
物販の副業は、始めるだけならその日のうちにできます。家にある使わないものをアプリに出せば、今日から売れます。問題は、そこから「仕入れて売る」に切り替えた瞬間に、必要な手続きが変わることです。
この切り替えを知らずに続けている人が少なくありません。仕入れて転売する行為は古物営業にあたり、許可なく営業すると古物営業法に触れます。しかも、ネットで売る場合は許可証番号の表示義務まで付いてきます。後から知って慌てるより、始める前の30分で確認しておくほうが確実に楽です。
この記事では、物販の副業で最初に確かめることを分解します。扱うのは、許可が要る場合と要らない場合の線引き、申請の費用と書類、許可を取った後に増える義務、手数料と送料を引いた手取り、1品にかかる時間、最初の3か月の順番、つまずく場所です。「やってみたら月いくらでした」という結果報告はしません。
法令の条文は電子政府の法令検索、許可の手続きは警視庁の公式ページ、手数料と送料はメルカリの公式ガイドを一次情報にしています。数字と条件は手続きの詳細は都道府県によって運用が異なることがあるため、申請の前に営業所を管轄する警察署で確認してください。
古物商の許可が要るかどうかは「何を売るか」では決まらない
最初に、言葉の定義を押さえます。古物営業法は「古物」を、一度使用された物品、使用されないまま使用のために取引された物品、またはそれらに幾分の手入れをしたものと定義しています(古物営業法第2条第1項)。
ここで大事なのは、新品か中古かという見た目の話ではないという点です。誰かが使うために一度取引された時点で、たとえ未開封でも古物にあたります。「新品未使用だから古物ではない」は成り立ちません。
「古物営業」の定義が線を引いている
次に営業のほうです。同じ第2条の第2項第1号は、古物営業を「古物を売買し、もしくは交換し、または委託を受けて売買し、もしくは交換する営業」と定めたうえで、「古物を売却すること、または自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの」と書いています。
読みにくい条文ですが、意味ははっきりしています。売るだけの行為は、この定義から外れています。外から仕入れる行為が入った瞬間に、古物営業になります。そして第3条で、古物営業を営もうとする者は都道府県公安委員会の許可を受けなければならないと定められています。
判断の分かれ目は「買ってきたかどうか」
つまり判断の軸は、売る物の種類でも、売る金額でも、売る回数でもありません。その品物を、売るために外から手に入れたかどうかです。
自分が使っていた服を売る。実家から出てきた古い本を売る。これは売却だけなので、営業に当たりません。一方で、リサイクルショップで安く買ってアプリで高く売る。これは仕入れが入るので古物営業です。1回目から該当します。「月10万円を超えたら」といった金額の基準は、法律のどこにも書かれていません。
許可が要る場合と、要らない場合
条文の話を、実際の場面に落とします。以下は法令の定義にもとづく整理で、個別のケースの最終判断は管轄の警察署に確認してください。
| やろうとしていること | 許可 |
|---|---|
| 自分が使っていた物を売る | 不要 |
| もらった物・景品を売る | 不要 |
| 自分が売った相手から、その物を買い戻す | 不要 |
| 中古品を仕入れて売る | 必要 |
| 新品でも、一度誰かに渡った物を仕入れて売る | 必要 |
| 他人の物を預かって、代わりに売る | 必要 |
間違えやすいのが「新品の転売」
量販店で自分が最初の買い手として買った新品を売る場合は、古物にあたらないという整理になります。ただし、これは古物営業法の話に限った整理です。チケットの高額転売のように別の法律で規制されているもの、メーカーや販売店が転売を禁止しているもの、プラットフォームの規約で禁止されているものは、古物商の許可とは無関係に問題になります。
そしてもう1つ。誰かが一度買ったものを買い取って売る形(フリマアプリで買って、別のアプリで売る)は、たとえ未使用でも仕入れです。ここが、いちばん自覚なく越えている線です。
迷ったら、警察署の防犯係に電話で聞く
