
社内で生成AIを広げようとして、詳しい人から順に渡していくと、そこで止まります。国が公表しているガイドラインは、教育の内容を役割で3つに分けて書いていました。誰から渡すかは、熱意ではなく役割で決まります。
この記事では、総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」本編と別添に書かれている内容を並べ、社内で生成AIを広げる場面に置き直して整理します。内容は原典のPDFで確認したものです。このガイドラインは非拘束的なソフトローとして作られており、書かれているのは義務ではなく期待される事項です。最終的な進め方は自社の方針と体制に合わせてご判断ください。なお、原典に記載のない部分は、実務の提案であることを本文で明示しています。
結論:詳しい人からではなく、役割から渡す
先に結論を置きます。最初に渡す相手を「詳しそうな人」で選ぶと、その人だけが上手くなって終わります。ガイドラインは、渡す相手を役割で分けて整理していました。何を教えるかが役割によって違うからです。人数から逆算するのではなく、どの立場の人を入れるかを先に決める形になります。
ガイドラインに人数の指定はない
先に一つ、はっきりさせておきます。このガイドラインに「最初は何人から始める」という人数の記載はありません。本編と別添を通して探しても、規模を人数で区切る書き方は出てきません。代わりに書かれているのは、役職及び担当に適した研修及び教材を用いるという考え方です。つまり、10人か3人かではなく、その10人がどの役割から来ているかが問われています。人数から決めると、選ぶ基準が「手が空いている人」になりがちです。役割から決めれば、あとで広げるときの型がそのまま残ります。
順番は、測る・分ける・置くの3つ
この記事で扱う順番を先に出します。1つ目が自社の現在地を測ること。ガイドラインには習熟度の評価軸が具体的に挙がっています。2つ目が役割で分けること。教育の内容が3層に分けて書かれており、これが「誰に最初に渡すか」の答えになります。3つ目が相談先を置くことです。渡したあとに詰まった人が、どこに聞けばいいか分からないまま黙ってしまうのがいちばん多い止まり方です。この3つを済ませてから配ると、2周目から人数を増やせます。以降の節で、それぞれの原典の記載を見ていきます。
最初に渡す相手の決め方
出典:AI事業者ガイドライン(第1.2版)本編・別添
渡す前に、自社の現在地を測る
広げる前に、自社がどこにいるのかを見ます。ガイドラインには「自社のAI習熟度の理解」という項目があり、何を見て評価するのかが具体的に挙げられていました。項目が決まっていると、感覚で議論する時間が減ります。
評価の軸が3つ挙げられている
別添には、行動目標1-3として自社のAI習熟度の理解が置かれています。評価の材料として挙げられているのは、自社のAIシステム・サービスの開発・提供・利用の経験の程度、AIシステム・サービスの開発・提供・利用に関与するエンジニアを含む従業員の人数及び経験の程度、当該従業員のAI技術及び倫理に関するリテラシーの程度です。この3つにもとづいて評価し、適時に再評価するとされています。注目したいのは2つ目に人数が入っていることです。人数は「最初に何人へ渡すか」の目標値ではなく、いま何人が関わっているかという現状の指標として挙げられています。ここを取り違えると、数を増やすことが目的になります。
評価しないという判断も、理由とともに残す
もう一つ、目を引く記載があります。習熟度の評価は、活用しようとするAIの用途、自社の事業領域及び規模等に照らしてリスクが軽微であると判断した場合を除き行うとされています。そして続きがこうです。リスクが軽微であると判断し、AI習熟度の評価をしない場合には、評価しないという事実をその理由とともにステークホルダーに公開することが期待される。やらない場合も、やらないと決めた事実と理由を残すことが期待されています。ここは実務の提案になりますが、社外への公開まで踏み込まないとしても、「今回は評価しない。理由はこれ」という1行を社内に残しておくだけで、次に議論するときの起点になります。何も書かずに飛ばすと、半年後に同じ会話を最初からやり直すことになります。
数項目だけ選んで始めた実践例がある
