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学び直しにお金がかかると諦める前に。20代が使えるリスキリング公的支援、最大56万円の制度も

ノートパソコンで学習しながらノートを取っている手元のイメージ

「スキルアップしたいけど、講座やスクールにお金がかかるから踏み出せない」。そう感じて、学び直しを先延ばしにしていませんか。実は、国の制度をうまく使えば、学び直しにかかる費用の多くを公的にカバーできる場合があります。この記事では、20代の会社員が使える代表的な公的支援制度を、実際の金額とあわせて整理します。

リスキリングにかかる費用、実は公的支援で抑えられる

プログラミングスクールやビジネススクール、資格取得講座は、数十万円単位の費用がかかることも珍しくありません。「自己投資は大事とわかっていても、いきなり全額自己負担は厳しい」という20代は多いはずです。

しかし、国はここ数年、社会人の学び直し、いわゆるリスキリングを後押しする制度を相次いで整備・拡充しています。経済産業省・厚生労働省それぞれが用意している制度を組み合わせれば、条件次第で受講費用の大部分を給付でまかなえるケースもあります。まずは代表的な制度の中身を、正確な金額とともに見ていきましょう。

最大56万円、経済産業省のリスキリング支援事業

経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、転職を目指す在職者を対象にした制度です。講座を修了した時点で受講費用の2分の1(最大40万円)、修了後に転職し1年間継続して就業した時点で、さらに受講費用の5分の1(最大16万円)が支給され、合計で最大56万円の補助を受けられます。

対象となる分野は、AI、プログラミング、Webマーケティング、経理、DX戦略など、実務で需要の高いスキルに広く設定されています。対象者は、企業と雇用契約を結んでいる在職者で、雇用主が変わる転職を目指す人です。この制度は令和8年度末(2027年3月末)までの実施が予定されているため、利用を検討する場合は早めに情報を確認しておくとよいでしょう。

具体的な金額感をイメージしてみましょう。例えば、受講費用80万円のプログラミングスクールを利用した場合、講座修了時に上限の40万円が支給され、自己負担は一旦40万円まで下がります。さらに、修了後に転職して1年間継続して働いた場合、追加で16万円が支給されるため、最終的な自己負担は24万円まで圧縮できる計算です。実際に受講できるかどうかは、講座がこの制度の対象として認定されているかどうかにもよるため、申し込み前に対象講座かどうかを確認しておく必要があります。

厚生労働省の教育訓練給付制度、3つの区分

積み重ねられた本と開かれた教材のイメージ

厚生労働省の教育訓練給付制度は、対象となる講座のレベルに応じて3つの区分に分かれています。

もっとも給付率が高いのが「専門実践教育訓練」です。厚生労働省の公式資料によると、教育訓練経費の50%(6か月ごと、上限年間40万円)が支給され、資格取得等をしたうえで訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、さらに20%(上限年間16万円)が追加支給されます。加えて、2024年10月の制度改正により、訓練修了後に賃金が5%以上上昇していることが確認できた場合は、さらに10%が上乗せされ、最大80%(年間上限64万円)まで給付される仕組みになりました。対象講座には、資格取得を目指す養成施設の課程、専門学校の職業実践専門課程、専門職大学院、情報通信技術の資格取得課程などが含まれます。

次に給付率が高いのが「特定一般教育訓練」で、受講費用の40%(上限20万円)が支給されます。ITパスポートなどのIT資格や、介護支援専門員実務研修などが対象です。もっとも一般的なのが「一般教育訓練」で、受講費用の20%(上限10万円)が支給され、対象講座の幅は3区分の中でもっとも広く設定されています。

3つの区分を、給付率と対象講座の目安で整理すると、以下のようになります。

区分 給付率・上限額 対象講座の例
専門実践教育訓練 最大80%(上限年間64万円) 資格取得の養成施設、専門職大学院、ITスキル系の資格取得課程など
特定一般教育訓練 40%(上限20万円) ITパスポート等のIT資格、介護支援専門員実務研修など
一般教育訓練 20%(上限10万円) 資格取得講座、Webクリエイター講座など、対象講座の幅が最も広い

いずれの区分も、雇用保険への加入期間など一定の要件を満たす必要があり、前回給付を受けてから一定期間が経過していることも条件になります。自分がどの区分に該当するかは、講座を選ぶ前にハローワークや講座提供事業者に確認しておくと安心です。

2025年10月開始、教育訓練休暇給付金という選択肢

2025年10月には、新たに「教育訓練休暇給付金」という制度も始まっています。これは、会社に在籍したまま30日以上の無給の教育訓練休暇を取得し、学び直しに専念する場合に、平均賃金日額の5割から8割(最大150日分)が支給される制度です。対象となるのは、雇用保険の被保険者期間が通算5年以上あり、直近2年間に12か月以上の加入実績がある人です。

