SEOの外注で失敗する型は、だいたい決まっています。そして、そのほとんどにGoogleが公式に言及しています。たとえば「SEO 業者が「変更を行うことで、検索結果の最初のページに必ず表示されるようになります」などと言う場合は、他の SEO 業者を探してください」。監査の受け方にも具体的な指示があって、「Search Console への読み取り権限のみを付与してください(この段階では書き込み権限は付与しないでください)」とまで書かれています。この記事では、外注で失敗する5つの型を、Googleの記述と突き合わせながら整理します。責任の所在についても公式に書かれているので、そこも扱います。
この記事でわかること
結論。5つの型は、契約前に防げる
先に全体像を置きます。
| 型 | 何が起きるか | 契約前に聞くこと |
|---|---|---|
| 1. 順位を保証された | 保証の根拠がない。達成のために無理な手法に向かう | 何をもって成果とするか |
| 2. 最初から書き込み権限を渡した | 知らないうちに設定が変わる | どの権限が、いつ必要か |
| 3. 作業が説明されない | 解約後に何も残らない。原因も分からない | 変更内容をどう共有するか |
| 4. 業者へのリンクを入れさせられた | ポリシーに名指しされている形になる | リンクの掲載義務が契約にあるか |
| 5. ページを量産した | スパムポリシーに触れ、まとめて評価を失う | 月に何本、誰が、何を根拠に書くか |
5つとも、契約前の30分で防げます。始まってからでは、止めるコストのほうが高くなります。
型1。順位を保証された
一番多い型です。Googleの記述は明確です。
SEO 業者が「変更を行うことで、検索結果の最初のページに必ず表示されるようになります」などと言う場合は、他の SEO 業者を探してください。
そして、見出しそのものがこうなっています。
Google で一番上に掲載されることは誰にも保証できません。
注意すべき業者の型も、3つ挙げられています。
サイトの掲載順位を保証すると主張する業者、Google との「特別な関係」を強調する業者、Google への「優先登録」を宣伝している業者には注意が必要です。
保証、特別な関係、優先登録。この3つが出てきたら、その場で判断できます。
関連して、広告との関係についても明記があります。
Google で広告を掲載しても、検索結果でのサイトの表示状況には影響しません。Google は、検索結果でのサイトの表示または掲載順位に関して金銭を受け取ることは一切ありません。オーガニック検索結果への掲載は無償です。
広告を出しても自然検索の順位は動かない。「広告とセットで契約すればSEOも有利になる」という説明があれば、この一文が答えです。
なぜ保証が危ないかというと、保証した側は達成しなければならないからです。正攻法で届かないとき、手段がポリシー違反の側に寄っていきます。そして責任は、後述するとおり発注側にも及びます。
型2。最初から書き込み権限を渡した
これは、かなり具体的な指示が出ています。
SEO 業者から SEO 監査の提案を受けた場合は、その内容を慎重に検討し、Search Console への読み取り権限のみを付与してください(この段階では書き込み権限は付与しないでください)。
「この段階では書き込み権限は付与しないでください」。括弧つきで念を押されています。
実務での意味を整理します。
| 段階 | 渡す権限 | 理由 |
|---|---|---|
| 提案・監査の段階 | 読み取りのみ | データを見るだけなら足りる |
| 契約して作業が始まる段階 | 必要な範囲で追加 | 何のために要るかを説明してもらう |
| 契約終了後 | すべて削除 | 残ったままになりやすい |
Search Consoleの権限で怖いのは、サイトマップの送信、URLの削除リクエスト、アドレス変更ツールといった操作ができてしまう点です。監査の段階でここまで渡す必要はありません。
そして、Search Consoleそのものは自社のGoogleアカウントで所有しておいてください。業者のアカウントにしか入っていないと、契約が終わったときにデータを見られなくなります。この点はサーチコンソールとアナリティクスの違いでも触れました。
サーバーへのアクセスについても記述があります。「SEO 業者がユーザーの FTP サーバーにアクセスできる場合は、ユーザーのサイトに加えたすべての変更について、進んで説明するべきです」。
型3。何をしたのか説明されないまま進んだ
月額を払っているのに、何が行われているか分からない。解約したあと、何も残っていない。
Googleの記述はこうです。
