
スキル販売の入口として、ココナラの出品を前に扱いました。あれは「作って納品する」形です。今回は、その場で教える形の副業を分解します。
作業を納品する仕事と、教える仕事では、報酬の決まり方が違います。納品物がないので、値段は成果物ではなく時間と人数で決まる。そして、手数料の仕組みも独特です。同じ講座でも、生徒がどこから来たかで引かれる率が変わります。
この記事では、オンラインで講座を開く副業を分解します。扱うのは、手数料の構造、価格の決め方、手取りの計算、必要なもの、1講座にかかる時間、最初の講座の決め方、単価が変わる条件、つまずく場所です。「やってみたら月いくらでした」という結果報告はしません。
手数料と価格のルールは、スキルシェアのサービス「ストアカ」の公式ヘルプを一次情報にしています。手数料と制度は改定されるので、講座を出す前に公式ページで確認してください。
手数料が「集客した人」で変わる仕組み
まず、ここが他のサービスといちばん違う点です。多くのプラットフォームは、手数料が一律か、カテゴリー別です。ストアカの場合、その生徒をどちらが連れてきたかで率が変わります。
| 集客の経路 | 初回の手数料 | 2回目以降 |
|---|---|---|
| 自己集客(自分で連れてきた) | 10パーセント | いつでも10パーセント |
| サービス側からの送客(オンライン) | 30パーセント | いつでも10パーセント |
| サービス側からの送客(対面開催) | 20パーセント | いつでも10パーセント |
公式ヘルプは「手数料は、はじめてサービスを購入した場合、2回目以降で手数料率が異なります」「はじめてサービスを購入した際の集客経路によっても手数料率は異なります」と説明しています。初期費用や掲載料はかからず、売上が確定したときに販売手数料が発生する形です。クレジットカードの決済手数料も、この中に含まれると記載されています。
「送客の30パーセント」は広告費だと考える
初めての生徒をサービス側が連れてきた場合、オンライン開催では30パーセントが引かれます。高く見えますが、公式は理由も説明しています。広告の出稿や検索対策を行って集客を手伝っているから、という説明です。
つまり、この30パーセントは自分では出せない広告費を、成果報酬で払っていると考えるのが正確です。実績ゼロの状態で生徒を集める手段がないなら、この費用は妥当な投資になります。
比べてみると分かります。自分で広告を出す場合、申し込みが入らなくても費用はかかります。成果報酬なら、売れなければゼロです。始めたばかりの時期には、この違いが効きます。
ただし、ずっと30パーセントを払い続ける前提で設計すると、手残りが伸びません。次の項目の話につながります。
2回目からは、誰が連れてきても10パーセント
ここが重要です。初回が30パーセントでも、その生徒が2回目に来たときは10パーセントになります。つまり、同じ人に繰り返し来てもらえるかどうかで、手残りが大きく変わります。
1回きりの講座を数多く回すより、続けて来てもらえる講座を1つ作るほうが、手数料の面でも有利です。この構造は、他のスキル販売と同じ結論に向かいます。
具体的には、初回の講座の終わりに次の案内を入れておきます。次回のテーマ、開催の頻度、前回の内容を前提にするかどうか。案内がなければ、満足した人でも戻ってくる理由を持てません。
自己集客のURLには条件がある
自分で連れてきた場合は10パーセントですが、条件があります。公式には、自己集客の扱いになるのは専用のURLからの集客に限ると書かれています。そして、そのURLを手数料の回避を目的にサービス内やそのユーザーへ送ることはできないとも明記されています。
ここは規約の話なので、都合よく解釈しないでください。自分のSNSやブログから連れてくるのが本来の使い方です。
つまり、自己集客の10パーセントを使うには、自分の発信の場を持っていることが前提になります。アカウントも記事もない状態で率だけを下げる方法はありません。
この構造は、副業を組み合わせる理由にもなります。文章を書く力や画像を作る力があれば、それがそのまま集客の手段になります。
受講料は1,000円から。別途徴収はできない
価格の決め方にもルールがあります。公式ヘルプによると、受講料は1,000円から自由に設定でき、無料のイベントは開催できません。
そして、単発の講座は1回分の受講料、2回から10回のコース講座は合計の受講料を設定します。ここを間違えると、コース全体を1回分の値段で提供することになります。
入会金や当日現金払いは認められていない
公式は「入会金や、受講料以外の料金を提示したり、別途徴収(当日現金払い含む)することはできません」と明記しています。教材費を別に取る、初回だけ登録料を取る、といった設計はできません。
つまり、かかる費用はすべて受講料に含めて設計する必要があります。資料の印刷代も、使う道具の費用も、価格を決める段階で計算に入れてください。
