Search Consoleで経営者が見る数字は、表示回数・クリック数・CTR・掲載順位の4つだけです。ただしサイト全体の「平均掲載順位」を見ても、ほぼ意味がありません。Googleはこの数値を「表示されたクエリごとに最上位を取り、それを全クエリで平均したもの」と定義しています。つまり検索語が混ざった平均です。この記事では、4つの数字の正しい定義、サイト全体の平均を見てはいけない理由、業者のレポートをこの画面で検算する方法、そして月1回5分で終わる確認手順を扱います。操作の全機能は説明しません。判断に使う部分だけです。
この記事でわかること
結論。経営者が見る数字は4つだけ
Search Consoleには多くの機能がありますが、経営判断に使うのは検索パフォーマンスの4つの数字と、インデックス作成レポートの1点だけです。残りは担当者や業者の作業領域です。
| 見る数字 | これが動いたら何が起きているか | 判断への使い方 |
|---|---|---|
| 表示回数 | 検索結果に自社が出た回数。最初に動く | 3か月目の継続判断は、ここが右肩上がりかで見る |
| クリック数 | 実際にサイトへ来た回数 | 流入の実数。GA4よりこちらが検索の実態に近い |
| CTR | クリック数 ÷ 表示回数 | 低いならタイトルと説明文の問題。記事の中身ではない |
| 掲載順位 | 検索結果での位置 | クエリ単位でのみ見る。サイト全体の平均は見ない |
これに加えて、インデックス作成レポートで「公開したのに検索の対象に入っていないページ」がないかを確認します。ここが詰まっていると、他の数字は全部意味を失います。
この記事は操作マニュアルではありません。担当者や業者から出てきた数字を、経営者がどう読むかに絞っています。全機能の説明が必要な場合は、Googleのヘルプが最も正確です。
最初の登録。ドメインとURLプレフィックスの違い
まだ登録していない場合、最初に選択があります。ここを間違えると、あとでデータが分断されます。
| 登録の種類 | 集計される範囲 | 所有権の確認方法 |
|---|---|---|
| ドメイン | www有無、http/https、サブドメインをすべて含む | DNSにレコードを追加する。サーバー会社の管理画面が必要 |
| URLプレフィックス | 指定したURLの形式のみ | HTMLファイルの設置、タグの追加、Googleアナリティクス連携など複数から選べる |
迷ったらドメインで登録してください。URLプレフィックスで登録すると、wwwの有無やhttpsへの切り替えでデータが別々になり、あとで比較できなくなります。DNSを触れる人が社内にいない場合は制作会社に依頼してください。作業自体は数分です。
すでにURLプレフィックスで運用している場合、ドメインで追加登録しても構いません。両方持てます。ただし過去のデータは遡って取得されないので、切り替えるなら早いほうがよいです。
4つの数字の定義(Googleの原文から)
ここは正確に押さえてください。定義を誤解したまま議論すると、業者との話が噛み合いません。以下はGoogleのヘルプに書かれている内容です。
| 指標 | Googleの定義 | 誤解されやすい点 |
|---|---|---|
| 表示回数 | サイトへのリンクがGoogleで閲覧された頻度 | 結果タイプによっては、スクロールや展開が必要な場合もカウントされる |
| クリック数 | Googleからサイトへのリンクがクリックされた頻度 | Google検索のほか、DiscoverやGoogleニュースも含まれる |
| CTR | クリック数を表示回数で割った値 | それ以上の意味はない。割り算の結果 |
| 掲載順位 | サイトへのリンクのGoogleにおける相対ランキング。Google検索のみから計算される | DiscoverやGoogleニュースは含まれない |
表示回数の定義に「スクロールや展開が必要な場合もある」と書かれている点に注意してください。検索結果の下のほうに出て、誰にも見られていなくても表示回数は増えます。表示回数が増えた=見られたではありません。クリック数と合わせて見る必要があるのはこのためです。
サイト全体の「平均掲載順位」を見てはいけない理由
ここが、この記事で一番お伝えしたい部分です。
Search Consoleの画面を開くと、上部に「平均掲載順位」という数字が大きく出ます。多くの人がこれを「サイトの順位」だと受け取り、業者のレポートにもこの数値が載ります。しかし、この数字で良し悪しを判断することはできません。