隠し立てする会社や、行動の目的を明確に説明しない会社には、用心してください。不明な点があれば説明を要求しましょう。
そして、面談で確認すべき項目にもこれが入っています。
担当者とどのように連絡をとればよいか。サイトに加えたすべての変更に関する情報、およびアドバイスの内容に関する詳しい情報とその理由を伝えてくれるかどうか。
「すべての変更に関する情報」と「その理由」。2つセットで求めることが、公式に例示されています。
報告の受け取り方についても、実務の観点で補足します。
順位の一覧だけのレポートは、変更内容の説明になっていません。Googleはトラフィック減少のドキュメントで「一般に掲載順位の絶対値については、それほど重要視する必要はありません。最終的にサイト成功の指標となるのは、インプレッションとクリック数です」と書いています。順位の読み方については検索順位の調べ方で整理しました。
受け取るべきは、「今月どのページに何をしたか」「なぜそうしたか」「結果としてどの数字が動いたか」の3点です。
型4。業者へのリンクを入れさせられた
これも公式に一文があります。
SEO 業者にリンクする必要は一切ありません。
「一切ありません」。制作会社やSEO業者へのリンクをフッターに入れる慣行は、日本でも広く見られます。
掲載すること自体が直ちに問題になるわけではありません。分かれ目は、契約で義務づけられていて、外す権利も属性を選ぶ権利もない場合です。Googleのスパムに関するポリシーには、リンクスパムの例としてこう挙げられています。
第三者のコンテンツ所有者に対し、アウトバウンド リンクに修飾属性を適用するかどうか選ぶ権利を与えずに、特定の利用規約や契約、または同様の取り決めの一部として、リンクを義務付ける
詳しい線引きは被リンクの獲得方法で整理しました。契約書に掲載義務が書かれていないかを、署名前に確認してください。
同じ流れで、リンク施策そのものについても記述があります。
リンクのトラフィック対策、何千もの検索エンジンへのサイトの登録申請などによる効果を宣伝している SEO 業者は、避けてください。一般的にこれらの対策は効果がなく、主要な検索エンジンにおける検索結果の掲載順位に影響しません。
「一般的にこれらの対策は効果がなく」。何千もの検索エンジンへの登録を売りにする提案は、公式に効果がないとされています。
型5。ページを量産して、まとめて価値を失った
「月20本」「月50本」といった本数で契約するケースです。
Googleのスパムに関するポリシーに、大量生成されたコンテンツの不正使用という項目があります。
大量生成されたコンテンツの不正使用とは、ユーザーをサポートすることではなく、検索ランキングの操作を主な目的として大量のページを生成することを指します。
そして、生成AIを使った制作についても明記があります。
生成 AI ツールまたはその他の同様のツールを使用して、ユーザーにとっての価値を付加することなく大量のページを生成すること
本数そのものが問題なのではなく、価値を付加しているかどうかです。ただ、本数で契約すると、価値より本数が優先されます。ここが構造的な問題です。
Googleは長期的な効果についても書いています。「ページ数が多いからといってウェブサイトの品質が高くなったり、ユーザーとの関連性が高くなったりするわけではないためです」。
本数で発注するなら、「誰に取材して書くか」を契約に入れてください。取材が入ると本数は落ちますが、その記事は他社が真似できません。取材なしで量を出す契約は、価格が安く見えても、あとで書き直すコストが乗ります。
責任は誰にあるか。公式に書かれている
ここが、外注を検討する経営者にとって一番重要な部分かもしれません。
SEO 業者が人を欺くようなコンテンツをユーザーの代わりに作成した場合は、そのユーザーのサイトが Google インデックスから完全に削除される可能性があります。結局、どの業者を選ぶかはユーザーの責任になりますので、その業者が契約者をどのように支援するつもりなのか正確に把握しておくことが大切です。
2つ書かれています。
1つ目。業者がやったことで、自社のサイトがインデックスから完全に削除される可能性がある。
2つ目。どの業者を選ぶかは、依頼した側の責任。
図1:違反の結果は依頼した側のサイトに残る。業者の選定そのものが経営判断になる。
業者を替えれば済む話ではありません。だからこそ、契約前の確認に時間をかける価値があります。
契約前に聞く9つの質問(公式)
Googleは、面談で聞く質問を具体的に挙げています。そのまま使えます。
| 質問 | 何が分かるか |
|---|---|
| 過去の作業のサンプルと成功事例をいくつか紹介してもらえるか | 実績の有無と、見せられる範囲 |
