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HubSpotの取引パイプラインは無料版で増やせない|ステージの決め方と、あとから変えるときの順番

公開 2026年9月23日 / 最終更新 2026年9月25日

To do・In progress・Doneの3列に付箋が並んだホワイトボード

HubSpotで取引(Deal)を使い始めて、最初に手が止まるのがここです。「自社の営業の流れに合わせてパイプラインを作り直したいのに、新しいパイプラインを追加するボタンが見当たらない」。

探し方が悪いわけではありません。無料版では、カスタムパイプラインを1本も作れない仕様です。使えるのは最初から入っている既定のパイプライン1本だけ。追加はStarter以上の機能です。

この記事では、その前提を踏まえたうえで「無料版でできる範囲でどこまで自社に合わせられるか」を手順に落とします。ステージの決め方、編集の画面遷移、そして消すときに必ず引っかかる順番の問題まで扱います。

先に結論:無料版でやることは3つだけです

  1. パイプラインを増やすのはあきらめる。無料版のカスタムパイプラインは0本です
  2. 既定の7ステージを、自社の言葉に置き換える。ステージの編集自体は既定パイプラインでもできます
  3. 商材が複数あるなら、パイプラインを分けずにプロパティーで分ける。後からStarterに上げても移行できます

ステージを消すときだけは順番があります。レコードが入ったままのステージは削除できません。6章で扱います。

前提:パイプラインとステージは別のものです

用語が混ざりやすいので、先に整理します。

パイプラインは、案件が流れる「レーン」そのものです。1つのパイプラインの中に、複数のステージ(段階)が並びます。取引レコードは、必ずどれか1つのパイプラインの、どれか1つのステージに入っています。

「新規事業用に別の流れを作りたい」はパイプラインを増やす話。「商談の段階をうちの呼び方に変えたい」はステージを編集する話です。この2つは、使えるプランが違います。

パイプライン(既定の1本) ステージ1 取引A ステージ2 取引B ステージ3 (空) 2本目のパイプライン 無料版では作れません(カスタム0本) 追加できるのはStarter以上 ステージの編集は無料版でもできます 名前・並び順・確度を自社に合わせられます 増やせないのは「レーンの本数」だけです

無料版では、パイプラインを増やせません

公式に上限が明記されています。ここでいう「カスタムパイプライン」は、既定で入っているパイプラインを含まない数です。つまり無料版の0本は「既定の1本しかない」という意味になります。

プラン カスタムパイプライン
無料ツール 0本
Starter 15本
Professional 100本(または350本)
Enterprise 350本

Professionalに2つの数字があるのは、アカウントの課金方式が2種類あるためです。シート課金のポータルは100本、フレキシブルシート&クレジットのポータルは350本と分かれています。どちらにせよ1〜10人の会社が上限に触れることはまずないので、実務上は「無料は0本、Starterから15本」だけ覚えておけば足ります。

「作れない」のか「表示されない」のか

無料版の管理画面では、パイプラインの追加操作そのものが進めません。ボタンが見えていても、作成まで到達しない作りになっています。ここで「バグかもしれない」と再読み込みを繰り返したり、別のブラウザーで試したりしても結果は変わりません。プランの制約なので、操作では突破できません。

だから無料版でやるのは「既定の7ステージを自社の言葉に直す」

ここからが本題です。パイプラインは増やせませんが、既定のパイプラインの中身は編集できます。ステージの名前も、並び順も、あとで説明する確度も変えられます。

既定のパイプラインは7つのステージで構成されていて、それぞれに確度(そのステージまで来た案件が成約する見込みの割合)が紐づいています。既定値は20%、40%、60%、80%、90%、100%、0%の並びです。

最後の2つ、「成約」と「失注」にあたるステージは必須です。名前は変えられますが、この2つを取り除いた構成にはできません。100%と0%がその2つに対応します。

まず削るところから考える

1〜10人の会社で7ステージは多すぎることがほとんどです。ステージが多いと、営業担当が「今どこだったか」を迷い、結局更新されなくなります。更新されないパイプラインは、見るだけ無駄な画面になります。

最初は4つか5つに減らすことをおすすめします。必須の2つ(成約・失注)を除くと、自由に置けるのは実質2〜3段階です。それで足ります。

ステージの決め方:確度ではなく「営業の動作」で区切る

ステージ設計でいちばん多い失敗は、「検討中」「前向き」「かなり有望」のように相手の気持ちで区切ってしまうことです。気持ちは担当者の主観なので、人によって判定がずれます。ずれた瞬間に、パイプラインの数字は意味を失います。