オンラインなら、費用のかかる要素は少なくなります。資料はデータで配れますし、会場費もかかりません。対面より価格を抑えやすいのは、この差です。
逆に、参加者側で用意してもらうものがある場合は、講座ページに明記します。必要な道具、事前のインストール、通信環境。当日になって参加できない事態を防げます。
価格の目安は「同じことを学べる教室の相場」
いくらにするかについても、公式は考え方を示しています。受講者が受け取るメリットに対して適正と思われる価格を、生徒1人あたり1回参加あたりの金額で設定すること。そして、自分が提供するスキルと同じか類似のスキルを学べるスクールや教室の一般的な価格帯を参考にすること、とされています。
調べ方の例として「東京 カメラ スクール 料金」のような検索が挙げられています。自分の感覚ではなく、既存のスクールの価格帯を基準にするということです。
3,000円の講座で、手元にいくら残るか
計算します。受講料3,000円、定員4人の講座を開いた場合。
| 生徒の内訳 | 手数料 | 手取り |
|---|---|---|
| 送客の新規4人(オンライン) | 30パーセント | 8,400円 |
| 送客の新規2人+リピーター2人 | 30と10 | 9,600円 |
| 自己集客4人 | 10パーセント | 10,800円 |
4人で12,000円の売上に対して、手取りは8,400円から10,800円。同じ講座、同じ人数でも、2,400円の差が出ます。
回数を増やすより、同じ人に戻ってきてもらう
この表から読み取れるのは単純な事実です。新規だけを集め続けると、手数料は30パーセントのままです。リピーターが増えるほど、平均の手数料率は10パーセントに近づきます。
だから、講座の設計も「次に来る理由」を作れるかどうかが軸になります。入門編と実践編に分ける、月ごとにテーマを変える、といった形です。
数字で見ると、この違いははっきりします。月に4回開催して、毎回すべて新規なら手取りは33,600円。半分がリピーターなら38,400円。同じ回数、同じ人数でも、約5,000円の差です。
オンラインで教えるときに必要なもの
公式のガイドは、ビデオ会議ツールを使ったオンラインレッスンについて解説しています。準備するものは多くありません。
- パソコンとインターネット回線:安定して繋がることが最優先
- ビデオ会議ツールのアカウント:公式ガイドでは利用実績の多いツールを挙げています
- 資料:画面共有する前提で作る
- 静かな場所と、背景の整理:生活空間が映り込まない配置
機材にお金をかける前に、1回やってみる
カメラやマイクを買い揃えたくなりますが、順番が逆です。他の副業の回と同じで、まず手元の環境で1回やってみる。音が聞き取りにくい、画面が暗い、といった具体的な不満が出てから、そこだけ買います。
特にマイクは効果が分かりやすい部分です。ただし、それも講座を1回やってから判断してください。受講者から指摘される前に、自分で録画を見返せば分かります。
回線については、事前に確認しておくほうが安全です。開催と同じ時間帯に、同じ場所で、10分ほど接続してみる。夜の時間帯だけ不安定になる環境は珍しくありません。
音声が途切れる環境なら、有線の接続に変えるだけで改善することがあります。買い足す前に、今ある条件を変えてみてください。
講座は公開前にチェックがある
公式ヘルプには、公開される講座が参加者にとって安心・安全か、第三者の視点で不明点や疑問点がないかを確認している、という趣旨の説明があります。出したその日に公開されるとは限らないということです。
初回の開催日を決めるときは、この確認の時間を見込んでください。ぎりぎりの日程で組むと、間に合わないことがあります。
確認で指摘を受ける典型は、内容が具体的でない場合です。誰向けか、何ができるようになるか、当日の流れはどうか。この3つが書かれていれば、不明点は出にくくなります。
公式はこの確認について、先生がトラブルなく安心して講座を開催できるためのものだと説明しています。防御として働く仕組みだと考えてください。
1講座あたりにかかる時間
準備と運営の時間に公的な統計はありません。以下は本メディアの想定モデルで、統計ではありません。教える内容によって大きく変わるので、自分の記録に置き換えてください。
| 工程 | 初回 | 2回目以降 |
|---|---|---|
| 内容の設計 | 3時間 | 0分 |
| 資料の作成 | 4時間 | 20分 |
| 講座ページの作成 | 1時間 | 10分 |
| 開催前の準備 | 30分 | 30分 |
| 開催(60分の講座) | 1時間 | 1時間 |
| 終了後の連絡 | 30分 | 30分 |
初回は合計で10時間ほど。2回目以降は2時間半前後です。準備の8時間が、2回目からはほぼゼロになるのが、この副業の構造です。
