
「AI副業を始めたい。でも何から手をつければいいのかわからない」
この状態でいちばん多い失敗は、ツール選びから始めてしまうことです。比較記事を読み込んで、いくつか試して、それで1週間が終わる。作ったものは何もない。
この記事では、最初の30日でやることを順番だけ決めます。何をやるかではなく、どの順でやるか。ここを間違えると、あとの工程が全部やり直しになります。
この30日のゴールは「稼ぐこと」ではありません。「自分のどの作業が、AIでどれだけ短くなるかがわかっている状態」です。理由は本文で書きます。
ツールの料金・仕様は改定が速いため、実際に使う前にご自身で公式ページをご確認ください。
順番を間違えると、こうなる
先に、よくある進め方と、その結末を並べます。自分が当てはまっていないか見てください。
| よくある始め方 | 何が起きるか |
|---|---|
| ツールを比較するところから始める | 比較で1週間が終わる。作ったものはゼロ |
| 「稼げるジャンル」を探すところから始める | 自分が詳しくない分野を選んでしまい、確認が終わらない |
| いきなり有料プランを契約する | 使う量が読めないまま払う。使わない月も引き落とされる |
| いきなり案件に応募する | 1件目にかかる時間が読めず、納期に追われる |
| 全部の作業にAIを入れる | 何が効いたのかわからず、次に打つ手が決まらない |
共通しているのは、「自分の作業を知らないまま、外側を決めている」ことです。どのツールが向いているかは、自分が何にどれだけ時間を使っているかが分からないと決められません。
30日の全体像
1週目:いまの作業を測る(AIは使わない)
1週目はツールを触りません。これが効きます。
なぜ最初に測るのか
理由は3つあります。
- 比較の基準がないと、効果がわからない。「速くなった気がする」では次の判断ができません
- どこが長いかは、思い込みと違う。実際に測ると、自分が「大変だ」と感じていた工程より、地味な工程のほうが長いことがあります
- 記録は後で経費の説明にも使える。家事関連費を区分するときの根拠になります(AI副業の確定申告と経費)
記録するのは4列だけ
| 列 | 書くこと |
|---|---|
| 日付 | 作業した日 |
| 工程 | 6つくらいに分ける(後述) |
| 分 | 5分刻みでよい |
| 気づいたこと | 1行。ここが後で効く |
専用のアプリは要りません。スマホのタイマーと、メモ1枚で足ります。道具を探し始めると、それ自体が作業になります。
工程の分け方
細かくしすぎると測るのが面倒になって続きません。この粒度で足ります。
- 記事を書くなら: 指示を読む/調べる/構成/執筆/事実確認と直し/納品前チェック
- 動画を作るなら: 企画/台本/素材集め/編集/書き出し/目視確認
- 画像を作るなら: 参考集め/制作/選別/加工/書き出し/説明文とタグ
1つだけ守ってほしいのは、「作る工程」と「確認する工程」を別々に数えることです。まとめて1つにすると、作る時間が半分になっても確認が倍になっていることに気づけません。
1週目が終わったときに持っているもの
7日ぶんの記録です。ここで、いちばん長い工程が1つ決まります。それが2週目の対象になります。
まだ何も稼いでいませんし、ツールも触っていません。それで正解です。
2週目:いちばん長い工程にだけAIを入れる
ここで初めてツールを使います。ただし、全部には入れません。
1つに絞る理由
全部を同時に変えると、何が効いたのかわからなくなります。3つの工程を同時に変えて合計が20分減ったとき、どれが効いたのかは分かりません。次に何をすればいいかも決まりません。
1つだけ変えれば、差はその工程のものです。
ツールは無料枠で足りる
2週目の時点で有料を契約する必要はありません。この段階の使い方は、無料枠に収まります。
無料枠が足りなくなるのは「長い文章を、毎日何件も」という使い方をしたときです。1日1件を試す段階では、まず届きません。詳しくはAIの無料枠でどこまで副業できるかに書きました。
渡し方だけは、最初から正しく
1つだけ、最初から守ってほしいことがあります。材料を先に渡して、範囲を区切ることです。
使ってよい情報は、このメモに書いた内容だけです。ここにない数字・制度名・日付は書かず、「要確認」と書いて止めてください。
この一文を入れるかどうかで、3週目に見る「確認の時間」が大きく変わります。入れないと、全文を疑いながら読むことになります。
3週目:増えた工程を確認する
ここが、多くの人が飛ばすところです。そして飛ばすと、次の手が打てなくなります。
減った工程と、増えた工程の両方を見る
1週目と2週目の記録を、工程ごとに並べて引き算します。
| 工程 | 1週目 | 2週目 | 差 |
|---|---|---|---|
| 調べる | 35分 | 30分 | −5分 |
| 構成 | 25分 | 8分 | −17分 |
| 執筆 | 80分 | 35分 | −45分 |
| 確認・直し | 20分 | 45分 | +25分 |