在職しながら講座に通うのではなく、まとまった期間、学び直しに集中したいと考えている人にとっては、選択肢の一つになる制度といえます。ただし、会社側が無給の教育訓練休暇制度を設けていることが前提になるため、まずは自社の制度を確認しておく必要があります。

雇用保険に入っていない場合の選択肢

「雇用保険に入っていない」「加入期間が短い」という人でも、利用できる制度があります。「求職者支援制度(ハロートレーニング)」は、雇用保険を受給できない人などを対象に、無料の職業訓練を提供する制度です。一定の要件を満たす場合、月10万円の給付金を受けながら訓練を受けられる仕組みもあります。フリーランスや、雇用保険の加入期間が短い転職直後の人などは、こちらの制度も選択肢に入れておくとよいでしょう。

なお、複数の制度を併用できるかどうかは、講座の組み合わせや実施機関によって条件が異なる場合があります。「教育訓練給付金では対象外の講座を、別の制度で受講する」といった組み合わせが可能なケースもあるため、複数の制度の利用を検討している場合は、それぞれの講座提供機関やハローワークに、併用の可否を個別に確認しておくことをおすすめします。

今日からできること

ステップ1(今夜):自分の雇用保険の加入期間を確認する
給与明細や、会社の担当部署に確認するなどして、自分がどのくらいの期間、雇用保険に加入しているかを把握しておきましょう。加入期間によって、利用できる制度の区分が変わってきます。

ステップ2(今週中):興味のある分野の対象講座を探してみる
興味のあるスキル・資格が、教育訓練給付制度の対象講座になっているかどうかを調べてみましょう。厚生労働省の検索システムでは、講座名や分野、都道府県などから対象講座を絞り込んで検索でき、それぞれの講座がどの区分(専門実践・特定一般・一般)に該当するかも確認できます。気になっているスクールや資格講座がすでにある場合は、まずその講座名で検索してみるのが早道です。

ステップ3(今月中):ハローワークに相談してみる
自分がどの制度を使えるか、実際の手続きはどう進めればいいかは、最寄りのハローワークの窓口で相談できます。一人で調べきれない部分は、専門の窓口を頼るのが近道です。

まとめ

学び直しにかかる費用は、公的支援を活用することで大きく抑えられる可能性があります。経済産業省のリスキリング支援事業では最大56万円、厚生労働省の教育訓練給付制度では区分に応じて受講費用の20%から最大80%(上限64万円)が支給されます。2025年10月には教育訓練休暇給付金も始まり、雇用保険に加入していない人向けの求職者支援制度もあります。まずは自分の雇用保険の加入状況を確認し、興味のある分野が対象講座になっているかを調べるところから始めてみましょう。

公的支援を使う前に、自己啓発そのものの実態を見ておくと選びやすくなります。20代の実施率や平均時間、費用の壁の位置づけは20代のスキルアップガイドにまとめました。

よくある質問(FAQ)

Q1. リスキリングの公的支援には、どんな制度がありますか?

経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」(最大56万円)、厚生労働省の「教育訓練給付制度」(区分に応じて20%〜最大80%給付)、「教育訓練休暇給付金」、「求職者支援制度」などがあります。

Q2. 経済産業省のリスキリング支援事業はいくらもらえますか?

講座修了時に受講費用の2分の1(最大40万円)、転職後1年間継続就業した時点でさらに5分の1(最大16万円)、合計で最大56万円が支給されます。

Q3. 教育訓練給付制度の給付率はどれくらいですか?

区分によって異なります。専門実践教育訓練は最大80%(上限年間64万円)、特定一般教育訓練は40%(上限20万円)、一般教育訓練は20%(上限10万円)です。

Q4. 専門実践教育訓練が最大80%になる条件は?

教育訓練経費の50%(上限年間40万円)が基本支給され、資格取得等をして訓練修了後1年以内に雇用された場合はさらに20%、訓練修了後に賃金が5%以上上昇した場合はさらに10%が上乗せされます。

Q5. 教育訓練休暇給付金とはどんな制度ですか?

2025年10月に始まった制度で、30日以上の無給の教育訓練休暇を取得した場合に、平均賃金日額の5〜8割(最大150日分)が支給されます。雇用保険の被保険者期間が通算5年以上あることなどが条件です。

Q6. 雇用保険に入っていなくても使える制度はありますか?

「求職者支援制度(ハロートレーニング)」があります。無料の職業訓練を受けられ、一定の要件を満たす場合は月10万円の給付金を受けながら訓練を受けられます。

Q7. どの制度を使えるか、どこに相談すればいいですか?

最寄りのハローワークの窓口で相談できます。自分の雇用保険の加入状況や、対象となる講座について、具体的な手続きを案内してもらえます。


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