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ライバーの年齢制限|規約・労働基準法・民法の3つで分けて読む

書類に目を通しながら考えている若い女性

「ライバーは何歳からできますか」。これを調べると、アプリごとの年齢がずらっと並んだ記事が出てきます。

ただ、読んでも落ち着きません。規約を満たしていれば、法律のほうは気にしなくていいのか。その答えが書かれていないからです。

この記事では、年齢で区切られている場所を3つに分けます。アプリの規約、労働基準法、民法。根拠がそれぞれ違うので、答えも1つになりません。どの層の話をしているのかが分かると、自分が確認すべき相手も決まります。なお、個別の事情でどう扱われるかは判断できません。その部分は相談先に渡します。

「何歳から」の答えが1つにならない

まず、なぜ答えが割れるのかを整理します。

3つの層が、別々に走っている

年齢で区切られている場所は、大きく3つあります。1つ目がアプリの利用規約。2つ目が労働基準法。3つ目が民法です。

この3つは、作った主体も目的も違います。規約は事業者が決めた民間のルール。労働基準法は、働く人を守るための法律。民法は、契約が有効かどうかを決める法律です。

だから、「規約でOKだから法律もOK」とは言えませんし、逆も言えません。3つを別々に確認する必要があります。ここを1本にまとめようとするから、答えが1つにならないんです。

そして、3つのうち2つは、自分が「労働者」に当たるかどうかで効き方が変わります。そこが次のポイントになります。

「配信する」と「所属して配信する」は違う

もうひとつ、混ざりやすいところがあります。アプリで配信することと、事務所に所属して配信することは、別の話だということです。

アプリに登録して1人で配信するだけなら、関係するのは主に規約です。そこに事務所との契約が加わると、契約の話が乗ってきます。さらに、働き方の実態によっては労働基準法が関係してきます。

層が増えるほど、確認すべき場所も増えます。自分がどの段階にいるのかを先に決めると、読むべきものが絞れます。事務所との契約を検討している場合は比較軸の記事もあわせて見てください。

この記事で扱わないこと

先に範囲を決めておきます。個別の契約が有効かどうか、自分が労働者に当たるかどうか。この2つは、この記事では判断できません。

事情によって結論が変わりますし、判断するのは行政機関か裁判所です。ここで扱うのは、条文に何が書いてあるか、どこに確認すればいいか、までです。

そのうえで、条文を読むと分かることがかなりあります。とくに、よく見る説明のうちいくつかは、条文と食い違っていました。

層 決めているもの 確認先
アプリの規約 使えるかどうか 各アプリ
労働基準法 働かせ方の制限 労働基準監督署
民法 契約の有効性 弁護士
労働者性 実態で判断 労働局

アプリの規約は、法律とは別のルール

いちばん身近な層から見ます。

年齢で区切られている3つの層 1 アプリの利用規約 民間のルール。各社に確認 2 労働基準法 労働者に当たる場合に効く 3 民法 契約が有効かどうかを決める 18歳未満の労働者に効く条文 第61条 深夜業 午後10時から午前5時は使用不可 第56条 最低年齢 中学卒業の年の3月31日まで不可 第57条 年少者の証明書 年齢を証明する書類を備え付け 親との関係を決めている条文 第58条 未成年者の労働契約 親が代わって締結してはならない 第59条 賃金 親が代わって受け取ってはならない いずれも労働者に当たる場合の話です
層ごとに、確認する相手が違う

規約は事業者が決めている

配信アプリの年齢制限は、各社が利用規約で決めています。18歳以上としているところ、保護者の同意があれば可としているところ、機能ごとに条件を分けているところなど、内容はさまざまです。

これは法律ではなく、事業者と利用者の間のルールです。だから、各社で違いますし、変わることもあります。ある時点で書かれた記事の一覧をそのまま信じると、実際の規約と食い違うことがあります。

確認する場所は、各アプリの利用規約とヘルプです。まとめ記事ではなく、一次の規約を見てください。登録前に読めるようになっているはずです。

規約を満たしても、法律は別に効く

ここが誤解されやすいところです。規約の年齢条件を満たしていることと、法律上の制限がかからないことは、別の話です。

例えば、規約で17歳の利用が認められていたとします。それは、そのアプリを使えるという意味であって、事務所に所属したときの働き方の制限がなくなるという意味ではありません。

