
せどりの解説でよく見るのは、仕入れ値と売値の差の話です。いくらで買っていくらで売れるか、手数料と送料を引いていくら残るか。Amazon出品の回でも、引かれるものの構造を分解しました。
ただ、その計算には前提があります。その商品が、出品できるものであること。ここが抜けたまま仕入れると、利益が出るはずの在庫が、売れないまま手元に残ります。
この記事では、仕入れの判断を「売れるか」から組み立て直します。扱うのは、法令で禁止されているもの、許可が要るもの、手元にない商品の扱い、削除されたときに何が起きるか、そのうえでの金額の計算、判断にかかる時間、仕入れない基準の作り方、つまずく場所です。「何を仕入れれば儲かるか」という商品名の話はしません。
禁止されているものと行為の記述は、メルカリの公式ガイドを一次情報にしています。販売する場所によってルールは違うので、使うサービスの規定は必ずご自身で確認してください。また、法令の判断が必要な場合は専門家にご相談ください。
利益が出る商品でも、出品できないものがある
まず、判断の順番を変えます。
多くの人は、金額から入る
店頭で商品を見つけて、スマートフォンで相場を調べる。売値が仕入れ値の2倍なら仕入れる。この順番で判断している人が多いはずです。
この順番だと、利益が出ることを確認した時点で、買う気になっています。その後に規約を確認する気力は、たいてい残っていません。金額で心が決まった後に「やめる理由」を探すのは、人間の仕組みとして難しい。
だから、順番を逆にします。売れるかを先に確認し、通ったものだけ金額を計算する。これだけで、在庫を抱える事故がほとんど消えます。
確認する順番は3段階
第1段階は、法令で禁止されているもの。第2段階は、許可や免許が要るもの。第3段階は、手元にあるかどうか。
この3つを通ったものだけ、手数料と送料を引いた計算に進みます。どれかで引っかかったら、その場で終わり。いくら利益が出る見込みでも、計算には進みません。
この3段階は、どれも公式に書かれていることで確認できます。推測で判断する場面はありません。調べれば答えが出る問いから先に片付けるので、店頭で悩む時間も短くなります。悩むのは、3段階を通った後の金額の話だけにします。
第1段階・法令で禁止されているもの
メルカリの公式ガイド「禁止されている出品物」には、禁止の理由ごとに分類された一覧が載っています。
法令や条例に基づいて禁止されているもの
ガイドは「法令、条例、その他公的な規制に基づき、取引を禁止しているもの」として、規制薬物・危険ドラッグ類、医薬品、医療機器、たばこ、農薬、肥料、殺傷能力があり武器として使用されるもの、許可なく製造したり小分けした医薬部外品、化粧品類、法令に抵触するサプリメント類などを挙げています。
せどりをする人にとって重要なのは、ドラッグストアで普通に買える商品が、ここに複数入っていることです。医薬品は棚に並んでいます。化粧品も同じ店にあります。店で買えることと、転売してよいことは別の話です。
同じ分類には、象牙および希少野生動植物種の個体などのうち種の保存法により必要とされている登録がないもの、盗品など不正な経路で入手した商品、個人情報を含む出品、児童ポルノやそれに類するとみなされるもの、使用済みの下着類、使用済みのスクール水着・体操着・学生服類など、チケット類も挙げられています。
知的財産権を侵害するもの
「偽ブランド品、正規品と確証のないもの」「知的財産権を侵害するもの」が禁止されています。注目したいのは「正規品と確証のないもの」という書き方です。
偽物だと分かっているものを売るな、という話だけではありません。正規品だと確証できないものも、対象に入っています。リサイクルショップで安く買ったブランド品が、本物かどうか自分で判断できないなら、その時点で仕入れの対象外です。
この線引きは、バナー制作の回で書いたライセンスの考え方と同じです。「たぶん大丈夫」で進めない。根拠を示せるかどうかで判断します。
違法行為を助長する可能性のあるもの
「犯罪や違法行為に使用される可能性が高いもの」「領収書や公的証明書類」が挙げられています。
