
メールの配信停止は、一度されるとこちらの操作では戻せません。本人に戻してもらうしかない、というのは以前に書いたとおりです。
その前提で効いてくるのが、配信カテゴリーです。お知らせ、案内、事例。種類を分けておけば、相手は1つだけを止められます。
分けていなければ、選択肢は「全部受け取る」か「全部止める」かの2つだけ。1通が気に入らなかっただけで、すべての接点が切れます。
この記事では、分け方と作る手順を扱います。
先に結論:分ける目的は「全停止を防ぐこと」です
- 対象はMarketing HubのStarter以上、またはContent HubのProfessional以上。無料では作れません
- コンタクトは、カテゴリーごとに個別に解除できます。1つ止めても他は残ります
- 最大1,000件まで作れますが、3つで足ります。増やすほど選ばれません
配信停止そのものは、こちらの操作では戻せません。だから、止められる範囲を狭くしておきます。
前提:無料では作れません
公式ヘルプの冒頭には、対象としてMarketing HubのStarter、Professional、Enterprise、そしてContent HubのProfessional、Enterpriseが挙げられています。
無料ツールのみのアカウントでは、この設定がありません
つまり、無料の状態で送っているメールは、止められるときに全部が止まります。
件数が少ないうちは問題になりません。ただ、配信を本格的に始めるなら、この制約は知っておいてください。
送信ドメインと同じ線引きです
以前の記事で書いたとおり、送信ドメインの接続もStarter以上でした。メール配信を本格的にやるなら、同じ線の上にあります。
配信を仕組みとして回すつもりなら、この2つはセットで考えてください。片方だけ整えても、片方が欠けます。
分けておくと「全部停止」を防げます
この機能の価値は、1点に尽きます。
公式には、コンタクトが配信設定のページで個別に配信解除済みの状態に変更できると記載されています。
分けていない場合に起きること
月に1回のお知らせと、年に2回のセミナー案内を、同じ扱いで送っているとします。
セミナーに興味がない人が、案内を受け取って「配信停止」を押す。この瞬間、月次のお知らせも届かなくなります。
そして、この媒体で書いたとおり、こちらの操作では戻せません。本人に戻してもらうしかない。
分けていれば、1つだけが止まります
セミナー案内のカテゴリーだけを解除できれば、月次のお知らせは届き続けます。
相手にとっても、こちらにとっても、合理的な結果です。「興味のないものだけ止める」という選択肢を、こちらから用意できます。
止める理由の多くは「内容が合わない」だけ
会社そのものが嫌われて止められることは、実はあまりありません。多くは、その1通が自分に関係なかっただけです。
だから、分けるだけで防げる。相手の意思は「この種類は要らない」であって、「この会社から何も要らない」ではないことが多い。
作る手順
公式の手順に沿って書きます。
- 右上の設定アイコンをクリックします
- 左のメニューから、マーケティングのEメールを開きます
- サブスクリプションタイプのタブをクリックします
- 配信カテゴリーを作成、をクリックします
- 言語、名前、説明を入力します
- データプライバシーの設定が有効な場合は、追加の項目を設定します
説明の欄が、相手に見えます
ここが重要です。入力した説明は、相手が配信設定のページを開いたときに表示されます。
社内向けのメモを書く欄ではありません。相手が「これは受け取りたい」「これは要らない」を判断する材料になります。
作る前に、何を分けるかを決めてください
画面を開いてから考えると、思いつきで増えます。紙に3つ書いてから、設定画面に入ってください。
書くときの順番も決まっています。いちばん止められたくないものを1つ目に、いちばん止められてもいいものを2つ目に。この順で考えると、迷いません。
いくつ作るか:3つが上限の目安
公式には、1つのアカウントで最大1,000件まで作成できると記載されています。
ただし、増やすほど選ばれません
相手の画面に10個のチェックボックスが並んだら、読まずに「すべて解除」を押されます。
細かく分けるのは、管理する側の都合です。受け取る側にとっては、選択肢が増えるほど面倒になります。
「送る側の分類」で分けないでください
よくある失敗が、社内の部署や担当者で分けてしまうことです。営業部からのメール、サポート部からのメール、というふうに。
相手にとって、こちらの組織図は関係ありません。受け取る側が判断できるのは、内容の種類だけです。
同じように、配信のツールや手段で分けるのも意味がありません。「何が届くか」で分けてください。
3つが実務の上限です
1〜10人の会社なら、3つで足ります。4つ目を作りたくなったら、既存のどれかに含められないかを考えてください。
分けるべきかどうかの基準は1つ。「この2つを、別々に止めたい人がいるか」です。いないなら、分ける必要はありません。
1〜10人の会社での分け方
具体的な3つを挙げます。
1. お知らせ
営業時間の変更、年末年始の案内、サービスの仕様変更。相手にとって、知らないと困る内容です。
説明欄には「サービスのご利用に関わる重要なお知らせをお送りします」のように書きます。止める理由がない内容だと分かれば、残ります。
2. 案内・キャンペーン