規約は、あくまでそのサービスを使う条件です。その先で誰かと契約を結ぶなら、契約と法律の層が新しく乗ってきます。規約を読んだら終わり、にはなりません。

逆の向きも同じです。法律上の制限がない年齢でも、規約で使えないことがあります。どちらか一方を満たしただけでは、始められません。

年齢を偽らない

当たり前のことですが、書いておきます。規約の年齢条件を満たすために、年齢を偽って登録しないでください。

発覚した場合、アカウントの停止や、それまでの報酬の扱いで問題になることがあります。そして、何かトラブルが起きたときに、自分の側から相談しにくくなります。規約違反をしている状態で、助けを求めるのは難しくなる。

待つ期間が長く感じるかもしれませんが、条件を満たしてから始めるほうが、結果的に早いです。年齢の条件は、いずれ必ず満たせるものです。

労働基準法が効くのは「労働者」のとき

2つ目の層に入ります。ここがいちばん誤解されています。

第9条の定義

労働基準法は、誰にでも適用されるわけではありません。第9条に定義があります。

「この法律で『労働者』とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下『事業』という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」

つまり、使用される者で、賃金を支払われる者。これが労働者です。ライバーの多くは業務委託の形で契約しているので、形式上は労働者ではないことになります。その場合、労働基準法の年齢に関する条文は、そのままでは効きません。

ここで話が終わるなら簡単なのですが、終わりません。

形式ではなく実態で判断される

労働者に当たるかどうかは、契約書の名前では決まりません。実際の働き方で判断されます。

例えば、配信する時間や内容を細かく指示されている、断る自由がない、報酬が時間に対して支払われている、といった事情があると、実態として労働者に近づきます。「業務委託契約書」と書いてあっても、それだけで労働者でないとは決まりません。

判断するのは、労働基準監督署や労働局です。自分で決めることはできませんし、事務所が決めることもできません。気になる場合は、契約書を持って相談してください。無料です。

どちらか分からないまま進めない

実務として大事なのは、どちらに当たるか分からない状態のまま、深夜に配信し続けないことです。

もし労働者に当たるなら、次の章で見る条文が効きます。効くのに守っていない状態は、本人ではなく事務所の側の問題になりますが、止められるのは配信している本人の活動です。

18歳未満で事務所に所属している、あるいは所属を検討しているなら、先に確認してください。聞き方は「私の働き方は労働者に当たりますか」で構いません。事務所との契約の見極め方は求人の記事で6項目に整理しています。

形式 実態で見るもの
業務委託契約書 指示の細かさ
報酬という呼び方 断る自由の有無
所属という言葉 時間の拘束
契約書の題名 報酬の決まり方

18歳未満に効く3つの条文

労働者に当たる場合、18歳未満には制限がかかります。3つ挙げます。

第61条 深夜業の禁止

いちばん配信に影響するのが、これです。労働基準法第61条第1項。

「使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によつて使用する満十六才以上の男性については、この限りでない。」

午後10時から午前5時まで。ライブ配信で人が集まりやすい時間帯と、ちょうど重なります。労働者に当たる18歳未満の場合、この時間帯は使えないことになります。なお、同条第3項には、交替制によって労働させる事業について行政官庁の許可を受けた場合の例外も定められています。

「夜のほうが人が来るから」という理由は、この条文の前では通りません。配信時間を増やさずに成果を出す考え方は、この媒体の他の記事でも扱っています。

第56条 最低年齢

次が、そもそも何歳から働けるかです。第56条第1項。

「使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない。」

つまり、中学を卒業する年の3月31日までは使用できません。ただし第2項に例外があります。別表第一第一号から第五号までに掲げる事業以外の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて満13歳以上の児童を修学時間外に使用できる。そして映画の製作又は演劇の事業については、満13歳に満たない児童についても同様とされています。

ライブ配信がこの例外に当たるかどうかは、条文からは一義に決まりません。判断するのは行政官庁です。該当しそうな場合は、労働基準監督署に確認してください。

第57条 年少者の証明書

3つ目は、書類の話です。第57条第1項。

「使用者は、満十八才に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない。」

さらに第2項では、第56条第2項によって使用する児童については、修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書も備え付けなければならない、とされています。

