
AIに報告書を書かせると、事実と解釈が混ざった文章が返ってきます。どこが調べた内容で、どこが考察なのかが分からない。公式ヘルプを読むと、分ける操作は書かせる前と最中に置かれていました。
この記事では、OpenAIの公式ヘルプに書かれている内容を並べ、報告書を作る場面に置き直して整理します。内容は公式ページで確認したものです。なお、日本語版のページにはこのページは機械翻訳されていますと明記されているため、要点は英語の原文と突き合わせています。仕様は更新されるため、運用を決める前には原典で最新の記載をご確認ください。公式に記載のない部分は、実務の提案であることを本文で明示しています。
結論:分けるのは、書かせた後では遅い
先に結論です。出てきた文章を見て「ここは事実、ここは解釈」と仕分ける作業は、手戻りが多くなります。公式の作りでは、分ける操作が前の工程に置かれていました。調べる前と、調べている最中の2か所です。まず全体の流れから見ます。
調べる工程が、5つに分かれている
公式ヘルプには、deep researchという機能の仕組みが5段階で書かれています。必要な成果を説明します。必要に応じて、ウェブサイトまたはアップロードしたファイルを選択します。ChatGPT が調査計画案を作成します。調査の開始前に計画案を確認し、変更できます。実行中は進捗を確認でき、いつでも中断して焦点を絞り直せます。アクセス可能な情報源も調整できます。引用や情報源へのリンクを含む構成済みのレポートが生成されるため、情報を検証できます。注目したいのは、3番目と4番目に人が手を入れる場所があることです。一度投げて待つ、という形ではありません。
出来上がりも、最初から分かれている
そして5番目の記載です。引用や情報源へのリンクを含む構成済みのレポートとあり、別の箇所にはdeep research のすべての出力には引用または情報源へのリンクが含まれるため、情報を検証できますと書かれています。すべての出力です。報告書でいちばん困るのは、書いてある数字の出どころが分からないことだと思います。ここは実務の提案になりますが、出典が付かない形で出させて、あとから出典を足させるやり方をしているなら、最初から付く機能に切り替えるほうが早いです。以降の節で、前の工程から順に見ていきます。
分ける操作の置き場所
出典:OpenAI Help Center
プロンプトに入れる3つの要素
まず、最初に書く内容です。長い指示を組み立てる必要はありませんでした。公式ヘルプには、入れるべき要素が3つだけ挙げられています。しかも、書き忘れたときの受け皿まで用意されていました。そこから見ていきます。
質問・成果・制約
公式ヘルプにはこうあります。効果的な deep research のプロンプトには、質問、求める成果、関連する制約を明確に記載します。英語の原文ではclearly describes the question, desired outcome, and any relevant constraintsです。3つ挙げられています。質問、求める成果、関連する制約。報告書に当てはめると、何を調べるのか、何の形で出てくればいいのか、そして何を含めない、あるいは何を使わないのか、になります。ここは実務の感覚ですが、3つ目の制約が抜けている依頼がいちばん多いと思います。
制約が、事実の範囲を決める
報告書で事実と解釈を分けたいとき、効くのがこの制約です。ここからは実務の提案になりますが、使ってよい情報源の種類と推測を含めるかどうかを制約に書くと、あとで仕分ける手間が減ります。たとえば、公表されている一次情報だけを使う。数値には必ず出どころを付ける。断定できない部分は断定しない。このあたりです。次の節で見るとおり、情報源の範囲は設定の側でも絞れますが、文章としての扱いは指示に書くしかありません。
足りなければ、聞かれる
書き忘れても止まらない仕組みになっています。公式ヘルプに調査を開始する前に、ChatGPT が目標を確認するための質問をする場合がありますとあります。目標を確認するための質問です。これは実務の感覚ですが、この確認が来たときに面倒がって「おまかせで」と答えると、あとの仕分けが増えます。聞かれた時点が、制約を足す最後のタイミングだと考えたほうがいいと思います。同じ文にレポートが目的に沿ったものになるよう、提示された調査計画を確認して編集できますと続きます。次の節で、この計画の話を見ます。
調査の計画を、始まる前に直す
ここが、いちばん効く操作だと思います。調べ始める前に、何をどう調べるつもりかが案として提示されます。それを読んで直せるので、事実の集め方そのものを先に決められます。報告書の質は、ここでほぼ決まると思います。
計画案が先に出てくる
