
見積や取引を作るたびに、品名と単価を手で入力していませんか。ここを先に整えると、作成時間が半分以下になります。
ただし、目的は入力の手間を減らすことだけではありません。本当の価値は、1年後に「どの商品が何件出て、何件決まったか」を数えられることです。
手入力だと、表記がばらつきます。「サイト制作」「ウェブ制作」「ホームページ制作」が混在した状態では、集計ができません。
この記事では、登録の手順と、商品項目との違いを扱います。
先に結論:3つだけ押さえてください
- 商品の作成は、すべての製品とプランが対象です。無料でも使えます
- ライブラリの「商品」と、取引に入る「商品項目」は別のものです。
- 最初に登録するのは5つで足ります。全部を登録しようとすると、そこで止まります
作成にはスーパー管理者権限、または編集の権限が必要です。
前提:商品と「商品項目」は別のものです
最初にここを整理しておくと、あとの理解が早くなります。
公式には、商品項目とは「クレジットメモ、取引、請求書、支払いリンク、見積書、旧形式の見積書、およびサブスクリプションを設定する際に作成される、個々の商品やカスタム商品項目」だと記載されています。
ライブラリは「型」、商品項目は「実物」です
商品ライブラリに登録するのは、売っているものの型です。名前と、標準の単価。
その型を取引や見積に追加したとき、その案件だけの商品項目が作られます。数量や割引は、そこで設定します。
この分離には意味があります
案件ごとに数量も金額も違うのが普通です。ライブラリ側を毎回書き換えていたら、標準の価格が分からなくなります。
型は型のまま置いておいて、案件ごとに実物を作る。この構造だと理解しておけば、操作で迷いません。
項目を足すと、両方に反映されます
公式には、商品オブジェクトでカスタムプロパティーを作成すると、そのプロパティーは商品項目オブジェクトにも追加されると記載されています。
つまり、商品に独自の項目を作れば、案件側でもその項目を使えます。「工期の目安」「保証年数」のような情報を持たせたいときに使えます。
登録しないと、集計ができません
手入力を続けると、何が起きるか。
表記のばらつきは、あとから直せません
3人が入力すれば、3通りの書き方になります。「サイト制作」「ウェブ制作」「ホームページ制作」。
同じものなのに、集計では別々に数えられます。しかも、どれが正解かを決めて統一する作業は、件数が増えるほど重くなります。
単価のミスは、金額に直結します
桁を1つ間違えた見積を、そのまま出してしまう。手入力だと、この事故が必ず起きます。
登録しておけば、選ぶだけで正しい単価が入ります。変えたいときだけ、その案件で上書きします。
作る手順
公式の手順に沿って書きます。
- CRMのメニューから、製品を開きます
- 製品を作成、をクリックします
- 名前、SKU、説明、税カテゴリー、タイプ、画像を入力します
- 請求の詳細と、価格を設定します
- 作成、または作成して新規作成をクリックします
全部の欄を埋める必要はありません
最初は名前と単価だけで構いません。SKUや画像は、必要になったときに足せます。
完璧に登録しようとすると、1件目で止まります。名前と単価を入れて、保存する。これを5回繰り返してください。
権限の確認も忘れずに
公式には、作成にはスーパー管理者権限または編集の権限が必要と記載されています。表示や削除にも、それぞれの権限が要ります。
メニューに製品が出てこない、作成のボタンが押せない。この場合は、権限を確認してください。
最初に登録するのは5つだけ
ここが、実務でいちばん大事な判断です。
全部を登録しようとすると止まります
扱っている商品やサービスをすべて洗い出して、正確な価格を決めて、説明を書いて……。この進め方だと、着手できません。
登録するのは、直近1年で実際に売れたものの上位5つだけにしてください。
売れていないものは、登録しても使われません
カタログには載っているが、この1年で1件も出ていない商品。これを登録しても、選択肢が増えるだけです。
必要になったときに足せばいい。1件追加するのに、かかる時間は1分です。
