
配信が終わったあと、しばらく動けない。お風呂にも入れずにベッドに倒れ込む。翌日まで引きずる日もある。
「ライブ配信 疲れる」で調べると、休みましょう、無理しないで、という話が出てきます。正しいのですが、何をどう休めばいいのかが分かりません。疲れの中身が分からないまま休むと、戻らないまま次の配信が来ます。
この記事では、まず「疲れた」を3つに分けます。厚生労働省のガイドラインが、健康診断の項目として疲れを3つに区分しているので、それをそのまま使います。そして、国が対策の優先順位をどこに置いているかを確認します。なお、このガイドラインは事務所で働く労働者のためのもので、配信にそのまま適用されるものではありません。症状が続く場合は医療機関に相談してください。
「疲れた」を3つに分ける
最初にやるのは、疲れの切り分けです。ここを飛ばすと、休み方が選べません。
健康診断は、3つに分けて聞いている
厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に、健康診断の項目が挙げられています。令和3年12月1日付の通達で一部改正されているものです(確認日2026年9月22日)。
そこには、健康診断で実施する項目として、業務歴の調査、既往歴の調査、そして自覚症状の有無の調査が挙げられています。この「自覚症状の有無の調査」が、3つに分けられています。
1つ目が「眼疲労を主とする視器に関する症状」。2つ目が「上肢、頸肩腕部及び腰背部を主とする筋骨格系の症状」。3つ目が「ストレスに関する症状」です。
配信に置き換えると
この3つを、配信の言葉に置き換えます。
1つ目は、目の疲れです。画面を見続けること、コメントを追い続けること、そして照明を直接見てしまうこと。2つ目は、体の疲れ。同じ姿勢で座り続けること、スマホを持つ腕、下を向いた首。
3つ目が、気持ちの疲れです。配信で「疲れた」と言われるとき、いちばん多いのがここです。コメントに反応し続けること、数字を気にすること、表情を作り続けること。
それと、配信には4つ目があります。声です。ガイドラインは画面を見る作業を想定しているので、声については触れていません。ただ、1時間話し続ければ確実に疲れます。水分を取る時間を枠の中に入れてください。
3つは、戻し方が違う
分ける意味は、戻し方が違うからです。
目の疲れは、画面から離れれば戻ります。体の疲れは、動かすと戻ります。ところが、気持ちの疲れは、休んでも戻らないことがあります。横になっていても、配信のことを考え続けていれば回復しません。
だから、「とりあえず休む」では足りません。どれが疲れているのかを決めてから、それに合う戻し方を選びます。3つのうち、自分はどれが多いか。ここから始めてください。
| 疲れ | 配信での原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 目 | 画面とコメント | 視線を遠くへ |
| 体 | 同じ姿勢 | 動かす |
| 気持ち | 反応と数字 | 切り替えの型 |
| 声 | 話し続ける | 水分と休止 |
国が優先しているのは「時間と拘束性」
次に、対策の順番です。ここに、意外な指摘があります。
「作業時間と拘束性に強く依存する」
同じガイドラインの「対策の検討及び進め方に当たっての留意事項」に、原則的な考え方が示されています。
そこにはこう書かれています。「情報機器作業の健康影響が作業時間と拘束性に強く依存することを踏まえ、『5 作業管理』に掲げられた対策を優先的に行うこと。」
作業時間だけでなく、拘束性が並べて書かれているところが要点です。同じ長さでも、席を立てるかどうかで負担が変わる、という見方になっています。長さを測るだけでは足りない、ということです。
作業管理というのは、作業時間の管理のことです。つまり、機材や照明の話より先に、時間の設計を直すべきだ、という順番が示されています。
配信は、拘束性が高い
ここで「拘束性」という言葉に注目してください。
同じガイドラインでは、作業区分として「作業時間又は作業内容に相当程度拘束性があると考えられるもの」という区分が置かれていて、こちらに当たる場合は全ての者が健診の対象とされています。それ以外は、自覚症状を訴える者のみが対象です。
配信は、どうでしょうか。始める時刻が決まっていて、その間は席を立てず、画面から離れられません。拘束性は、かなり高いほうです。
しかも、配信には終わりの時刻が曖昧になりやすいという特徴もあります。盛り上がったから延長する、人が来たから続ける。これをやると、拘束の長さが自分でも読めなくなります。同じ1時間でも、終わりが見えている1時間とそうでない1時間は別物です。
だから、照明や椅子より先に時間
ここから実務の結論が出ます。疲れが取れないとき、まず見るのは機材ではなく時間です。
照明を変える、椅子を買う、マイクを替える。どれも効きますが、優先順位としては後ろです。国が示している順番も、そうなっています。
