
この媒体では、自動化はProfessional以上だと繰り返し書いてきました。ところが、フォームの自動返信だけは、無料のアカウントでも1通送れます。
問い合わせを受け取ったあと、何も返さずに相手を待たせる。これが、いちばん多い取りこぼしの形です。
1通しか送れない制約はありますが、その1通で足ります。むしろ、1通に絞るからこそ考えることがはっきりします。
この記事では、設定の手順と、その1通に何を書くかを扱います。
先に結論:無料でも設定できます
- フォームの自動化は、すべての製品とプランが対象です。無料でも使えます
- 無料で設定できるのは1通、アクションは1つまで。それで十分に機能します
- Starterなら最大10のアクション、Professional以上なら必要な数だけ追加できます。
設定はフォームごとです。フォームが送信されるたびに動きます。
前提:無料でも1通だけ自動で送れます
公式ヘルプの冒頭は「すべての製品とプラン」です。フォームの自動化は、無料ツールのみのアカウントでも設定できます。
この媒体で書いてきた制約の、例外にあたります
ワークフローはProfessional以上。メールの自動送信もMarketing Hub Professional以上。この媒体では、そう書いてきました。
フォームの自動返信は、その制約の外にあります。「送信されたら1通返す」という限定された動きだけが、無料で使えます。
知らずに使っていない会社が多い
自動化は有料だと思い込んで、問い合わせに手で返信している会社があります。
手で返せているうちは問題ありません。ただ、夜間や休日に来た問い合わせは、翌営業日まで何も返っていない状態になります。
その数時間から数十時間が、相手にとっては不安な時間です。ここを埋めるだけで、取りこぼしが減ります。
プランごとにできることが変わります
公式の記載を整理します。
| プラン | できること |
|---|---|
| 無料 | 1通のみ。アクションは1つまで |
| Marketing Hub Starter | 最大10のアクション。フォームごとに1つ |
| Professional・Enterprise | 必要な数のアクション。複数のワークフロー |
「アクション」とは動作の数です
メールを1通送る、が1つのアクションです。無料ではこれで打ち止めになります。
Starterになると、メールを送ったあとに項目を更新する、担当者に通知する、といった動きを足せます。とはいえ、10も使う場面は多くありません。
無料の1通で足りるかどうか
結論から言うと、1〜10人の会社なら足ります。
問い合わせへのお礼と、次にどうなるかの案内。この2つが1通に入れば、役割は果たせます。
足りなくなるのは、相手の種類によって送る内容を変えたくなったときです。そこまで来たら、有料を検討する段階に入っています。
設定する手順
フォームの編集画面から設定します。
- マーケティングのメニューから、フォームを開きます
- 対象のフォームを選んで、編集に入ります
- 自動化の設定を開きます
- フォローアップのメールを作成します
- 件名と本文を書いて、保存します
設定はフォームごとです
公式には、フォームごとに設定する形だと記載されています。フォームが複数あるなら、それぞれに設定が必要です。
資料請求のフォームと、問い合わせのフォーム。この2つに同じ文面を送っていると、違和感が出ます。フォームごとに、返す内容を変えてください。
送信のたびに動きます
公式には、フォームが送信されるたびにアクションが動くと記載されています。同じ人が2回送れば、2回届きます。
テストのときに何度も送信すると、そのたびに自分宛に届きます。驚かないでください。仕様どおりの動きです。
1通で全部を伝える書き方
ここが、この記事でいちばん実用的な部分です。1通に入れるべきものは4つです。
1. 受け取ったという事実
「お問い合わせを受け付けました」。この1行が、相手の不安を消します。
フォームを送ったあと、画面が切り替わっただけでは不安が残ります。メールが届けば、確実に届いたと分かります。
2. 次に何が起きるか
「担当者より、あらためてご連絡いたします」。次の動きを明示してください。
この1行がないと、相手は自分から追いかけるべきかを迷います。
3. いつまでに
ここがいちばん重要です。「2営業日以内に」のように、期限を書いてください。
期限が書いてあれば、相手はその間待てます。書いていなければ、1日で不安になります。
そして、書いた期限は必ず守ってください。守れない期限を書くくらいなら、長めに書くほうがいい。
4. 急ぐときの連絡先
電話番号を1つ。「お急ぎの場合は、こちらまでご連絡ください」と添えます。
すぐ動きたい人にとって、メールを待つのは苦痛です。逃げ道を用意しておくと、そこから商談が始まることがあります。
自動返信に入れてはいけないもの
逆に、入れると効果が下がるものもあります。
長い会社紹介
自動返信は、確認のための1通です。ここで会社の歴史や理念を語らないでください。
相手が知りたいのは、「届いたか」と「いつ返事が来るか」だけです。
売り込みと他のサービスの案内
問い合わせた直後に別の商品を勧められると、相手は「営業される」と身構えます。
この1通の目的は、安心してもらうことです。売るのは、人が対応する段階からです。
返信できないアドレスからの送信
差出人を、誰も見ていないアドレスにしないでください。相手がその場で返信することがあります。
