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AI文字起こしを副業にする|精度が落ちる7つの条件と、整える順番

ヘッドホンとノートパソコンを並べて音声を聞きながら作業している机の上

文字起こしは、AIで最も分かりやすく時間が減る作業のひとつです。60分の音声を手で起こすと3時間以上かかりますが、AIなら数分で下書きが出ます。

ただし、「数分で終わる」わけではありません。出てきた文字を整える工程が残るからです。そして、その工程にどれだけかかるかは、音声の状態でまったく変わります。

この記事では、精度が落ちる条件を先に挙げて、そのうえで整える手順を書きます。受ける前に音声の状態を確認できれば、時間が読めるようになります。

先にひとつ断っておきます。このメディアでは以前、AIショート動画の記事で「文字起こしは使わない」と書きました。矛盾しているようですが、条件が違います。自分で台本を書いた動画に字幕を付けるなら、正解の文章を持っているので文字起こしは不要です。他人の音声を文字にする仕事は、そもそも正解を持っていません。ここが分かれ目です。

各サービスの仕様・料金は改定が速いため、実際に使う前にご自身で公式ページをご確認ください。


この仕事の中身を、工程に分ける

「文字起こし」と一言でいっても、納品物によって作業が違います。まずここを分けます。

種類 納品物 AIで減る度合い
素起こし 「えー」「あのー」も含めて、話したとおり全部 大きく減る
ケバ取り 言い淀みを取り除いて読みやすくする 減る
整文 意味を変えずに文章として整える やや減る
要約・記事化 内容をまとめ直す 減るが、確認が増える

下にいくほど、人が判断する部分が増えます。そして下にいくほど、AIを入れても合計時間が減りにくくなります。確認する量が増えるからです。

受ける仕事がどれなのかを、最初に確認してください。ここが曖昧なまま受けると、素起こしのつもりが整文を求められて、想定の倍かかります。

精度が落ちる条件を、先に知る

ここが本題です。音声の状態を聞く前に受けてはいけません。

時間が倍になる7つの条件

条件 何が起きるか
話者が3人以上 誰の発言か分からなくなる。話者の振り分けを手で直すことになる
発言がかぶる かぶった部分がまるごと落ちるか、混ざった文になる
専門用語・固有名詞が多い 学習にない語は音の似た別の語になる。1つずつ直す
雑音・反響がある 会議室の反響、カフェの環境音、空調。文字が欠ける
電話・オンラインの録音 音質が落ちるうえ、音切れが混ざる
方言・訛りが強い 標準語に引き寄せられて、意味が変わることがある
数字が多い 「いち」「いっ」の聞き分けや桁が崩れる。金額と日付は要注意

このうち上の2つが最も重いです。話者が多くて発言がかぶる音声は、AIの出力をほぼ全面的に直すことになります。

受ける前に聞くこと

依頼を受ける前に、この4つを確認してください。メール1通で済みます。

  1. 話者は何人ですか(3人以上なら時間が変わることを伝える)
  2. どういう場所で録音されたものですか(会議室・オンライン・電話・屋外)
  3. 専門用語や固有名詞のリストはありますか(あれば精度が上がる。なければ作る時間が要る)
  4. 納品物は素起こしですか、整文までですか

3つめは、もらえるかどうかで作業時間が大きく変わります。用語リストがあれば、置換で一気に直せます。なければ1つずつ判断することになります。

冒頭の3分だけ、先に試す

受注が決まったら、本番の前に冒頭3分だけを文字起こしにかけてください。

3分の出来を見れば、全体の状態が分かります。ここで「ほぼそのまま使える」なら予定どおり。「半分直すことになる」なら、その時点でスケジュールを引き直せます。

全部を流してから気づくと、もう間に合いません。

整える手順

AIの出力が出てからの作業です。順番があります。

整える順番を間違えると、二度手間になる 一括で直せるものから先に。聞き直しは最後 ① 固有名詞を一括置換する 用語リストがあればここで全部。一括なので数十秒 ② 話者の振り分けを直す 誰の発言かを確定させる。ここがズレると後の作業が無駄になる ③ 言い淀みを取る(ケバ取り) 「えー」「あのー」。ここはAIに任せられる ④ 文として整える(整文) 意味を変えない範囲で。指示された場合のみ ⑤ 怪しい箇所だけ、音声を聞き直す 全部は聞かない。数字・固有名詞・文が途切れた箇所だけ

① 固有名詞を一括置換する

最初にこれをやってください。一括で直せるものを、一括で直す。

人名、会社名、商品名、専門用語。用語リストをもらっていれば、置換で数十秒です。もらっていない場合は、出力を流し読みして「明らかに変な語」を拾い、5つくらいの対応表を作ります。

ここで1つ注意があります。置換は長い語から先に当ててください。短い語から当てると、別の語の途中に食い込みます。人名の一部が置換されて、まったく別の語になる、という事故が実際に起きます。