公式ヘルプの仕組みの3番目にこうあります。ChatGPT が調査計画案を作成します。調査の開始前に計画案を確認し、変更できます。英語ではChatGPT creates a proposed research plan. You can review and modify it before the research begins.です。proposed、つまり案として出てきます。そしてbefore the research begins、調査が始まる前です。報告書の依頼で困るのは、出てきたものを見て初めて「そこは調べなくてよかった」と気づくことだと思います。その段階が手前に移動しています。
何を見るかで、報告書の質が決まる
ここは実務の提案です。計画案を読むときに見る場所は2つだと考えています。1つは調べる対象が、自分の聞きたいことと同じか。もう1つは結論の形が先に決まっていないかです。計画の段階で結論が決まっていると、それを裏づける情報だけが集まります。報告書としては、いちばん困る形です。比較するなら両側を、評価するなら基準を、計画の中に入っているかを見る。ここを直すほうが、出てきた文章を直すより早く済みます。計画は数行なので、読むのに1分もかかりません。出てきた報告書を読み直して直すことを考えれば、はるかに安い確認だと思います。
途中で編集できることも明記されている
公式のよくある質問にも同じ内容があります。調査の実行中に、どのようなコントロールができますかという問いに対し、英語の原文ではYou can edit the research plan before it starts, view progress in real time, interrupt the research to adjust focus, and update which sources the research can access.と答えられています。計画を始まる前に編集、進捗をリアルタイムで確認、中断して焦点を調整、アクセスできる情報源を更新の4つです。投げっぱなしにしない前提で作られていることが、ここからも読めます。
事実の出どころを、先に絞る
次が情報源です。報告書の信頼性は、何を書いたかより、どこから拾ったかで決まります。公式ヘルプには、範囲の絞り方が2段階で書かれていました。強さが違うので、報告書の性質に合わせて、使い分けられる形になっています。
指定したサイトだけに限定できる
公式ヘルプにこうあります。特定のウェブサイトに絞って調査するには、ChatGPT のプロンプト画面で Sites > サイトを管理 の順に移動します。そして入力したウェブサイトやドメインのみに調査を限定できます。これが1段階目です。のみに限定という強さです。社内の報告書で、参照先を公的機関や公式サイトに限りたいときに使えます。入力の形についてもウェブサイトをカンマ区切りのリストで入力することもできますと書かれています。
優先しつつ、全体も見る設定がある
2段階目がこれです。また、これらのサイトを優先しつつ、ウェブ全体の検索を許可を選択すると、ウェブ全体を検索しながら特定の情報源を重視できます。優先はするが、他も見るという中間の設定です。ここは実務の提案になりますが、報告書の性質で使い分けることになります。社内の判断材料にするなら限定、市場の動きを広く見るなら優先。限定にすると、指定先に書かれていない論点が丸ごと落ちる点には注意が要ります。落ちたことは報告書の側からは分かりません。どちらを選んだかを、報告書の前書きに残しておくほうが親切だと思います。
アプリからは読み取りだけ
情報源には、接続したアプリも含まれます。デフォルトでアクセスできるのは公開ウェブ、アップロードしたファイル、接続済みアプリの3つとされています。ここで安心できる記載が1つあります。deep research は、接続済みアプリで利用可能な読み取りアクションを使用します。調査の一環としてアプリの書き込みアクションを使用することはありません。書き込みアクションを使用することはありませんと明記されています。調査のためにつないだ先が書き換わる心配はない、という整理です。一方でアプリ接続によってプロバイダーの権限やワークスペースの制限が上書きされることはありません。また、すべてのアプリやプラグインが deep research に対応しているわけではありませんとも書かれています。
走っている途中でも、向きを変えられる
調査が始まってからも、手を入れる場所が残されていました。ここを知らないと、ずれたまま最後まで待つことになります。待つ時間が長い機能なので、気づくのが遅れるほど、待ち時間ごと無駄になる部分だと思います。
いつでも中断できる
公式ヘルプの仕組みの4番目です。実行中は進捗を確認でき、いつでも中断して焦点を絞り直せます。アクセス可能な情報源も調整できます。英語ではYou can follow progress as it runs and interrupt at any time to refine the focus, including adjusting which sources it can access.です。いつでもと書かれています。進んでいる途中で、焦点も情報源も変えられる。ここは実務の感覚ですが、進捗を見て、想定と違う方向に進んでいたら止めるのが正しい使い方だと読めます。終わるまで待ってから作り直すより、早く済みます。
