SEO対策のやり方を調べると、施策が何十個も並んだ記事が出てきます。全部やる必要はありません。Googleは公式のスターターガイドで、やるべきことを7項目に整理し、そのうえで「やらなくていいこと」もはっきり書いています。メタキーワード、ドメイン名にキーワードを入れること、文字数(「魔法の文字数は存在しない」)など6つです。この記事では、Googleが挙げる項目を経営判断の順に並べ替え、社内の誰に何を渡すか、外注するなら何を要求するかまで整理します。提案書を切る材料としても使ってください。
この記事でわかること
結論。やることは絞れる。やらなくていいことのほうが重要
SEO対策の解説記事は、施策を数多く挙げるほど親切に見えます。ただ経営者の立場では、数が多いほど判断できなくなります。
そこで、この記事ではGoogleが公式に書いていることだけを土台にします。Googleは検索セントラルのSEOスターターガイドで、やるべきことを7項目に整理し、同時に「やらなくていいこと」も明記しています。
| 区分 | 内容 | 経営判断への使い方 |
|---|---|---|
| やること | Googleに見つけてもらう/サイトを整理する/有益な内容にする/検索結果での見え方/画像/動画/宣伝の7項目 | この7つに入らない施策は、優先度を下げてよい |
| やらなくていいこと | メタキーワード、キーワードの詰め込み、ドメイン名へのキーワード、文字数、重複を恐れること、見出しの順序 | 提案書にこれが入っていたら、根拠を聞く材料になる |
後者のほうが、実務では効きます。「やらないと決められること」が増えるほど、予算と時間は本当に効く場所に集まります。
まず3秒でできる確認
何かを始める前に、確認することが1つあります。Googleがスターターガイドの冒頭で挙げているものです。
検索窓に site:自社のドメイン と入力して検索する。
例:site:example.com
ここで自社のページが出てくれば、Googleのインデックスに登録されています。出てこなければ、検索対策以前の技術的な問題です。
Googleも「検索結果が自分のサイトを指していれば、インデックスに登録されています」と書いています。逆に出てこない場合は、技術要件を確認するよう案内されています。
ここで0件なら、記事を書いても順位計測をしても無意味です。制作会社に連絡して、検索エンジンに公開する設定になっているかを確認してください。制作中の非公開設定が残っているのが、最も多い原因です。
Googleが挙げている「やること」7項目
スターターガイドの見出しを、そのまま挙げます。
| Googleの項目 | 実務では何をするか |
|---|---|
| Googleがコンテンツを見つけられるようにする | サイトマップを送信する。他のページから内部リンクを張る。孤立したページを作らない |
| サイトを整理する | URLの構造を分かりやすくする。似た内容のページを増やしすぎない |
| 興味深く有益なサイトにする | 読む人の役に立つ内容を書く。ここが中心で、他は補助 |
| Google検索での見え方に影響を与える | タイトルと説明文を、クリックする理由が分かる形にする |
| 最適化した画像をサイトに追加する | 内容に合った画像を入れ、代替テキストを書く |
| 動画を最適化する | 動画を使っているなら、内容が伝わる形で置く |
| ウェブサイトを宣伝する | 検索以外の経路でも知ってもらう。SNS、名刺、既存客への案内 |
注目したいのは7つ目です。Googleが公式に「宣伝する」と書いている。検索対策の解説でここに触れているものは多くありません。検索だけで完結させようとせず、他の経路からも人が来る状態を作ることを、Google自身が推奨しています。
7項目を、経営判断の順に並べ替える
Googleの並びは技術的な順序です。経営者が予算を配分する順に並べ替えると、次のようになります。
図1:作業の順序。1は一度の投資で終わり、2は毎月かかる。ここを混ぜて見積もらないこと。
1の土台は、一度直せば終わります。費用も一度きりです。サイトマップの送信、内部リンクの整理、URLの構造。制作会社に頼めば数万円から十数万円の範囲に収まることが多い。
2の中身は、毎月かかり続けます。記事の制作費がここです。見積もりを見るときは、1と2が分かれているかを確認してください。一緒くたに「SEO対策一式」と書かれていると、一度きりの作業に毎月払い続けることになりかねません。
Googleが「不要」と明記している6つ
ここが、この記事で最も実用的な部分です。Googleがスターターガイドで「やらなくていい」「効果がない」と書いているものを挙げます。提案書にこれが入っていたら、根拠を聞いてください。
| Googleが不要としているもの | Googleの記述 | 提案されたときの聞き方 |
|---|---|---|
| メタキーワード | 利用しない | 「Googleは使わないと書いていますが、何に効くのですか」 |
| キーワードの詰め込み | スパムポリシー違反 | 「不自然な回数の挿入は、違反にあたりませんか」 |
| ドメイン名にキーワードを入れる | パンくずリスト以上の効果はない | 「ドメインを取り直す費用に見合う効果はありますか」 |
