当者は1,000件までしか入りません。
1〜10人の会社が相手にする規模では、ここに当たることはまずありません。ただし、仕組みとして上限があることは知っておいてください。
逆から書き出すという方法
会社側から担当者を追うのではなく、コンタクト側を書き出して、会社名の列で並び替える。こちらなら上限に当たりません。
何を主にして書き出すか。目的によって、開始点を変えてください。
件数が多いとファイルが分かれます
公式には、1,000,000行を超えるCSVまたはXLSX、65,535行を超えるXLSは、複数のファイルになると記載されています。
XLSの6万行は、意外と近い
100万行に当たる会社は、まずありません。ただ、XLS形式の6万5千行台は、履歴系のデータで到達することがあります。
とくに、活動の記録やメールの送信履歴。数年分を書き出すと、案外すぐ届きます。
分かれたことに気づかない事故
ファイルが2つに分かれているのに、1つしか保存していない。これが、バックアップとしていちばん怖い形です。
届いたメールに複数のリンクがある場合は、全部をダウンロードしてください。1つ目だけ開いて終わりにしないこと。
回数にも上限があります
公式には、「24時間以内に最大300回のエクスポート、および最大3つのエクスポートを同時に完了できます」と記載されています。
実務で当たる数字ではありません
1日に300回書き出す会社は、ほぼないはずです。この上限は、気にしなくて構いません。
むしろ知っておくべきは、同時に3つまでという点です。大きなファイルを一度に4つ流そうとすると、順番待ちになります。
大量に書き出す日は、時間に余裕を見る
移行や棚卸しの日に、いくつも書き出すことがあります。その日は、処理を待つ時間を見込んでおいてください。
書き出しの実行から、メールが届くまでにも時間がかかります。件数が多いほど遅くなります。退勤直前に実行すると、リンクを保存しないまま帰ることになります。
月1回のバックアップを型にする
ここが、この記事でいちばん実務的な部分です。
書き出すのは3つで足ります
コンタクト、会社、取引。この3つがあれば、たいていの場面で復元できます。
すべてを書き出そうとすると、月次では続きません。3つに絞って、5分で終わる形にしてください。
実行する日を決める
「月初に」と書きましたが、もう少し具体的にしてください。毎月1日は休みのこともあります。
おすすめは、毎月の最初の営業日の朝です。前月が締まった直後なので、数字としても区切りがいい。
そして、この作業は他の月初の仕事とまとめてください。請求の確認、前月の数字の確認、バックアップ。3つ並べて15分の枠にすると、単独でやるより続きます。
3世代だけ残す
12か月分をためても、実際に見返すのは直近の1つか2つです。
3世代を目安に、古いものは消す。保管場所が増えると、どれが最新かが分からなくなります。
「やった日」を記録する
フォルダ名に年月を入れておけば、それが記録になります。やっていない月が、一目で分かります。
2か月空いていたら、その間に何かあっても戻せません。空白が見える形にしておくことが、続ける仕組みです。
取り込む前のエクスポートが、いちばん効きます
月次のバックアップより、さらに重要な場面があります。
インポートの直前
この媒体で繰り返し書いているとおり、取り込みには取り消しがありません。上書きされた値は戻りません。
だから、取り込む直前に、対象のレコードを書き出してください。これが唯一の復元手段になります。
1,000件を取り込むなら、その1,000件が含まれる範囲を先に書き出す。3分で終わります。
プランを下げる前
有料機能で作ったレポートや設定は、下げると使えなくなります。数字そのものより、どういう切り口で見ていたかが失われます。
下げる前に、レコードを書き出し、レポートは画面ごと保存しておく。「あとで戻すかもしれない」と思っているなら、必ずやってください。
担当者が辞める前
退職の前に、その人が担当していたレコードを書き出しておく。引き継ぎの資料として使えます。
ただし、退職者本人にエクスポートさせないでください。持ち出しと区別がつかなくなります。管理者が実行して、共有フォルダに置く形にしてください。
書き出したファイルで何ができるか
バックアップ以外にも、使い道があります。月次の書き出しを、そのまま分析に使えます。
1. 件数の推移を見る
いちばん簡単な使い方です。先月のファイルと、今月のファイルの行数を比べるだけ。
コンタクトが増えていないなら、その月は新しい接点が作れていません。取引の行数が増えていないなら、商談が生まれていない。
レポート機能を使わなくても、この2つは分かります。表計算ソフトの行数を見るだけです。
2. 入力の抜けを見つける
列ごとに、空欄がどれだけあるかを数えてください。半分以上が空いている項目は、リストにもレポートにも使えません。
この媒体で繰り返し書いているとおり、空欄だらけの項目は、あってもないのと同じです。入力されない理由を考えるか、項目を消すかを判断してください。
3. 重複を見つける
重複を自動で見つける画面は上位プランの機能ですが、書き出したファイルを会社名やメールアドレスで並び替えれば、同じものが隣同士に並びます。
目視で探せる件数のうちは、この方法で十分です。見つけたら、画面に戻って統合してください。
ファイル上で直して取り込み直す、という方法は取らないでください。統合ではなく上書きになり、履歴が分かれたまま残ります。
戻すときの手順
書き出したファイルから復元する場面の話です。ここで焦ると、二次被害が出ます。
まず、何が変わったかを特定する
いきなり全件を取り込み直さないでください。上書きが広がって、正しいものまで壊れます。
変更履歴を見て、いつ、どの範囲が変わったかを確認する。戻すのは、その範囲だけです。
レコードIDを使って戻す