5つで、案件の大半がカバーされます
多くの会社では、売上の大半が数種類の商品に集中しています。まずそこを押さえれば、集計にも使えます。
逆に、5つを超えて登録したくなったときは、粒度が細かすぎないかを疑ってください。細かく分けるほど、選ぶ側の負担が増えます。
単価が毎回違う業種はどうするか
受託開発、工事、コンサルティング。案件ごとに金額が変わる業種では、標準の単価が決まりません。
単価をゼロで登録してください
名前だけを登録して、単価は案件ごとに入れる。これで構いません。
金額が自動で入らなくても、品名が統一されるだけで価値があります。集計の目的は、そこで達成されます。
「見積の型」として使う方法もあります
よく出る組み合わせを、商品として登録しておく。「初期設定費用」「月額保守」「訪問1回分」のような単位です。
案件ごとに数量を変えれば、見積が組めます。ゼロから項目を書くより、はるかに速い。
単位を決めておく
人日、式、一式、時間。社内で単位を統一しておくと、見積の見え方がそろいます。
案件ごとに単位が違うと、相手も比較しにくくなります。登録の段階で決めておいてください。
一括で取り込むときの注意
すでに商品の一覧が表計算ソフトにあるなら、取り込めます。
公式には、一括インポートの機能があると記載されています。ただし、ティア価格の商品はインポートできないとも書かれています。
段階的な価格設定のものは、手で登録します
数量によって単価が変わる形の商品は、取り込みの対象外です。この種類がある場合は、1件ずつ登録してください。
取り込みの前に、見直す機会だと考える
手元の一覧をそのまま取り込む前に、いま売っていないものが混ざっていないかを見てください。
古いカタログをそのまま取り込むと、使わない商品が並びます。取り込みは、整理の機会でもあります。
取り込みは取り消せません
この媒体で繰り返し書いているとおりです。本番の前に、1件だけで試してください。
商品の取り込みは件数が少ないので、そもそも手で入れたほうが早い場合もあります。50件を超えるなら取り込み、それ以下なら手入力。この線引きで判断してください。
値上げしたときに何が起きるか
ここは、自分のアカウントで確認してほしい部分です。
ライブラリを更新した場合の挙動
商品の単価を変えたとき、すでに取引や見積に入っている商品項目がどうなるか。
前述のとおり、商品と商品項目は別のオブジェクトです。ただし、更新が既存の商品項目に反映されるかどうかは、公式ヘルプの該当ページに明記がありませんでした。
だから、1件で試してください。テスト用の取引を作り、商品を追加し、ライブラリ側の単価を変える。その取引の金額が変わるかを見る。
5分で確認できます。この挙動を知らないまま値上げすると、過去の見積の金額が変わるかもしれません。
確認したら、社内に共有してください
この種の挙動は、知っている人と知らない人で作業が変わります。
値上げの前に過去の案件を控えておくべきか。1回確認して、手順書に1行書いておけば、次から迷いません。
値上げの記録も残す
いつ、どの商品を、いくらからいくらに変えたか。これをメモに残してください。
半年後に「この見積はなぜこの金額なのか」を調べるとき、この記録があるかどうかで時間が変わります。
とくに、既存の顧客から「前回と金額が違う」と指摘されたとき。いつ改定したかを即答できれば、話がこじれません。記録がないと、こちらが間違えたように見えます。
名前の付け方
登録する名前は、見積に出る名前です。相手が読みます。
社内の略称を使わない
「A案件用パッケージ」「旧プラン」。相手には意味が分かりません。
そして、この媒体で以前書いたとおり、「新」「旧」は時間が経つと意味が壊れます。
粒度をそろえる
ある商品は細かく、ある商品は大きくまとめている。この状態だと、見積の見え方がちぐはぐになります。
5つ登録したら、並べて見てください。同じくらいの大きさになっているかを確認します。
相手が納得できる名前にする
見積に「コンサルティング一式」とだけ書いてあると、相手は何にいくら払うのかが分かりません。