Googleの定義を正確に読むと、掲載順位は「掲載順位の最上位を、そのプロパティが表示されるすべてのクエリでの平均」とされています。ヘルプには、2位と3位で表示された場合に(2+3)÷2=2.5とする計算例が載っています。
図1:平均掲載順位は検索語をまたいだ平均。社名や独自のサービス名のように必ず1位になる語が混ざるため、サイト全体の数値は実態を表さない。
問題は、この平均に社名や独自のサービス名が含まれることです。自社の名前で検索されれば、ほぼ確実に1位になります。この数件が平均を大きく引き下げ、実際には狙ったキーワードで40位でも、全体の平均は20位台に見えます。
逆のことも起きます。ページを増やして新しいキーワードで表示され始めると、最初はどれも下位です。前進しているのに、サイト全体の平均掲載順位は悪化します。これを見て「順位が下がった」と業者を問い詰めるのは、状況を読み違えています。
レポートに「平均掲載順位」だけが載っていたら、クエリ別の内訳を出してもらってください。この一言で、レポートの質が変わります。狙ったキーワードが何位なのか。それだけが判断材料です。
表示回数は、順位より先に動く
成果は順番に動きます。検索の対象に入る、表示回数が増える、順位が上がる、クリックが増える、問い合わせが増える。この順です。
図2:見る順番。進捗を早く知りたいなら、一番左の表示回数を見る。
始めて3か月の時点で問い合わせを見ても、まだ動いていないのが普通です。そこで見るのは表示回数です。検索パフォーマンスで期間を「過去3か月」にして、表示回数の折れ線が右肩上がりなら、Googleに認識されて検索結果の候補には入っています。
逆に、3か月経っても表示回数がほぼゼロなら、これは待っても変わりません。そのキーワードに検索需要がないか、ページが検索の対象に入っていないか、どちらかです。後者はインデックス作成レポートで確認できます。
クエリ別に見る。伸びしろがどこにあるか
ここからが実用的な使い方です。検索パフォーマンスの下部に「クエリ」のタブがあり、検索語ごとの4つの数字が並びます。
探すのは、表示回数が多くて順位が11位から30位のクエリです。これが最も費用対効果の高い改善対象になります。
| クエリの状態 | 意味 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 表示回数が多い・順位11〜30位 | 需要はあるが、1ページ目に届いていない | 最優先。該当ページを厚くする。2週間〜2か月で動くことがある |
| 表示回数が多い・順位1〜10位・CTRが低い | 出ているのに選ばれていない | タイトルと説明文を書き直す。中身は触らなくてよい |
| 表示回数が多い・順位30位以下 | 競合が強いか、内容が合っていない | 上位の顔ぶれを見て、狙いを変えるか判断する |
| 表示回数が少ない・順位が高い | そもそも検索されていない語 | 放置してよい。ここに手をかけない |
一番上の行が、最短で成果が出る場所です。すでにGoogleに評価されていて、あと一歩で1ページ目に入るページ。ゼロから記事を作るより、はるかに早く動きます。
業者に依頼しているなら、「11位から30位のクエリを一覧で出してください」と言ってみてください。すぐ出せるなら、この画面を日常的に見ています。出せないなら、順位計測ツールだけを見ている可能性があります。
ページ別に見る。どの記事が効いているか
同じ画面で「ページ」のタブに切り替えると、URLごとの数字が並びます。ここで分かるのは、投じた記事制作費が、どのページで回収されているかです。
見るのは2点です。
1つ目は、クリック数の上位が何のページか。ここが会社案内や採用情報ばかりなら、記事が機能していません。記事制作に払っている費用の効果が出ていない状態です。
2つ目は、クリック数がゼロに近いページの数。公開から半年経ってもクリックがゼロなら、その記事は選んだキーワードが外れています。本数を増やす前に、外し方の傾向を業者と確認してください。同じ外し方が続いているなら、キーワード選定の方針そのものを見直す段階です。
ページ別の数字は、記事1本あたりの単価と突き合わせると判断が具体的になります。1本5万円で作った記事が、半年でクリック10回なら、1クリック5,000円です。同じ予算を広告に回した場合と比べてみてください。
インデックス作成レポート。公開したのに載っていないページ
ここは数字ではなく、状態の確認です。公開したページが検索の対象に入っていなければ、他の指標は全部意味を失います。
左メニューの「ページ」(インデックス作成)を開くと、登録されているページ数と、登録されていないページ数が出ます。見るのは後者です。
| よく出る理由 | 意味 | 対応 |
|---|---|---|