だから、1回だけ開いて終わると割に合いません。自己集客4人で手取り10,800円の講座でも、初回の10時間で割れば時間あたり1,080円。5回開けば、同じ準備で時間あたりは3,000円を超えます。
最初の講座をどう決めるか
何を教えるかで迷う人が多いので、決め方を書きます。
手順1:人に聞かれたことを3つ書き出す
教える内容は、自分が得意なことではなく、人から聞かれたことの中にあります。職場で説明を頼まれたこと、友人に相談されたこと、後輩に教えたこと。過去1年を振り返って3つ書き出してください。
聞かれたということは、需要が1件は確認できているということです。自分では当たり前だと思っていることほど、値段がつきます。
書き出すときは、聞かれた場面まで具体的に残します。誰が、どういう状況で、何に困って聞いてきたか。これがそのまま、講座ページの想定受講者の説明になります。
専門的である必要はありません。半年先を行っているだけで、教えられることはあります。むしろ、つまずいた記憶が新しいほうが説明は具体的になります。
手順2:既存の講座を10件見る
同じ分野の講座が、いくらで、何分で、何人向けに開かれているかを見ます。見るのは価格だけではありません。タイトルの付け方、説明文の構成、当日の流れの書き方を写します。
前回の記事で書いた、ココナラの出品ページの話と同じです。実績のない段階では、その分野の標準の形に合わせたうえで、中身で差をつけるほうが伝わります。
見るときは、開催の回数が多い講座を優先します。続いている講座には、続く理由があります。タイトルの付け方、対象者の絞り方、価格の置き方。真似ではなく、共通点を拾ってください。
手順3:60分に収まる範囲まで削る
教えたいことを全部入れると、90分でも足りません。1回の講座で扱うのは1つのことだけにします。
削る基準は「その場で手を動かせるか」です。聞くだけで終わる内容は動画で足ります。オンラインで時間を合わせて集まる価値は、その場で質問できることと、実際にやってみて詰まったところを直せることにあります。
時間の配分も決めておきます。説明に20分、実際にやってもらう時間に25分、質問に15分。話す時間を半分以下にすると、満足度が上がります。
削った内容は捨てません。次回の講座のテーマとして取っておけば、リピーターに来てもらう理由になります。
手順4:価格は相場の下限に置き、値下げしない
1,000円が下限ですが、そこから始める必要はありません。同じ分野のスクールの価格帯を調べて、その下のほうに置く。安くしすぎると、次に上げられなくなります。
価格を上げるより、定員を増やすほうが先です。同じ60分で2人が4人になれば、売上は倍。準備の時間は変わりません。オンラインは会場の制約がないので、この調整がしやすい。
ただし、人数を増やすほど1人あたりに使える時間は減ります。手を動かしてもらう講座なら、目が届く人数に上限があります。自分が見られる範囲で決めてください。
リピーターと自己集客が、単価を変える
この副業で手残りを増やす道筋は、はっきりしています。3段階です。
1段目は、実績がない時期。サービス側の集客に頼るので30パーセントが引かれます。ここは広告費として割り切ります。
2段目は、来てくれた人がもう一度来る段階。2回目以降は10パーセントなので、手残りが一気に変わります。ここに到達するために必要なのは、次に来る理由を作っておくことです。
3段目は、自分で集められる段階。SNSやブログから来てもらえれば、最初から10パーセントです。ただし、規約で定められた自己集客の条件を守る必要があります。
3段目まで来ると、講座は自分の発信を支える柱にもなります。教えた内容を記事にする、参加者の質問を次の題材にする。同じ知識を複数の形で使えるようになります。
3段目を狙って1段目を飛ばさない
最初から自己集客だけでやろうとすると、生徒がゼロのまま時間が過ぎます。発信の力がまだない段階では、送客に頼るほうが速い。
30パーセントを払って実績と評価を作り、そこから自分の集客を育てる。この順番です。最初の10人までは、手数料を気にしないと決めておくと迷いません。
評価が積み上がると、送客の中でも選ばれやすくなります。同じ30パーセントでも、集まる人数が変わる。払う率は同じでも、効率は上がっていきます。
つまずく場所は決まっている
オンライン講座でつまずくのは、ほぼ5つです。
1. 内容を詰め込みすぎる
60分に3つのテーマを入れると、どれも浅くなります。参加者の満足度は、扱った量ではなく持ち帰れたものの数で決まります。
1つに絞ってください。そして、終わったときに何ができるようになっているかを、講座ページに1行で書く。ここが曖昧な講座は、内容が良くても評価が伸びません。
2. 準備にお金をかけてから始める
機材、有料のツール、デザインされた資料。どれも後から足せます。1回目は手元のものでやって、足りなかったところだけ買う。