領収書は、意外と見落とされます。古い商品を仕入れたときに、箱の中に前の持ち主の領収書が入っていることがあります。商品と一緒に出品しないよう、中身を確認してください。個人情報を含む出品も、別に禁止として挙げられています。
公的証明書類も同じ分類です。古い書類が挟まったままの本や、書類入れとして使われていたケースを仕入れたときは、必ず中を開けてください。気づかずに写真に写り込むだけでも問題になります。出品前の撮影は、中身を出してから行う習慣にします。
| 禁止の理由 | 挙げられているもの(一部) |
|---|---|
| 法令・条例等に基づく | 医薬品、医療機器、たばこ、農薬、肥料、チケット類 |
| 知的財産権の侵害 | 偽ブランド品、正規品と確証のないもの |
| 違法行為の助長 | 領収書や公的証明書類 |
| 生命・身体への危険 | 危険物、安全面や衛生面に問題のある食品類 |
| 現金と同等の価値 | 現金、金銭、金、これらに類するとみなされるもの |
安全や衛生に問題があるもの
「危険物や安全性に問題があるもの」「安全面、衛生面に問題のある食品類」も禁止です。食品は、賞味期限や保管状態の問題があるので、始めたばかりの段階では避けるのが無難です。
さらに「現金、金銭、金、その他これらに類するとみなされるもの」も、マネーロンダリング等に悪用されるリスクがあるものとして禁止されています。金券やギフト券の類は、手を出さない。利益率の話がよく出る分野ですが、ここは線の内側です。
この分類の書き方にも注目してください。「その他これらに類するとみなされるもの」という表現が使われています。具体的な商品名で列挙しきれないものを、性質でまとめているわけです。自分が扱おうとしているものが「類するとみなされる」かどうかは、一覧に名前があるかではなく、性質で考える必要があります。
第2段階・許可や免許が要るもの
次が、許可や免許です。ここは「禁止されている行為」のほうに書かれています。
許可なく出品すること自体が禁止行為
公式ガイドの「禁止されている行為」には、「製造や販売にあたり、法令上許可・届出・免許等が必要な商品について、許可・届出・免許等なく当該商品を出品すること」と明記されています。
つまり、商品そのものが禁止されていなくても、許可を持たずに出品すれば禁止行為になります。商品の一覧だけを見て「載っていないから大丈夫」と判断すると、ここで引っかかります。
販売に許可や届出が要るものは、酒類、中古品を業として売買する場合、食品、一部の化粧品など多岐にわたります。自分が扱おうとしているジャンルに許可が要るかどうかを、仕入れる前に調べる。これが第2段階です。
中古品を繰り返し売るなら、古物商の話になる
せどりで最初に関わるのが、この論点です。古物商許可の回で、要る場合と要らない場合を分解しました。
要点だけ繰り返すと、自分が使っていた不用品を売るだけなら許可は要りません。転売する目的で買い集めるなら、話が変わります。始める前に、自分がどちらなのかをはっきりさせてください。
判断の目安は、買った時点の目的です。使うつもりで買ったものが不要になって売るのか、売るつもりで買ったのか。後から振り返って決めるものではなく、買う瞬間に決まっています。せどりとして始めるなら、最初から後者だと自覚して、必要な手続きを調べてください。
第三者の商品を代理で出品するのも禁止
もうひとつ、せどりで起きやすいのがこれです。禁止行為に「出品者とは別の第三者の商品を代理で出品すること」と書かれています。
友人の商品をまとめて出品してあげる、家族の分を自分のアカウントで売る。善意でやったことが、規約違反になります。同じく「出品者自身や親族など関係者の商品を購入すること」も禁止行為として挙げられています。
売れ行きをよく見せるために身内に買ってもらう、という発想も、この記述で封じられています。評価や実績を人工的に作る行為は、どのサービスでも禁止されています。実績は、実際の取引でしか積めません。
調べても分からなければ、仕入れない
許可の要否は、判断が難しい領域です。調べても分からないことがあります。
