
「ExcelにCopilotが出てこない」という相談を受けると、たいていリボンを探しています。でも公式ヘルプを読むと、入口そのものが移動していました。探す場所が違うと、いくら見ても見つかりません。
この記事では、Microsoftの公式ヘルプとMicrosoft Learnに書かれている内容だけを並べ、確認する順番に整理します。内容は公式ページで確認したものです。仕様と対象プランは更新されるため、判断の前には原典で最新の記載をご確認ください。
結論:探す場所が変わっている
先に結論から。表示されない原因は大きく2つに分かれます。そもそもボタンの場所が変わっていて見つけられていない場合と、ライセンスや環境の条件を満たしていない場合です。前者なら数十秒で解決します。だから、先に場所を確かめるのが正しい順番になります。
入口が1か所に統合された
公式ヘルプには、変更の内容がはっきり書かれています。Copilotを開く方法を単一の一貫した入口に統合したという説明があり、それがドキュメントの隅に固定された「Copilot 動的アクション ボタン」です。続けて、Copilotの機能は変わっていません。変わったのは、そこへ到達する方法だけですとも書かれています。つまり、機能が消えたわけでも、使えなくなったわけでもありません。リボンを探して見つからない人は、この変更を知らないだけという可能性が高い。まずここを確認してください。
確認する順番
順番はこうします。1つ目、隅にボタンがあるか。なければショートカットを押してみる。2つ目、自分でドックやリボンへの移動をしていないか。3つ目、Copilotにアクセスできるライセンスがあるか。4つ目、使っている端末でその操作が対応しているか。5つ目、ブラウザの設定。6つ目、社内のネットワーク。上の3つは自分で確認でき、下の3つは環境の話になります。順番を守ると、情報システム部門に相談する前に自分で解決できる範囲が先に片づきます。以降の節で、公式の記載を引きながら順に見ていきます。
出てこないときに見る順番
上の3つは、自分で確認できる。
入口は、隅のボタンに統合された
まず場所です。ここを知らないまま探し続けている人が多いので、最初に押さえます。公式ヘルプには、表示される位置とキーボードショートカットの両方が具体的に書かれているので、読んだその場で試せる内容になっています。
ドキュメントの隅にある
公式ヘルプには、動的アクション ボタンは、Word、Excel、PowerPoint、Windows、Mac、Web で一貫した隅に表示されますと書かれています。アプリをまたいでも、プラットフォームをまたいでも、同じ隅にある、ということです。Excelについては別のヘルプに具体的な記載があり、Excelの右下隅にあるCopilotアイコンを選択しますとされています。リボンの上のほうを探していた人にとっては、ほぼ正反対の位置です。まず右下を見る。それだけで見つかることが少なくありません。開くと、右側のチャットウィンドウでExcelエージェントが開きますと説明されています。
ショートカットが用意されている
ボタンが視覚的に見つけにくい場合は、キーボードから開けます。公式ヘルプはプラットフォームごとに示しています。Windows(Win32およびWeb)はAlt + C。Mac(デスクトップおよびWeb)はCmd + Control + I。そして、すべてのプラットフォームでF6です。F6はキャンバスの動的アクション ボタンにフォーカスを移動しますとされています。補足もあり、以前 Alt + H、F、X キーを使用してCopilotウィンドウを開いていた場合は、代わりにF6キーを押せるようになりましたと書かれています。覚えるならF6です。他の2つはロールアウト中とされているためです。
Outlookだけは変わっていない
混乱しやすい点も書かれています。Outlookは、この変更の影響を受けません。OutlookのCopilotは、既存のエントリポイントを引き続き使用します。つまり、Outlookで見慣れた場所にCopilotがあるからといって、Excelでも同じ場所にあるとは限りません。「Outlookでは出るのにExcelでは出ない」という状況は、故障ではなく仕様上の差である可能性があります。社内で症状を共有するときも、どのアプリの話かを明確にしたほうが話が早く進みます。アプリごとに入口が違う時期にある、と理解しておくと余計な確認を省けます。
自分の操作で、見えなくなることがある
次は、昨日まであったのに今日は見当たらない、というケースです。公式ヘルプには、ボタンを目立たなくする操作が2種類用意されていると書かれていて、どちらも意図せず操作の弾みで実行してしまう可能性のあるものです。
ドックすると、小さくなる
1つ目がドックです。公式ヘルプの説明はこうなっています。コンテンツに集中したくて動的アクション ボタンを邪魔にならないところへ片づけたいときは、ドックできます。方法は2つで、右クリックして「Dock」を選ぶか、コンテンツの脇へドラッグします(左から右に読む言語なら右側、右から左なら左側)。ドックしたあとは小さくなったアイコンを選ぶか、キャンバスへドラッグし直すと再び使えます。そして重要なのが持続の範囲で、ドックは作業セッションの間持続しますとされています。ドラッグしたつもりがなくても、操作の弾みでドックされていることがあります。
リボンへ移動すると、隅から消える