照明そのものの整え方は照明の記事にまとめていますが、先に配信の長さと区切りを見直してください。お金もかかりません。
順番を守る理由はもうひとつあります。時間を直さないまま機材を足すと、機材のせいで楽になったのか、その日がたまたま軽かったのかが分からなくなります。無料でできることを先に全部やっておくと、買ったものの効果もはっきりします。
配信は、休止が取れない作業
では、時間の設計をどう直すか。その前に、ガイドラインが求めている休止の形を確認します。
1時間を超えない、10分から15分の休止
同じガイドラインの「5 作業管理」に、作業時間についての記述があります。
一日の作業時間については、情報機器作業が過度に長時間にわたり行われることのないように指導すること、とされています。そして、一連続作業時間及び作業休止時間について、こう書かれています。
「一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分〜15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回〜2回程度の小休止を設けるよう指導すること。」
配信中に、10分は止まれない
ここで問題が出ます。配信は、この休止が取りにくい作業です。
1時間の配信の途中で、10分から15分止まったらどうなるか。見ている人は離れます。配信を切って、また立ち上げるのも現実的ではありません。
つまり、配信は、ガイドラインが前提にしている休止の取り方から構造的に外れています。だから、同じやり方では当てはめられません。
ここを知らないと、「ちゃんと休憩を取れていない自分が悪い」と考えてしまいます。でも、取れない形の作業をしているだけです。できないことを責めても、何も変わりません。
外れているなら、別の場所で埋める
ここで大事なのは、「だから休まなくていい」ではありません。逆です。
休止が中で取れないなら、枠そのものを短くするか、終わったあとにまとめて取るか、どちらかで埋めます。そして、これは気合いの問題ではなく設計の問題です。
気合いで乗り切ろうとすると、毎回同じところで消耗します。ガイドラインが「作業管理を優先的に」と書いているのは、そういう意味だと受け取っています。
| ガイドライン | 配信での扱い |
|---|---|
| 一連続1時間まで | 枠を50分にする |
| 10分から15分の休止 | 枠の外で取る |
| 小休止を1回から2回 | 企画の切れ目に置く |
| 過度に長時間にしない | 合計より連続を見る |
枠の中に、止まる場所を作る
設計の話に入ります。中で完全に止まれなくても、区切りは作れます。
枠を50分にする
いちばん効くのが、これです。1時間の枠を、50分にします。
10分減るだけですが、効き方が大きいです。理由は2つあって、1つは一連続作業時間が1時間を超えなくなること。もう1つは、終わりの時刻が決まることで、最後まで力を配分できることです。
終わる時刻が曖昧だと、いつまで続くか分からないまま走ることになります。これがいちばん消耗します。時間帯と長さの決め方は別の記事にまとめています。
50分にすると決めたら、見ている人にも先に伝えてください。「今日は50分です」と最初に言うだけで、延長を期待されなくなります。伝えていないと、切るときに申し訳なさが出ます。
企画の切れ目で、小休止を入れる
ガイドラインは、一連続作業時間内に1回から2回程度の小休止を設けるよう求めています。配信でも、これは作れます。
完全に止まる必要はありません。話す役を手放す時間を作ればいいです。コメントを読み上げる時間、音楽を流す時間、視聴者に質問を投げて待つ時間。
その間、画面から視線を外して、遠くを見てください。30秒でも目は戻ります。企画に切れ目を作る方法は企画の作り方で扱っています。
小休止を入れる場所は、毎回同じにしておくと楽です。開始から20分と40分、というように決めておく。決めていないと、そのつど「いまは入れられるか」を判断することになって、結局入れられません。
姿勢を1回だけ変える
もうひとつ、小休止の使い方があります。姿勢を変えることです。
同じガイドラインには、作業姿勢について、座位のほか、時折立位を交えて作業することが望ましい、とされています。座り続けないほうがいい、ということです。
配信中に立つのは難しいですが、1回だけ座り直すことはできます。背もたれに深くもたれる、足の裏を床につける。ガイドラインには、椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とすること、と書かれています。
ディスプレイについては、おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにし、画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい、ともされています。スマホを顔の近くで持っている人は、ここが崩れていることが多いです。
