
ChatGPTにExcelを読み込ませようとして、上がらない。あるいは上がったのに中身が反映されていない。こういうとき、多くの人はファイルを作り直すか、何度もアップロードを試します。ただ、OpenAIの公式FAQには、どこで止まるのかが具体的な数字で書かれています。原因は、たいていサイズ・回数・保存量のどれかです。
この記事では、公式FAQに書かれている上限をもとに、症状から原因を逆引きする形にまとめました。内容はOpenAIの公式ヘルプセンターで確認したものです。プランや上限は変わることがあるので、実際の運用前には原典で最新の数字を確認してください。
結論:原因はサイズ・回数・保存量のどれか
先に全体像を示します。公式FAQを読むと、アップロードにかかる制限は性質の違う3種類に分かれていました。どれに当たっているかが分かれば、対処はすぐ決まります。闇雲に再試行するのがいちばん損で、あとで説明するとおり逆効果になることさえあります。
3種類の上限
1つ目がサイズの上限で、1ファイルあたり何MBまで、という話です。2つ目が回数の上限で、一定時間に何ファイルまで、という話です。そして3つ目が保存量の上限で、アカウント全体でどれだけのデータを持てるか、という話です。ここで重要なのは、公式FAQが「2種類の制限がある」と明示的に説明している点です。ローリングのアップロード回数と、チャット・プロジェクト・カスタムGPTの知識をまたいで共有されるストレージの上限。この2つは別物なので、片方を解消してももう片方で止まることがあります。
そもそも使えるプランかは問題ではない
最初に安心材料をひとつ。公式FAQは、ファイルのアップロードは無料プランと有料プランの両方で利用できるとしています。ただし、プランごとの使用上限とアカウントの設定に従う、という条件付きです。利用できるのはウェブと、対応しているモバイルアプリです。つまり「無料だから使えない」ではなく、「無料だと回数が少ない」という構造になっています。この違いは大きくて、プランを上げる前に、自分が回数で止まっているのかサイズで止まっているのかを見極める価値があるということです。
症状から原因を逆引きする
症状が違えば原因も違う。まずどれかを決めてから手を動かす。
サイズの上限は3種類ある
まずサイズから見ていきます。ここは数字が細かく分かれていて、しかもExcelやCSVには独自の扱いがあります。知らないと「なぜこのファイルだけ通らないのか」が分からず、見当違いの対処をすることになります。
スプレッドシートは約50MB
Excelを扱う人にとって、いちばん関係するのがこれです。公式FAQには、CSVファイルやスプレッドシートについては、各行のサイズにもよるが、ファイルサイズが約50MBを超えることはできないと書かれています。「約」とついているのは、行の内容によって変わるためです。つまり、同じ50MBでも中身によって通ったり通らなかったりする可能性があります。業務で扱う集計ファイルがこの水準に達することは珍しくありません。列を絞る、不要なシートを消す、期間を分ける。こうした前処理でサイズを落とすのが現実的な対処になります。
1ファイル512MBのハードリミット
もうひとつ、全体にかかる上限があります。公式FAQは、GPTまたはChatGPTの会話にアップロードされるすべてのファイルには、1ファイルあたり512MBのハードリミットがあるとしています。「ハードリミット」と書かれているとおり、ここは例外なく効く上限です。スプレッドシートの約50MBより緩い数字ですが、動画や大量の画像を含む資料では当たる可能性があります。なお画像については別に規定があり、1枚あたり20MBの制限とされています。
トークンの上限はスプレッドシートには効かない
ここが意外と知られていない部分です。公式FAQには、GPTまたはChatGPTの会話にアップロードされるすべてのテキストファイルとドキュメントファイルは、1ファイルあたり200万トークンが上限と書かれています。ただし、そのすぐあとに「この制限はスプレッドシートには適用されない」と明記されています。つまり、長大なWord文書やPDFではトークン数で止まることがあるのに対し、Excelやcsvは容量のほうで判定される、ということです。「文字数が多すぎるから読めないのでは」と考えてExcelの行を減らすのは、的外れな対処になり得ます。見るべきはファイルサイズです。
回数の上限に引っかかっている場合