2つ目が、リボンへの移動です。公式ヘルプには、リボンから作業するほうが好みの場合、たとえばキャンバスをすっきりさせたい場合や、以前のCopilotの使い方に合わせたい場合は、動的アクション ボタンをリボンに移動できますとあります。手順は、ドキュメントの隅にあるCopilot 動的アクション ボタンを右クリックし、「Move to ribbon」を選択します。こちらは記憶の仕方が違い、WindowsとmacOSでは、選択がセッションをまたいでアプリごとに記憶されます。Webでは、現在の作業セッションに適用されますとされています。一度リボンへ移すと、次に開いたときも隅にはありません。探す場所が変わったと勘違いしやすいところです。
ビルドの条件もある
リボンへの移動には、バージョンの条件も書かれています。Move to ribbon は、Windows では Build 16.0.20129.15140 以降、macOS では Build 16.109.525.2 以降で利用できます。つまり、右クリックしても項目が出てこない場合は、アプリが古い可能性があります。もうひとつ、個人アカウント向けの記載もあります。個人のMicrosoftアカウント(たとえば outlook.com のメールアドレス)をお持ちの場合、Copilotを使いたくなければオフにできます。いちばん分かりやすいのは、アプリの設定で「Enable Copilot」のチェックボックスをオフにする方法で、アカウントの広範なプライバシー設定を変えずにCopilotの入口を隠せます。誰かが設定でオフにした可能性も、確認項目に入ります。
ライセンスがないと、ボタン自体が出ない
ここから先は、自分の操作では解決しない層になります。まずライセンスです。公式ヘルプには、ボタンが表示される条件がそのまま書かれていて、条件を満たさない場合に画面がどうなるかまで、はっきり明記されています。
アクセスがなければ、表示されない
公式ヘルプの注記に、こうあります。Copilot 動的アクション ボタンは、Copilotにアクセスできるユーザーにのみ表示されます(Microsoft 365 Personal、Family、Premiumのサブスクリプション、またはMicrosoft Copilotライセンスを通じて)。Copilotにアクセスできない場合、ボタンは表示されません。非常にはっきりした書き方です。つまり、ボタンが見当たらないこと自体が、アクセス権がないことの表示になっている場合があります。故障を疑う前に、自分のライセンスを確認するのが筋道です。公式も、ライセンスを確認するには「どのCopilotライセンスを持っているか」を参照してくださいと案内しています。
組織の設定で使えないこともある
Excel向けのヘルプにも、同じ趣旨の記載があります。Word、Excel、PowerPoint、またはOneNoteでCopilotが表示されない場合は、Microsoft 365サブスクリプションに含まれていないか、組織の設定に基づいて利用できない可能性があります。ここで挙げられている理由は2つです。サブスクリプションに含まれていないか、組織の設定で利用できないか。後者は個人では変えられません。Microsoft Learnの要件ページにも、Word、Excel、PowerPointでのChatエクスペリエンスは、テナントの構成とライセンスによって異なりますと書かれています。同じ会社でも、人によって見え方が違うのは、この構造によります。
アカウントの種類も条件に入る
Microsoft Learnの要件ページには、前提として2つ挙げられています。ユーザーにはMicrosoft 365ライセンスが割り当てられている必要があります。そして、ユーザーはMicrosoft Entra IDアカウントを持っている必要があります。職場や学校のアカウントで使う場合、この2つが揃っていることが前提になります。ここで実務的なのは、個人アカウントでサインインしたまま作業していないかを確認することです。Officeは複数のアカウントを切り替えられるため、意図せず別のアカウントで開いていることがあります。ファイルタブでアカウントを見る。これも1分で終わる確認です。
端末によって、できることが違う
ボタンは出るのに、頼んだことをやってくれない。この症状には別の説明があります。公式ヘルプにはプラットフォームごとの対応表が載っていて、端末によって使えるモードが違うことが、表の形ではっきり明記されています。
モードが3つある
まず前提として、Excelの側に3つのモードがあります。公式ヘルプによると、Excelの Copilot には編集、計画、チャットの3つのモードが用意されています。既定では、ExcelのCopilotは編集モードで開きます。それぞれの役割も説明されています。編集モードでは、データの整形、シートのマージ、複数の要素を含むレポートの作成など、複雑な複数ステップのタスクがサポートされます。計画モードは、すぐに行動を起こす代わりに計画を生成するので、開始する前にアプローチを確認できます。そしてチャットのみモードでは、ブックデータを分析し、ブックを変更せずに分析情報を得られます。
スマートフォンでは編集できないことがある