セミナー、新しいサービス、値引きの案内。いちばん止められやすいカテゴリーです。
それでいい、と考えてください。このカテゴリーが止められることで、1つ目が守られます。逃がす場所を作るのが目的です。
3. 事例・お役立ち
導入事例、業界の動き、実務のノウハウ。売り込みではない内容です。
意外と解除が少ないのがこのカテゴリーです。読み物として価値があれば、止める理由がありません。
アーカイブは、使うと戻ってきます
仕様として知っておくべき点です。
公式には、カテゴリーはアーカイブできるが、1対1のメール送信などで使用すると「自動的にアーカイブから復元される」と記載されています。
「消した」つもりが、戻ります
使わなくなったカテゴリーをアーカイブしても、どこかでそのカテゴリーを指定してメールを送れば、復活します。
整理したはずの一覧に、また出てくる。アーカイブは「完全に消す」操作ではないと理解してください。
整理するなら、使っている場所も探す
アーカイブする前に、そのカテゴリーを使っている設定がないかを確認してください。テンプレート、自動化、1対1のメールの既定値。
使っている場所が残ったままアーカイブしても、いずれ戻ってきます。先に使用箇所を切り替えてから、アーカイブしてください。
名前と説明の書き方
相手に見える文章なので、ここに時間をかける価値があります。
名前は、受け取る側の言葉で
「メルマガA」「配信タイプ1」のような社内の呼び方を、そのまま出さないでください。相手には意味が分かりません。
「サービスに関するお知らせ」「イベントのご案内」。読んだだけで中身が分かる名前にしてください。
説明には「頻度」を書く
これが効きます。「月に1回程度」「年に数回」と書いておくと、解除の判断が変わります。
どれくらい届くか分からないものは、とりあえず止めておこうと判断されます。頻度が書いてあれば、その負担を想像できます。
売り込みの言葉を入れない
説明欄は、受け取るかどうかを判断する場所です。ここで売り込むと、警戒されます。
事実だけを書いてください。「何を」「どれくらいの頻度で」送るか。これだけで足ります。
分けたあとに起きること
解除の件数は、むしろ増えて見えます
カテゴリーを分けると、「1つだけ解除」が増えます。数字の上では、解除の件数が増えたように見えることがあります。
ここで慌てないでください。見るべきは、全部を止めた人の数です。そちらが減っていれば、分けた効果が出ています。
送る内容を間違えられなくなります
分けると、「この内容は、どのカテゴリーで送るか」を毎回考えることになります。
これは良い制約です。お知らせのカテゴリーで売り込みを送ると、相手の期待と食い違います。そして、いちばん止められたくないカテゴリーを失います。
既存の連絡先の扱いを決める
分ける前から登録されている人を、どのカテゴリーに入れるか。ここは慎重に決めてください。
勝手に全部のカテゴリーに入れると、受け取る量が増えます。最初は1つ目だけに入れて、他は本人に選んでもらうのが丁寧です。
業種別の分け方
3つに分ける、と書きましたが、その3つの中身は業種で変わります。実際の例を挙げます。
| 業種 | 1つ目(残す) | 2つ目(逃がす) |
|---|---|---|
| 工務店・リフォーム | 点検・保証のご案内 | キャンペーン・見学会 |
| 士業事務所 | 法改正・期限のお知らせ | セミナー・研修の案内 |
| 受託開発・制作 | 保守・障害のご連絡 | 新サービス・事例の紹介 |
工務店・リフォーム
1つ目は点検や保証に関する案内です。引き渡しから数年経った顧客にとって、これは知らないと損をする情報です。
2つ目に、見学会やキャンペーンの案内を置きます。今すぐ工事の予定がない人は、ここを止めます。それでいい。
点検の案内が届き続ければ、次のリフォームのときに思い出してもらえます。10年単位で付き合う業種なので、接点を切らないことが何より重要です。
士業事務所
1つ目は法改正や期限に関するお知らせ。顧問先にとって、これは受け取らない理由がありません。
2つ目に、セミナーや研修の案内。参加する余裕がない先は、ここを止めます。
この分け方の利点は、1つ目が「価値のある情報」として認識されることです。売り込みと混ざっていないぶん、開かれやすくなります。
受託開発・制作会社
1つ目は保守や障害に関する連絡。これは業務に直結するので、止められません。
2つ目に、新しいサービスや事例の紹介を置きます。追加の発注を考えていない先は、ここを止めます。
共通しているのは「1つ目に何を置くか」
3業種とも、1つ目は相手にとって実利がある情報です。止めると相手が損をする内容。
ここを間違えて、1つ目に売り込みを入れると、全部が止まります。1つ目は、こちらが売りたいものではなく、相手が知りたいものを置いてください。
分けたあとに見る数字
設定して終わりにせず、3か月後に見る数字を決めておいてください。
1. すべてを止めた人の数
いちばん重要な数字です。分ける前と比べて、この人数が減っていれば成功です。
減っていないなら、分け方が実態に合っていません。止められているカテゴリーに、本来1つ目に置くべき内容が混ざっていないかを見てください。
2. カテゴリーごとの解除率
どのカテゴリーが止められているか。2つ目が多いのは想定どおりです。
問題は、1つ目が止められている場合です。これは、1つ目の中身が相手の期待と違っています。売り込みが混ざっている可能性が高い。
3. 残った人の開封の変化