そのときは、仕入れません。分からないものを仕入れて後から調べる、という順番にしないこと。在庫を持ってからだと、どうしても「売れる理由」を探してしまいます。判断が必要な場面では、専門家や所管の窓口に確認してください。
調べ方も決めておくと迷いません。まず販売する場所の公式ガイド、次に所管の官公庁のページ、それでも分からなければ窓口に問い合わせる。この順番で15分かけて答えが出なければ、その商品は見送る。時間の上限を決めておくと、調べること自体が負担になりません。
第3段階・手元にない商品は出品できない
3つ目が、無在庫の扱いです。ここは明確に書かれています。
公式ガイドの記述
「禁止されている出品物」には、「手元に物理的な商品がない、または実体がなくトラブルになりやすいもの」という分類があり、その中に「手元にない商品の出品やECサイト等から直送すること」が挙げられています。
売れてから仕入れる、通販サイトから購入者へ直接送る。どちらも禁止です。在庫リスクがないという触れ込みの手法は、この規約に触れます。
なぜ禁止されているのかも、分類名から読み取れます。「トラブルになりやすいもの」という括りです。手元にないものは、状態を確認できず、発送の日付も約束できません。購入した側から見れば、届くかどうかが出品者にも分からない状態で売られていることになります。
「サービス・権利など実体のないもの」も禁止
同じ分類に「サービス・権利など実体のないもの」も入っています。何かを教える、代行する、といった無形のものは、ここでは扱えません。
スキルを売りたいなら、スキル販売の回で扱ったような、無形のサービスを想定した場所を使います。場所ごとに、何を扱ってよいかが決まっています。
手作りの品を売る場合も、完成品を手元に持っているかどうかが分かれ目になります。公式は「試作品(商品サンプル)の掲載がないオーダーメイド品」も禁止に挙げています。受注してから作る形は、掲載のしかたに条件がつくということです。
電子データも、別の分類で禁止
「有効性や利用状況の確認が困難なことにより、トラブルを誘発する可能性が高いもの」として、電子チケットや電子クーポン、QRコードなどの電子データ、ダウンロードコンテンツやデジタルコンテンツなどの電子データ、ゲームアカウントやゲーム内の通貨・アイテムなどの電子データが挙げられています。
この3つは、利益が出そうに見える分野です。仕入れ値がほぼゼロのものもあります。だからこそ、手を出す前に一覧を読んでおく価値があります。
法令等の定めで取り扱いが困難なもの
公式には「法令等の定めにより、取り扱いが困難であると判断したもの」という分類もあり、ペダル付き電動バイク、フル電動自転車、ペダル付き原動機付自転車、電動モペットなどの車両、特定小型原動機付自転車、マグネットセットおよび給水樹脂ボールが挙げられています。
この分類があること自体が示唆的です。一覧は更新されます。去年まで扱えたものが、今は扱えないことがある。定期的に読み直す必要があります。
さらに「メルカリの運営方針により取り扱わないもの」という分類もあり、緊急事態において生命身体の安全や健康の維持に関わる必需品で供給が著しく不足しているもの、という項目が置かれています。公式には「※現在禁止しているものはありません」と添えられています。今は空でも、状況によって埋まる枠があるということです。
削除されると、在庫だけが残る
規約に触れた場合に何が起きるかも、公式が説明しています。
商品は削除され、検索もできなくなる
公式ガイド「禁止されている出品物・行為への対応」には、「違反商品と判断した場合、判断理由を違反者へ通知のうえ該当商品の削除を行います」と書かれています。
そして「商品が削除された後はタイムラインに表示されず、検索することもできません」とも。売れる前に消えるので、売上はゼロのまま在庫だけが残ります。
仕入れ値は戻りません。他の場所で売れればいいですが、そちらにも似たような規約があります。1か所で禁止されているものは、たいてい他でも禁止されています。