これが実務で効くのは、確認の材料になるからです。18歳未満で所属しているのに、年齢の証明を一度も求められていないなら、その事務所が何を前提にしているのかを聞く理由になります。労働者として扱っていないのか、単に手続きをしていないのか。どちらなのかを確かめてください。

条文 内容 対象
第61条 深夜業の禁止 18歳未満
第56条 最低年齢 中学卒業前
第57条 年齢の証明書 18歳未満
第60条 労働時間の特例 18歳未満

親と本人の関係を決めている条文

ここからが、いちばん知られていない部分です。

第58条 親が代わって契約してはならない

未成年者が事務所と契約するとき、親が代わりに手続きをすることがあります。ただ、労働基準法第58条第1項には、こう書かれています。

「親権者又は後見人は、未成年者に代つて労働契約を締結してはならない。」

代わって締結してはならない、です。労働者に当たる場合、親が本人の代わりにサインする形は、この条文に反することになります。同意を与えることと、代わって締結することは違います。

さらに第2項では、親権者若しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向つてこれを解除することができるとされています。不利な契約を解除する道が、条文に用意されています。

第59条 親が賃金を受け取ってはならない

お金の話も、条文に書かれています。第59条です。

「未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代つて受け取つてはならない。」

2つのことが定められています。本人が独立して請求できること。そして、親が代わって受け取ってはならないこと。

未成年の場合、口座の都合などで親の口座に振り込む形になっていることがあります。労働者に当たる場合、この形は条文と食い違います。どうすればいいか分からない場合は、事務所ではなく労働基準監督署に聞いてください。事務所に聞くと、事務所の都合が答えになることがあります。

民法の側も見ておく

労働者に当たらない場合でも、未成年なら民法が関係します。民法第5条第1項は、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない」としています。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない、とも書かれています。

そして第2項が、「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる」です。同意なく結んだ契約は、取り消せる場合がある、ということになります。

ただし、注意すべき条文がもう1つあります。民法第6条第1項です。「一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。」営業の許可を受けている場合、その営業については成年と同じ扱いになります。個別の事案でどうなるかは弁護士に確認してください。

18歳になったら何が変わるか

最後に、年齢が上がったときの変化を整理します。

18歳で成年になっている

まず、前提の確認です。民法第4条は、「年齢十八歳をもって、成年とする」としています。

以前は20歳でした。いまは18歳です。古い記事には「20歳未満は親の同意が必要」と書かれたままのものがあります。年齢の話を調べるときは、その記事がいつ書かれたものかを見てください。

18歳になると、親の同意なしで契約できるようになります。裏を返すと、民法第5条第2項による取消しも、原則としてできなくなります。自由になると同時に、自分で判断した結果を自分で引き受けることになります。

労働基準法の制限も外れる

18歳になると、前の章で見た年少者の条文も外れます。第61条の深夜業の禁止も、第57条の証明書も、満18歳未満が対象なので、対象から外れます。

つまり、深夜の配信が制度上は可能になります。ただ、可能であることと、続けられることは別です。深夜に長く配信する形は、体のほうが先に限界になります。

制限が外れたタイミングで無理をして、半年で動けなくなる人がいます。配信後の回復については疲れの記事で扱っています。制度の制限がなくなっても、自分で決めた制限は残しておくほうが長く続きます。

変わらないものもある

一方で、年齢に関係なく変わらないものもあります。

契約の中身を確認すること。報酬の計算方法を書面で持っておくこと。解約の条件を先に見ること。これらは18歳でも25歳でも同じです。

そして、成年になると、未成年であることを理由にした保護がなくなります。民法第5条の取消しも、労働基準法の年少者の規定も使えません。だから、確認の重要性はむしろ上がります。18歳になってからのほうが、契約書を丁寧に読む必要があります。

年齢 効くもの 確認先
15歳の年度末まで 第56条の最低年齢 労基署
18歳未満 深夜業の禁止 労基署
18歳未満 親の同意が必要 弁護士
18歳以上 自分で判断する 自分と専門家