止める判断は、早いほうが効く
ここは実務の提案です。中断して直すべきだと考えている合図が2つあります。1つは調べている先が、想定と違う種類のサイトに寄っているとき。もう1つは同じ論点を何度も掘っているときです。どちらも、最初の質問が広すぎたか、制約が足りなかった結果として起きます。前の節で触れたとおり、情報源は走っている最中にも更新できます。止める、絞る、再開するという操作が、機能として想定されているわけです。最後まで待ってから全部やり直すのと、途中で1回止めるのとでは、かかる時間がまるで違います。
急ぐなら、そもそも別の機能
時間がかかることは公式も認めています。よくある質問に急ぎの回答が必要な場合はどうすればよいですかという項目があり、英語ではIf time is critical, use search or standard chat for faster responses and save deep research for in-depth analysis.と答えています。時間が重要なら、検索か標準のチャットを使うという案内です。報告書でも、事実関係の確認だけなら別の機能のほうが早い場合があります。機能そのものを選び直すのも選択肢に入っています。
出来上がりが3つに分かれている
ここが、事実と解釈を確かめる場所です。完成したレポートは、1枚の長い文章として出てくるわけではありませんでした。画面に、役割の違う3つの要素が用意されています。そのうち2つが、本文の外側に置かれています。
3つの要素が名指しされている
公式ヘルプにはこうあります。完了した調査は、次の機能を備えた全画面レポートビューで開きます。そして3つ並びます。長いレポート内を移動するための目次、参照確認用の使用情報源セクション、調査の進行過程を示すアクティビティ履歴。英語ではA table of contents for navigating long reports、A sources used section for reference checking、An activity history showing how the research progressedです。2つ目が事実の出どころ、3つ目がどう調べたかの過程にあたります。本文とは別に置かれています。
使用情報源セクションの読み方
ここは実務の提案です。参照確認用と書かれているとおり、このセクションは本文を読む前に開く場所だと考えています。見るのは2点です。1つは種類の偏り。公式サイトばかりか、まとめ記事ばかりかで、報告書としての重みが変わります。もう1つは数です。多ければいいわけではありませんが、結論の重さに対して極端に少ないときは、前の節で触れた範囲の絞り方が強すぎた可能性があります。本文の説得力ではなく、材料の質で判断する順番になります。
活動履歴が、解釈の過程を残す
3つ目の調査の進行過程を示すアクティビティ履歴が、この機能の特徴だと思います。何をどの順で調べたかが残ります。ここは実務の提案になりますが、報告書を社内で回すとき、いちばん聞かれるのは「これ、どうやって調べたの」だと思います。その答えが、書き手のメモではなく記録として残っている。なお、出力の形式については完了したレポートは、再利用や共有のために Markdown、Word、PDF など複数の形式でダウンロードできますと書かれています。報告書として配る形に落とせます。
使い分けと、知っておく制約
最後に、運用に関わる部分です。この機能は万能ではなく、使う場面と使える条件がはっきり書かれていました。先に知っておくと、社内で説明するときに困りません。ここでは、実務に効く4点に絞って挙げておきます。
検索との違いが書かれている
公式のよくある質問に検索と deep research は、どちらを使うべきですかという項目があります。英語の原文はこうです。Use search for quick facts, and use deep research for depth and thoroughness. Search quickly pulls recent web information and returns a short summary with links. Deep research takes more time to read and analyze many sources, then produces a detailed, documented report.素早い事実には検索、深さと網羅性には deep researchという分け方です。報告書といっても、1つの数字を確かめるだけなら検索で足ります。使う場面については複数の情報源を組み合わせて分析する必要がある、多段階または詳細な質問には deep research を使用します。特に、使用する情報源を明示的に指定したい場合に適していますとも書かれています。
使える場所と回数に条件がある