「現状分析(初回3回分)」のように、何が含まれるかが分かる名前にしてください。値引き交渉の場面で、この差が効きます。
業種別:何を登録するか
5つに絞る、と書きました。その5つを何にするかは、業種で変わります。
| 業種 | 登録する単位 |
|---|---|
| 工務店・リフォーム | 工事の種類(外壁、水回り、内装など) |
| 士業事務所 | 顧問、スポット相談、申告書作成、手続き代行 |
| 受託開発・制作 | 初期構築、改修、保守(月額)、追加作業(人日) |
工務店・リフォーム
工事の種類で登録してください。外壁、屋根、水回り、内装。単価はゼロで構いません。
現場ごとに金額が変わる業種ですが、種類が統一されていれば「今年は水回りが何件決まったか」を数えられます。
そして、この数字が営業の判断を変えます。問い合わせは多いが決まらない工事の種類があれば、そこに価格か説明の問題があります。
士業事務所
関与の形で登録します。顧問(月額)、スポット相談、申告書の作成、各種の手続き代行。
顧問のように継続するものは、単価を入れておけます。スポットは案件ごとなので、ゼロで登録します。
この分け方だと、スポットから顧問に移行した件数が数えられます。事務所の成長を測る、いちばん重要な数字です。
受託開発・制作会社
初期構築、改修、保守、追加作業。この4つが基本です。
とくに、追加作業を「人日」の単位で登録しておくと、見積が組みやすくなります。数量を変えるだけで金額が出ます。
そして、保守を単独で登録しておくと、継続している売上がいくらあるかが見えます。この数字は、経営の判断に直結します。
共通しているのは「数えたい単位」で分けること
3業種とも、あとから数えたい切り口で商品を分けています。
細かく分けすぎると入力が面倒になり、大きくまとめすぎると数えられません。「この単位で件数を知りたいか」を基準にしてください。
登録したあとの運用
登録して終わりではありません。3つだけ決めておいてください。
1. 誰が追加するかを決める
各自が思いつきで追加すると、似た商品が並びます。「サイト制作」と「ウェブサイト制作」が両方ある状態です。
追加するのは1人、他の人は依頼する。1〜10人の会社なら、これで十分に回ります。
依頼する側にとっても、名前を言葉にする過程で「本当に新しい商品なのか、既存のものの言い換えなのか」が整理されます。
2. 使わなくなったものを非表示にする
扱いをやめた商品は、選択肢に残っていると誤って選ばれます。
ただし、消す前に確認してください。過去の取引に紐づいている場合、履歴に影響する可能性があります。消す前にエクスポートしておくのが安全です。
3. 半年に一度、並べて見る
登録した一覧を開いて、いま売っているものと合っているかを確認します。5分で終わります。
この5分をやらないと、3年前にやめたサービスが選択肢に残り続けます。新しく入った人は、それが現役だと思って選びます。
1年後に見えるようになるもの
登録する本当の価値は、ここにあります。
どの商品が何件出たか
1年たつと、どの商品を何件提案して、何件決まったかを数えられます。
手入力では、この集計ができません。表記がばらついている状態では、同じものが別々に数えられるからです。
決まらない商品が分かります
よく提案しているのに、決まっていない商品。ここには、価格か説明のどちらかに問題があります。
感覚では「あれは売れない」と思っていても、数字を見ると違うことがあります。実際には提案していなかっただけ、という場合も多い。
値引きの傾向も見えます
商品項目には、案件ごとの金額が残ります。標準の単価と、実際に出した金額の差。これが値引きです。
1年分を並べると、どの商品でいくら値引きしているかが見えます。感覚では「あまり引いていない」と思っていても、数字は違うことがあります。
そして、値引きした案件と、しなかった案件で、成約率に差があるかも見えます。差がないなら、引く必要はなかったということです。
組み合わせが見えます
一緒に売れている商品の組み合わせ。これが分かると、提案の型が作れます。
「この商品を買った会社は、半年後にこちらも検討する」。この傾向は、商品を登録していないと見えません。