配信後の30分を先に決めておく
ここからが、この記事の本題です。配信が終わったあとの話です。
終わってからの行動を、決めておく
配信が終わった直後は、判断力が落ちています。だから、そのときに考えて決めようとしても、うまくいきません。
やることは、終わったあとの30分を、先に決めておくことです。何をするかを、配信前に紙に書いておく。順番まで決めます。
紙に書く、というところが意外と効きます。頭の中で決めただけだと、終わったときに思い出せません。机の上か、壁に貼っておいてください。見れば分かる状態にしておくのが要点です。
たとえば、配信を切る、画面を伏せる、水を飲む、肩を回す、風呂に入る。この順番を固定します。考えずに済む形にしておくのが要点です。
数字を見る時間を、後ろにずらす
終わった直後にいちばんやってしまうのが、数字を見ることです。視聴者数、ギフト、フォロワーの増減。
これをやると、気持ちの疲れが上乗せされます。良い数字でも悪い数字でも、終わった直後に見ると引きずります。
見るなとは言いません。ただ、見る時間を翌日に移してください。数字は逃げません。そして翌日に見ると、同じ数字でも冷静に読めます。伸びの測り方は伸びない記事にまとめています。
翌日に見るときも、その日だけを見ないでください。1日の数字は上下します。週単位か月単位で並べると、その日の良し悪しに振り回されなくなります。見る単位を変えるだけで、受け取り方が変わります。
体を動かす時間を入れる
同じガイドラインに、職場体操等という項目があります。「就業の前後又は就業中に、体操、ストレッチ、リラクゼーション、軽い運動等を行うことが望ましい。」とされています。
配信後の30分に、これを入れてください。長くなくて構いません。肩を回す、首を横に倒す、背中を伸ばす。1分で足ります。
効くのは、体の疲れだけではありません。動くことで、気持ちの切り替えのきっかけになります。座ったまま考え続けるより、立って伸びをするほうが早く戻ります。
3つの疲れ、それぞれの戻し方
最後に、3つの疲れごとの対処をまとめます。
| 疲れ | 配信中にやる | 終わってからやる |
|---|---|---|
| 目 | 遠くを見る | 画面を伏せる |
| 体 | 座り直す | その場で立つ |
| 気持ち | 数字を見ない | 状態を変える |
| 声 | 水を飲む | 話さない時間 |
目の疲れ
いちばん戻しやすいのが、目です。画面から離れて、遠くを見るだけで変わります。
配信中なら、小休止のときに窓の外を見る。終わったあとなら、まず画面を伏せる。スマホを見ながら休憩しても、目は休まりません。
ガイドラインの視距離の記述にあるとおり、おおむね40cm以上を保つのも効きます。スマホを顔に近づけて配信している人は、スタンドを使って離してください。照明が直接目に入っている場合は、位置を変えます。
それと、配信が終わったあとにスマホでSNSを見るのは、目にとっては休憩ではありません。同じ距離で同じ明るさの画面を見続けていることになります。10分でいいので、画面を伏せる時間を作ってください。
体の疲れ
体は、動かすと戻ります。ただ、疲れているときほど動きたくないので、型にしておくのが確実です。
おすすめは、配信を切ったらその場で立つ、と決めることです。立ってしまえば、伸びをするところまでは自然につながります。
そして、翌日に残る場合は、姿勢のほうを疑ってください。毎回同じ場所が痛むなら、それは配信中の姿勢が原因です。椅子の高さ、画面の位置、腕の置き場所。1つずつ変えて、どれが効くかを見ます。
いちばん多いのが、スマホを手で持ち続けている形です。腕と肩に効きます。スタンドに置くだけで、腕の負担はなくなります。これは機材の話ですが、数百円で解決するので先にやっていい部類です。
気持ちの疲れ
いちばん戻りにくいのが、これです。休んでも戻らないことがあります。
効くのは、配信と自分を切り離す合図を作ることです。配信用のアカウントからログアウトする、部屋の照明を変える、着替える。何でもいいので、物理的に状態を変えると切り替わりやすくなります。
そして、翌日まで引きずる状態が続くなら、枠の長さか頻度が合っていません。難しさの分け方は難しいと感じるときの記事で扱っています。体調の不調が続く場合は、医療機関に相談してください。この記事で扱っているのは設計の話です。
| 時点 | やること |
|---|---|
| 配信前 | 30分の順番を紙に書く |
| 配信中 | 切れ目で遠くを見る |
| 配信直後 | 画面を伏せて立つ |
| 翌日 | そこで数字を見る |
まとめ
疲れは、分けてから休むと戻りが早くなります。
- 厚生労働省の情報機器作業のガイドラインは、健康診断の自覚症状の調査を3つに分けている。「眼疲労を主とする視器に関する症状」「上肢、頸肩腕部及び腰背部を主とする筋骨格系の症状」「ストレスに関する症状」