実務として、これがいちばん早い方法です。管轄の警察署の防犯係に、扱う予定の品物と仕入れ先を説明して、許可が必要かどうかを聞きます。無料で、5分で終わります。
ネットの記事を10本読むより、1本の電話のほうが確実です。自治体ごとに運用の細かい部分が違うこともあるため、どのみち申請先は管轄の警察署になります。
聞き方も決めておくと話が早く進みます。伝えるのは3つです。どこから仕入れるか(リサイクルショップ、フリマアプリ、卸など)。何を扱うか(衣類、家電、書籍など)。どこで売るか(フリマアプリ、自分のサイト、対面)。この3点を言えば、許可の要否と必要な区分の答えが返ってきます。
このとき、申請の受付時間と混み具合も一緒に聞いておくと二度手間になりません。平日の日中しか受け付けていないため、本業がある人は半休を取る前提で日程を組むことになります。
申請にかかるお金と書類|手数料19,000円
許可が必要だと分かった場合の手続きです。以下は警視庁の公式ページ(2025年9月5日更新分)に記載されている内容です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請先 | 主たる営業所を管轄する警察署の防犯係 |
| 手数料 | 19,000円 |
| 申請書 | 古物営業法施行規則の別記様式第1号 |
個人で申請する場合の添付書類は4種類です。略歴書、本籍が記載された住民票の写し、誓約書、身分証明書。いずれも本人と営業所の管理者の両方について必要で、自分ひとりで営業するなら自分の分を2つの立場で揃えることになります。
身分証明書は市区町村の窓口で取る
ここでつまずく人が多いので補足します。ここでいう身分証明書は、運転免許証やマイナンバーカードのことではありません。本籍地のある市区町村が発行する公的な証明書です。
本籍地が遠方なら郵送で請求することになります。請求書、手数料、返信用封筒を揃えて送るので、往復で1週間から2週間を見込んでおいてください。住民票の写しも、本籍の記載があるものを指定して取る必要があります。ふだん取る住民票は本籍が省略されていることが多いので、窓口で必ず伝えます。
書類には発行からの期間の扱いがあり、古いものは受け付けられないことがあります。集める順番は、時間のかかる身分証明書から先にしてください。
ネットで売るならURLの資料も要る
インターネットを使って取引する場合、URLの使用権限があることを疎明する資料が必要になります(古物営業法施行規則第1条の3第3項第5号)。自分のサイトならドメインの登録情報、フリマアプリなら該当のアカウントページなど、警察署の指示に従って用意します。
フリマアプリのアカウントを使う場合は、そのアカウントのページを印刷したものを求められることがあります。運用は警察署によって違うので、電話で確認するときに「ネットで売る予定です」と伝えて、何を用意すればよいかを聞いておくのが確実です。
そして、営業所ごとに管理者を1人選任しなければならないと定められています(古物営業法第13条第1項)。個人で始める場合は自分が管理者になります。自宅を営業所にするなら、賃貸契約でその使い方が認められているかも確認しておいてください。
許可を取ったあとに増える義務が4つある
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。許可は取って終わりではなく、取った瞬間から守る義務が増えます。警視庁は「申請前に、ご自身の予定されている営業形態で義務の履行が可能であるかご確認ください」と明記しています。
1. 相手方の確認義務
古物を買い受けるときは、取引の相手方の住所、氏名、職業、年齢を確認しなければなりません。これは、相手が古物商であっても免除されません。リサイクルショップで仕入れるときも確認が必要です。
フリマアプリやネットオークションで仕入れる場合も同じです。しかも、対面しない取引では法令で定められた確認方法をとる必要があり、警視庁は「単に運転免許証のコピーの送付を受ける等の方法では不十分」と書いています。ここは自己流で済ませられない部分です。
2. ネットで売るときの表示義務
インターネットを利用して取引するなら、ホームページ上に許可を受けた公安委員会名、許可証番号、氏名または名称を表示しなければなりません。