| 合計 | 160分 | 118分 | −42分 |
これは記録の一例です。合計では減っていますが、確認だけ25分増えています。
この形が見えると、4週目に作る仕組みが決まります。減らすべきなのは執筆ではなく、確認のほうです。
合計が減っていなかった場合
減っていないこともあります。そのときは、次の順で見てください。
- 自分が詳しくない分野をやっていないか。出てきた文が正しいか判断できないと、確認が終わりません。詳しくない分野ほど、AIを入れても時間が減りません
- 材料を渡さずに聞いていないか。「教えて」から始めると往復が増えます。公式ページを自分で開いて、その内容を貼るほうが速い
- そもそもAIに向かない作業ではないか。判断が毎回変わる作業、相手の反応を見ながら決める作業は、いまのところ時間が減りにくいです
3つとも当てはまらないのに減らないなら、その作業はAIの対象から外すという判断でかまいません。1か月の記録があるので、外す理由を自分で説明できます。
4週目:仕組みを1つだけ作る
最後の1週間で、繰り返しを1つ自動にします。
何を仕組みにするか
3週目の記録を見て、次の条件に当てはまるものを選びます。
- 毎回同じ手順である(毎回違う判断が入るものは対象外)
- 毎回同じ説明をしている(それをファイルに書けば済む)
- 時間がかかっている(削れる幅が大きい)
具体例を挙げます。
| よくある繰り返し | 仕組みにする方法 |
|---|---|
| 毎回同じ前提をAIに説明している | その説明をファイルに書いて、毎回貼る |
| 納品前に同じ項目を確認している | 確認項目をリストにして、1か所に置く |
| 月末に手で集計している | 関数をAIに書かせて、自動で出るようにする |
| 同じ形式のファイルを毎回作っている | 雛形を1つ作って、コピーして使う |
3つめの具体的な手順はスプレッドシートの集計をAIに任せるに書きました。
2つ作らない
1か月で仕組みは1つで十分です。2つ作ろうとすると、どちらも中途半端になって、どちらも使わなくなります。
1つ作って、それが実際に回ったことを確認してから、翌月に次の1つを作る。この速度で十分です。
つまずいたときの分かれ道
30日のあいだに止まる場所は、だいたい決まっています。先に書いておきます。
1週目で「測るほどの作業がない」と感じたら
まだ副業を始めていない、あるいは作業量が少ない場合です。
このときは、本業や日常の繰り返し作業を測ってください。資料を作る、メールを書く、写真を整理する、家計をまとめる。何でもかまいません。
目的は「工程に分けて測る」感覚を身につけることなので、対象は問いません。この感覚があると、副業を始めたときに最初から測れます。ゼロから始める人ほど、ここで身につけた差が後で効きます。
2週目で「AIの出力が使えない」と感じたら
ほとんどの場合、原因は渡し方です。次の順で見てください。
| 症状 | たいていの原因 |
|---|---|
| 一般論しか返ってこない | 指示が広すぎる。「誰の、どのつまずき」まで絞る |
| 事実が間違っている | 材料を渡していない。公式ページの内容を貼って渡す |
| 文体が自分と違う | 自分の過去の文章を3つ渡して「この書き方に合わせて」と言う |
| 長すぎる/短すぎる | 分量を指定していない。「800字で」のように数字で言う |
3回やって思ったものが出なければ、指示の書き方ではなく渡している材料が足りていないことがほとんどです。手を止めて、材料を集め直すほうが速く終わります。
3週目で「思ったより減っていない」と感じたら
それは失敗ではありません。減らない理由がわかった、という成果です。
実際、最初に測ったときの短縮は42分でした。3時間近い作業が2時間になった程度です。「半分になる」と思って始めると、がっかりします。
ただ、この42分は毎回発生します。週に3件やるなら月に8時間半。1年で100時間を超えます。1回の数字で判断しないでください。
4週目で「作る仕組みが思いつかない」と感じたら
記録の「気づいたこと」の列を読み返してください。同じことを2回以上書いていたら、そこが仕組みにする場所です。
「毎回この説明をしている」「毎回ここで迷う」「毎回この確認を忘れる」。この3つのどれかが書いてあるはずです。それぞれ、ファイルに書く・基準を決める・チェックリストにする、で解決します。
30日後に持っているもの
| 持っているもの | 何に使えるか |
|---|---|
| 工程ごとの時間の記録 | 次にどこを削るかが、感覚ではなく数字で決まる |
| 増えた工程の一覧 | 「AIは効かない」で終わらせず、増えた分に手を打てる |
| 動いている仕組み1つ | 2か月目はこの上に積める。ゼロから作り直さない |
| 自分に向かない作業のリスト | 次に手を出さない判断ができる |
収入はまだ出ていないかもしれません。ただ、1か月目に収入が出る想定で始めると、出なかったときに続ける理由がなくなります。
1か月目の成果物は「削れる場所がわかっている状態」だと最初に決めておく。そのほうが、実際に続きます。