「ちなみに、こういう場合も対応していますか」という追加の質問。これが誰にも届かない状態は、機会を捨てているのと同じです。
社内への通知も忘れずに
相手に返すことと、社内が気づくことは別の話です。
誰に通知が届くかを確認してください
フォームの設定には、送信時に社内へ通知する仕組みがあります。ここが設定されていないと、問い合わせが来たことに誰も気づきません。
相手には自動返信が届いているのに、社内では誰も見ていない。この状態がいちばん危険です。
通知先は2人以上に
1人だけに通知が行く設定だと、その人が休んでいる日に止まります。最低2人が受け取る形にしてください。
この媒体で繰り返し書いているとおり、退職や異動のときに通知先が宙に浮きます。半年に一度は確認してください。
送ったあとに必ず確認すること
設定して終わりにしないでください。
自分でフォームを送信する
自社のサイトから、実際にフォームを送ってみてください。自分の業務用アドレスと、フリーメールの両方で。
届くか。迷惑メールに入らないか。文面が崩れていないか。これを1回やるだけで、事故のほとんどが見つかります。
スマートフォンで開いて確認する
問い合わせの多くは、スマートフォンから来ます。返信もスマートフォンで読まれます。
件名が途中で切れていないか。電話番号が、タップしてかけられる形になっているか。
件名も確認してください
受信トレイの一覧で、何のメールか分かる件名になっているか。ここが「ご連絡」だけだと、迷惑メールと区別がつきません。
「お問い合わせを受け付けました」のように、件名だけで内容が分かる形にしてください。自社名を入れておくと、さらに確実です。
そして、件名にテスト用の文字列が残っていないかも見てください。「てすと」「確認用」が本番に出ている事故は、実際に起きます。
3か月に一度、同じ確認をする
一度動いたものは、動き続けると思いがちです。フォームを作り直したときに、自動返信の設定が外れていることがあります。
とくに、サイトをリニューアルしたあと。新しいフォームに差し替えると、設定はついてきません。
届かないときの切り分け
「自動返信が届かない」という相談は多いので、順番を書いておきます。
- フォームが送信されているか……コンタクトが作られているかを確認します
- 自動化の設定が有効か……作ったあと、保存していないことがあります
- 迷惑メールに入っていないか
- アドレスが正しいか……相手の入力ミスで、そもそも届いていないことがあります
1つ目で分かれます
コンタクトが作られていないなら、フォームの送信自体が失敗しています。自動返信の問題ではありません。
この場合、サイト側にトラッキングコードが入っているかを確認してください。以前の記事で書いたとおり、フォームはこのコードに依存します。
2つ目と3つ目も、よくあります
作ったつもりで保存していない。これは、設定画面を開いて確認すれば5秒で分かります。
迷惑メールに入る問題は、送信ドメインの設定と関係します。以前の記事で書いたとおり、認証が整っていないと判定が厳しくなります。
とくに、相手がフリーメールを使っている場合に入りやすい。テストは、自社のアドレスだけでなくフリーメールでも行ってください。
4つ目は、こちらでは直せません
相手がアドレスを打ち間違えた場合、自動返信はどこにも届きません。そして、こちらからも連絡できません。
この取りこぼしを減らすには、フォームの項目を減らすことです。入力が多いほど、打ち間違いが増えます。
そのまま使える文面の型
4つの要素を、実際の文面にするとこうなります。そのまま使って構いません。
参考にした公式ドキュメント
件名:お問い合わせを受け付けました
このたびはお問い合わせいただき、ありがとうございます。
内容を確認のうえ、担当者より2営業日以内にご連絡いたします。
お急ぎの場合は、お電話でもご対応いたします。
(電話番号) 受付時間:平日9時〜18時
※このメールは自動送信です。ご返信いただいても確認いたしますのでご安心ください。
最後の1行が効きます
「自動送信ですが、返信も確認します」。この1行があると、追加の質問が返ってきます。
自動送信のメールに返信してはいけない、と思っている人が多い。返してよいと書いておくだけで、会話が始まります。
署名は短くする
会社名、担当部署、電話番号。これで足ります。長い署名は、スマートフォンで読むと本文より長く見えます。
住所や地図のリンクは、来訪する用件でなければ不要です。入れるかどうかは、そのフォームの目的で決めてください。
敬語を盛りすぎない
自動で届くメールなので、過剰に丁寧だとかえって機械的に見えます。
短く、必要なことだけ。「ありがとうございます」「ご連絡いたします」で十分です。
フォームの種類ごとに変える
設定はフォームごとなので、フォームの数だけ文面を用意できます。ここを活かしてください。
問い合わせフォーム
前述の型のままで構いません。期限と連絡先が入っていれば十分です。
資料請求フォーム
ここは違います。資料そのものへのリンクを、この1通に入れてください。
ダウンロードのページに遷移させるだけだと、相手は保存し損ねます。メールに入れておけば、あとから何度でも開けます。
そして、この1通が届くかどうかで、アドレスが正しいかも分かります。届かなければ、そもそも連絡が取れません。
セミナー・見学会の申し込みフォーム