アカウントに制限がかかることもある
同じガイドには、商品だけでなくアカウントに対しても対応を行うことがあると書かれています。「禁止されている行為」のページには、事務局より警告や、一定期間あるいは無期限の利用制限を行う、とあります。
1つの商品で全体が止まる可能性がある、ということです。他の在庫も売れなくなります。1点の判断ミスが、事業全体を止める構造になっています。
公式は「関係機関から要請を受けた場合にも、以下の対応を行うことがあります」とも書いています。判断は運営だけで完結するとは限りません。外から指摘が入ることもある前提で、自分の出品を見ておく必要があります。
だから、事前の確認のほうが安い
確認に5分かけるのと、仕入れ値を失って販路も止まるのと、どちらが高くつくか。計算するまでもありません。
この構造は、素材ライセンスの回で書いたことと同じです。事故が起きたときの損失が大きい分野では、確認の手間を惜しまないほうが、期待値が高い。
そして確認の手間は、回数を重ねるほど減ります。一覧を1回読んでおけば、次からは思い出すだけです。最初の負担が大きく、あとは軽くなる。逆に、確認しない癖をつけると、リスクは減らないまま在庫だけが増えていきます。
ここまで通してから、残る金額を計算する
3段階を通ったら、ようやく金額です。
引かれるものを、全部引く
売値から引くのは、販売手数料、送料、梱包材、そして仕入れ値です。Amazon出品の回で書いたとおり、引かれるものの数は場所によって違います。
フリマアプリなら、販売手数料と送料が主です。Amazonの大口出品なら、月額の登録料も乗ります。同じ商品でも、売る場所で手取りが変わる。だから、売る場所を決めてから計算します。
売る場所を決めるときは、手数料だけでなく、その場所の禁止物の一覧も一緒に見てください。手数料が安くても、扱えないジャンルが多ければ意味がありません。自分が扱うジャンルを決めてから、そのジャンルを扱える場所の中で手数料を比べる。この順番です。
時間も原価に入れる
見落とされるのが、自分の時間です。仕入れに行く時間、撮影と出品の時間、梱包と発送の時間、質問への返信。
1点あたり1時間かかって利益が500円なら、時間あたり500円です。本業がある20代にとって、これは割に合いません。金額ではなく、時間あたりで見る。これはこのメディアで一貫している見方です。
時間を短くする方法もあります。撮影の場所と背景を固定する、説明文の型を作る、梱包材を先にまとめて買っておく。毎回ゼロから考えない仕組みにすると、1点あたりが10分台に入ります。これは資料デザインの回で書いた、型を先に作る話と同じ考え方です。
1点ずつではなく、1回の仕入れで見る
実務では、1点だけ買いに行くことはありません。1回の仕入れで何点か買って、まとめて出品します。だから、1点の利益ではなく1回の仕入れ行動で、何時間かけて、いくら残ったかで見るほうが実態に合います。
この見方に変えると、判断が変わります。利益が大きくても1点しか買えない商品より、利益が小さくても10点まとめて買える商品のほうが、時間あたりでは上になることがあります。
ただし、まとめて買うときほど3段階の確認が要ります。1点が引っかかると、同じ理由で全部が引っかかるからです。同じジャンルをまとめて仕入れる場合は、代表の1点ではなく、ジャンルそのものを確認してください。
仕入れの判断にかかる時間
確認にかかる時間を置いておきます。公的な統計はありません。以下は本メディアの想定モデルで、統計ではありません。
| やること | 時間 | 備考 |
|---|---|---|
| 禁止物の一覧を通しで読む | 30分 | 最初の1回だけ |
| 禁止行為の一覧を通しで読む | 30分 | 最初の1回だけ |
| 扱うジャンルの許可の要否を調べる | 60分 | ジャンルごとに1回 |
| 店頭での1点あたりの確認 | 1分 | 一覧に当たるかを見るだけ |
| 判断に迷ったときの持ち帰り | 15分 | 分からなければ仕入れない |
最初の2時間で、ほとんどが終わる