ここが本題です。公式ヘルプのプラットフォーム別の表には、こう書かれています。Windows の Excel、Excel on Mac、Excel on the Web は、編集・チャット・計画モード。iPad の Excel は、ChatモードとPlanモード(編集モードのサポートは運用環境にロールアウトされています)。iPhone の Excel は、Chatモード(編集モードのサポートは運用環境にロールアウトされています)。Excel on Android は、Chatモード。つまり、スマートフォンでは、質問には答えるがブックを編集してくれないことがあります。外出先で試して「壊れている」と感じたなら、これに当たっている可能性があります。
編集モードの挙動も知っておく
編集モードが使える環境でも、動き方を知らないと不安になります。公式ヘルプには、プロンプトを送信すると、Copilotによってタスクが分析され、ステップバイステップのプランが作成されます。編集モードでは、ブック内で直接動作し、その計画を実行し、結果を確認し、結果が意図と一致するかどうかを評価しますと書かれています。ウィンドウでCopilotの推論を確認し、ブック内で変更が反映されていることを確認できますとも。そして安心材料として、いつでも停止または一時停止するには、チャット入力フィールドの右下隅にある「停止」ボタンを選択しますとされています。途中で止められる、と知っていると試しやすくなります。
ブラウザの設定で止まることがある
ブラウザ版を使っている場合、もう1つ確認したい項目があります。これはアプリの問題でもライセンスの問題でもなく、ブラウザ側の設定です。Microsoft Learnの要件ページに、1行だけ書かれている条件です。
サードパーティのCookieが必要
要件ページのAPIの要件の節に、こうあります。Copilotが Word Online、Excel Online、PowerPoint Online で動作できるようにするには、サードパーティのCookieを有効にする必要があります。近年のブラウザは、プライバシー保護のためにサードパーティのCookieを既定でブロックする設定が増えています。また、社内の方針でブロックしていることもあります。デスクトップ版では動くのに、ブラウザ版だけ動かないという症状なら、ここを疑う価値があります。ブラウザの設定でCookieの扱いを確認し、必要であれば該当のサイトを例外に追加する、という対処になります。
プライベートウィンドウで切り分ける
公式に書かれているのは条件だけですが、切り分けの方法としては、設定を変える前に別の環境で試すのが安全です。たとえば、拡張機能の入っていない状態で開いてみる。ブラウザを変えてみる。これで動くなら、原因は自分のブラウザ側にあると分かります。設定を変更する前に、原因の場所を特定しておくと、戻すのが簡単です。なお、Cookieの設定はセキュリティにも関わるため、会社の端末では勝手に変えず、情報システム部門に確認してから対応してください。確認するときは「サードパーティCookieが必要と公式に書かれている」と伝えると話が早くなります。
更新タスクの存在も知っておく
もうひとつ、要件ページには裏側の仕組みについての記載があります。Officeの機能の更新タスクは、Word、PowerPoint、Excel、OneNoteなどのアプリの主要なCopilotエクスペリエンスが正常に動作するために必要です。このタスクは通常のスケジュールで実行し、必要なネットワークリソースにアクセスする必要があります。つまり、Office自体の更新の仕組みが止まっていると、Copilotの体験にも影響が出る可能性があるということです。長期間アップデートしていない端末で不調が出ている場合は、ここも確認の対象になります。これは個人で判断しにくい部分なので、症状として伝えるのが現実的です。
社内のネットワークが原因のこともある
最後の層です。自分の端末では何も間違っていないのに動かない場合、社内のネットワーク構成が関係していることがあります。要件ページには、どの通信が必要かと、どういう構成が邪魔をするのかが、かなり具体的に書かれています。
WebSocketがブロックされていると障害が出る
要件ページには、WSSプロトコルの要件という節があります。いくつかのCopilot統合では、効率的なユーザーエクスペリエンスを提供するためにWebSocket(WSS)を利用しています。一部の顧客ネットワークがWSS接続を処理するように構成されていない可能性があり、これによりCopilotアプリケーションに障害が発生する可能性があります。そして、影響する構成が3つ挙げられています。ネットワーク境界がWSSプロトコルをブロックする。トランスポート層セキュリティ(TLS)による接続の検査を実行しようとしているネットワークデバイス。積極的な接続タイムアウトを強制するプロキシサーバー。どれも社内ネットワークでは珍しくない構成です。
許可するドメインが指定されている
対処についても具体的です。環境内で copilot.cloud.microsoft がブロックされていないことを確認します。そして、organizationの許可リストに *.cloud.microsoft を追加しますとされています。ここで重要な注記があります。Microsoftでは、*.cloud.microsoft ドメイン内の部分的な、または選択したMicrosoft 365アプリケーションURLのみの許可はサポートしていません。つまり、必要なURLだけを個別に許可する、という運用は想定されていません。ワイルドカードで許可する必要があるということです。これは情報システム部門に伝えるべき内容で、部分的な許可で試してうまくいかない場合の説明にもなります。