全部やるのは無理だと感じたら、別添に載っている実践例が参考になります。AIガバナンスの検討の取組を本格的に始めたばかりという企業の例として、経団連のガイドラインを参照しつつ、その中から数項目を選択し、自社のAIガバナンスに適した独自の指標を作成していると書かれています。そして、当該指標を用いて評価をして、その結果を用いて自社内に現在のAIガバナンスの制度及び仕組みを浸透させ、今後より多くの項目を用いてAI習熟度を図るよう計画を立てているとあります。数項目から始めて、評価結果を浸透のきっかけに使い、あとから項目を増やす。これは例示された企業の取組ですが、小さく始めて広げる形が、公式の資料に実践例として載っているのは心強い部分だと思います。なお別添の実践例は、あくまで例として挙げられているものです。
教育の内容が、役割で3つに分かれている
ここが「最初に誰へ渡すか」の答えになる部分です。ガイドラインは、教える内容を役割ごとに分けて書いていました。渡す相手を選ぶより先に、何を教える相手なのかが決まる構造になっています。裏を返せば、役割が決まれば研修の中身も決まるということです。
役員層・担当者・全者で内容が変わる
別添の行動目標3-2はAIマネジメントシステムの人材リテラシー向上です。そこにこう書かれています。AIシステム・サービスの法的・倫理的側面に責任を負う役員、マネジメントチーム、担当者には、AI倫理及びAIの信頼性に関する一般的なリテラシー向上のための教育を、AIシステム・サービスの開発・提供・利用プロジェクトの担当者にはAI倫理だけではなく生成AIを含むAI技術に関する研修を、全者に対してAIマネジメントシステムの位置づけ及び重要性についての教育を提供することが考えられる。3つに分かれています。責任を負う層には倫理と信頼性、実際に手を動かす担当者にはそれに加えて技術の研修、そして全員には仕組みの位置づけと重要性です。最初に渡す相手を選ぶとき、この3層のどこから来た人なのかを意識すると、研修の中身が自動的に決まります。
「役職及び担当に適した」が繰り返されている
実践のポイントとして挙げられているのは、外部講師によるものを含め、役職及び担当に適した研修及び教材を用い、AIリテラシーの向上を図ること、その際、各者の果たすべき役割に応じて適した研修及び教材の活用です。役職と担当、果たすべき役割。表現を変えて同じことが繰り返されています。さらに、特に重要となるAI倫理については全社員に受講させる等の工夫という記載もあります。全員に同じものを配るのは倫理の部分だけで、それ以外は分けるという整理です。ここから先は実務の提案ですが、最初の集まりを作るときは、責任を持つ立場の人を最低1人入れておくと決めごとが早く進みます。担当者だけで集まると、決められない論点が持ち帰りになって止まります。
スキルを定義してから教育を決める
もう一つ、順番の話が書かれています。AIマネジメントシステムの適切な運用に必要な人材・スキルを定義することにより、事業者に必要な人材・スキルの共通認識を醸成し教育内容を具体化。教育の内容を先に決めるのではなく、必要なスキルを定義することが先という並びです。何ができる人が何人必要なのかを書き出してから、研修を選ぶ。そして注意書きもあります。AI技術の進歩に伴い求められるAIリテラシーも変化するため、人材育成及び技術変化のスピードのミスマッチに留意する。半年かけて研修を組み立てているあいだに前提が変わる、という事態が想定されているわけです。作り込むより、短く回して更新するほうが合っていることになります。
最初の集まりに、ファシリテーターを1人置く
渡す相手が決まったら、次は集まり方です。別添には小規模な事業者の実践例が載っていて、そこに置く役割が1つ書かれていました。なぜ置いたのかという理由まで書かれているので、自社に当てはめるときの判断がしやすい部分だと思います。
部門をまたいで、勉強会から始めた例
別添の行動目標3-3-2は環境・リスク分析のための日常的な情報収集・意見交換の奨励です。その実践例に、小規模な事業者の話が載っています。社内にはAI倫理の尊重よりも成長を重視すべきという意見があるため、法務部門及び技術部門でAI倫理に関する社内議論及び勉強会から始めることとしたとあります。注目したいのは2点です。まず、社内に反対意見があることが前提として書かれていること。全員が乗り気な状態から始まるとは想定されていません。次に、始めた場所が法務部門と技術部門という組み合わせであること。詳しい人を集めたのではなく、立場が違う2つの部門から始めています。
ファシリテーターを置く理由が書かれている
