
目次
Notionのデータを取り出して、AIに渡している方へ。そのまま渡していないでしょうか。
取り出したデータには、値そのもの以外の情報がかなり含まれています。どのくらいの割合なのかを数えました。
1行あたり1,487文字のうち、中身は72文字でした。残りの96パーセントは、値ではないものです。
1行が1,487文字、中身は72文字
まず、数えた結果から書きます。
案件のデータベースを1行取り出しました
名前、金額、状態、メモ、期日。5つの列を持つデータベースを作って、1行を取り出します。
| 取り出し方 | 文字数 |
|---|---|
| そのまま | 1,487文字 |
| 値だけに絞る | 72文字 |
値だけにすると、こうなります。
期日 2026-12-01 / 状態 受注 / メモ メモ3 / 金額 300000 / 名前 案件3
人が見て必要なものは、これで全部です。残りの1,400文字あまりは、何も語っていません。
列の型は、よくある5つにしました
特殊な列は入れていません。どのデータベースにもありそうな5つです。
| 列 | 型 | 入れた値 |
|---|---|---|
| 名前 | タイトル | 案件3 |
| 金額 | 数値 | 300000 |
| 状態 | セレクト | 受注 |
| メモ | テキスト | メモ3 |
| 期日 | 日付 | 2026-12-01 |
つまり、特別なことをしていないデータベースでこの比率になります。列が増えれば、無駄の量も比例して増えます。
「1行」の中身を数える方法
自分のデータベースで確かめるのは簡単です。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | データベースの中身を取り出す |
| 2 | 1行ぶんをそのまま文字数で数える |
| 3 | 列の名前と値だけを並べ直して、もう一度数える |
2と3の差が、そのまま無駄の量です。この記事の数字を信じる必要はなく、自分の手元で出せます。列の数も型も違うので、出てくる比率も変わります。
何が場所を取っているのか
内訳を見ていきます。
半分以上は、列の値そのものの入れ物
| 項目 | 文字数 | 割合 |
|---|---|---|
| 列の値の部分 | 878 | 59% |
| どこにぶら下がっているか | 90 | 6% |
| 最後に編集した人 | 84 | 5% |
| 作成した人 | 80 | 5% |
| この行のアドレス | 70 | 4% |
列の値の部分が878文字を占めています。ただし、その中で実際の値は72文字だけです。残りは入れ物です。
列ごとの内訳
| 列 | 文字数 | 実際の値 |
|---|---|---|
| メモ | 275 | 「メモ3」の3文字 |
| 名前 | 266 | 「案件3」の3文字 |
| 状態 | 126 | 「受注」の2文字 |
| 期日 | 101 | 日付だけ |
| 金額 | 54 | 数字だけ |
3文字のメモを運ぶのに、275文字を使っています。90倍以上です。
「太字ではない」を毎回送っています
入れ物の中身を見ると、正体が分かります。
装飾の情報が、1つあたり111文字
文字が入る列には、その文字の装飾情報が付いてきます。太字かどうか、斜体かどうか、取り消し線、下線、コード、色。
これが1つあたり111文字です。そしてほとんどの場合、全部「していない」という内容です。
今回のデータベースには文字の列が2つあるので、それだけで222文字。何も装飾していないのに、していないことを毎回送っています。
内訳はこの6つです。
| 付いてくる情報 | ほとんどの場合の中身 |
|---|---|
| 太字かどうか | していない |
| 斜体かどうか | していない |
| 取り消し線 | していない |
| 下線 | していない |
| コード | していない |
| 色 | 標準 |
文字の列が増えるほど、この222文字は増えます。文字の列が5つあるデータベースなら、555文字が装飾の情報です。実務のデータベースは文字の列が多いので、ここがいちばん膨らみます。
途中を太字にすると、2.5倍になりました
もう1つ知っておくといいことがあります。装飾の情報は列ごとに1つ、とは限りません。
1つの列の中で途中だけ太字にすると、そこで文章が分かれます。分かれたぶんだけ、装飾の情報が増えます。実際に測りました。
| メモ列の中身 | 見える文字 | 列の文字数 |
|---|---|---|