昨日まで問題なく使えていたのに、今日だけ上がらない。こういうときは回数を疑います。ここには、知らないと納得しづらい仕様がひとつあって、それを知らないまま対処すると、かえって状況が悪化します。順に見ていきましょう。
3時間で80ファイル、無料は1日3ファイル
公式FAQは具体的な数字を挙げています。ユーザーは3時間ごとに最大80ファイルをアップロードできる。そして、無料ユーザーは1日あたり3ファイルのアップロードに制限される。さらに、ピーク時にはこれらの上限が引き下げられる場合があるとも書かれています。無料プランで業務ファイルを扱おうとすると、1日3件ではかなり厳しい。逆にいえば、有料プランの3時間で80件という枠は、通常の業務では当たりにくい水準です。急に上がらなくなったなら、まず自分がどちらのプランで、直近3時間に何件上げたかを振り返ってください。
失敗した試行も数えられることがある
ここが、いちばん納得しづらい仕様です。公式FAQのトラブルシューティングには、失敗したアップロードの試行が、アップロード回数の上限にカウントされることがあると書かれています。つまり、上がらないからといって何度もやり直すと、その試行自体が枠を消費し、さらに上がらなくなる可能性があるということです。失敗したときに連打するのは、いちばんやってはいけない対処です。1回失敗したら、まずサイズを確認する。それでも分からなければ時間を置く。この順番を守るだけで、無駄に枠を減らさずに済みます。
残量が確認できない、という制約
やっかいなことに、回数の残りは自分では見えません。公式FAQには、ライブラリのストレージ使用量は ChatGPT の Settings > Storage で確認できるとしたうえで、ChatGPTは現在、ローリングのアップロード回数の枠をどれだけ使ったか、どれだけ残っているかを表示していないと明記されています。つまり、保存量は見えるが回数は見えない。だからこそ、失敗したときに「回数かもしれない」と疑える知識が効いてきます。時間を置いて試す、という判断ができるかどうかが分かれ目です。
保存量の上限に引っかかっている場合
数日にわたって上がらない、という場合は保存量を疑います。これは回数と違って、時間が経っても勝手には回復しません。自分で片づける必要があり、しかも片づける場所にもコツがあります。ここを外すと、消したのに直らない、が起きます。
ユーザー25GB、組織100GB
公式FAQは使用上限として2つの数字を挙げています。各エンドユーザーは25GBが上限、各組織は100GBが上限です。そして、ユーザーまたは組織の上限に達した場合はエラーが表示されるとも書かれています。ここで注意したいのは、組織の上限があるという点です。自分は使っていなくても、同じ組織の他のメンバーが大量に上げていれば、組織全体の枠に当たる可能性があります。「自分は何もしていないのに上がらない」という状況は、この構造で起こり得ます。その場合は個人で解決できないので、管理部門に相談することになります。
枠は横断して共有されている
もうひとつ重要なのが、枠の数え方です。公式FAQのトラブルシューティングには、ストレージの上限はチャット、プロジェクト、カスタムGPTの知識をまたいで適用されると書かれています。つまり、普段のチャットで上げたファイルも、プロジェクトに置いたファイルも、自分が作ったGPTに知識として入れたファイルも、すべて同じ25GBを食い合っています。チャットだけ整理しても解決しないのは、これが理由です。公式FAQも、使用上限に達している場合は、最近のチャットや自分が作ったGPTからファイルを削除できる、と案内しています。
削除するとどうなるか
整理する前に、削除の挙動も知っておくと安心です。公式FAQによると、チャットは削除するまでアカウントに保存され、チャットまたはアカウントを削除すると、30日以内にシステムから削除されます。ただし、事前に匿名化されてアカウントから切り離されている場合や、セキュリティ上または法律上の理由で保持が必要な場合は除く、とされています。アップロードしたファイルは対応するチャットの保持期間まで保存され、カスタムGPTに知識としてアップロードしたファイルは、そのカスタムGPTを削除するまで保持されます。つまり、古いGPTを放置していると、その分の容量を持ち続けることになります。
プロジェクトとGPTには別の上限がある
ここまでの上限に加えて、置き場所ごとの制限もあります。ファイル単体のサイズは問題ないのに入らない、という場合はこちらを疑います。プロジェクトとカスタムGPTでは数え方が違い、どちらもプランや作り方で上限が変わります。
プロジェクトのファイル数はプランで変わる