日時と場所を、必ず本文に書いてください。相手は、この1通を当日まで保存します。
地図へのリンク、持ち物、キャンセルの連絡先。当日に相手が困らない情報を、すべて入れておきます。
採用への応募フォーム
1〜10人の会社でも、採用の窓口を置くことがあります。ここは、期限を長めに書いてください。
選考には時間がかかります。「1週間以内にご連絡します」と書いて守るほうが、2営業日と書いて守れないより、はるかに良い。
自動返信だけでは解決しないこと
返信が遅ければ、意味がありません
自動返信は、人が対応するまでの時間を埋める仕組みです。その先が遅ければ、結局失注します。
「2営業日以内」と書いておいて、5日後に連絡する。自動返信がないときより、印象が悪くなります。
内容を読んだ返信の代わりにはなりません
定型文が届くこと自体は、相手も分かっています。それでいいのです。
問題は、その次に届く人からのメールも定型文に見える場合です。相手が書いた内容に触れた1行を、必ず入れてください。
フォームに来ない問い合わせもあります
電話、メール、名刺交換。これらは自動返信の対象外です。
すべての入口を自動化しようとしないでください。フォームから来た分を確実に返す。まずそこからです。
電話で受けた問い合わせは、その場で応対しているので自動返信は要りません。必要なのは、記録を残すことのほうです。そこは別の話になります。
1通で終わらせないための代替
無料では1通だけ、と書きました。では、その先はどうするか。人の手で埋める方法があります。
2通目は、人が書いてください
自動で送れるのは1通だけですが、2通目を人が送ることを止める仕組みはありません。
そして、2通目は定型文にしないでください。相手が書いた内容に触れた1行を、必ず入れる。これがあるかどうかで、印象がまったく違います。
3通目以降はタスクで追う
返事がない相手を、そのままにしない。以前の記事で書いたとおり、タスクは無料で使えます。
3日後と2週間後にタスクを置いて、そこで再度連絡する。自動化がなくても、この2回で取りこぼしはかなり減ります。
この形が回らなくなったら、有料です
件数が増えて、手で追えなくなったとき。そこが判断の時点です。
機能が使えないから有料にするのではなく、手が回らなくなったから有料にする。この順番を守ってください。
まとめ
自動返信は、無料で使える数少ない自動化です。
- フォームの自動化は、すべての製品とプランが対象です。無料でも1通送れます
- 無料はアクション1つまで。Starterは最大10、Professional以上は必要な数だけです
- 1通に入れるのは4つ。受け取った事実、次の動き、期限、急ぐときの連絡先です
- 社内への通知も設定してください。相手に届いても、社内が気づかなければ意味がありません
- 設定したら、自分で送信して確認する。3か月に一度、同じ確認をしてください
相手を待たせている時間を、こちらは把握できません。だから、最初の1通で期限を伝えておきます。
まだ設定していないなら、今日の15分で終わります。文面はこの記事の型をそのまま使って構いません。完璧な文面を考えてから設定するより、今日から動いているほうが価値があります。
よくある質問(FAQ)
無料版でも自動返信を設定できますか
できます。公式ヘルプの対象は「すべての製品とプラン」です。ただし無料では1通のみ、アクションは1つまでに制限されています。
何通まで送れますか
無料は1通です。Marketing Hub Starterでは最大10のアクションを追加でき、フォームごとに1つのシンプルなワークフローを作成できます。ProfessionalとEnterpriseでは、必要な数のアクションと複数のワークフローを追加できます。
1通に何を書けばいいですか
4つです。受け取ったという事実、次に何が起きるか、いつまでに連絡するか、急ぐときの連絡先。とくに期限が重要で、これが書いてあれば相手はその間待てます。
設定はフォームごとですか
フォームごとです。資料請求と問い合わせで同じ文面を送っていると違和感が出るため、フォームごとに内容を変えてください。なお、フォームが送信されるたびに動くため、同じ人が2回送れば2回届きます。
自動返信が届きません
まず、コンタクトが作られているかを確認してください。作られていないなら、フォームの送信自体が失敗しています。その場合は、サイトにトラッキングコードが入っているかを確認してください。次に自動化の設定が保存されているか、迷惑メールに入っていないかを見ます。
資料請求のフォームでは何を書けばいいですか
資料そのものへのリンクを、この1通に入れてください。ダウンロードのページに遷移させるだけだと、相手は保存し損ねます。メールに入れておけば、あとから何度でも開けます。この1通が届くかどうかで、アドレスが正しいかも分かります。
2通目以降は送れないのですか
自動で送れるのは1通だけですが、2通目を人が送ることを止める仕組みはありません。むしろ2通目は定型文にせず、相手が書いた内容に触れた1行を入れてください。3通目以降は、無料で使えるタスクで追いかける形が現実的です。
差出人はどのアドレスにすべきですか
返信を受け取れるアドレスにしてください。相手がその場で追加の質問を返信することがあります。誰も見ていないアドレスから送ると、その質問が届かないまま消えます。
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