| Google 検索の基本事項に準拠しているか | 公式ガイドラインを把握しているか |
| 期待される結果とその時期、成果はどのように測定するのか | 順位以外の指標を持っているか |
| 同業種でどのような実績があるか | 業界の文脈を理解しているか |
| 該当する国や地域でどのような実績があるか | 商圏に対する土地勘 |
| 外国語サイトの開発について、どのような経験があるか | 多言語が必要な場合のみ |
| 創業年数はどれくらいか | 継続性 |
| 担当者とどのように連絡をとればよいか | 窓口の明確さ |
| サイトに加えたすべての変更に関する情報とその理由を伝えてくれるか | 透明性 |
そして、Googleは逆方向のチェックも示しています。
SEO 業者があなたの会社とビジネスに関心を持っているか。関心を持っていない場合は、別の SEO 業者を探します。あなたの会社とビジネスに関心を持っている SEO 業者であれば、あなたのビジネスの独自性、競合他社、検索結果がどのように役立つか、顧客がどのようにあなたを見つけるかについて質問するはずです。
相手が質問してくるかどうかを見る。これは実務的にかなり効く判断軸です。こちらが一方的に説明して終わる商談は、あとで的外れな施策が出てきます。
信用照会についても書かれています。「過去の顧客に対して、SEO 業者から提供されたサービスが役に立った、スムーズに連携できた、良好な成果が得られたと感じたかどうかを尋ねます」。
監査の提案を受けたときの手順
「まず無料で診断します」という提案はよくあります。Googleは、監査の中身にも基準を示しています。
SEO 監査では、改善内容について現実的に評価し、関連する作業の見積もりを提供する必要があります。
「現実的に評価し」「見積もりを提供する」。問題点を並べるだけで見積もりがない監査は、提案の途中までしか終わっていません。
そして、ツールを使った監査についての注意が続きます。
SEO 業者がサードパーティ製のツールを使用している場合、Google はサードパーティ製の SEO ツールを評価または推奨しておらず、これらのツールは Google の内部ランキング データにアクセスできないことに注意してください。Google 検索で「許容される」または「承認される」と主張するツールには注意してください。
さらに、推奨事項の評価基準が3つ並んでいます。
| 確認 | Googleの記述 |
|---|---|
| 出典 | 推奨事項の裏付けとなる証拠として、Google の公式ドキュメントを引用しているか |
| AI関連の助言 | AI 機能(AEO や GEO サービスとも呼ばれる)向けに最適化するためのアドバイスを提供している場合、そのアドバイスは生成 AI 機能向けに最適化するための Google 検索の公式ガイダンスに沿っているか |
| ツール | Google のガイダンスに沿ったツールを使用しているか |
2行目に「AEO や GEO サービス」が入っています。AI検索まわりの提案を受けている場合は、GEO対策とは何かを整理した記事もあわせて読んでください。
そして、大きな変更の前の注意です。
サードパーティのツールの監査に基づいてサイトに大幅な変更を加える前に、その推奨事項を Google 検索の公式ガイダンスと照らし合わせ、聞いた主張や推奨事項について批判的に考え、独自の情報を基に判断を下すようにしてください。
依頼するのに向いているタイミング
タイミングについても、公式に推奨があります。
たとえば、サイトの再構築を検討しているとき(早ければ早いほどよい)、または新しいサイトの開設を計画しているときが、SEO 業者の利用を開始するのに最適なタイミングです。このタイミングなら、最初から検索エンジンとの相性を考慮してサイトを設計できます。
リニューアル前と、新規サイトの企画段階。「早ければ早いほどよい」と書かれています。
逆に言えば、作り終わってから相談するのは、最適なタイミングを1つ逃しているということです。URL構造やページの持ち方は、作ったあとで直すとコストが跳ね上がります。
ただし、Googleは既存サイトについても「もちろん優秀な SEO 業者であれば既存のサイトを改善することもできます」と添えています。手遅れという話ではありません。
そもそも外注すべきか
Googleは、外注しない選択肢にも触れています。
小規模なローカル ビジネスの経営者は、おそらく、作業の多くを自分で行うことができます。
「おそらく、作業の多くを自分で行うことができます」。公式ドキュメントの一文です。
そのうえで、SEOスターターガイドから始めることをすすめ、こう続けています。