続きがこうです。言葉の定義又は使い方が部門毎に異なる可能性があるためファシリテーター役を設置したところ、円滑に議論が進み。役割を置いた理由が明記されています。部門ごとに言葉の定義が違うからです。実際、「ルール」や「リスク」や「検証」という言葉は、法務と技術で指すものが違います。同じ単語で違う話をしていると、噛み合わないまま時間が過ぎます。ここは実務の提案ですが、この役は司会ではなく言葉をそろえる係だと考えると人選しやすくなります。両方の部門の言い方が分かる人、あるいはどちらでもない部門から出す人が向いています。議事をとる人と兼ねさせないほうがうまく回ります。
話してみたら、認識の差は小さかった
この実践例の結末も書かれています。成長を重視すべきと話していたエンジニアもすでに公平性等を取扱う論文に接していて、AI倫理に対する認識に大きな違いがないことがわかってきた。そして、エンジニアはAI倫理の尊重を技術によって実現することに関心を示し始めてから、開発プロセスがAI倫理に整合的なものに変化しつつあるとあります。反対しているように見えた人が、実は同じところを見ていた。これは例示された企業の話ですが、言葉をそろえるだけで解ける対立があるという観察として読めます。なお、実践のポイントにはAIマネジメントチームを社内に設置している場合であっても、社内の他部門との議論及び勉強会を開催したり、他社も参加する団体活動に関与という記載もあります。専門チームを作ったら終わり、ではないという整理です。
研修は1時間でも成り立つ
研修と聞くと大掛かりに聞こえますが、別添の実践例には短い形が出てきます。時間と作り方の両方が具体的に書かれているので、自社で用意するときの規模の目安として使えます。なお、ここも例示された企業の取組です。
1時間で終わるeラーニングの例
大企業の実践例として、こう書かれています。AI倫理だけを独立させたe-learningを作成し、全社員に受講してもらっている。このe-learningには講義及び確認テストが含まれており、AI倫理に詳しくない人でも1時間程度で終えることができるように工夫されている。全社員向けは1時間程度で、確認テストが付いている形です。そして続きに理由が書かれています。自社のAIシステム・サービスの用途に関連づけることで短時間でも高い学習効果が得られていると考えている。短くできた理由は、削ったからではなく自社の用途に寄せたからだという整理です。一般論を網羅すると長くなります。自社で実際に使う場面に絞れば短くなる。
小規模なら、外部の教材で足りる
もう一つ、小規模企業の実践例があります。当社は小規模企業であり、研修対象者が少ないことから、AIリテラシーの向上の研修プログラムを自前で用意せず、外部の教材を用いることとしたとあり、具体名としてCoursera、日本ディープラーニング協会、経済産業省のマナビDXおよびマナビDX Questが挙げられています。さらに、ITパスポートの取得を全社的に推奨しているとも書かれています。対象者が少ないなら作らない、という判断が実践例として載っているのは実務的だと思います。生成AIに絞った教育の例も別に挙げられていて、経済産業省の生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方とデジタルスキル標準を参考にした、と書かれています。
効果として書かれているのは、当事者意識
研修の効果について、こういう書き方がされています。AIシステム・サービスのインシデントについてニュースで断片的に聞いたことがあった程度の人が、AI技術の初歩から倫理的な側面まで習得したことで、AIのリスクについても当事者意識を持って考えてくれるようになった。操作が上手くなった、という話ではありません。リスクを自分の問題として考えるようになったことが効果として挙げられています。本編にも、教育について各主体は、主体内のAIに関わる者が、AIの正しい理解及び社会的に正しい利用ができる知識・リテラシー・倫理感を持つために、必要な教育を行うことが期待されると書かれています。使い方だけを教える研修では、ここには届きません。なお、入門者向けには総務省が生成AI はじめの一歩という解説を公表しており、脚注で紹介されています。
相談できる場所を、先に決める
渡したあとに詰まった人が、どこに聞けばいいか分からないまま黙る。これがいちばん多い止まり方だと思います。別添には、相談を受ける体制のパターンが3つ挙げられていました。規模に応じて選べる形になっています。
体制のパターンが3つ示されている