この順番なら、続かなかったときの損失が小さく済みます。他の副業の回でも同じことを書いていますが、道具にお金を払うのは、その道具で回収できる見込みが立ってからです。
3. 費用を別途取ろうとする
公式に明記されているとおり、入会金や受講料以外の料金を別途徴収することはできません。当日現金払いも含まれます。
教材費も資料代も、受講料に含めて設計します。ここを知らずに案内すると、公開前の確認で止まり、開催日に間に合わなくなります。
4. 1回きりで終わる設計にする
「これで完結します」という講座は、リピーターが生まれません。手数料の構造上も不利です。
入門と実践に分ける、季節ごとにテーマを変える、といった続きを用意してください。完結させないことと、中身を出し惜しみすることは違います。1回で十分に価値を渡したうえで、次の入口を見せるのが正しい設計です。
5. 開催日をぎりぎりに設定する
公開前の確認があるため、出してすぐ開催、という日程は組めません。初回は余裕を持った日付にしてください。
参加者が予定を決める時間も必要です。2週間ほど先に置くと、検討する時間と、告知する時間の両方が取れます。公開してから埋まるまでの期間も、講座の一部だと考えてください。
30代につながるのは、人前で説明した回数
このメディアは、20代の副業を「30代に何が残るか」で選ぶ立場で書いています。オンライン講座で残るのは、教えた内容そのものではありません。
残るのは、知らない人に向かって、限られた時間で説明しきった回数です。質問が来る、想定と違う反応が返る、時間が足りなくなる。この経験の量が、そのまま説明の技術になります。
30代になると、説明する場面が増えます。会議での提案、新人への指導、取引先への説明。ここで差がつくのは知識量ではなく、相手の理解度を見ながら話を調整できるかです。これは、実際に人前で話した回数でしか身につきません。
もう1つ残るのが、自分の知識を商品として値付けした経験です。1,000円から自由に設定できると言われたときに、自分の1時間にいくらの値段をつけるか。この判断を何度もした人は、転職や独立の場面でも自分の価値を説明できます。
まとめ
- 手数料は集客経路で変わる。自己集客は10パーセント、サービス側からの送客は初回がオンライン30パーセント・対面20パーセントで、2回目以降はいつでも10パーセント(ストアカ公式)
- 初期費用や掲載料はかからず、売上が確定したときに手数料が発生する。クレジットカードの決済手数料も含まれる
- 受講料は1,000円からで、無料イベントは不可。単発は1回分、コース講座(2〜10回)は合計を設定する
- 入会金や受講料以外の別途徴収はできない(当日現金払いを含む)。かかる費用はすべて受講料に含めて設計する
- 価格は、同じスキルを学べるスクールや教室の一般的な価格帯を参考に、生徒1人あたり1回参加あたりで設定する
- 想定モデルでは、初回の準備を含めて約10時間、2回目以降は2時間半前後。同じ講座を繰り返すほど時間あたりが上がる
よくある質問(FAQ)
手数料30パーセントは高くありませんか。
初めての生徒をサービス側が連れてきた場合の率で、オンライン開催が30パーセント、対面開催が20パーセントです。公式は、広告の出稿や検索対策で集客を手伝っているためと説明しています。実績ゼロの段階で自分で集客する手段がないなら、成果報酬型の広告費と考えるのが実態に近い。そして2回目以降は、同じ生徒なら10パーセントになります。
教える内容が思いつきません。
得意なことではなく、人から聞かれたことを探してください。職場で説明を頼まれたこと、友人に相談されたこと、後輩に教えたこと。聞かれた経験があるなら、需要が1件は確認できています。自分では当たり前だと思っていることほど、値段がつきます。
教材費を別に受け取ることはできますか。
できません。公式は「入会金や、受講料以外の料金を提示したり、別途徴収(当日現金払い含む)することはできません」と明記しています。資料の印刷代も道具の費用も、価格を決める段階で受講料に含めて設計してください。
いくらに設定すればいいですか。
公式は、同じか類似のスキルを学べるスクールや教室の一般的な価格帯を参考にするよう案内しています。検索の例として「東京 カメラ スクール 料金」のような調べ方が挙げられています。1,000円が下限ですが、そこから始める必要はありません。安くしすぎると、後から上げにくくなります。
副業として始めるとき、確定申告や会社への影響はどうなりますか。
この記事ではオンライン講座の中身だけを扱っています。副業全般の論点は姉妹メディア「20代の放課後」で扱っています。確定申告と20万円ルール、副業の始め方を参照してください。
講座を出す前に、手数料のページを読む
集客経路で率が変わること、2回目以降は10パーセントになること、自己集客のURLに条件があること。この3点を理解してから価格を決めてください。