② 話者の振り分けを直す

次に、誰の発言かを確定させます。ここを後回しにすると、整文してから振り分けを直すことになって、二度手間です。

話者が2人なら、たいてい自動でも合っています。3人以上だと崩れます。崩れる箇所は「話者が交代した直後」に集中するので、そこを重点的に見ると速く終わります。

③④ ケバ取りと整文はAIに任せる

ここはAIが得意です。頼み方はこうします。

次の文字起こしから、言い淀み(「えー」「あのー」「えっと」など)と、意味のない繰り返しを取り除いてください。
発言の内容は変えないでください。言い換え・要約・補足はしないでください。
削った箇所が分かるように、変更点は挙げなくてかまいません。

「内容は変えないでください」を必ず入れてください。これを言わないと、勝手に分かりやすく言い換えてきます。文字起こしの納品物としては、それは改ざんです。

⑤ 怪しい箇所だけ聞き直す

最後に音声を聞きます。ただし全部は聞きません。聞くのは次の箇所だけです。

  • 数字が出てくる箇所(金額、日付、件数、パーセント)
  • 固有名詞(一括置換で拾えなかったもの)
  • 文が途中で途切れている箇所(音が落ちた可能性)
  • 前後と意味がつながらない箇所(聞き間違いの可能性が高い)

この4つに絞ると、60分の音声でも聞き直すのは10分ぶん程度で済みます。全部聞き直すと60分かかります。ここが、この仕事でいちばん時間を削れるところです。

1件にかかる時間の目安

60分の音声を、ケバ取りまで納品する場合の目安です。音声の状態で大きく変わるので、幅で書きます。

工程 状態が良い音声 条件が重なった音声
AIにかける(待ち時間) 数分 数分
固有名詞の一括置換 5分 20分(リストがない場合)
話者の振り分け 5分 40分(3人以上・かぶりあり)
ケバ取り 10分 20分
怪しい箇所の聞き直し 10分 40分
納品前チェック 10分 15分
合計 約40分 約2時間15分

同じ60分の音声で、3倍以上の開きがあります。だから、受ける前に音声の状態を確認する必要があります。

なお、手で全部起こす場合は3時間以上が目安です。状態が悪い音声でもAIを使ったほうが速いのですが、「数分で終わる」わけではない、というのがこの表の意味です。

見積もりの出し方も決めておきます。音声の長さだけで受けると、状態の悪い音声で赤字になります。

見るもの 確認のしかた 悪いときの影響
話者の数 最初の3分を聞く。2人までか、3人以上か 振り分けの手間が倍になる
かぶりの有無 同じ3分で、声が重なる箇所があるか 重なった箇所は聞き直しになる
専門用語の量 依頼文に業界名があるか。資料をもらえるか 固有名詞の確認に時間が乗る
録音の環境 対面か、オンラインか、屋外か 屋外は雑音で取りこぼしが増える

この4つを、受ける前に最初の3分だけ聞いて確認します。全部聞く必要はありません。3分で傾向は出ます。

そして、3つ以上が悪い側に当たるなら、音声の長さに対する倍率を上げて見積もってください。同じ60分でも、作業量が変わります。

依頼主に聞くことも決めておきます。用語の一覧をもらえるか、話者の名前が分かるか、誰の発言かを厳密に分ける必要があるか。この3つです。

3つめが見落としやすいところです。議事録として誰の発言かを残す必要があるのか、要点だけでよいのか。ここが決まっていないと、振り分けの作業を全部やったあとで「不要でした」と言われます。

気をつけること

音声に入っている個人情報

これがいちばん重要です。文字起こしの音声には、ほぼ必ず個人情報が入っています。氏名、会社名、電話番号、取引の内容、場合によっては健康や家族の話も。

外部のサービスにアップロードする前に、次の2つを確認してください。

  1. 依頼主から、外部サービスの利用について了承を得ているか。「AIを使ってよいか」を、受注前に確認してください
  2. そのサービスが、アップロードしたデータをどう扱うか。学習に使われるのか、保存期間はどうか。公式の説明を読んでください

1つめを飛ばすのが、いちばん危ない進め方です。依頼主が知らないうちに、第三者のサービスに音声が渡ることになります。取り決めがないまま進めて、後から問題になると、契約の話になります。

本業に関わる音声を扱う場合は、さらに慎重にしてください。勤務先の情報を個人で契約したサービスに通すのは、規程に触れる可能性があります。

「AIを使っていること」を隠さない

クラウドソーシングの各社は、AI利用について方針を出しています。禁止していない場合でも、意図的に隠さないことを求めているのが一般的です。

募集文にAI利用の可否が書かれていなければ、応募時に一言確認してください。それで揉めません。詳しくはAIライティング副業のやり方に、各社のポリシーを整理しています。