登録しない、という判断もあります
ここまで登録を勧めてきましたが、全員に必要な機能ではありません。正直に書いておきます。
繰り返しがなければ、効果は薄い
毎回まったく違うものを作っている業種では、登録しても選ぶものがありません。
ただし、その場合でも大きな区分だけは登録する価値があります。「新規開発」「改修」といった粒度なら、繰り返しが出ます。
1人でやっているうちは、急ぎません
見積を作るのが自分だけなら、表記は自然に統一されます。登録の効果が出るのは、2人目が入ったときです。
とはいえ、2人目が入ってから整えるのは大変です。1人のうちに5つだけ登録しておくと、引き継ぎが楽になります。
件数が少なければ、集計の意味も薄い
年間10件に満たないなら、集計しなくても全部覚えています。この段階で凝った設定をする必要はありません。
目安として、年間の案件が30件を超えたあたりから、記憶では追えなくなります。そこが整える時期です。
まとめ
商品ライブラリは、入力を楽にするためだけの機能ではありません。
- 商品の作成は、すべての製品とプランが対象です。作成には編集の権限が必要です
- ライブラリの商品と、取引に入る商品項目は別のものです。型と実物の関係です
- 最初は5つだけ登録してください。直近1年で売れたものに絞ります
- 単価が毎回違うなら、ゼロで登録して構いません。品名が統一されるだけで価値があります
- ティア価格の商品は一括インポートできません。その種類は手で登録します
1年後に数えられるかどうかは、今日の登録で決まります。
今日やるなら、直近の見積を3件開いて、そこに並んでいる品名を書き出してください。重複を除くと、たいてい5つ前後に収まります。それが、登録すべきものです。
よくある質問(FAQ)
無料版でも商品を登録できますか
できます。公式ヘルプの対象は「すべての製品とプラン」です。ただし一部の機能にはシートが必要と記載されています。また、作成にはスーパー管理者権限または編集の権限が要ります。
商品と商品項目は何が違いますか
商品はライブラリに置く型、商品項目は取引や見積に追加されたときに作られる個々の実物です。公式には、商品項目は取引、見積書、請求書、支払いリンクなどを設定する際に作成される個々の商品だと記載されています。
単価が案件ごとに違います
単価をゼロで登録して、案件ごとに入れて構いません。金額が自動で入らなくても、品名が統一されるだけで集計の目的は達成されます。
表計算ソフトから取り込めますか
一括インポートの機能があります。ただし、ティア価格の商品はインポートできないと記載されています。その種類は1件ずつ登録してください。なお、取り込みは取り消せないため、本番の前に1件で試してください。
値上げすると、過去の見積も変わりますか
この挙動は、公式ヘルプの該当ページに明記がありませんでした。テスト用の取引を作って、ライブラリ側の単価を変え、その取引の金額が変わるかを確認してください。5分で分かります。
うちの業種では登録する意味がありますか
同じものを繰り返し売っている、見積を作る人が2人以上いる、商品別の件数を知りたい。このどれかに当てはまるなら価値があります。毎回まったく違うものを売っていて、作るのが自分ひとりで、年間10件に満たないなら、急ぐ必要はありません。
商品の名前はどう付ければいいですか
見積に出る名前なので、相手が読んで分かる形にしてください。社内の略称や「新」「旧」は使わないでください。時間が経つと意味が壊れます。また「コンサルティング一式」のような書き方だと、相手は何にいくら払うのかが分かりません。
いくつ登録すればいいですか
最初は5つで足ります。直近1年で実際に売れたものの上位5つだけを登録してください。全部を登録しようとすると、そこで止まります。1件追加するのにかかる時間は1分です。
参考にした公式ドキュメント
あわせて読みたい
HubSpotは無料で始められます
コンタクト管理・フォーム・メール配信・商談管理を1つにまとめたCRMプラットフォームです。商品の作成は、すべての製品とプランで行えます。プランごとの違いと料金は公式サイトでご確認ください。