| そのまま(分かれていない) | 10文字 | 287文字 |
| 途中の3文字だけ太字 | 10文字 | 720文字 |
見える文字は同じ10文字なのに、2.5倍になりました。途中を太字にすると「前・太字の部分・後ろ」の3つに分かれ、それぞれに装飾の情報が付くからです。
つまり、長いメモを入れていて、その中で何か所か強調している列。ここがいちばん量を取ります。削る効果も、そこがいちばん大きいということになります。
人の情報も、1人あたり80文字
作成した人と、最後に編集した人。この2つで164文字です。
ほとんどの場合、AIに渡すときには不要な情報だと思います。そもそも最後に編集した人は1人しか残らないので、それほどの情報量もありません。
図にすると、こういう比率です
100行で20倍の差になります
規模を換算します。
およそ14万文字と、7千文字
| 100行 | 文字数 |
|---|---|
| そのまま | 約148,700文字 |
| 値だけに絞る | 約7,200文字 |
およそ20倍です。同じ量を渡せるなら、20倍の行数を見てもらえるということになります。
逆に言うと、20分の1しか渡せていません
渡せる量に上限があるとき、そのまま渡していると上限の大半を入れ物が占めます。
100行渡したつもりが、実質5行ぶんの情報しか入っていない。そういう状態になります。
渡せる量から、入る行数を出しておく
実際の作業で効くのは、この換算です。1行あたり1,487文字と72文字で割ると、こうなります。
| 渡せる文字数 | そのまま | 値だけに絞る |
|---|---|---|
| 1万文字 | 約6行 | 約138行 |
| 3万文字 | 約20行 | 約416行 |
| 10万文字 | 約67行 | 約1,388行 |
そのままだと、1万文字で6行しか入りません。案件が6件しか見えていないのに、全体を見た答えが返ってくることになります。
削れば同じ枠で138行入ります。半年ぶんの案件が全部入るかどうかの差です。
行数が足りているかは、渡す前に分かります
渡せる量に収まっているかは、渡す前に計算すれば分かります。見てほしい行数 × 1行あたりの文字数が、渡せる量の中に収まっているか。これだけです。
逆に、渡したあとで確かめるのは手間です。先に数えておくのがいちばん簡単です。
なぜ無駄が問題なのか
量が減ること自体より、その先が大事です。
1. 渡せる件数が減ります
いちばん直接的な影響です。1年ぶんのデータを見てほしいのに、3ヶ月ぶんしか入らない。判断の材料が足りなくなります。
そして、ここが厄介なところです。何行渡せたかは、渡す側で数えないと分かりません。1年ぶんを渡すつもりで、実際には3ヶ月ぶんしか渡していない。この違いは、渡したデータを見ないと気づけません。
分析を頼んでいるのに、そもそも全体を渡していない。これでは結論も変わってしまいます。渡した行数は、渡す前に自分で把握しておいてください。
2. 費用がかかる場合、比例します
渡す量で費用が決まる仕組みなら、無駄な分もそのまま費用になります。20分の1にできるなら、その差は大きいです。
1回あたりの差は小さく見えます。ただ、この種の処理は毎日回すものです。毎日100行を渡すなら、削った側との差は1年で相当な回数ぶん積み上がります。
しかも、増えた分の中身は「太字ではない」です。何の役にも立っていないものに払っていることになります。
3. 余計なものが混ざります
これがいちばん見落とされがちです。渡したデータの中に、「太字ではない」「斜体ではない」が何百回も並んでいます。
読む側からすると、これも情報です。意味のない情報が大量にあると、大事な部分が埋もれます。
人に資料を渡すときも同じですよね。100ページの資料を渡して「3ページ目を見てください」と言うより、その3ページだけ渡すほうが正確に読んでもらえます。
1と2は量の話なので、上限にぶつかるまでは困りません。3つ目は、量に余裕があっても効いてきます。10行しか渡していなくても、その中に「していない」が60回並んでいれば同じことです。
削る理由としては、こちらのほうが大きいと思っています。費用のためではなく、正確に読んでもらうために削る。
渡す前に削るもの
では、何を削るか。効く順に並べます。
1. 装飾の情報
いちばん量が多く、いちばん要らないものです。文字の列ごとに111文字ずつ付いてきます。
文字の値だけを取り出せば、これは丸ごと消えます。ほとんどの場合、これだけで半分近く減ります。