別添のAI利用者向けの章に、プライバシー保護の文脈で体制のパターン例が挙げられています。プライバシー保護組織はないが、AIシステム・サービスを利用する組織毎に責任者を設定、プライバシー保護組織(兼務)を設置し、AIシステム・サービスを利用する組織と連携、プライバシー保護組織(専任)を設置し、AIシステム・サービスを利用する組織と連携の3つです。組織を作らず部署ごとに責任者を置くだけ、兼務で置く、専任で置く。いちばん軽い形が最初に挙げられているのが要点です。これはプライバシー保護についての記載ですが、相談を受ける窓口をどの重さで置くかという選択肢として読めます。最初の数人に配る段階なら、いちばん軽い形から始めても筋は通ります。
「抱え込まずに相談できる」が重要とされている
同じ箇所に、体制の中身についての記載があります。各組織から寄せられるプライバシーに関連した相談を幅広く受けるだけでなく、AIシステム・サービスを利用する組織に対して能動的に問題意識の共有を働き掛ける等、日ごろから常に接点を持つことが期待される。受け付けるだけでなく、こちらから声をかけることが挙げられています。そして続きがこうです。新規事業又は新規技術の開発・利用する組織が悩みを抱え込まずに、自由に相談できる体制及び環境が形成されることが重要である。抱え込まずに、自由に相談できる。窓口を作ったのに誰も来ないという状態は、体制があっても環境がない状態です。ここは実務の提案ですが、最初の数人には「困ったら聞く」ではなく「週に1回、困ったことを出す場」を先に決めておくほうが機能します。
止め方より、拾い方を決める
社内で生成AIを広げるとき、先に整えたくなるのは禁止事項です。入れてはいけない情報、使ってはいけない場面。それは必要ですが、それだけを配ると、詰まった人が相談せずに黙ることになります。ここは実務の提案です。ルールを配るのと同時に、迷ったときの相談先と、判断が難しい事例を持ち込む場所を決めておく。ガイドラインが能動的に問題意識の共有を働き掛けると書いているのは、そういう意味だと読んでいます。なお、社内ルールそのものの作り方については本ガイドラインの第5部に利用者向けの項目が並んでおり、別の回で扱っています。ルールを作る話と、広げる話は分けて進めるほうが、どちらも前に進みます。
渡す前と渡した後で、やることが違う
最後に、実務の段取りです。別添には、利用者がやることが利用前と利用中に分けて書かれていました。最初の数人に渡すときの準備と、渡したあとに続ける運用が、項目のレベルではっきり分かれています。準備のほうから見ていきます。
渡す前にやることが4つ挙がっている
別添の具体的な手法のうち、(利用前)と書かれているものが4つあります。AIの性質、利用の態様等に応じた便益及びリスクの認識、並びに適正な用途の理解、適正利用のための必要な知識・技能の習得、提供されたAIシステム・サービスが想定された仕様に基づき適切に動作しているかについての基本的な動作確認、AIシステム・サービスの利用過程におけるログ(操作履歴、入力・出力の記録等)の管理体制の整備です。最後の1つが見落とされやすいところだと思います。ログの管理体制は、使い始める前に整えるものとして挙げられています。あとから遡って記録を作ることはできません。何を残すのかを、最初の数人に渡す前に決めておくことになります。
渡したあとは、定期的な確認と削除
(利用中)と書かれているものも並んでいます。AIの活用が適正な範囲・方法で行われているかについての定期的な確認、AIシステムのアップデート及びAIの点検・修理、出力によって重大な影響又は被害が生じ得る場合、人間の判断を介在させる仕組みに基づき適宜判断、そして不要なデータや冗長なログの削除等による、データ最小化と適切なデータ管理の徹底です。前の節で「ログを残す体制を先に整える」と書きましたが、同時に消す運用も挙がっているのが要点です。残すだけでは増え続けます。何を残し、何をいつ消すか。この2つを組にして決めておくことになります。
手法は一例であり、資源制約への配慮が書かれている
ここまで挙げた項目を全部やろうとすると、最初の数人に渡す前に数か月かかります。それについて、別添の冒頭に断り書きがありました。ここで述べる「具体的な手法」は、あくまで一例である。そして続きにこうあります。具体的な対応の検討にあたっては、利用予定のAIシステム・サービスのもたらすリスクの程度及び蓋然性、技術特性、各主体の資源制約等に配慮することが重要である。資源制約への配慮が明記されています。人も時間も限られている前提が、原典の側に書かれているわけです。全項目を満たしてから始めるのではなく、リスクの大きさに見合う範囲で選ぶ。ここは実務の提案になりますが、最初は用途の理解・知識の習得・ログの方針の3つだけ決めて渡し、残りは2周目に回すやり方で十分だと考えています。
まとめ