納品物の責任は自分にある

AIが間違えたとしても、納品したのは自分です。「AIがそう出力したので」は通りません。

だからこそ、⑤の聞き直しを飛ばさないでください。特に数字です。金額の桁が1つ違うだけで、資料として使い物にならなくなります。

納品前に見る6項目

整え終わったら、出す前にここを見ます。順番も含めて手順にしておくと、毎回同じ品質で出せます。

確認 見る場所 よくある事故
数字 金額・日付・件数・パーセント 桁が1つ違う。年が違う
固有名詞 人名・社名・商品名 置換で別の語に食い込んでいる
話者の名前 冒頭と、話者が交代した箇所 途中から入れ替わっている
抜け 文が途中で終わっている箇所 音が落ちた部分がそのまま欠落
指定の形式 タイムスタンプの有無、話者名の書き方 依頼の指定と違う形式で出す
ファイル名 依頼で指定があれば、そのとおりか 自分の管理名のまま送る

5つめが意外と多いです。タイムスタンプを入れるか、何分ごとに入れるか、話者名は「Aさん」か実名か。これは依頼のときに決まっているはずなので、受注時のやり取りを読み返してください。

チェックは「一覧を見ながら」やる

記憶でやると、必ずどれか飛ばします。上の6項目をメモに書いて、画面の横に置いてください。紙でもかまいません。

この6項目なら、60分の音声で10分ほどで終わります。省いて事故を起こすと、修正と謝罪で倍かかります。

見落としを記録に残す

納品後に誤りが見つかったら、何を見落としたかを1行書いておいてください。

「金額の桁」「話者が途中で入れ替わっていた」「置換が人名に食い込んだ」。種類が分かれば、次回のチェック項目に足せます。

同じ種類の見落としを2回やったら、それは注意不足ではなく手順に穴があるということです。手順のほうを直してください。

音声や書き起こしを扱うときは、入力してよい内容の線も確認してください。踏みやすい4つの線は生成AIの規約違反になりやすい使い方にまとめています。

まとめ

AI文字起こしで押さえるのは3点です。

  1. 受ける前に音声の状態を聞く。話者の人数、録音場所、用語リストの有無、納品物の種類。状態しだいで同じ60分が40分にも2時間15分にもなります
  2. 整える順番を守る。固有名詞の一括置換 → 話者の振り分け → ケバ取り → 整文 → 怪しい箇所だけ聞き直す。全部聞き直すと、AIを使った意味がなくなります
  3. 音声の個人情報を、勝手に外部に出さない。受注前に、AIを使ってよいかを依頼主に確認する

そして、AIに整文を頼むときは「内容は変えないでください」を必ず入れてください。言い換えや要約が入ると、それは文字起こしではなくなります。

この記事は「他人の音声を文字にする仕事」を前提に書きました。自分で台本を書いた動画に字幕を付ける場合は、そもそも文字起こしが不要です。その理由はAIショート動画で副業する手順に書いています。

よくある質問

どのサービスを使えばいいですか?

この記事では特定のサービスを推奨しません。選ぶときに見るべきなのは、精度そのものより「アップロードしたデータがどう扱われるか」です。学習に使われるか、保存期間はどれくらいか、削除できるか。依頼主の音声を扱う以上、ここが最優先の基準になります。無料枠の有無や上限の考え方はAIの無料枠でどこまで副業できるかを参考にしてください。

整文まで頼まれた場合、AIに全部任せていいですか?

よくありません。整文は「意味を変えずに整える」作業ですが、どこまでが「意味を変えていない」かの判断が要ります。AIは読みやすさを優先して、話者が言っていないニュアンスを足すことがあります。整文の依頼では、AIの出力をそのまま納品せず、必ず元の発言と突き合わせてください。

用語リストがもらえない場合はどうしますか?

冒頭3分の出力を見て、自分で作ってください。明らかに変な語を5つほど拾えば、たいてい全体で繰り返し出てきます。作った対応表は依頼主にも共有しておくと、「この読み方で合っていますか」の確認が1回で済みます。次回以降も使えるので、案件ごとに残しておいてください。

話者の振り分けまで求められたら、受けないほうがいいですか?

人数によります。2人なら問題ありません。3人以上で発言がかぶる音声だと、振り分けだけで40分前後かかることがあります。受けないという判断もありますが、先に音声を確認して、かかる時間を見積もってから返事をするのが現実的です。冒頭3分を試せば判断できます。

手で起こしたほうが速いことはありますか?

短い音声なら、ありえます。5分程度の音声で、専門用語が多く、話者が複数いる場合は、AIの出力を直す時間と手で起こす時間が近くなります。目安として、10分を超える音声ならAIを使ったほうが速いことがほとんどです。ただし、これも音声の状態次第なので、冒頭を試してから決めてください。

納品後に誤りが見つかったら、どうすればいいですか?

すぐに連絡して、修正版を出してください。隠すと信用の問題になります。そのうえで、なぜ見落としたかを記録しておいてください。数字だったのか、固有名詞だったのか、音が落ちていた箇所だったのか。見落としの種類が分かれば、次回のチェック項目に足せます。

受ける前に、冒頭3分を試す

AI利用の可否は、プラットフォームごとに方針が違います。応募の前に、各社のポリシーと確認の仕方を整理した記事も参考にしてください。

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