代わりに、こちらが取った動作か、相手が返した事実で区切ってください。誰が見ても同じ判定になります。

よくない区切り おすすめの区切り
興味あり 初回の打ち合わせを実施
前向き 見積もりを提出
もう少しで決まりそう 先方の決裁者と会話
検討中 成約

業種別に、4ステージの実例を挙げます

抽象的な話だけだと決めきれないので、よくある3パターンを具体的に書きます。いずれも必須の「成約」「失注」を含めて4〜5段階に収めています。

業種 ステージの並び
受託制作・開発 要件のヒアリング実施 → 見積もり提出 → 発注書受領(成約)→ 失注
士業・コンサル 初回面談実施 → 提案書提出 → 契約書締結(成約)→ 失注
店舗・サロン 問い合わせ受付 → 来店予約確定 → 初回来店(成約)→ 失注

共通しているのは、どのステージも「終わった事実」で書かれていることです。「ヒアリング中」ではなく「ヒアリング実施」。終わっていなければ前のステージのまま、という判定ができます。

もう1つ、自社が動く番なのか、相手が動く番なのかが分かる並びにすると、ボードを見たときにやることが決まります。「見積もり提出」で止まっている案件は相手の番なので追客の連絡、「ヒアリング実施」で止まっているなら自社の番なので見積もり作成、と読めます。

確度の数字は「合計の見込み額」を出すためにあります

各ステージに紐づく確度は、レポートで「このパイプライン全体でいくら見込めるか」を計算するときに使われます。取引金額に確度をかけた合計が、加重した見込み額になります。

カスタムで作ったステージには、確度を自由に設定できます。ただし最初から細かく刻む必要はありません。4ステージなら30%、60%、100%、0%程度の粗さで十分です。精度を上げるのは、成約・失注のデータが数十件たまってからで間に合います。

ステージ名は「動詞で終わる形」にすると揃います

「打ち合わせ実施」「見積もり提出」「発注書受領」のように、名詞+動作で終える形に統一すると、誰が見ても何をすれば次に進むのかが分かります。逆に「一次」「二次」のような番号だけの名前は、入社したばかりの人が判断できません。

ステージを編集する手順

作業の前に、「プロパティー設定の編集」権限が必要です。権限がないアカウントでは、次の画面まで進めても保存ができません。管理者に依頼してください。

  1. 右上の歯車アイコンから「設定」を開きます
  2. 左メニューの「データ管理」から「オブジェクト」を選びます
  3. オブジェクトの一覧から「取引」を選びます
  4. 「パイプライン」タブに切り替えます
  5. 編集したいパイプライン(無料版では既定の1本)を選びます
  6. ステージ名をクリックして書き換え、確度の数値を入れます
  7. 並べ替えはドラッグで行います。保存を押して確定します

この画面には、取引以外のオブジェクト(チケットなど)のパイプラインも並びます。編集する前に、いま取引のパイプラインを開いているかを必ず確認してください。別オブジェクトのステージを書き換えてしまうと、気づくのが遅れます。

順番を間違えると二度手間になります

作業の順番にコツがあります。「名前を変える」と「並べ替える」を先に済ませ、「削除する」は最後にまとめてください。

先に削除から始めると、削除できないステージ(レコードが残っている列)に当たるたびに作業が止まります。いったんボード画面に戻って取引を動かし、また設定画面に戻る、という往復が発生します。名前と並び順だけなら1画面で完結するので、そこを全部終えてから、残ったステージの中身を片付けるほうが早く終わります。

所要時間の目安は、ステージ7個を4個に整理する作業で20〜30分です。うち大半は「どのステージにどの取引を寄せるか」を決める時間で、画面操作そのものは5分もかかりません。先に紙かメモ帳で新しい4段階を書き出してから画面を開くと、迷いがなくなります。

保存したあと、既存の取引はどうなるか

ステージの名前を変えただけなら、そのステージにある取引はそのまま残ります。名札が変わるだけで、中身は動きません。並べ替えも同じで、取引は元のステージに付いたまま移動します。

取引が動くのは、削除のときだけです。そして削除はレコードが空でないとできないので、結果的に「知らないうちに取引が別の場所へ飛んでいた」ということは起きません。この点は安心して編集してかまいません。