社内で生成AIを広げるとき、最初に渡す相手は役割で決まります。総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」の別添には、AIシステム・サービスの法的・倫理的側面に責任を負う役員、マネジメントチーム、担当者には、AI倫理及びAIの信頼性に関する一般的なリテラシー向上のための教育を、AIシステム・サービスの開発・提供・利用プロジェクトの担当者にはAI倫理だけではなく生成AIを含むAI技術に関する研修を、全者に対してAIマネジメントシステムの位置づけ及び重要性についての教育を提供することが考えられると書かれています。教える内容が3つに分かれているので、渡す相手も役割で分かれます。人数の指定は、原典にはありません。
渡す前に見るのは現在地です。習熟度の評価軸として開発・提供・利用の経験の程度、関与する従業員の人数及び経験の程度、AI技術及び倫理に関するリテラシーの程度が挙げられており、リスクが軽微であると判断し、AI習熟度の評価をしない場合には、評価しないという事実をその理由とともにステークホルダーに公開することが期待されるともされています。集まり方については、小規模な事業者の実践例として法務部門及び技術部門でAI倫理に関する社内議論及び勉強会から始めることとした、言葉の定義又は使い方が部門毎に異なる可能性があるためファシリテーター役を設置したと書かれていました。
研修は1時間程度で終えることができるように工夫されている例があり、短くできた理由は自社のAIシステム・サービスの用途に関連づけることとされています。相談先は組織毎に責任者を設定、兼務で設置、専任で設置の3つが挙げられ、悩みを抱え込まずに、自由に相談できる体制及び環境が形成されることが重要であると書かれています。渡す前にはログ(操作履歴、入力・出力の記録等)の管理体制の整備まで、渡したあとにはデータ最小化と適切なデータ管理の徹底まで。測って、役割で分けて、相談先を置く。この3つを済ませてから配ることになります。なお、別添の具体的な手法はあくまで一例とされ、各主体の資源制約等に配慮することが重要とも明記されています。
よくある質問(FAQ)
最初は何人に渡せばよいですか
AI事業者ガイドライン(第1.2版)には、人数の指定はありません。別添では、役職及び担当に適した研修及び教材を用いる、各者の果たすべき役割に応じて適した研修及び教材の活用、という書き方がされています。人数ではなく役割で選ぶ形になります。
教育の内容は全員同じでよいですか
別添の行動目標3-2には、責任を負う役員・マネジメントチーム・担当者にはAI倫理及びAIの信頼性に関する教育、開発・提供・利用プロジェクトの担当者にはそれに加えて生成AIを含むAI技術に関する研修、全者にはAIマネジメントシステムの位置づけ及び重要性についての教育、と書かれています。あわせて、特に重要となるAI倫理については全社員に受講させる等の工夫という記載もあります。
自社の習熟度は何を見て評価しますか
別添の行動目標1-3には、開発・提供・利用の経験の程度、関与するエンジニアを含む従業員の人数及び経験の程度、当該従業員のAI技術及び倫理に関するリテラシーの程度等にもとづいて評価し、適時に再評価する、と書かれています。リスクが軽微と判断して評価しない場合も、その事実と理由の公開が期待されるとされています。
勉強会は誰から始めるとよいですか
別添に載っている小規模な事業者の実践例では、法務部門及び技術部門でAI倫理に関する社内議論及び勉強会から始め、言葉の定義又は使い方が部門毎に異なる可能性があるためファシリテーター役を設置した、とされています。これは例示された企業の取組です。自社の部門構成に合わせてご判断ください。
研修にどれくらい時間をかけますか
別添の実践例には、講義及び確認テストを含み、AI倫理に詳しくない人でも1時間程度で終えることができるように工夫されたeラーニングの例が挙げられています。自社のAIシステム・サービスの用途に関連づけることで短時間でも高い学習効果が得られている、とも書かれています。
相談窓口は専任で置く必要がありますか
別添には体制のパターン例として、組織は置かず利用する組織毎に責任者を設定する形、兼務で設置する形、専任で設置する形の3つが挙げられています。なお、別添の具体的な手法はあくまで一例とされ、各主体の資源制約等に配慮することが重要とも書かれています。
原典で記載を確認する
ガイドラインは更新されます。運用を決める前に、「AI事業者ガイドライン」掲載ページ(総務省)で最新版をご確認ください。