分けたあと、各カテゴリーの開封率は上がるのが自然です。受け取りたい人だけが残るからです。
上がっていないなら、解除されていないだけで、読まれてもいない状態かもしれません。惰性で残っている人は、いずれ止めます。
分けても解決しないこと
期待しすぎないための話です。
ハードバウンスは、カテゴリーと関係ありません
アドレスが存在しない場合の除外は、カテゴリーを分けていても起きます。これは別の仕組みです。
内容がつまらなければ、全部止められます
分けることは、逃がし場所を作る工夫です。送っているものに価値がなければ、結局すべて止められます。
カテゴリーの設計より、1通ごとの中身のほうが重要です。順番を間違えないでください。
分けることで稼げるのは、時間です。中身を良くするまでの猶予が少し延びる。それ以上のものではありません。
すでに全停止された人は、戻りません
分ける前にすべてを止めた人は、こちらの操作では戻せません。本人に戻してもらうしかない。
だからこそ、配信を本格化する前に分けておくことに意味があります。あとからでは、失った分は戻りません。
ただし、今から分けることには意味があります。これから先に止められるはずだった人を、守れるからです。
既存の連絡先を、どう移すか
すでに配信している状態からカテゴリーを分ける場合、移し方に段取りが要ります。
1. まず1つ目だけに入れる
すべてのカテゴリーに一括で登録しないでください。相手から見れば、届く量が急に増えたことになります。
いちばん実利がある1つ目にだけ入れて、他は空けておく。これが、いちばん反発の少ない形です。
2. 変更を1通で案内する
カテゴリーを分けたことを、先に伝えてください。「配信の種類を分けました。必要なものだけ選べます」と書いた1通です。
この1通には、配信設定のページへの案内を入れます。受け取る側にとっては、選べるようになった、という良い知らせです。
3. 他は本人に選んでもらう
2つ目、3つ目に入るかどうかは、相手の判断です。こちらで勝手に増やすと、面倒に思われて全部止められます。
結果として、2つ目の登録数は少なくなります。それでいい。受け取りたい人だけが入っている状態のほうが、開封も反応も高くなります。
まとめ
配信カテゴリーは、失う範囲を狭くするための設定です。
- 対象はMarketing HubのStarter以上、Content HubのProfessional以上。無料では作れません
- コンタクトはカテゴリーごとに個別に解除できます。全停止を防げます
- 最大1,000件まで作れますが、3つで足ります。増やすほど読まれません
- 説明欄は相手に見えます。頻度を書いておくと、解除の判断が変わります
- アーカイブしても、使えば復元されます。先に使用箇所を切り替えてください
止められること自体は避けられません。止められる範囲を、こちらで設計できるかどうかです。
今から配信を始めるなら、1通目を送る前に3つ作ってください。先に分けておけば、失うものがありません。すでに送っている場合でも、今日が、これから先でいちばん早い日です。
よくある質問(FAQ)
無料版でも配信カテゴリーを作れますか
作れません。公式ヘルプの対象はMarketing HubのStarter、Professional、Enterprise、およびContent HubのProfessional、Enterpriseです。無料のまま送っているメールは、止められるときに全部が止まります。
いくつ作るのがいいですか
3つで足ります。最大1,000件まで作成できると記載されていますが、相手の画面にチェックボックスが10個並ぶと、読まずに「すべて解除」を押されます。4つ目を作りたくなったら、既存のどれかに含められないかを考えてください。
説明の欄には何を書きますか
相手に見える文章です。何を、どれくらいの頻度で送るかを書いてください。とくに頻度を書くと解除の判断が変わります。どれくらい届くか分からないものは、とりあえず止めておこう、と判断されます。
使わなくなったカテゴリーを消せますか
アーカイブできます。ただし公式には、1対1のメール送信などで使用すると自動的にアーカイブから復元されると記載されています。先に、そのカテゴリーを使っている設定を切り替えてからアーカイブしてください。
分けたのに解除が増えました
見る数字を変えてください。カテゴリーを分けると「1つだけ解除」が増えるため、件数としては増えたように見えます。確認すべきは、すべてを止めた人の数です。そちらが減っていれば効果が出ています。
既存の連絡先は、どのカテゴリーに入れればいいですか
まず1つ目だけに入れてください。すべてのカテゴリーに一括で登録すると、相手から見れば届く量が急に増えたことになります。そのうえで、変更を1通で案内し、他のカテゴリーは本人に選んでもらってください。
1つ目には何を置くべきですか
相手にとって実利がある情報です。止めると相手が損をする内容。点検や保証の案内、法改正のお知らせ、保守や障害の連絡など。ここに売り込みを入れると、全部が止まります。こちらが売りたいものではなく、相手が知りたいものを置いてください。
すでに全部止めた人はどうなりますか
こちらの操作では戻せません。本人に戻してもらうしかありません。だからこそ、配信を本格化する前に分けておくことに意味があります。
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