| クロール済み – インデックス未登録 | 読まれたが、載せる価値がないと判断された | 内容を厚くする。似た記事があるなら統合する |
| 検出 – インデックス未登録 | 存在は知っているが、まだ読みに来ていない | 待つか、サイトマップを送信する |
| noindexタグによって除外されました | こちらが「載せるな」と指定している | 意図しないものがあれば即修正。制作時の設定が残っている事故が多い |
| 重複しています | 同じ内容のページが複数ある | どれを正とするか指定する |
とくに注意したいのが「noindexタグによって除外されました」です。サイト制作中は検索に出さないよう設定するのが普通で、公開時にそれを外し忘れる事故が起きます。公開したのに何か月も反応がない場合、まずここを見てください。
数字が合わないとき
Search Consoleの数字は、他のツールと一致しません。これは不具合ではなく、測っているものが違うためです。会議で「数字が違う」と混乱しないよう、理由を押さえておいてください。
| ずれる相手 | 理由 |
|---|---|
| GA4のセッション数 | Search Consoleはクリック数、GA4は到達した訪問。クリック後に離脱すればGA4には残らない |
| 順位計測ツールの順位 | 計測ツールは特定の地点・条件での1回の測定。Search Consoleは実際に表示された全回数の平均 |
| 自分で検索した順位 | 個人の検索履歴や現在地で結果が変わる。自分で検索した順位は参考にならない |
実務では、Search Consoleのクリック数を「検索からの流入の正」として扱うのがおすすめです。GA4はサイト内の行動を見るためのもので、検索からどれだけ来たかはSearch Consoleのほうが正確です。
また、データの反映には時間がかかります。昨日や今日の数字は揃っていません。判断は週単位か月単位で行い、日次の上下で一喜一憂しないでください。
順位が下がったとき、この画面で切り分ける
「順位が落ちた」と報告を受けたとき、原因は大きく4つに分かれます。どれなのかは、この画面だけで切り分けられます。原因が違えば打ち手も違うので、慌てて記事を増やす前にここを確認してください。
| 画面で見えること | 推定される原因 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 表示回数もクリックも同時に落ちた。特定のページに偏っていない | 検索エンジン側の更新か、季節性 | 2週間は様子を見る。慌てて内容を変えない。前年同月と比べる |
| 特定のページだけ、表示回数がゼロに近づいた | そのページが検索の対象から外れた可能性 | インデックス作成レポートで状態を確認。noindexの混入を疑う |
| 表示回数は変わらず、クリックだけ落ちた | 検索結果での見え方が変わった | 実際に検索して1ページ目を見る。競合のタイトルが変わっていることが多い |
| 特定のクエリだけ順位が落ちた | そのクエリで競合が強い記事を出した | 上位の記事を読んで、抜けている論点を足す |
実務でいちばん多いのは1行目です。サイト全体が同じ時期に一様に下がっているなら、こちら側の問題ではない可能性が高い。この場合に記事を作り直すと、かえって評価が安定しません。
逆に、2行目のように特定のページだけが消えているなら、これは技術的な事故です。放置しても戻りません。制作会社かサーバーの設定変更が原因になっていることが多いので、直近で何を触ったかを確認してください。
切り分けをせずに「順位が下がったので記事を増やしましょう」という提案が来たら、上の4つのどれなのかを先に聞いてください。原因を特定せずに量を足すのは、いちばん費用がかかる打ち手です。
業者のレポートを、この画面で検算する
経営者にとって、Search Consoleの最も実用的な使い道はこれです。業者から届くレポートの数字が、この画面と一致するかを見る。
やることは3つだけです。
1つ目。レポートの流入数と、Search Consoleのクリック数を同じ期間で比べる。大きくずれているなら、何を数えているのかを聞いてください。広告やSNSからの流入を混ぜている場合があります。
2つ目。レポートに「平均掲載順位」だけが載っていたら、クエリ別を出してもらう。前述のとおり、サイト全体の平均はほぼ意味を持ちません。狙ったキーワードの順位を、キーワードごとに見せてもらいます。
3つ目。納品された記事のURLを、ページ別のタブで確認する。クリック数がゼロのままの記事が積み上がっていないか。ここは業者ではなく、こちらが確認する項目です。