ステージを消すときは順番があります

ここが実務でいちばん引っかかるところです。

レコードが入っているステージは削除できません。そのステージにある取引を、先に別のステージへ移すか、取引そのものを削除する必要があります。「使わなくなったステージを消そうとしたらエラーが出た」という場合、ほぼこれです。

1 そのステージの件数を数える ボード表示で列の上に件数が出ます ↓ 2 残っている取引の行き先を決める 古い案件なら失注に寄せるのが素直です ↓ 3 全件を移し、列を空にする ボード上でまとめて動かせます ↓ 4 設定画面でステージを削除する 空でないと、ここでエラーになります 削除より先に、名前の変更で済まないかを考える

削除より「名前を変える」を先に検討してください

ステージを削除すると、そのステージを通った履歴の読み方が変わります。過去のレポートで「このステージに何件あったか」を追いたい場面は、思っているより多く出てきます。

使わなくなったステージは、まず名前を変えて役割を付け替えられないかを考えてください。たとえば「二次商談」を「決裁者と会話」に変えれば、レーンの数を保ったまま意味だけ更新できます。削除は、どうしても段階を減らしたいときの最後の手段です。

扱う商材が2つあるとき、無料版でどう凌ぐか

「受託と自社サービスで営業の流れが違う」「法人と個人で段階が違う」。パイプラインを分けたくなる典型です。無料版では分けられないので、次の順で考えます。

手1:ステージを共通化できないか見直す

流れが違うと思っていても、動作で区切り直すと共通化できることがあります。「打ち合わせ」「見積もり」「決裁」「成約」「失注」の5段階は、商材が違ってもだいたい通ります。まずここを試してください。パイプラインを分けずに済めば、レポートも1つで済みます。

手2:取引の種別プロパティーで分ける

共通化できない差は、ステージではなくプロパティーで持たせます。「案件区分」のような選択式のプロパティーを1つ作り、「受託」「自社サービス」のような値を入れておきます。

こうしておくと、ボードのフィルターで片方だけを表示できますし、レポートも区分ごとに出せます。パイプラインを分けた場合とほぼ同じことが、無料版のままできます。

手3:どうしても無理なときだけStarterを検討する

段階の数そのものが大きく違い、共通化もプロパティーでの切り分けも成立しない場合だけ、プランの検討に進みます。判断の前に、手1と手2を実際に画面で試してください。試さずに上げると、上げたあとも設計が定まりません。

案件区分プロパティーを作る手順

前章の「手2」で触れた、パイプラインを分けずに商材を切り分ける方法です。実際の作り方まで書きます。

  1. 設定を開き、「データ管理」から「プロパティー」を選びます
  2. 上部の選択欄で、対象のオブジェクトを「取引」に切り替えます
  3. 「プロパティーを作成」をクリックします
  4. グループは「取引情報」を選び、ラベルに「案件区分」と入れます
  5. フィールドタイプで「ドロップダウン選択」を選びます
  6. 選択肢に「受託」「自社サービス」のように、自社の区分を並べます
  7. 保存します

選択肢は3つまでに抑えてください

区分は増やすほど入力されなくなります。3つを超えそうなときは、それは区分ではなく別の軸が混ざっている合図です。たとえば「受託」「自社サービス」「大型案件」を並べたくなったら、大型かどうかは金額で判定できるので区分に入れる必要がありません。

また、フィールドタイプは「1行テキスト」にしないでください。自由入力にすると表記ゆれが起きて、フィルターもレポートも効かなくなります。「受託」「受託開発」「受託案件」が別物として集計される状態は、あとから直すのが大変です。

作ったあとの使い方

取引のボード画面で、上部のフィルターから「案件区分」を選ぶと、片方の商材だけを表示できます。この状態をビューとして保存しておけば、次回からワンクリックで切り替えられます。

レポートでも同じ区分で分けられます。「今月の受託の見込み額」「自社サービスの成約率」のように、パイプラインを分けた場合とほぼ同じ集計ができます。無料版でできることの中では、これがいちばん実用に近い形です。

更新されないパイプラインにしないための運用

設計がどれだけ正しくても、更新されなければ意味がありません。1〜10人の会社でよく効く運用を3つ挙げます。

更新のタイミングを「打ち合わせの直後」に固定する

「毎週金曜にまとめて更新」は、ほぼ続きません。記憶が薄れているうえ、まとまった時間を取る必要があるからです。打ち合わせが終わった直後、その場で1件だけ動かすほうが定着します。1件なら30秒で終わります。

