
英語をやり直そうと調べると、どの記事も「中学英語から」と書いてあります。安全な助言ですが、すでに業務で英語を使っている人には遠回りになることがあります。
戻るかどうかは、3つのテストで決められます。全部戻る必要があるのか、一部でいいのか、戻らなくていいのか。先に判定してください。
「中学英語から」は、全員に当てはまらない
なぜこの助言が多いのかから見ます。
どんな人にも外れない答えだから
基礎からやり直すことは、誰にとっても無駄になりません。だから助言としては安全です。ただ、安全なだけで、その人にとって最短とは限りません。読む側の状況が分からない記事では、この答えになります。
業務で使っている人は、すでに一部を使えている
毎日メールを書いている、会議に出ている。この状態なら、中学英語の大部分はすでに使えています。使えている範囲まで戻ると、確認作業に時間を使うことになります。半年かけて、知っていることを確かめ直すことになりかねません。
戻っても直らない誤りがある
冠詞や前置詞の誤りは、文法書を読み直しても減りません。規則で説明しきれない部分が多く、量に触れて慣れる領域だからです。ここを直したくて戻ると、成果が出ないまま時間が過ぎます。
戻るかどうかを決める3つのテスト
30分で終わります。結果で進め方が変わります。
| テスト | やること | 見るところ |
|---|---|---|
| 1. 書けるか | 自分の業務を英語で5文 | 5文書き切れるか |
| 2. 誤りの種類 | その5文を添削させる | 何が崩れているか |
| 3. 聞き取り | 1分の音声を聞く | 単語か、速度か |
テスト1 自分の業務を英語で5文書く
辞書もAIも使わずに、自分の仕事を5文で説明してみてください。何をしている会社か、自分の担当は何か、今の案件は何か。書けない場合、途中で止まるか、日本語が出てくるはずです。5文書き切れるなら、基礎は残っています。
テスト2 その5文を添削させる
書いた5文を添削にかけて、誤りの種類を見ます。数ではなく、種類です。次の章で分類します。ここがいちばん重要な判断材料になります。
テスト3 1分の音声を聞く
業務に近い内容の英語音声を1分聞いて、分からなかった理由を確認します。知らない単語が多いのか、単語は分かるが速くて追えないのか。前者なら語彙、後者は慣れの問題で、どちらも中学英語をやり直しても解決しません。
誤りの種類で、戻る範囲が決まる
テスト2の結果を、この表に当てはめてください。
語順が崩れるなら、戻る価値がある
主語がない、動詞が2つある、修飾する語の位置がずれる。この種の誤りが複数出るなら、文の組み立ての土台が弱い状態です。ここは文法をやり直すと確実に改善します。戻る判断で構いません。
時制だけなら、そこだけ見直す
語順は正しいが、過去形と現在完了が混ざる。この場合、戻るのは時制の章だけで足ります。参考書を最初から通す必要はありません。1週間で終わります。
冠詞と前置詞は、戻っても直らない
aとtheの使い分け、inとonとatの選択。ここは規則で説明しきれない部分が多く、量に触れて感覚を作る領域です。文法書を読み直しても、数日で元に戻ります。この誤りだけなら、戻る理由になりません。
戻るなら、文型と時制だけ
戻ると決めた場合も、全部はやりません。
| やる | やらない |
|---|---|
| 文型(誰が・どうする・何を) | 仮定法 |
| 時制の基本 | 関係代名詞の細かい分類 |
| 疑問文と否定文の作り方 | 倒置・強調構文 |
| 助動詞の基本 | 受動態の複雑な形 |
薄い本を1冊、2週間で終える
厚い参考書を選ぶと、終わらないまま止まります。100ページ程度のものを1冊、2週間で終えてください。完璧に理解しなくて構いません。通したという事実があると、次に進めます。
例文は、自分の業務に書き換える
参考書の例文は、日常の場面が中心です。そのまま覚えても、会議では出てきません。同じ文型で、自分の業務の内容に書き換えてください。この作業自体が練習になります。
終わったら、テスト1をもう一度やる
2週間後に、また業務を5文で書いてみてください。書ける量が増えていれば、戻った判断は正しかったことになります。変わっていなければ、原因は文法ではなかったということです。AI英会話で効果が出ないときの確かめ方と同じで、測らないと判断できません。
戻らない場合の進め方
テストの結果、戻る必要がないと出た人向けです。
業務の文だけで回す
自分が実際に書くメール、実際に話す説明。この範囲だけで練習を組みます。教材を買う必要はありません。今週送ったメールを添削にかけるだけで、材料は足ります。
足りないのは、たいてい量
基礎があるのに使えない場合、原因は量です。書いた英文の総量、話した時間。ここが足りていないだけなので、文法に戻っても増えません。1日5分でも、出す量を増やすほうが効きます。
「基礎が不安」は、戻る理由にならない
不安は、テストの結果とは別のものです。実際に書けているなら、不安を理由に戻る必要はありません。むしろ、戻ることで安心して、出す量が減ることがあります。
やり直しが最初の30ページで止まる理由
やり直しに何度も失敗している場合、原因は別にあります。
最初の30ページは知っている内容だから
参考書の前半は、たいてい知っていることが並びます。読んでいて退屈になり、やめる。そして次に始めるとき、また最初のページから始める。この繰り返しで、前半だけ何度もやることになります。
知っている章は飛ばしていい
目を通して、知っていると判断したら飛ばしてください。全部読まないと不安だという気持ちは分かりますが、知っている内容を読む時間は成果につながりません。テスト2で出た誤りに関係する章だけやれば足ります。
途中から始めるのは、悪いことではない
1ページ目から始めなければならない決まりはありません。自分に必要な章から始めて、必要なら前に戻る。この順番のほうが、続く確率が高いです。
まとめ
戻るかどうかは、調べるのではなく測って決めます。
- 「中学英語から」は安全な助言だが、最短とは限らない
- 30分の3テストで判定する。書けるか、誤りの種類、聞き取れない原因
- 語順が崩れるなら戻る。時制だけなら部分的に戻る
- 冠詞と前置詞は、戻っても直らない。量に触れる領域
- 戻るなら、文型と時制だけ。薄い本を2週間で終える
- 戻らない場合は、業務の文だけで回す。足りないのはたいてい量
- 知っている章は飛ばす。前半を何度もやるのが失敗の型
やり直したかどうかより、2週間後に書ける量が増えたかで判断してください。
よくある質問
テスト1で1文も書けませんでした
戻る判断で問題ありません。ただし、全部をやり直すのではなく、文型と時制から始めてください。1文も書けない状態でも、2週間で3文くらいは書けるようになります。そこから増やしていく形が現実的です。
どの参考書がいいですか
100ページ程度で、文型と時制が前半にあるものなら何でも構いません。書店で3冊手に取って、読みやすいと感じたものにしてください。選ぶのに時間をかけるより、早く始めるほうが効きます。
中学英語をやり直せば、会議で話せますか
文を組み立てる土台はできますが、話す量が別に必要です。文法を終えても、話す練習をしなければ会議では出てきません。やり直しは準備であって、それ自体が目的にはなりません。
スクールに通ったほうが早いですか
自分で進められるなら、独学のほうが安く早いです。続かない自覚があるなら、外から締切を作る意味はあります。判断の基準は、過去3か月で自分の学習を何日続けられたかです。
単語からやり直すべきですか
テスト3で「知らない単語が多い」と出た場合だけです。ただし、市販の単語帳より、自分の業務に出た語のほうが再会の確率が高くなります。基礎的な語が不足している自覚があるときだけ、市販のものを併用してください。