| 文字数の下限・上限 | 「魔法の文字数は存在しない」 | 「1記事5,000字という基準は、何を根拠にしていますか」 |
| 重複コンテンツを恐れること | ペナルティにはならない | 「重複でペナルティを受ける、という説明の出典はどこですか」 |
| 見出しの順序を厳密に守ること | 順番どおりでなくても問題ない | 「見出しの階層の修正に、いくらかかりますか」 |
とくに文字数は注意してください。「SEOには最低◯◯文字必要」という基準で見積もりが組まれていることがありますが、Googleは「魔法の文字数は存在しない」と明記しています。文字数を増やすこと自体に費用を払っているなら、その分を調査や取材に回したほうが確実です。
誤解のないように書いておくと、これらが「絶対にやってはいけない」という意味ではありません。見出しの階層を整えるのは読みやすさの面では意味がありますし、重複を減らすのもサイト管理として妥当です。ただし「検索順位のために必要」という理由づけは、公式情報と食い違うということです。
経営者が最初に決める5つ
施策の話に入る前に、決めておくことがあります。ここが決まっていないと、何を頼んでも噛み合いません。
| 決めること | 決め方 | 決めないとどうなるか |
|---|---|---|
| 1. 誰の、どんな困りごとに答えるか | 実際の問い合わせや商談で、よく聞かれる質問を10個書き出す | 誰にも刺さらない一般論の記事が増える |
| 2. どの言葉で探されたいか | 上の10個を検索語に直し、サジェストが出るかを確認する | 誰も検索していない語で1位を取ることになる |
| 3. 月に何本出すか | 社内の工数か、予算から逆算する | 最初だけ大量に出して、3か月で止まる |
| 4. いつ、何を見て判断するか | 3か月は表示回数、6か月は流入、1年は粗利 | 3か月目に順位だけを見て解約する |
| 5. いくらまで出せるか | 月額×続けられる月数で上限を決める | 途中でやめて、それまでの費用が無駄になる |
1つ目がすべての起点です。実際の商談で聞かれた質問は、検索されている可能性が高い。しかも答えられる。この2つが揃っている題材から書き始めるのが、最も外れません。
逆に、キーワードツールの一覧から検索数の多い語を選ぶやり方は、答えられない題材を引き当てるリスクがあります。書けても内容が薄くなり、上位の記事に勝てません。
社内でやる場合、担当者に渡すもの
内製する場合、担当者に丸投げすると止まります。経営者が渡すものを具体的に決めてください。
渡すもの1:答えるべき質問のリスト。前章で書き出した10個です。商談で実際に聞かれた言葉のまま渡してください。整えないほうが、記事の題材として使えます。
渡すもの2:他社に言えない情報の範囲。金額をどこまで書いてよいか。事例を実名で出せるか。失敗談を書いてよいか。ここを先に決めておかないと、担当者は無難な一般論しか書けません。そして無難な一般論は、検索でもAIの回答でも勝てません。
渡すもの3:書く時間。記事1本に数時間から十数時間かかります。他の業務を減らさずに「空いた時間で書いて」と頼むと、必ず止まります。月に何時間使ってよいかを明示してください。
渡すもの4:判断の権限。公開前に経営者の確認が必要な範囲を決める。全記事を確認する運用にすると、経営者がボトルネックになって公開が止まります。
外注する場合、業者に要求するもの
外注する場合、こちらから渡す条件と、相手に要求する項目を決めておきます。
| 要求する項目 | なぜ必要か |
|---|---|
| 施策の内訳と単価 | 一度きりの作業と毎月の作業を分けるため |
| 月に何本、何文字の記事を納品するか | 金額を本数で割って検算するため |
| 狙うキーワードと、その選定理由 | 誰も検索していない語を避けるため |
| 実装を誰がやるか | 指示書だけで終わる契約だと、反映作業に別途費用がかかる |
| Search Consoleの権限の扱い | 契約終了時にデータごと失わないため |
| レポートに何を載せるか | 順位の一覧だけでは判断できない |
加えて、取材の有無を必ず確認してください。自社にしかない情報を記事に入れるには、担当者への取材が要ります。取材なしで書かれた記事は、公開情報の組み替えにしかなりません。それはAIが最も得意な領域で、勝ち目が薄くなります。
最初の3か月にやる順番
実際の順番を示します。同時に全部やろうとすると、どれも中途半端になります。
| 時期 | やること | 終わりの目印 |
|---|---|---|
| 1か月目の前半 | site:検索で登録を確認。Search Consoleを登録し、サイトマップを送信 | Search Consoleに数字が出始める |
| 1か月目の後半 | 商談で聞かれる質問を10個書き出し、検索語に直してサジェストを確認 | 書く題材が10個そろう |
| 2か月目 | 最初の3本を書く。1本目は最も自信のある題材から | 公開したページが検索の対象に入る |
| 3か月目 | さらに3本。Search Consoleで表示回数が付いた語を確認 | 表示回数の折れ線が動き出す |