この3つは、Search Consoleの閲覧権限さえあれば5分で終わります。権限は業者に渡したままにせず、経営者のアカウントにも必ず付けておいてください。契約終了時に取り上げられる状態にしておくのも同じくらい重要です。
月1回5分の確認手順
最後に、経営者が月1回だけ見る手順をまとめます。毎日見る必要はありません。
| 順番 | 見る場所 | 判断 |
|---|---|---|
| 1 | 検索パフォーマンス、期間を過去6か月に設定 | 表示回数とクリック数の折れ線が右肩上がりか |
| 2 | クエリのタブ、順位で並べ替え | 11位から30位の語が増えているか(伸びしろの在庫) |
| 3 | ページのタブ、クリック数で並べ替え | 上位に記事が入っているか。ゼロのページが増えていないか |
| 4 | ページ(インデックス作成) | 未登録のページが急に増えていないか |
| 5 | 1〜4を前月と比べる | 悪化していたら、原因を業者に聞く材料にする |
この5つだけで、業者のレポートを鵜呑みにせずに済みます。操作を覚える必要はありません。画面を開いて、折れ線の向きと並べ替えを見るだけです。
まとめ
Search Consoleについて、経営者が押さえる点を整理します。
見る数字は表示回数・クリック数・CTR・掲載順位の4つと、インデックス作成レポートだけです。
最も重要なのは、サイト全体の「平均掲載順位」で判断しないこと。Googleはこれを「クエリごとの最上位を、全クエリで平均したもの」と定義しています。社名や独自のサービス名が混ざるため、実態を表しません。レポートにこれだけが載っていたら、クエリ別を出してもらってください。
進捗を早く知りたいなら表示回数を見る。順位より先に動きます。3か月目の継続判断は、この数字で行ってください。
改善の優先順位は、表示回数が多くて順位が11位から30位のクエリです。すでに評価されているページを押し上げるのが最短です。
そして、閲覧権限は必ず経営者のアカウントにも付けておいてください。業者のレポートを5分で検算できる状態にしておくこと自体が、契約の質を保ちます。
よくある質問
Search Consoleは無料ですか
無料です。Googleアカウントがあれば使えます。有料の順位計測ツールとの違いは、Search Consoleが自社サイトの実際の表示・クリックの記録であるのに対し、順位計測ツールは特定の条件で測った順位である点です。判断の材料としては、実績が残るSearch Consoleのほうが確かです。
ドメインとURLプレフィックス、どちらで登録すべきですか
迷ったらドメインです。www有無やhttpsへの切り替えをまたいで集計されるため、あとでデータが分断されません。DNSにレコードを追加する作業が必要なので、社内で触れる人がいなければ制作会社に依頼してください。すでにURLプレフィックスで運用していても、ドメインで追加登録できます。
平均掲載順位が悪化しました。順位が下がったということですか
そうとは限りません。新しいページが増えて新しいキーワードで表示され始めると、最初はどれも下位なので、サイト全体の平均は悪化します。前進している最中でも起きる現象です。判断はクエリ単位で行ってください。狙ったキーワードの順位が下がっているかどうかだけが問題です。
表示回数は増えているのに、クリックが増えません
タイトルと説明文の問題である可能性が高いです。検索結果に出ているのに選ばれていない状態なので、記事の中身を直しても変わりません。クエリのタブでCTRが低いものを探し、そのページのタイトルを書き直してください。検索語がタイトルに入っているか、クリックする理由が一目で分かるかを見ます。
GA4の数字とSearch Consoleの数字が合いません
測っているものが違うので合いません。Search Consoleは検索結果でのクリック数、GA4はサイトに到達した訪問です。クリック後にページが表示される前に離脱すれば、GA4には残りません。検索からの流入を見るならSearch Console、サイト内の行動を見るならGA4、と使い分けてください。
業者に権限を渡していますが、自分でも見られますか
見られます。所有者であれば、自分のGoogleアカウントに権限を追加できます。むしろ、経営者のアカウントを所有者にして、業者には制限付きの権限を渡す形が安全です。契約終了時に権限を外せる状態にしておいてください。所有権が業者側にしかないと、契約が切れたときにデータごと失うことになります。
毎日見たほうがいいですか
必要ありません。データの反映には時間がかかるため、直近の日付は数字が揃っていません。日次の上下を追っても判断材料になりません。月1回、過去6か月の折れ線を見て、前月と比べる。これで十分です。