接続を検証するツールがある
確認の手段も案内されています。Microsoft 365 接続テスト ツールを使用すると、*.cloud.microsoft ドメインへの接続を検証できます。症状を伝えるときに、このツールの結果を添えられると話が具体的になります。また、個別のURLを指定したい組織向けの説明もあり、ハイパースケールとそのサービスの動的な性質により、Microsoft 365は個々の機能やシナリオで使用される特定のFQDNを提供できませんとされています。「このURLだけ開けてほしい」という依頼には応えられない構造だと公式に書かれているわけです。ここまで確認したら、あとは環境側の対応を待つことになります。
まとめ
ExcelでCopilotが出てこないとき、まず疑うのは場所です。公式ヘルプは、Copilotを開く方法を単一の一貫した入口に統合したとしており、それがドキュメントの隅に固定された「Copilot 動的アクション ボタン」です。Excelについては右下隅にあるCopilotアイコンを選択しますと書かれています。見つからないときは、すべてのプラットフォームでF6が使えます。Outlookはこの変更の影響を受けませんので、アプリごとに入口が違う時期だと理解しておくと混乱しません。
昨日まであったのに見当たらない場合は、自分の操作を疑います。右クリックして「Dock」を選ぶか、コンテンツの脇へドラッグするとボタンは小さくなり、ドックは作業セッションの間持続します。また、右クリックして「Move to ribbon」を選ぶと隅から消え、WindowsとmacOSでは選択がセッションをまたいでアプリごとに記憶されます。ライセンスについては、Copilotにアクセスできない場合、ボタンは表示されませんと明記されています。
ボタンは出るのに思ったとおり動かない場合は、端末を確認します。Windows・Mac・Webは編集・チャット・計画モード、iPadはChatとPlan、iPhoneとAndroidはChatモードとされています。ブラウザ版なら、サードパーティのCookieを有効にする必要があります。それでも動かない場合はネットワークで、WSSのブロック、TLS検査、積極的なタイムアウトを強制するプロキシが挙げられており、*.cloud.microsoft を許可リストに追加する必要があります。上から順に見れば、どこで止まっているかが分かります。
よくある質問(FAQ)
リボンを探してもCopilotのボタンがありません
公式ヘルプには、Copilotを開く方法が単一の入口に統合され、ドキュメントの隅に固定された動的アクション ボタンになった、と書かれています。Excel向けのヘルプでは、右下隅にあるCopilotアイコンを選択する、と案内されています。
昨日まで表示されていたのに、今日は見当たりません
ドック、またはリボンへの移動をしている可能性があります。公式ヘルプには、右クリックしてDockを選ぶかコンテンツの脇へドラッグすると小さくなること、ドックは作業セッションの間持続すること、右クリックしてMove to ribbonを選ぶとリボンへ移り、WindowsとmacOSでは選択が記憶されることが書かれています。
ボタンが表示されないのは不具合ですか
公式ヘルプには、動的アクション ボタンはCopilotにアクセスできるユーザーにのみ表示され、アクセスできない場合はボタンが表示されない、と明記されています。また、Microsoft 365サブスクリプションに含まれていないか、組織の設定に基づいて利用できない可能性がある、とも書かれています。
スマートフォンでは表を編集してくれません
公式ヘルプのプラットフォーム別の表では、iPhone の Excel と Excel on Android はChatモードとされ、iPadはChatモードとPlanモード、編集モードのサポートは運用環境にロールアウトされている、と書かれています。Windows、Mac、Webは編集・チャット・計画モードです。
デスクトップでは動くのに、ブラウザ版だけ動きません
Microsoft Learnの要件ページには、Copilotが Word Online、Excel Online、PowerPoint Online で動作できるようにするには、サードパーティのCookieを有効にする必要がある、と書かれています。ブラウザやネットワークの設定でブロックされていないかをご確認ください。
社内からだけ動きません。何を伝えればよいですか
要件ページには、WebSocket(WSS)の要件として、ネットワーク境界がWSSをブロックする構成、TLSによる接続の検査を行うデバイス、積極的な接続タイムアウトを強制するプロキシが障害の原因になりうると書かれています。また、*.cloud.microsoft を許可リストに追加する必要があり、部分的な許可はサポートしていないとされています。
自分の環境の条件を確かめる
入口とショートカットは更新されています。判断の前に、Word、Excel、PowerPoint の Copilot 動的アクション ボタン(Microsoft Support)で最新の記載をご確認ください。