公式FAQは、サブスクリプションのプランに基づいてプロジェクトのファイルアップロード上限を更新した、としたうえで、具体的な数字を挙げています。Freeは1プロジェクトあたり最大5ファイル。GoとPlusは最大25ファイル。Edu、Pro、Business、Enterpriseは最大40ファイルです。資料を分けて整理していると、意外と早く当たります。1つのプロジェクトに関連資料を全部入れる運用をしていると、上限に達しやすいので、プロジェクトの粒度を見直すか、統合してから入れるのが有効です。
カスタムGPTは生涯で10ファイル
カスタムGPTにはさらに厳しい制限があります。公式FAQには、GPTごとに、そのGPTの生涯で最大10ファイルと書かれています。「生涯」という表現が使われているのが特徴で、入れ替えを繰り返す使い方は想定されていない可能性があります。あわせて、ファイルサイズの制限とユーザーおよび組織ごとの使用上限があることも念を押されています。社内向けのGPTを作るときは、最初に10ファイルの枠をどう使うかを設計してから作り始めるほうが安全です。資料を1つに統合してから入れる、という判断もここで効いてきます。
上がったのに中身が読まれていない場合
ここまでとは別系統の症状です。ファイルは受け付けられたのに、内容について質問すると噛み合わない。これは上限の問題ではなく、取り込み方の仕様が原因のことがあります。Excelを扱う人にも関係する話です。
画像は破棄される
公式FAQには、ドキュメント・プレゼンテーション・PDFに埋め込まれた画像を扱えるか、という質問があります。回答は、プランとファイルの種類によって変わる、というものです。そして具体的に、ChatGPT EnterpriseはPDFのVisual Retrievalに対応しているが、それ以外のすべてのプランとドキュメントファイルは、テキストベースの取得のみをサポートすると書かれています。ここが決定的で、続けてこう説明されています。つまりChatGPTはファイルからデジタルテキストを抽出し、画像は破棄する。グラフや図で示した内容は、テキストとして書かれていなければ伝わらない、ということです。
Excelで注意すべきこと
この仕様は、Excelを扱うときにも影響します。シートに貼り付けたグラフや画像は、テキストとして抽出できないため落ちる可能性があります。集計結果をグラフで示していても、AIが見ているのは元の数値のセルだけ、という状況が起こり得ます。意図した分析をさせたいなら、根拠になる数値がセルとして存在しているかを確認してください。また、スキャンした紙をPDFにしたものも、デジタルテキストが含まれていなければ同じ問題が起きます。読み込めたのに内容が噛み合わないときは、まず「そのファイルにテキストとして入っているか」を疑うのが近道です。
それでも解決しないとき
ここまで確認して原因が特定できない場合の手順も、公式FAQに書かれています。自己流で試し続けるより、案内どおりに進めたほうが早く片づきます。問い合わせるときに添えるものまで指定されているので、そこも押さえておきます。
公式が挙げている確認手順
「upload limit reached」というメッセージが出るのに、最近ほとんどアップロードしていない、というケースについて、公式FAQは手順を挙げています。正しいアカウントとサブスクリプションプランにサインインしているかを確認する。2種類の制限、つまりローリングのアップロード回数と、チャット・プロジェクト・カスタムGPTの知識をまたいで適用される共有ストレージの上限があることを思い出す。失敗したアップロードの試行が回数の上限にカウントされることがある点に注意する。そして、status.openai.com でアップロードに影響し得る障害が起きていないかを確認する。この最後の項目は忘れられがちですが、自分側に原因がない可能性を切り分けられます。
問い合わせるときに添えるもの
それでも解決しない場合、公式FAQはエスカレーションのために添える情報を列挙しています。アカウントのメールアドレス、スクリーンショット、タイムスタンプとタイムゾーン、使用したプラットフォーム・アプリ・ブラウザ、そして(分かる場合は)リクエストIDです。ここを揃えてから連絡すると、やり取りの往復が減ります。逆にいえば、これらが揃っていないと調査が進みにくいということでもあります。トラブルに遭遇した瞬間にスクリーンショットを撮り、時刻を控えておく。この習慣があるかどうかで、解決までの時間がかなり変わります。