3か月目の時点で、順位や問い合わせを見ないでください。まだ動きません。見るのは「公開したページが検索の対象に入っているか」と「表示回数が増えているか」の2つだけです。
そしてGoogle自身、スターターガイドで「数週間待ってから検索結果に良い影響があったかどうか確認することをおすすめします」と書いています。変更してすぐに結果を見に行っても、判断できません。
やってはいけないこと
最後に、明確に避けるべきものを挙げます。
被リンクの購入。Googleのスパムに関するポリシーに反します。短期的に順位が上がっても、後で大きく落とすリスクを抱え込みます。回復には元より長い時間がかかります。
キーワードの不自然な詰め込み。Googleがスパムポリシー違反として明記しています。同じ語を機械的に増やす作業に費用を払っているなら、止めてください。
中身のないページを本数だけ増やすこと。「月10本」という契約で、内容の薄い記事が積み上がるケースがあります。公開から半年経ってクリックがゼロの記事が並んでいるなら、本数ではなく質の問題です。
そして、順位だけを目的にすること。順位は手段です。検索されない語で1位を取っても、問い合わせは増えません。最初に決めた「誰の、どんな困りごとに答えるか」から外れていないかを、定期的に確認してください。
まとめ
SEO対策のやり方について、要点を整理します。
Googleが挙げている「やること」は7項目です。見つけてもらう、整理する、有益にする、見え方、画像、動画、そして宣伝。経営判断としては、土台(一度きり)と中身(毎月)を分けて見積もってください。
それ以上に効くのが、Googleが「不要」と明記している6つです。メタキーワード、キーワードの詰め込み、ドメイン名へのキーワード、文字数、重複への過剰な心配、見出しの順序。「魔法の文字数は存在しない」とGoogle自身が書いています。提案書にこれらが入っていたら、根拠を聞いてください。
始める前に決めることは5つ。誰のどんな困りごとに答えるか、どの言葉で探されたいか、月に何本、いつ何を見て判断するか、いくらまで出せるか。1つ目は、商談で実際に聞かれた質問を10個書き出すところから始まります。
そして最初の3か月は、site:検索での確認、Search Consoleの登録、題材の洗い出し、最初の6本。この時点で順位を見ないでください。見るのは検索の対象に入っているかと、表示回数だけです。
よくある質問
SEO対策は何から始めればいいですか
検索窓に「site:自社のドメイン」と入れて検索してください。自社のページが出てくればインデックスに登録されています。0件なら、記事を書く前に技術的な問題を解決する必要があります。次にSearch Consoleを登録し、サイトマップを送信します。ここまでが土台で、一度やれば終わります。その後で記事の題材を決めてください。
記事は何文字書けばいいですか
Googleは公式に「魔法の文字数は存在しない」と書いています。文字数の基準そのものが公式に否定されているので、「最低5,000字」といった条件に費用を払う根拠はありません。実務的には、狙うキーワードで検索して上位10件の分量を見てから決めるのが確実です。上位が3,000字で足りているテーマに8,000字書いても、読む人の時間を奪うだけになります。
メタキーワードは設定すべきですか
Googleは利用しないと明記しています。設定しても検索順位には影響しません。既存のサイトに設定されていても害はないので、わざわざ消す必要もありません。ただし、新規で「メタキーワードの設定」に費用を請求されているなら、その項目は削ってもらってください。
同じような内容のページが複数あると、ペナルティを受けますか
Googleは重複コンテンツについて「ペナルティにはならない」としています。ただし、同じ語を狙ったページが複数あると、どちらを表示すべきかGoogleが判断しきれず、結果としてどちらも上がりにくくなることはあります。ペナルティを恐れるのではなく、整理して1本にまとめるほうが実務的です。
社内でやるのと外注、どちらがいいですか
社内に、自社の商品をお客さんの言葉で説明できる人がいるかで決まります。いるなら内製の勝ち目は十分あります。ただし記事1本に数時間から十数時間かかるので、その時間を業務として確保できるかが条件です。確保できないなら外注のほうが早い。折衷案として、キーワード設計は外注して記事は社内で書く、という分け方も現実的です。
業者の提案書を、どう評価すればいいですか
Googleが「不要」と明記している6項目が入っていないかを、まず確認してください。メタキーワード、キーワードの詰め込み、ドメイン名へのキーワード、文字数の基準、重複への対策、見出しの順序です。次に、一度きりの作業と毎月の作業が分かれているか。そして、総額を記事の本数で割って単価を検算してください。
施策をやってから、どのくらいで確認すればいいですか
Googleは「数週間待ってから検索結果に良い影響があったかどうか確認することをおすすめします」と書いています。変更した翌日に順位を見ても判断できません。実務的には、サイトの改修なら2週間から1か月後、記事の追加なら3か月後にSearch Consoleの表示回数を見る、という間隔が現実的です。