最終的に SEO 業者を利用することになった場合でも、SEO の手法について知っておくことで、SEO 業者が非推奨の手法や禁止されている手法を使おうとしているかどうかを識別できるようになります。
外注する場合でも、先に自分で知っておく価値がある。これが理由として挙げられています。
費用の判断については、SEO対策の費用相場で、施策別の単価と自社でやった場合の実質コストを比較しました。
だまされたと感じたら
最後に、公式に窓口が示されているので触れておきます。
SEO 業者になんらかの形でだまされたと感じたら、報告することをおすすめします。
Googleが挙げているのは、米国連邦取引委員会(FTC)と、米国外の会社に対する申し立て窓口です。日本国内の事業者との契約トラブルについては、消費生活センターや弁護士への相談が現実的な選択肢になります。
ただ、報告する段階になる前にできることが、この記事で挙げた確認です。契約前の30分と、権限の渡し方。この2つで、ほとんどの型は避けられます。
それと、迷惑メールについての記述も残しておきます。
不審なメールを送信する SEO 業者、ウェブ コンサルタント、代理店にご注意ください。
Googleは、自社にも「貴社のウェブサイトにアクセスしたところ、ほとんどの主要な検索エンジンとディレクトリに登録されていないことがわかりました」という営業メールが届く、と書いています。Google自身にこのメールが届いているという例示です。
まとめ
整理します。
- 順位の保証は「他の SEO 業者を探してください」と書かれている。特別な関係、優先登録も同じ
- 監査の段階では「読み取り権限のみ」。書き込み権限は渡さない
- 変更内容とその理由を伝えてくれるかを、契約前に確認する
- 「SEO 業者にリンクする必要は一切ありません」
- 本数で契約すると、価値より本数が優先される
- 業者の行為で自社サイトが削除される可能性がある。「どの業者を選ぶかはユーザーの責任」
- 相手が自社のビジネスについて質問してくるかを見る
- 依頼に向いているのはリニューアル前と新規サイトの企画段階
失敗の型は、いずれも契約書と権限設定という、始まる前にしか触れない場所に原因があります。走り出したあとで直すより、署名前に30分使うほうが安く済みます。
よくある質問
順位を保証してくれる業者は信用できますか
Googleは「Google で一番上に掲載されることは誰にも保証できません」とし、「SEO 業者が「変更を行うことで、検索結果の最初のページに必ず表示されるようになります」などと言う場合は、他の SEO 業者を探してください」と書いています。
監査のためにSearch Consoleの権限を求められました
公式の指示は「Search Console への読み取り権限のみを付与してください(この段階では書き込み権限は付与しないでください)」。監査の段階なら、読み取りで足ります。
Google広告を出せばSEOにも有利になりますか
なりません。「Google で広告を掲載しても、検索結果でのサイトの表示状況には影響しません。Google は、検索結果でのサイトの表示または掲載順位に関して金銭を受け取ることは一切ありません」と明記されています。
フッターに業者のリンクを入れると言われました
公式には「SEO 業者にリンクする必要は一切ありません」と書かれています。掲載自体が直ちに問題になるわけではありません。ただし契約で義務づけられ、外す権利も属性を選ぶ権利もない形は、スパムに関するポリシーに例示されていました。
業者が違反行為をしたら、うちのサイトはどうなりますか
Googleは「SEO 業者が人を欺くようなコンテンツをユーザーの代わりに作成した場合は、そのユーザーのサイトが Google インデックスから完全に削除される可能性があります。結局、どの業者を選ぶかはユーザーの責任になります」と書いています。
自社でやるのと外注、どちらがいいですか
公式ドキュメントには「小規模なローカル ビジネスの経営者は、おそらく、作業の多くを自分で行うことができます」とあります。そのうえで、外注する場合でも先に手法を知っておくことで「非推奨の手法や禁止されている手法を使おうとしているかどうかを識別できるようになります」と説明されていました。
いつ相談するのがいいですか
最適なタイミングとして挙げられているのは「サイトの再構築を検討しているとき(早ければ早いほどよい)、または新しいサイトの開設を計画しているとき」です。作り終わってからでも改善はできますが、URL構造の変更などはコストが上がります。
何千もの検索エンジンに登録すると言われました
Googleは「リンクのトラフィック対策、何千もの検索エンジンへのサイトの登録申請などによる効果を宣伝している SEO 業者は、避けてください。一般的にこれらの対策は効果がなく」としています。