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営業リストの鮮度|項目ごとに寿命が違うから、全件を作り直さなくていい

リストは作った瞬間から古くなる

営業リストの話は、たいてい「どう作るか」で終わります。ですが実務で時間を取られるのは、作った後です。

作った瞬間から、リストは古くなり始めます。会社は移転しますし、担当者は異動する。電話番号が変わることもあれば、会社そのものが無くなることもあります。

古いリストが生む損

起きること 損の中身
つながらない番号に掛け続ける 架電の時間が消える。しかも接続率が下がって、トークの評価ができなくなる
異動した担当者宛に送る 届いても読まれない。社内で転送されるかどうかは運次第
存在しない会社に送る エラーで戻る。送信元の評価が下がることもある
移転した住所で判断する エリアで絞っているなら、対象外の会社に送っている

1つ目が最も厄介です。接続率が下がると、トークの改善をしても数字が動きません。そして原因がリストにあることに気づかないまま、トークを直し続けることになります。

この記事で扱うこと

全件を作り直すのは現実的ではありません。数千件のリストを毎月作り直す時間はないからです。

何が、どのくらいの速さで古くなるのか。それが分かれば、古くなる項目だけを更新できます。この記事では、項目ごとの寿命と、更新の回し方を書きます。

前提として、専用のツールは想定していません。スプレッドシートで管理している場合でも、そのまま使える形にしています。

項目ごとに寿命が違う

リストの列を一律に扱うと、更新の手間が無駄に増えます。項目ごとに、変わる速さが違うからです。

項目が変わらずに保つ長さ法人番号変わらない社名数年所在地数年代表電話移転で変わるサイトのURL改修で変わるフォームのURL1年以内担当部署名組織改編で変わる担当者名異動で変わる採用・募集の状況数か月上にあるほど長持ちする。下にあるほど早く古くなる。更新するのは下の3つだけでよく、上の2つは基本そのまま。全件を作り直すのではなく、寿命の短い列だけを更新する。これで更新の手間が、実際の必要分まで下がる。

項目ごとの寿命。更新が要るのは下のほうだけ。

長持ちする項目

法人番号は変わりません。会社が続いている限り、同じ13桁が使われるからです。これを照合のキーにしておけば、他の項目が全部変わっても同じ会社だと分かります。

社名と所在地は、数年単位で変わる項目です。変わったこと自体は、法人番号があれば公的データで追えます。

早く古くなる項目

担当者名は、異動のたびに変わります。部署名も、組織改編で変わる。この2つは、持てば持つほど更新の負債になります。

そして、採用の募集状況や新サービスの発表といった「なぜ今この会社に連絡するか」の根拠は、数か月で古くなります。これが古いまま使うと、「拝見しました」と書いた内容が存在しないことになります。

だから、持つ項目を選ぶ

寿命の短い項目を大量に持つと、更新が追いつきません。持たないという選択が、更新コストを下げる最も確実な方法です。

担当者名を持たない設計については営業リストをスクレイピングで作っていいのかでも書きました。個人情報保護法の義務を避けられるだけでなく、鮮度の維持コストも下がります。