一覧を2つ読んで、自分のジャンルの許可を調べる。ここまでで2時間です。この2時間は、1回やれば当分使えます。
店頭での確認が1分で済むのは、頭に入っているからです。医薬品の棚は見ない、化粧品は小分けされていないか確認する、ブランド品は正規品と確証できるかで判断する。一覧を読んでおくと、判断が反射になります。
反射になるまでは、メモを見ながらで構いません。むしろ最初のうちは、必ず開いてから判断してください。覚えたつもりで判断するのが、いちばん危ない段階です。10回ほど繰り返せば、見なくても判断できるようになります。
読み直すタイミングを決めておく
一覧は更新されます。「現在禁止しているものはありません」と書かれた分類もあり、状況によって増える構造になっています。
月に1回、日を決めて読み直してください。更新されたことを誰かが教えてくれるわけではありません。自分で見に行く以外に、知る方法がない。
読み直すときは、自分が扱っているジャンルのところだけでなく、通しで読みます。扱っていないジャンルに、次に扱うかもしれないものが入っています。15分ほどで終わるので、月初の同じ日に固定してしまうのが続けるコツです。
仕入れないと決める基準を、先に書いておく
店頭で判断するのは難しい。だから、基準を先に書いておきます。
紙に書いて、持ち歩く
扱わないジャンルを、自分の言葉で書き出します。医薬品と医療機器は扱わない。化粧品は扱わない。ブランド品は、正規品と確証できないものは扱わない。食品は扱わない。チケットと電子データは扱わない。
これをスマートフォンのメモに入れて、店頭で開きます。その場で考えないための道具です。考えると、利益に引っ張られます。
書き方にもコツがあります。「気をつける」ではなく「扱わない」と書く。判断の余地を残さない言い方にしてください。気をつける、という書き方だと、その場の判断に戻ってしまいます。
「分からない」を選択肢に入れておく
基準には、もう1行足します。「分からないものは仕入れない」。
これがないと、判断がつかないものを前にしたときに、買う方向に倒れます。分からないという状態を、仕入れない理由として認めておく。これは他の分野でも使える考え方です。
見送った商品は、記録しておくと後で役に立ちます。何が分からなかったのかを1行書いておく。後でまとめて調べれば、次から判断できるジャンルが増えます。見送りは、損ではなく調査の材料です。
例外を作らない
いちばん利益が大きく見える商品が、たいてい基準に触れています。安く手に入って高く売れるものには、理由があるからです。
ここで例外を作ると、基準そのものが機能しなくなります。1回の例外が、次から基準を無効にします。資料デザインの回で書いた「型を1枚崩すと、10枚目には型がなくなる」のと同じ構造です。
どうしても扱いたいジャンルが出てきたら、その場ではなく後日、基準そのものを見直してください。調べたうえで基準を書き換えるのと、その場で例外にするのは別の行為です。前者は判断、後者は放棄です。
つまずく場所は5つに決まっている
この分野でつまずくのは、ほぼ5つです。
| つまずく場所 | 先に決めておくこと |
|---|---|
| 金額を先に計算する | 売れるかの3段階を先に通す |
| 商品の一覧だけを見る | 禁止行為のほうも読む |
| 店で買えるから大丈夫と考える | 買えることと売れることは別 |
| 無在庫で始めてしまう | 手元にない商品の出品は禁止 |
| 一覧を読み直さない | 月1回、日を決めて確認する |
1・金額を先に計算する
いちばん多い失敗です。利益が出ると分かった後に規約を見ると、どうしても都合よく読んでしまいます。
順番を固定してください。売れるかを確認し、通ったものだけ計算する。この順番なら、規約を公平に読めます。
相場を調べるアプリを開く前に、メモを開く。この一手間を、動作として決めてしまうのが確実です。意志の力に頼らず、順番そのものを変えます。
もう1つ効くのが、仕入れの上限額を先に決めておくことです。1回の仕入れでいくらまで、と決めておくと、判断が甘くなる場面が減ります。使える金額に上限があると、選ばざるを得なくなる。選ぶときには、基準に照らすしかありません。