止まっている案件を見つける仕組みを作る

取引には最終更新日が自動で記録されます。ボードのフィルターで「最終更新日が14日以前」に絞ると、放置されている案件だけが並びます。これを週に1回見るだけで、追客の漏れはかなり減ります。

件数が多くない段階では、これで十分です。自動で通知を飛ばす仕組みはワークフローの機能になりますが、そちらはProfessional以上なので無料版では使えません。手で絞り込む運用から始めてください。

失注も必ず記録する

いちばん省略されやすいのが失注の記録です。決まらなかった案件をそのまま放置すると、ボードに古い案件が積み上がり、見る気がなくなります。

失注に動かすときは、理由も1行でいいので残してください。「予算が合わなかった」「時期が先になった」の2つが記録されているだけで、半年後に見直す価値のあるリストになります。時期が理由の失注は、実質的に将来の見込み客です。

Starterに上げると何が変わるか

カスタムパイプラインが15本まで作れるようになります。1〜10人の会社にとっては、事実上「必要なだけ作れる」状態です。

移行で困ることは多くありません。無料版のあいだに既定パイプラインでためた取引は、そのまま残ります。新しく作ったパイプラインへ移したい取引だけを動かせば済みます。無料版のうちにステージ設計を整えておくと、この移行が一度で終わります。

料金は改定されることがあるので、金額は公式の料金ページで確認してください。シート単位の課金であること、請求期間(月次契約か年間契約か)で単価が変わることは押さえておくと、見積もりの読み違いが減ります。

まとめ

HubSpotの取引パイプラインは、無料版では増やせません。既定の1本で運用する前提に立つと、やることがはっきりします。

  1. パイプラインの追加は無料版で0本。Starterから15本。操作では突破できないので、探すのをやめる
  2. 既定の7ステージは編集できる。4〜5段階に減らし、気持ちではなく営業の動作で区切る。成約と失注にあたる2つは必須
  3. ステージの削除にはレコードが空である必要がある。先に移すか消す。そもそも名前の変更で済まないか先に考える
  4. 商材が複数あるなら、パイプラインではなくプロパティーで分ける。フィルターとレポートで同じことができる

ステージ設計は、あとから直すほど痛くなります。取引が数十件たまる前の今のうちに、4〜5段階へ寄せておいてください。

よくある質問(FAQ)

無料版でも既定のパイプラインの名前は変えられますか

変えられます。増やせないのはパイプラインの本数で、既定パイプラインの中身(名前・ステージ・確度)の編集はできます。設定からデータ管理、オブジェクト、取引、パイプラインタブと進んでください。

ステージを削除したら、そのステージにあった取引は消えますか

レコードが入ったままのステージは、そもそも削除できません。先に別のステージへ移すか、取引自体を削除する必要があります。つまり「気づいたら取引が消えていた」という事態は起きない作りです。

ステージは何個が適切ですか

1〜10人の会社なら4〜5個をおすすめします。既定は7個ですが、多いほど更新されなくなります。成約と失注にあたる2つは必須なので、自由に置けるのは実質2〜3段階です。

確度の数字は自分で決めていいですか

カスタムで作ったステージには自由に設定できます。既定は20%、40%、60%、80%、90%、100%、0%という並びです。最初は30%、60%、100%、0%程度の粗さで十分で、成約・失注の実績が数十件たまってから調整してください。

パイプラインを編集するボタンが押せません

「プロパティー設定の編集」権限が必要です。権限のないユーザーは画面を開けても保存できません。管理者に権限の付与を依頼してください。権限があるのに進めない場合は、パイプラインの追加ではなくステージの編集になっているかを確認してください。

チケットのパイプラインも同じですか

設定画面は同じ場所ですが、オブジェクトごとに別のパイプラインを持ちます。取引のつもりでチケットのパイプラインを編集してしまう取り違えが起きやすいので、編集前にどのオブジェクトを開いているかを確認してください。

HubSpotは無料で始められます

コンタクト管理・フォーム・メール配信・商談管理を1つにまとめたCRMプラットフォームです。カスタムパイプラインの追加はStarter以上ですが、取引の登録と既定パイプラインでの運用は無料の範囲で試せます。プランごとの違いと料金は公式サイトでご確認ください。

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