鮮度が落ちたことを知る3つの信号

いつ古くなったかは、待っていても分かりません。数字で検知します。

信号1:エラー率の上昇

メールのエラー、電話の不通、フォームの404。これらが増えたら、リストが古くなっている合図です。

重要なのは、率で見ることです。件数で見ると、送信数が増えただけで増えたように見えます。エラー数を送信数で割った値を、月ごとに並べてください。

そしてエラーの種類を分けてください。宛先不明と、一時的な受信拒否は意味が違います。前者はリストの問題、後者は送信側の問題です。

信号2:接続率の低下

電話の場合、接続率が下がったら番号の鮮度を疑います。トークを変えていないのに接続率だけが落ちているなら、ほぼリストが原因です。

ただし季節要因と混同しないでください。年末年始や大型連休の前後は、施策を変えなくても接続率が落ちます。前年の同じ時期と比べられるなら、そちらで確認します。

信号3:「担当が変わりました」の増加

これは数えにくいのですが、効く信号です。通話やメールの返信で「前任者は退職しました」「部署が変わりました」と言われた回数を記録します。

月に数件なら通常の範囲でしょう。急に増えたなら、そのリストを作った時期から時間が経ちすぎています。

信号を記録する場所

3つとも、接触履歴に結果を残していれば集計できる項目です。新しく記録を増やす必要はありません。

履歴の持ち方は営業リストの重複をどう潰すかで書いた、会社の表と履歴の表を分ける形が前提です。

全件を作り直さない

鮮度が落ちたと分かっても、全件を作り直すのは現実的ではありません。差分で更新します。

更新する対象を絞る3つの条件

条件 なぜこれを優先するか
これから送る予定の行 送らない行を更新しても意味がない
エラーが出た行 問題が確定している。直す価値が最も高い
前回の接触から一定期間が経った行 次に送るときに古い情報を使うことになる

1つ目が重要です。リスト全体の鮮度を上げる必要はありません。今月送る分だけが新しければ、実務上は困りません。

送信の直前に確認する

更新を独立した作業にすると、後回しになります。送信の前工程として組み込んでください。

フォーム営業なら、送信前にフォームのURLを開きます。その時点で、404なら除外、営業お断りの記載が増えていれば除外、という判断ができます。

電話なら、公式サイトで番号を確認してから掛ける。1社あたり数十秒で済みます。

まとめて確認する日を作らない

「毎月第1営業日にリストを更新する」という運用は、たいてい2か月目で止まります。件数が多く、成果に直結しない作業だからです。

そして止まった後は、誰も更新しなくなります。まとめてやる設計は、一度止まると再開されません。

送信の前工程に組み込む形なら、送信をやめない限り更新も止まりません。止まらない場所に置くのが、続ける唯一の方法です。

この確認自体が、成果につながる

鮮度の確認とは別に、相手のサイトを見る作業は「なぜこの会社に送ったか」を書く材料になります。

つまり、鮮度の確認と文面の準備は同じ作業です。別々にやろうとすると2倍かかります。1社を送る直前に、まとめて1回開く。これが最も効率的な形です。

公的データの更新周期に合わせる

法人番号や社名といった基礎情報は、公的データで更新できます。そして更新の周期が公表されているので、作業のタイミングを決められます。

2種類のデータがある

国税庁の法人番号公表サイトでは、ダウンロードできるデータが2種類に分かれています。

種類 内容 単位
全件データ 前月末時点で公表している法人等の最新情報 全国分、または都道府県・国外の単位別
差分データ 新たに法人番号を指定した情報や、商号変更などの更新情報 日別

形式はCSVとXMLの2種類、文字コードはShift-JISとUnicodeの2種類が提供されています。

どちらを使うか

初回は全件データ、以後は差分データが基本です。

全件データは前月末時点なので、月に1回入れ替える運用になります。数千件のリストなら、これで足ります。

差分データは日別に出ているので、商号変更や新設をこまめに追いたい場合に使います。ただし日別のファイルを毎日取り込む運用は重いので、週に1回まとめて処理する形が現実的です。

取り込むときの注意

法人番号は必ず文字列として読み込んでください。13桁の数値として扱うと指数表記に化けて、照合できなくなります。

そして公的データで上書きしてよい列と、してはいけない列を分けます。

上書きしてよい 上書きしてはいけない
社名、所在地 接触履歴、断られた記録
法人番号の有無 自社で調べた担当部署名
登記上の状態 フォームのURL、問い合わせ種別

右側は公的データに含まれていないので、上書き処理が雑だと消えます。取り込みは、列を指定して行ってください。行ごと差し替えると、自社で積み上げた情報が消えます。

古い行を捨てない

鮮度が落ちた行を、削除したくなります。ですが削除すると失うものがあります。

削除ではなく、状態で持つ

「送信対象外」という状態を作って、そこに移します。行は残したまま、送信の対象から外れる形です。

状態 意味
有効 送信対象
要確認 エラーが出た。次に送る前に確認が必要
対象外・一時 今は送らない。時期が来たら戻す可能性がある
対象外・恒久 断られた、廃業した。戻さない