- 3つは戻し方が違う。目は離れれば戻り、体は動かすと戻るが、気持ちは休んでも戻らないことがある
- 同じガイドラインは「情報機器作業の健康影響が作業時間と拘束性に強く依存することを踏まえ、『5 作業管理』に掲げられた対策を優先的に行うこと」としている。機材より先に時間を直す、という順番
- 配信は拘束性が高い。始める時刻が決まっていて、その間は席を立てず、画面から離れられない
- ガイドラインは「一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分〜15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回〜2回程度の小休止を設ける」ことを求めている
- 配信中に10分は止まれない。だから枠を短くするか、終わったあとにまとめて取るかで埋める。気合いではなく設計の問題
- 枠を50分にする。一連続が1時間を超えなくなり、終わりの時刻が決まることで力を配分できる
- 小休止は、話す役を手放す時間で作る。コメントを読む時間、質問を投げて待つ時間。その間に遠くを見る
- 配信後の30分を、配信前に決めておく。終わった直後は判断力が落ちているので、考えずに済む形にする
- 数字を見る時間は翌日にずらす。良い数字でも悪い数字でも、直後に見ると引きずる
今日できるのは、次の配信の前に、終わったあとの30分の順番を紙に書いておくことです。配信を切る、画面を伏せる、水を飲む、肩を回す。これだけで十分です。なお、このガイドラインは事務所で働く労働者のためのもので、配信にそのまま適用されるものではありません。不調が続く場合は医療機関に相談してください。
よくある質問(FAQ)
配信のあと、何もできなくなります
終わったあとの30分を、配信前に決めておいてください。終わった直後は判断力が落ちているので、その場で考えて決めようとするとうまくいきません。配信を切る、画面を伏せる、水を飲む、肩を回す、風呂に入る。この順番を紙に書いて、考えずに済む形にします。それでも翌日まで引きずる状態が続くなら、枠の長さか頻度が合っていません。不調が続く場合は医療機関に相談してください。
何分くらいの配信がいいですか
厚生労働省の情報機器作業のガイドラインは、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分〜15分の作業休止時間を設け、一連続作業時間内において1回〜2回程度の小休止を設けるよう指導すること、としています。配信中に10分から15分止まるのは難しいので、枠を50分にして、一連続が1時間を超えないようにするのが現実的です。ただし、これは事務所で働く労働者のための基準で、配信にそのまま適用されるものではありません。
照明や椅子を買えば楽になりますか
効きますが、優先順位としては後ろです。同じガイドラインには「情報機器作業の健康影響が作業時間と拘束性に強く依存することを踏まえ、『5 作業管理』に掲げられた対策を優先的に行うこと」と書かれています。作業管理というのは時間の管理のことです。まず配信の長さと区切りを見直してください。お金もかかりません。そのうえで足りなければ、照明や椅子を検討する順番になります。
配信中に休憩を入れると、人が離れませんか
完全に止まる必要はありません。話す役を手放す時間を作れば足ります。コメントを読み上げる時間、音楽を流す時間、視聴者に質問を投げて待つ時間。その間に画面から視線を外して遠くを見ると、目は30秒でも戻ります。むしろ、間がある枠のほうがコメントは打ちやすくなります。ずっと喋り続けていると、打つ間がなくなるからです。
目がずっと重いです
まず、画面との距離を測ってください。ガイドラインでは、おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにし、画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい、とされています。スマホを顔の近くで持っていると、ここが崩れます。スタンドを使って離してください。次に、照明が直接目に入っていないかを確認します。休憩のときにスマホを見ても目は休まらないので、画面を伏せて遠くを見てください。症状が続く場合は眼科に相談してください。
数字を見るのをやめられません
見るなとは言いません。見る時間を翌日に移してください。終わった直後に見ると、良い数字でも悪い数字でも引きずります。翌日に見ると、同じ数字でも冷静に読めます。やり方としては、配信後の30分の手順に「数字は見ない」を入れておくのが確実です。それでも気になるなら、配信用のアカウントからログアウトしてしまうのが早いです。物理的に見られない状態にすると、切り替わりやすくなります。
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