記録の形も決めておきます。1週目で作った表に、この4列があれば足ります。
| 列 | 書くこと | いつ書くか |
|---|---|---|
| 日付 | 曜日も入れる。平日と休日で傾向が変わる | 作業を始めるとき |
| 工程 | 調べる/構成/執筆/確認の4つに固定する | 工程が変わるとき |
| 分 | 始めと終わりの時刻ではなく、かかった分だけ | 工程が終わるとき |
| AIを使ったか | 使った/使わないの2択。どう使ったかは書かない | 工程が終わるとき |
4列目が後で効きます。同じ工程でAIを使った日と使わなかった日が並ぶので、差が見えます。どう使ったかまで書こうとすると、記録が面倒になって続きません。
そして、記録は紙でもスマホのメモでも構いません。1週目に表計算を作ろうとすると、そこで止まります。表にするのは2週目以降で足ります。
4週間続けると、28行から40行くらいになります。この量があれば、どの工程が長いかは数えるだけで分かります。集計の関数も要りません。
やらなくていいこと
最後に、この30日でやらなくていいことを挙げます。時間を取られがちなものばかりです。
| やらなくていい | 理由 |
|---|---|
| ツールの総当たり比較 | 自分の作業がわからないと選べない。1つ試せば十分 |
| 有料プランの契約 | 使う量が読めない段階で払わない |
| プロンプトを大量に集める | 集めても使わない。自分の作業に合う1つを育てるほうが速い |
| SNSアカウントの開設 | 出すものができてからでよい |
| 高額な講座への申し込み | この30日でやることに、教材は要りません |
最後の1つは念のため書いておきます。「初心者でも簡単に稼げる」「月◯万円が当たり前」といった勧誘については、公的機関が注意喚起を出しています。判断材料は生成AI副業が「稼げない」と言われる理由にまとめました。
30日のあいだに出てくる判断も、別に書いています。練習と本番の境目はAI副業で最初の1件を作るまで、時間が週5時間しかない場合は副業に使える時間が週5時間しかない人の、AIの入れどころ、パソコンが無い場合はスマホだけでAI副業はどこまでできるかです。
まとめ
AI副業を始めるときの順番は、これだけです。
- 1週目:いまの作業を工程に分けて測る。AIは使わない。4列(日付・工程・分・気づいたこと)
- 2週目:いちばん長い工程にだけAIを入れる。無料枠で足りる。材料を先に渡して範囲を区切る
- 3週目:減った工程と増えた工程の両方を見る。増えるのが普通。ここを飛ばすと次の手が打てない
- 4週目:繰り返しを1つだけ仕組みにする。2つ作らない
ツール選びから始めない。ジャンル探しから始めない。自分の作業を知るところから始めてください。
今日できることは1つです。次に作業するとき、スマホのタイマーを押す。それだけで1週目が始まります。
よくある質問
まだ副業を始めていません。測る作業がないのですが
それなら、本業や日常でやっている繰り返しの作業を測ってください。資料を作る、メールを書く、写真を整理する。何でもかまいません。目的は「工程に分けて測る」という感覚を身につけることなので、対象は何でも成立します。この感覚があると、副業を始めたときに最初から測れます。
1週目からAIを使ってはいけませんか?
使ってはいけないわけではありませんが、比較の基準がなくなります。「AIを使わない状態」の数字を持っていないと、効果を測れません。すでに日常的に使っている場合は、1週目は「いつもどおり使った状態」を基準にして、2週目で渡し方を変える、という進め方でも同じことができます。
1日5分の記録も続きません
測る対象を1つに減らしてください。全工程ではなく、いちばん長いと感じる工程1つだけ。それなら1日1回タイマーを押すだけです。精度は要りません。増えたか減ったかがわかれば十分です。
30日でいくら稼げますか?
この記事では収入の見込みを書きません。作業内容も、使える時間も、経験も人によって違うので、意味のある数字が出せないからです。代わりに提案できるのは、30日後に「1件あたり何分かかるか」を自分の数字で言える状態を作ることです。これが言えれば、受注するにしても自分で発信するにしても、次の判断ができます。
どのAIツールを選べばいいですか?
2週目の時点では、無料で使えるものならどれでもかまいません。1つ試して、自分の作業で時間が減るかを見る。それが選定になります。総当たりで比較しても、自分の作業に当ててみないと分かりません。判断の材料が要るなら、無料枠の記事に確認すべき5項目を書いています。
2か月目は何をすればいいですか?
同じことを繰り返します。次に長い工程を1つ選んで、AIを入れて、増えた工程を見て、仕組みを1つ作る。この30日サイクルを回し続けるだけです。作業時間は最初のうちは大きく減って、そのあと止まります。止まったら、次に減らす工程を1つ決める。それを繰り返します。
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