制約も明記されています。国については、よくある質問にdeep research はすべての国で使用できますかという問いがあり、英語でNo. Availability depends on your plan and your country or territory.と答えられています。いいえです。プランと国・地域によります。回数についてはdeep research の利用量はプランによって異なります。製品内の利用カウンターに、残りのタスク数が表示されます。月ごとの利用枠が固定されているプランでは、最初に利用した日から 30 日ごとにリセットされますと書かれています。月初ではなく、最初に利用した日から30日ごとという点が要注意です。
消すと、レポートも消える
保存についても記載があります。よくある質問の回答に、英語でDeleting the chat also deletes its associated deep research outputs under that policy.とあります。チャットを削除すると、それに紐づく出力も削除されるという整理です。ここは実務の提案になりますが、報告書として使うなら、ダウンロードしてから会話を整理する順番にしておくほうが安全です。なお、データの扱いについてはdeep research を使用する会話には、通常の ChatGPT の会話と同じデータ処理およびプライバシー設定が適用されますとされています。
まとめ
AIで報告書を書くとき、事実と解釈を分ける操作は、書かせた後ではなく前と最中に置かれていました。プロンプトについては効果的な deep research のプロンプトには、質問、求める成果、関連する制約を明確に記載しますとされ、書き忘れても調査を開始する前に、ChatGPT が目標を確認するための質問をする場合がありますという受け皿があります。そしてChatGPT が調査計画案を作成します。調査の開始前に計画案を確認し、変更できます。この段階で、調べる対象と結論の形を確かめることになります。
情報源は2段階で絞れます。入力したウェブサイトやドメインのみに調査を限定できますという形と、これらのサイトを優先しつつ、ウェブ全体の検索を許可という形です。接続したアプリについては読み取りアクションを使用します。調査の一環としてアプリの書き込みアクションを使用することはありませんと明記されています。走り出したあとも実行中は進捗を確認でき、いつでも中断して焦点を絞り直せます。アクセス可能な情報源も調整できますとされています。
出来上がりは3つに分かれます。長いレポート内を移動するための目次、参照確認用の使用情報源セクション、調査の進行過程を示すアクティビティ履歴。事実の出どころと、調べた過程が、本文とは別に置かれています。使い分けは素早い事実には検索、深さと網羅性には deep research。制約としては、国とプランによる提供の違い、最初に利用した日から 30 日ごとにリセットされる利用枠、そしてチャットを削除すると紐づく出力も削除される点が挙げられています。計画で範囲を決め、情報源を絞り、使用情報源で確かめる。これが手順になります。
よくある質問(FAQ)
報告書のプロンプトには何を書けばよいですか
公式ヘルプには、効果的な deep research のプロンプトには、質問、求める成果、関連する制約を明確に記載する、と書かれています。英語の原文では the question, desired outcome, and any relevant constraints の3つです。
調べる方向がずれるのを防げますか
公式ヘルプには、ChatGPT が調査計画案を作成し、調査の開始前に計画案を確認して変更できる、と書かれています。また、実行中も中断して焦点を絞り直せるとされています。
参照先を公式サイトだけに限定できますか
公式ヘルプには、プロンプト画面で Sites からサイトを管理し、入力したウェブサイトやドメインのみに調査を限定できる、と書かれています。これらのサイトを優先しつつウェブ全体の検索を許可する設定もあります。
どこまでが調べた事実か分かりますか
公式ヘルプには、すべての出力に引用または情報源へのリンクが含まれると書かれています。完了したレポートビューには、参照確認用の使用情報源セクションと、調査の進行過程を示すアクティビティ履歴が用意されています。
つないだ社内のファイルが書き換わりませんか
公式ヘルプには、接続済みアプリで利用可能な読み取りアクションを使用し、調査の一環としてアプリの書き込みアクションを使用することはない、と書かれています。
作った報告書はいつまで残りますか
公式ヘルプには、結果は会話の保持ポリシーに従うとされ、チャットを削除するとそれに紐づく出力も削除される、と書かれています。なお、完了したレポートは Markdown、Word、PDF など複数の形式でダウンロードできます。
原典で記載を確認する
機能と条件は更新されます。運用を決める前に、Deep research in ChatGPT(OpenAI Help Center)で最新の記載をご確認ください。