2・商品の一覧だけを見る
禁止されているものの一覧は見ても、禁止されている行為のほうを読んでいない人が多い。許可の話も、代理出品の話も、こちらに書かれています。
どちらも通しで読んでください。商品と行為は、別の一覧です。片方だけでは判断できません。
禁止行為のほうには、出品の中身ではなく取引のしかたに関する項目も多く並んでいます。虚偽の情報を記載すること、他会員が撮影した画像を無断で使用すること、商品の状態がわかる画像を掲載しないこと。仕入れた後の出品作業で触れる項目も、ここにあります。
3・店で買えるから大丈夫と考える
ドラッグストアで買える医薬品も、コンビニで買えるたばこも、公式の一覧に載っています。買えることと、転売してよいことは別です。
この誤解は、思い込みというより発想の盲点です。店頭で合法に売られているものを自分が売って何が悪いのか、と考えてしまう。販売する側に許可が要る、という構造を知らないと、ここは越えられません。
考え方としては、「その店はなぜそれを売れるのか」を問うのが早い。許可を持っているから売れている、という可能性を先に疑う。薬も酒もたばこも、店側が資格や免許を持っています。同じものを自分が売るなら、同じものが要るかもしれないと考えます。
4・無在庫で始めてしまう
在庫リスクがないという言葉は魅力的です。ですが公式は「手元にない商品の出品やECサイト等から直送すること」を禁止しています。
資金がないなら、まず自分の不用品から始めてください。売る練習と、規約を体で覚えるのが先です。仕入れはその後で間に合います。
不用品を売る過程で、撮影も説明文も梱包も一通り経験できます。仕入れ値がゼロなので、失敗しても損失が出ません。10点ほど売ってから仕入れに移ると、1点あたりの作業時間も読めるようになっています。
5・一覧を読み直さない
最初に読んだきり、という人が多い。ですが一覧は更新されます。法令の改正や、社会の状況で変わります。
月に1回、日を決めてください。更新の通知は来ません。自分で見に行く習慣だけが、事故を防ぎます。
読み直しの記録も残しておきます。いつ読んで、何が変わっていたか。1行で足ります。記録があると、続けやすくなります。そして万一問題が起きたときに、確認していた事実を示せます。
販売する場所を複数使っているなら、その数だけ読み直しが要ります。ルールは場所ごとに違い、更新の時期も揃っていません。扱う場所を増やすほど、この手間も増える。販路を広げるときは、この負担も一緒に見積もってください。
30代につながるのは、規約を読んで判断する力
このメディアは、20代の副業を「30代に何が残るか」で選ぶ立場で書いています。せどりで残るのは、儲かる商品の知識ではありません。
公開されている規約を、自分で読んで判断する力
残るのは、公開されている規約を、誰かの要約ではなく原文で読む習慣です。禁止されているものの一覧も、禁止されている行為の一覧も、誰でも読めます。
30代になると、この読み方が効く場面が増えます。契約書、社内規程、業界のガイドライン。要約や噂で判断する人と、原文を見る人では、判断の精度が変わります。そして原文を見た人は、根拠を示して説明できます。
この差は、会議で一言で出ます。「たぶん駄目だと思います」と言う人と、「ここにこう書かれています」と言える人。同じ結論でも、後者しか人を動かせません。規約を読む習慣は、発言の重さを変えます。
やらないことを決められること
もう1つが、やらない基準を先に決めて、それを守る力です。目の前の利益が大きいほど、基準は揺らぎます。
この訓練は、仕事の受注でも同じです。条件が悪い案件、揉めそうな相手、範囲が決まらない依頼。断る基準を持っている人は、忙しくても疲弊しません。せどりは、それを小さな金額で練習できる仕事です。
基準を持っていると、断るときに悩まなくて済みます。相手を評価するのではなく、基準に当てはめるだけだからです。感情ではなく手順で断れるようになると、人間関係も荒れません。
止まる構造を知っていること