「対象外・恒久」の行こそ、絶対に削除してはいけません。これを消すと、断られた相手にまた送ってしまいます。

廃業した会社の扱い

法人番号公表サイトのデータには、登記上の状態が含まれます。清算結了などで抹消されていれば、送っても届きません。

この行も、削除ではなく「対象外・恒久」にします。同じ会社を別のデータ源から再び拾ってしまうのを防ぐためです。

「要確認」を放置しない

4つの状態のうち、溜まりやすいのが「要確認」です。エラーが出た時点で自動的にここへ移る設計にすると、確認されないまま増えていきます。

だから、要確認の行には期限を付けてください。移してから一定期間を過ぎたら、確認するか、対象外・一時に落とすか、どちらかに決めます。

期限を切らないと、有効でも対象外でもない中間の行が、リストの大半を占めるようになります。こうなると、送信可能な件数が実際には何件なのか分からなくなります。

削除してよいのは重複だけ

重複の統合は、情報を1つにまとめる作業なので削除に当たりません。それ以外で行を消す場面は、実務ではほとんどありません。

行数が増えて重いなら、状態で絞り込んで表示すれば足ります。データを消す前に、見え方を変えられないかを考えてください。消すのは一瞬ですが、戻すには元データが要ります。

鮮度を列で持つ

いつ確認したかが分からないと、鮮度の判断ができません。列で持ちます。

持つのは4つ

列 更新するタイミング
取得日 最初にリストに入れた日。以後変えない
取得元 どのデータ源から来たか。以後変えない
最終確認日 公式サイトを開いて情報を確かめた日
最終接触日 実際に送った、または掛けた日

最終確認日と最終接触日は別物です。送っていなくても確認だけした場合があるので、分けて持ちます。

最終確認日の入れ方

この列は、送信の直前に相手のサイトを開いた時点で更新します。送ったかどうかとは無関係です。

開いてみて「営業お断り」の記載が増えていたので送らなかった、という場合も、確認はしています。確認日を更新して、状態を対象外に変える。この2つは別の操作です。

ここを分けておかないと、「最近確認したのに送っていない行」と「長く放置されている行」が区別できません。前者は判断済み、後者は手つかずです。扱いがまったく違います。

取得日と取得元は後から復元できない

この2つは、集めた時点でしか記録できません。後から「この行はどこから来たのか」を調べる方法はありません。

取得元が分かると、どのデータ源が古くなりやすいかが見えます。特定の取得元の行でエラーが集中しているなら、そのデータ源を使うのをやめる判断ができます。

自動で入れる

手で日付を入れる運用は続きません。リストに行を追加する処理の中で、取得日と取得元を自動的に入れてください。

スプレッドシートなら、追加用のシートに日付の既定値を設定しておくだけでも効果があります。関数で今日の日付を入れる形にすると、開き直すたびに日付が変わってしまうので、値として固定してください。

作り直しを判断する基準

差分更新で維持できなくなったら、作り直します。その判断基準を決めておきます。

作り直すべき3つの状況

  • エラー率が明らかに上がった。差分更新をしても下がらないなら、リストの前提が古い
  • ターゲットの定義を変えた。業種や規模の条件を変えたなら、既存のリストは対象がずれている
  • 取得元のデータが更新されなくなった。参照していた一覧の公開が止まったなら、別の源から作り直す

2つ目が見落とされがちです。ターゲットを変えたのにリストをそのまま使うと、変更の効果が測れません。新しい条件で送った結果なのか、古い母集団に送った結果なのかが混ざるからです。

作り直す前に、絞り込みで解けないか確かめる

作り直しは時間がかかるので、その前に確認することがあります。今あるリストを絞り込むだけで済まないかです。

ターゲットを変えたとき、既存のリストの中に新しい条件を満たす行が含まれていることがあります。業種や規模の列を持っていれば、絞り込みで新しい母集団を作れます。

作り直しが必要なのは、既存のリストに新しい条件の行がほとんど無い場合だけです。まず数えてください。数えずに作り直すと、すでに持っている行を二重に集めることになります。