書き出したファイルには、レコードを識別するIDの列が含まれています。このIDと、戻したい項目だけの列でファイルを作ってください。
全列を含めて取り込むと、変わっていない項目まで上書きされます。必要な列だけに絞るのが、いちばん安全です。
1件で試してから、全件を流す
この手順は、取り込みの記事でも書いたとおりです。復元の場面でも同じです。
そして、復元が終わったら、もう一度書き出してください。直後の状態を控えておくと、次に何かあったときの起点になります。
1件だけ戻して、値が期待どおりに入っているかを確認する。焦っているときほど、この1件を省きたくなります。そこで二次被害が起きます。
書き出したファイルの扱い
書き出したあとの管理も、決めておく必要があります。
顧客情報が入ったファイルです
当然ですが、中身は顧客の個人情報です。個人のパソコンのデスクトップに置いたままにしないでください。
共有フォルダに置き、アクセスできる人を限る。ここまでが1つの作業です。
メールで送らない
「確認してください」と言って、書き出したファイルをメールに添付する。これが、いちばん多い漏えいの形です。
送り先を間違えれば、それで終わりです。共有フォルダのリンクを送るか、その場で一緒に画面を見てください。
不要になったら消す
取り込みの保険で書き出したファイルは、問題がないと確認できた時点で消して構いません。
残しておく理由がないファイルを置き続けると、どれが必要なものか分からなくなります。月次のバックアップとは、置き場所を分けてください。
目安として、一時的な書き出しは「作業用」のフォルダに入れて、四半期に一度まとめて消す。この形にしておくと、判断に迷いません。
アカウント全体の書き出しもできます
レコードの書き出しとは別に、アカウントのコンテンツとデータをまとめて書き出す機能も用意されています。
使う場面は限られます
日常のバックアップには向きません。解約する前、別のツールへ移る前、といった区切りの場面で使うものです。
月次の控えは、この記事で書いたとおり、コンタクト・会社・取引の3つで足ります。全体を毎月書き出そうとすると、続きません。
解約の前には、必ず検討してください
以前の記事で書いたとおり、解約しても無料ツールに移行するだけで、データは消えません。ただし、アカウントそのものを削除すれば消えます。
削除まで進むなら、その前に全体を書き出しておく。数年分のやりとりの記録は、あとから作り直せません。
移行する場合は、先に受け皿を確認する
別のツールへ移す予定があるなら、移し先がどの形式を読めるかを先に確認してください。
書き出してから「この形式は読めない」と分かると、もう一度書き出すことになります。受け皿を見てから、形式を選ぶ。この順番です。
まとめ
エクスポートは、使う場面が来るまで価値が分かりません。
- ダウンロードのリンクは30日で失効します。書き出しただけでは、手元に何も残りません
- 対象はすべての製品とプラン。ただしエクスポートの権限が必要です
- 関連付けの列は1列あたり1,000件まで。件数が多いとファイルが分かれます
- 月1回、3つだけ書き出して共有フォルダに置く。5分で終わります
- 取り込みの直前の書き出しが、いちばん効きます。これが唯一の復元手段です
必要になったときには、もう書き出せません。消えたあとに書き出すことは、できないからです。
今日やるなら、コンタクトを1回書き出してみてください。メールが届くまでの時間、ファイルの中身、列の並び。一度やっておけば、本当に必要になった日に迷いません。
よくある質問(FAQ)
無料版でもエクスポートできますか
できます。公式ヘルプの対象は「すべての製品とプラン」です。ただし、エクスポートの権限が必要と記載されています。メニューに選択肢が出てこない場合は、権限を確認してください。
書き出したファイルはどこにありますか
ダウンロードのリンクがメールで届きます。そのリンクは30日後に有効期限が切れると記載されています。エクスポートを実行しただけでは手元に何も残らないため、届いたらすぐ保存してください。
ファイル形式は何を選べばいいですか
CSV、XLSX、XLSから選べます。保管が目的ならCSVが安全です。形式が単純なので、数年後でも開ける可能性が高くなります。そのまま表計算ソフトで作業するならXLSXが扱いやすい形式です。
ファイルが2つに分かれて届きました
件数が多い場合の仕様です。公式には、1,000,000行を超えるCSVまたはXLSX、65,535行を超えるXLSは複数のファイルになると記載されています。1つ目だけ保存して終わりにしないでください。
1日に何回まで書き出せますか
24時間以内に最大300回、同時に最大3つまでと記載されています。実務で当たる数字ではありませんが、大量に書き出す日は、順番待ちと処理時間を見込んでおいてください。
CSVを開いたら日本語が文字化けしました
データが壊れたわけではありません。開くソフト側の文字コードの扱いによるものです。表計算ソフトのインポート機能から文字コードを指定して読み込むか、XLSX形式で書き出し直すのが早い方法です。
エクスポートしたファイルをメールで送ってもいいですか
やめてください。中身は顧客の個人情報です。送り先を間違えれば、それで終わりです。共有フォルダに置いてリンクを送るか、その場で一緒に画面を見てください。また、退職予定者本人にエクスポートさせるのも避けてください。持ち出しと区別がつかなくなります。
バックアップとして何を残せばいいですか
コンタクト、会社、取引の3つで足ります。月初にこの3つを書き出して共有フォルダに置き、3世代だけ残す。かかる時間は月に5分です。すべてを書き出そうとすると、月次では続きません。
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