1点の判断ミスでアカウント全体が止まる。この構造を経験しておくと、事業のリスクの見方が変わります。
1つの販路に全部を乗せない、1つの取引先に依存しない、1人の担当者だけに権限を持たせない。止まったときに全部が止まる形を避けるという発想は、30代で事業や部署を任されたときに効きます。
この見方は、副業そのものにも当てはまります。1種類の副業だけに収入を乗せると、その分野のルールが変わったときに全部が止まる。このメディアが副業を1種類ずつ分解しているのも、選べる状態を作るためです。
まとめ
- 仕入れの判断は金額からではなく、売れるかの3段階から。法令で禁止されていないか、許可や免許が要らないか、手元にある商品か
- 公式ガイドは法令等に基づく禁止として、規制薬物・危険ドラッグ類、医薬品、医療機器、たばこ、農薬、肥料、許可なく製造したり小分けした医薬部外品・化粧品類、チケット類などを挙げている(メルカリ公式)
- 知的財産権のほうは「偽ブランド品、正規品と確証のないもの」。確証できないものも対象に入る
- 禁止行為には「製造や販売にあたり、法令上許可・届出・免許等が必要な商品について、許可・届出・免許等なく当該商品を出品すること」「出品者とは別の第三者の商品を代理で出品すること」が明記されている
- 「手元にない商品の出品やECサイト等から直送すること」も禁止。在庫リスクがないという手法は、この規約に触れる
- 違反すると「判断理由を違反者へ通知のうえ該当商品の削除」が行われ、「商品が削除された後はタイムラインに表示されず、検索することもできません」。売上はゼロのまま在庫だけが残る
- 確認の初期費用は約2時間(一覧2本と、扱うジャンルの許可の調査)。店頭での確認は1点1分。月1回の読み直しを日で決める
よくある質問(FAQ)
自分の不用品を売るだけでも、この確認は必要ですか。
禁止されているものの一覧は、不用品でも同じように適用されます。使用済みの下着類や、使用済みのスクール水着・体操着・学生服類なども公式の一覧に入っています。ただし、転売目的で買い集める場合と、自分の不用品を売る場合では、許可の要否など別の論点が変わります。古物商許可の回を参照してください。
店で普通に売っているものなら、転売しても問題ないのでは。
買えることと、転売してよいことは別です。公式の一覧には、ドラッグストアやコンビニで買える商品も複数入っています。加えて禁止行為として「製造や販売にあたり、法令上許可・届出・免許等が必要な商品について、許可・届出・免許等なく当該商品を出品すること」が挙げられています。商品の一覧に載っていなくても、販売する側に許可が要る場合があります。
無在庫転売は本当に禁止ですか。
メルカリの公式ガイド「禁止されている出品物」には「手元に物理的な商品がない、または実体がなくトラブルになりやすいもの」という分類があり、その中に「手元にない商品の出品やECサイト等から直送すること」が挙げられています。販売する場所によってルールは違うので、使うサービスの規定をご自身で確認してください。
商品が削除されたら、どうなりますか。
公式は「違反商品と判断した場合、判断理由を違反者へ通知のうえ該当商品の削除を行います」「商品が削除された後はタイムラインに表示されず、検索することもできません」と説明しています。また、商品だけでなくアカウントに対しても対応を行うことがあるとされ、禁止行為のページには警告や一定期間あるいは無期限の利用制限を行うと書かれています。1点の判断ミスで、他の在庫も売れなくなる可能性があります。
副業として始めるとき、確定申告や会社への影響はどうなりますか。
この記事では仕入れ判断の中身だけを扱っています。副業全般の論点は姉妹メディア「20代の放課後」で扱っています。確定申告と20万円ルール、副業の始め方を参照してください。
仕入れる前に、一覧を通しで読んでおく
禁止されている出品物の一覧は、公式ガイドで公開されています。最初に30分かけて通しで読んでおくと、店頭での判断が1分で済むようになります。月1回の読み直しも、日を決めておいてください。