ただし、太字で強調した部分を伝えたい場合は、その情報が消えます。大事な箇所は文章で書いておくほうが確実です。
2. 使わない列
すべての列を渡す必要があるかを考えてください。
作成日時、最終更新日時、内部の管理用の列。質問の答えに関係ない列は、渡さないほうがいいです。
列を選ぶのは、削る作業のなかでいちばん判断が要るところです。逆に言えば、ここを決めておけば毎回使えます。
3. 識別子とアドレス
それぞれの行と列には、内部の識別子が付いています。行のアドレスも入っています。
あとから元の行に戻る必要があるなら残しますが、読んで答えてもらうだけなら不要です。
4. 作成者と更新者
誰が作ったか、誰が触ったかを問うのでなければ、これも外します。1人あたり80文字です。
5. 空の列
値が入っていない列も、入れ物だけは付いてきます。空の列は、渡す側で落としてしまうのが早いです。
ただし、「空である」こと自体が答えに関わる場合は残します。未入力の案件を探してほしい、というような依頼のときです。
結局、表にするのがいちばん簡単です
ここまでを一言でまとめると、列と値だけの表の形にするということです。
1行につき、必要な列の名前と値が並んでいるだけの形。これが今回の「72文字」の中身です。人が見ても分かりますし、渡す量も小さくなります。
効く順に並べると、こうなります
削る対象を、1行あたりの文字数が大きい順に並べ直します。
| 削るもの | 1行あたり | 判断 |
|---|---|---|
| 装飾の情報 | 222文字(文字の列2つ) | 迷わず削る |
| 作成者と更新者 | 164文字 | 誰が触ったかを問うなら残す |
| どこにぶら下がっているか | 90文字 | 迷わず削る |
| この行のアドレス | 70文字 | 元の行に戻るなら残す |
| 使わない列 | 列の数だけ | ここがいちばん判断が要る |
上の4つは、機械的に決められます。手を動かすのは1回だけで、あとは毎回同じように使えます。
いちばん下だけが、毎回考えるところです。ただ、ここも一度決めてしまえば使い回せます。
質問の種類ごとに、渡す列を決めておく
毎回考えるのをやめる方法があります。聞くことの種類ごとに、渡す列の組み合わせを先に決めておくことです。
| 聞くこと | 渡す列 |
|---|---|
| 金額を集計してほしい | 名前・金額・状態 |
| 遅れているものを見つけてほしい | 名前・状態・期日 |
| 抜けを埋めたい | 全部の列(空欄を残す) |
3つ目だけが例外です。空欄を探してほしいときは、空欄も一緒に渡さないと見つけてもらえません。削るのが正しいかどうかは、聞くことで変わります。
この表を一度作ってしまえば、次からは選ぶだけです。削る作業のうち、考えるのは最初の1回だけになります。
よくある質問(FAQ)
今回の数字は、どのデータベースでも同じですか。
列の数や値の長さで変わります。今回は5列で、値が短いデータベースでした。値が長い文章なら、入れ物の割合は下がります。ただ、列が多いほど入れ物も増えるので、傾向としては同じです。
装飾の情報を残したい場面はありますか。
太字で強調した部分が意味を持つなら、残す価値があります。ただし、渡す先がその情報を読んでくれるかは別の話です。大事な箇所は文章でも書いておくほうが確実だと思います。
どの列を渡すかは、毎回考えるのですか。
一度決めれば使い回せます。質問の種類ごとに、渡す列の組み合わせを決めておくのがいいと思います。金額を聞くときはこの3列、進捗を聞くときはこの4列、という形です。
行の識別子は残したほうがいいですか。
答えを見て元の行を開きたいなら残します。読んで要約してもらうだけなら不要です。残す場合も、アドレス全体ではなく識別子だけで足ります。
空の列を落とすと、未入力だと分からなくなりませんか。
そのとおりです。未入力の案件を探してほしい、というような依頼なら、空であることが答えに関わります。その場合は残してください。用途で判断が変わるところです。
ページの本文も渡したいのですが。
本文は別に取ることになります。ページを丸ごとマークダウンで取る道を使えば、表やトグルの中身も1回で入ります。ブロックを1つずつ取る道だと、表やトグルの中身は一度では取れません。どちらの道でも、画像の中は読めません。
列と値だけの表にしてから渡してください
装飾の情報、識別子、作成者を落として、必要な列の名前と値だけ並べる。今回の検証では、1行1,487文字が72文字になりました。同じ量で20倍の行数を見てもらえます。