まとめ

年齢制限は、1つの数字ではありませんでした。

  • 年齢で区切られている場所は3つ。アプリの利用規約、労働基準法、民法。作った主体も目的も違うので、答えが1つにならない
  • 規約は事業者が決めた民間のルール。各社で違い、変わることもある。まとめ記事ではなく、各アプリの規約を直接見る
  • 規約を満たしても、法律は別に効く。規約はそのサービスを使う条件であって、その先の契約と法律の層は残る
  • 労働基準法が効くのは「労働者」のとき。第9条の定義は「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」。判断は形式ではなく実態で、決めるのは労働基準監督署や労働局
  • 第61条は、満18歳未満を午後10時から午前5時まで使用してはならないとしている。ライブ配信で人が集まる時間帯と重なる
  • 第56条は、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで使用してはならないとしている。第2項に例外があり、映画の製作又は演劇の事業には満13歳未満の定めもある
  • 第57条は、満18歳未満について年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならないとしている。求められていないなら、その理由を聞く材料になる
  • 第58条は、親権者又は後見人が未成年者に代わって労働契約を締結してはならないとしている。同意することと、代わって締結することは違う
  • 第59条は、未成年者が独立して賃金を請求でき、親権者又は後見人が代わって受け取ってはならないとしている
  • 民法第4条により、18歳で成年。「20歳未満は親の同意が必要」と書かれた記事は、いまの条文と合っていない
  • ただし民法第6条第1項がある。営業を許された未成年者は、その営業に関しては成年者と同一の行為能力を有する

今日できるのは、自分が使っているアプリの規約を開いて年齢の条件を読むことと、事務所に所属しているなら契約書の題名ではなく中身を見ることです。18歳未満で所属しているなら、労働者に当たるかどうかを労働基準監督署に確認してください。無料で、本人からでも相談できます。個別の契約の有効性については、弁護士やフリーランス・トラブル110番に相談してください。

よくある質問(FAQ)

結局、何歳から配信できますか

1つの答えはありません。使うアプリの規約で決まる部分、事務所に所属するなら契約と法律で決まる部分が、別々にあるからです。まずアプリの利用規約で年齢の条件を確認してください。そのうえで、事務所に所属する場合は、自分が労働者に当たるかどうかで労働基準法の制限がかかるかが変わります。労働者に当たる場合、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでは使用できないとされています。判断は労働基準監督署に確認してください。

18歳未満は夜10時以降に配信できませんか

労働基準法第61条第1項は、使用者は満18歳に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない、としています。ただし、これは労働者に当たる場合の話です。業務委託の形であっても、実態によっては労働者と判断されることがあり、その判断をするのは労働基準監督署や労働局です。自分で決めることも、事務所が決めることもできません。18歳未満で所属しているなら、契約書を持って確認してください。相談は無料です。

親が代わりに契約してくれると言っています

労働基準法第58条第1項は、親権者又は後見人は未成年者に代わって労働契約を締結してはならない、としています。労働者に当たる場合、親が本人の代わりに締結する形はこの条文に反します。同意を与えることと、代わって締結することは別です。また第59条は、未成年者は独立して賃金を請求することができ、親権者又は後見人は未成年者の賃金を代わって受け取ってはならない、としています。報酬の受け取り方についても、事務所ではなく労働基準監督署に確認してください。

20歳未満は親の同意が必要ではないのですか

民法第4条は「年齢十八歳をもって、成年とする」としています。以前は20歳でしたが、いまは18歳です。古い記事には20歳のまま書かれているものがあるので、年齢について調べるときは、その記事がいつのものかを見てください。18歳になると親の同意なしで契約できるようになりますが、同時に、民法第5条第2項による取消しも原則としてできなくなります。自由と引き換えに、確認の責任が自分に移ります。

事務所から年齢の証明を求められません

労働基準法第57条第1項は、使用者は満18歳に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない、としています。求められていない場合、考えられるのは2つです。あなたを労働者として扱っていないか、手続きをしていないか。どちらなのかを聞いてみてください。聞き方は「自分は労働者に当たる扱いになっていますか」で構いません。答えがあいまいな場合は、契約書を持って労働基準監督署に相談してください。

18歳になったら制限はなくなりますか

労働基準法の年少者に関する条文は、満18歳未満を対象としているので、18歳になると対象から外れます。深夜業の禁止も、年齢証明の備え付けも同じです。ただ、制度上できることと、続けられることは別です。深夜に長く配信する形は、体のほうが先に限界になります。また、成年になると未成年であることを理由にした保護もなくなるので、契約書を確認する重要性はむしろ上がります。18歳になってからのほうが、中身を丁寧に読む必要があります。

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