作り直すときも、履歴は引き継ぐ

新しいリストを作っても、過去に断られた記録は引き継いでください。法人番号で照合すれば引き継げます。

ここを飛ばすと、断られた相手に再度送ることになります。作り直しは、記録を捨てる機会ではありません。新しいリストに古い判断を移す作業だと考えてください。

作り直しを分割する

全件を一度に作り直すと、その期間は送信が止まります。数千件なら数日かかるので、その間の成果がゼロになります。

だから、エリアや業種で区切って、順番に入れ替えてください。関東分を作り直している間は関西分で送り、終わったら交代する。こうすると送信を止めずに済みます。

分割の単位は、1回あたり数日で終わる量にします。長くかかる単位にすると、途中で中断したときに再開の手順が分からなくなります。

頻度の目安

月次で差分更新、年に1回程度の全件見直し。この形が、数千件規模のリストでは現実的です。

ただし頻度は、エラー率を見て決めてください。決めた頻度を守ることが目的ではなく、送る相手の情報が正しいことが目的です。

まとめ

  • リストは作った瞬間から古くなる。最も厄介なのは接続率が下がってトークの評価ができなくなること
  • 項目ごとに寿命が違う。法人番号は変わらず、社名と所在地は数年、担当者名と部署名は異動のたび、募集状況は数か月
  • 寿命の短い項目を大量に持つと更新が追いつかない。持たないという選択が、更新コストを下げる最も確実な方法
  • 鮮度の低下は3つの信号で検知する。エラー率、接続率、「担当が変わりました」の回数
  • エラー率は件数ではなく率で見て、宛先不明と一時的な受信拒否を分ける
  • 全件を作り直さない。これから送る行、エラーが出た行、前回の接触から時間が経った行だけを更新する
  • 鮮度の確認と文面の準備は同じ作業。送る直前に相手のサイトを1回開けば、両方が済む
  • 法人番号公表サイトは、全件データが前月末時点で月次、差分データが日別。初回は全件、以後は差分
  • 公的データで上書きしてよい列と、してはいけない列を分ける。行ごと差し替えると自社で積み上げた情報が消える
  • 古い行は削除せず、状態で持つ。とくに「対象外・恒久」は絶対に消さない
  • 鮮度の列は4つ。取得日、取得元、最終確認日、最終接触日。取得日と取得元は後から復元できない

リストの鮮度は、完璧を目指す作業ではありません。今月送る分だけが正しければ、実務では足ります。全件を新しく保とうとすると、更新だけで時間が終わります。

よくある質問

営業リストはどのくらいの頻度で作り直せばいいですか

全件を作り直す必要はほとんどありません。月次で差分更新、年に1回程度の全件見直しが、数千件規模では現実的です。ただし頻度を守ることが目的ではなく、送る相手の情報が正しいことが目的です。エラー率を見て、上がっていれば早めてください。

どの項目から更新すればいいですか

寿命の短い項目からです。担当者名と部署名は異動や組織改編のたびに変わり、募集状況などの「なぜ今連絡するか」の根拠は数か月で古くなります。逆に法人番号は変わらず、社名と所在地は数年単位です。そもそも寿命の短い項目を持たない設計にすると、更新の手間が大きく減ります。

鮮度が落ちたことを、どうやって知りますか

3つの信号があります。エラー率の上昇、接続率の低下、そして「担当が変わりました」と言われる回数の増加です。エラー率は件数ではなく率で見て、宛先不明と一時的な受信拒否を分けてください。接続率は季節要因でも動くので、前年の同じ時期と比べられるとより確実です。

公的データはどのくらいの頻度で更新されますか

国税庁の法人番号公表サイトでは、全件データが前月末時点の情報として月次で、差分データが日別で提供されています。形式はCSVとXMLの2種類、文字コードはShift-JISとUnicodeの2種類です。初回は全件データ、以後は差分データという使い分けが基本になります。

公的データを取り込むとき、注意することはありますか

2つあります。1つは法人番号を必ず文字列として読み込むこと。数値として扱うと指数表記に化けて照合できなくなります。もう1つは、列を指定して取り込むことです。行ごと差し替えると、接触履歴や自社で調べた担当部署名、フォームのURLなど、公的データに含まれない情報が消えます。

古くなった行は削除していいですか

削除せず、状態で持ってください。有効、要確認、対象外・一時、対象外・恒久の4つに分けます。とくに「対象外・恒久」は絶対に消さないでください。断られた記録がここにあるので、消すと同じ相手にまた送ってしまいます。行数が増えて重いなら、状態で絞り込んで表示すれば足ります。

リストを作り直すとき、何を引き継げばいいですか

過去に断られた記録です。法人番号で照合すれば引き継げます。ここを飛ばすと、断られた相手に再度送ることになります。作り直しは、記録を捨てる機会ではありません。接触履歴も、可能なら引き継いでください。前回何を言って何と言われたかが残っていると、入り方を変えられます。

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