学習に使われるかも確認しておく
業務ファイルを扱う以上、データの扱いも押さえておきたいところです。公式FAQは、アップロードしたファイルがモデルの学習に使われるかという問いに対し、使っているサービスによって答えが変わるとしています。そのうえで明確に、APIやChatGPT Enterpriseといったビジネス向けの提供において顧客が送信したコンテンツは、モデルの性能改善には使用しないと書かれています。消費者向けサービスについては、コンテンツにアップロードされたファイルが含まれ得るとしたうえで、データがどう使われるかと選択肢についての別の案内を参照するよう促しています。業務のファイルを上げる前に、自社がどちらの契約かを確認してください。
まとめ
ChatGPTにExcelが上がらないとき、原因はサイズ・回数・保存量のどれかであることがほとんどです。サイズなら、スプレッドシートは各行のサイズにもよるが約50MBを超えられず、全ファイル共通で1ファイル512MBのハードリミットがあります。なお1ファイル200万トークンという上限は、スプレッドシートには適用されません。Excelで止まっているなら、行数ではなく容量を見てください。
回数なら、3時間で80ファイル、無料ユーザーは1日3ファイルで、ピーク時には引き下げられる場合があります。そして失敗した試行も回数にカウントされることがあるので、連打は逆効果です。保存量なら、ユーザー25GB、組織100GBで、この枠はチャット・プロジェクト・カスタムGPTの知識をまたいで共有されています。チャットだけ整理しても解決しないのはこのためです。
置き場所ごとの上限もあります。プロジェクトはFreeが5、GoとPlusが25、Edu・Pro・Business・Enterpriseが40ファイルまで。カスタムGPTは生涯で10ファイルです。そして、上がったのに噛み合わない場合は仕様を疑ってください。Enterprise以外のプランとドキュメントファイルはテキストベースの取得のみで、画像は破棄されます。グラフで示した内容は、数値がセルにあるかどうかで結果が変わります。
よくある質問(FAQ)
Excelの行を減らせば読み込めるようになりますか
必ずしもそうとは限りません。公式FAQには、1ファイルあたり200万トークンという上限はスプレッドシートには適用されない、と明記されています。スプレッドシートで見るべきはファイルサイズのほうで、CSVやスプレッドシートは各行のサイズにもよるが約50MBを超えられない、とされています。
何度やっても上がりません。繰り返し試してよいですか
おすすめしません。公式FAQのトラブルシューティングには、失敗したアップロードの試行がアップロード回数の上限にカウントされることがある、と書かれています。1回失敗したらサイズを確認し、それでも分からなければ時間を置いてください。
あと何回アップロードできるか確認できますか
回数については確認できません。公式FAQは、ライブラリのストレージ使用量は Settings > Storage で確認できるとしたうえで、ローリングのアップロード回数の枠をどれだけ使ったか、どれだけ残っているかは現在表示されない、と明記しています。
古いチャットを消したのに、まだ上がりません
保存量の枠は横断して共有されています。公式FAQによると、ストレージの上限はチャット、プロジェクト、カスタムGPTの知識をまたいで適用されます。自分が作ったGPTに知識として入れたファイルも同じ枠を使っているため、そちらの整理も必要です。
グラフの内容について質問しても噛み合いません
仕様の可能性があります。公式FAQは、ChatGPT EnterpriseはPDFのVisual Retrievalに対応するが、それ以外のすべてのプランとドキュメントファイルはテキストベースの取得のみをサポートし、ファイルからデジタルテキストを抽出して画像は破棄する、と説明しています。根拠となる数値がセルやテキストとして入っているかを確認してください。
自分は使っていないのに組織で上限に達しました
公式FAQは、使用上限として各エンドユーザー25GB、各組織100GBを挙げ、ユーザーまたは組織の上限に達した場合はエラーが表示されるとしています。組織単位の枠があるため、他のメンバーの利用状況の影響を受けることがあります。その場合は管理部門に相談してください。
最新の上限を原典で確認する
プランと上限は更新されます。運用を決める前に、File Uploads FAQ(OpenAI公式ヘルプセンター)で最新の数字を確認してください。