個人で許可を受けた場合は、本名の表示が必要です。屋号だけの表示は認められていません。フリマアプリやオークションサイトでも、古物商であることを表示せずに取引することはできません。副業を本名で出したくない人にとっては、ここが現実的な壁になります。
表示する場所は、買う人が取引の前に見られるところです。プロフィール欄に書く、出品ページの説明文に入れるなど、使うサービスに合わせて置きます。3つの項目を省略せずに書くのが原則です。
この義務を知らずに始めて後から表示を足しても、それまでの取引をさかのぼって直すことはできません。許可が下りた時点で表示を用意し、最初の1品を出す前に貼る。この順番にしてください。
3. 特定商取引法の表示義務
インターネットで古物を販売することは、特定商取引法の「通信販売」にあたります。個人の事業者であっても、氏名、住所、電話番号などの表示義務が生じます。
自宅の住所と電話番号を公開することになるので、始める前に家族とも相談しておいたほうがいい項目です。表示の詳細は消費者庁の特定商取引法ガイドで確認できます。
古物商の表示義務と特定商取引法の表示義務は別のものです。前者は古物営業法にもとづくもので、公安委員会名と許可証番号が中心。後者は通信販売としての表示で、住所や電話番号、返品の可否などが中心になります。片方を書けばもう片方も満たされる、という関係ではありません。
一人暮らしの部屋を営業所にする場合、住所の公開に抵抗があるなら、物販という形自体が自分に合っているかを先に考えたほうがいいです。このメディアで扱っている他の副業は、住所の公開を伴いません。
4. 帳簿と標識
取引の記録を帳簿として備える必要があり、様式は警視庁のサイトで公開されています。あわせて、営業所には標識を掲示します。行商をする場合は行商従業者証も必要です。
帳簿に残すのは、取引の年月日、古物の品目と数量、特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢、確認の方法などです。売買のたびに書くので、月末にまとめて思い出して書く運用にはできません。
これらを「後で揃える」にすると、取引が始まってから形式を直すことになります。開始前に様式をダウンロードして、記録の付け方を決めておいてください。表計算ソフトで作る場合も、必要な項目が抜けていないかを様式と突き合わせます。
標識は、決められた様式のものを営業所の見やすい場所に掲示します。様式は警視庁のサイトで公開されています。
手数料と送料を引いた手取りを、先に計算する
法令の話はここまでにして、お金の計算に移ります。物販がほかの副業と違うのは、売上から引かれるものが3つあることです。手数料、送料、そして仕入れ値です。
メルカリの場合、販売手数料は販売価格の10パーセント、売上を引き出す振込手数料は一律200円です(メルカリ公式ガイド)。送料は出品者負担にするのが一般的で、らくらくメルカリ便なら全国一律でネコポスが210円、宅急便コンパクトが450円(別途専用資材70円)、宅急便は60サイズ750円から200サイズ2,500円です。
| 項目 | 3,000円で売れた場合 |
|---|---|
| 販売価格 | 3,000円 |
| 販売手数料(10パーセント) | -300円 |
| 送料(宅急便コンパクト+資材) | -520円 |
| 手元に残る額 | 2,180円 |
ここから仕入れ値を引いたものが利益です。1,000円で仕入れていれば1,180円、1,500円で仕入れていれば680円になります。3,000円の品物で、実際に残るのは千円前後。これが物販の入口の姿です。なお、仕入れた月にそのまま経費にできるわけではありません。考え方は棚卸の回で扱っています。
送料をどの段階で決めるか
この計算で効いてくるのが送料です。同じ商品でも、梱包の仕方で送料の区分が変わります。厚さ3センチ以内に収まればネコポスの210円ですが、収まらなければ宅急便コンパクトの520円になり、差は310円です。
3,000円の商品で310円は、利益の3割前後にあたります。だから仕入れる前に、その商品がどの発送方法に収まるかを決めておく。これが、物販で最初に身につける計算です。
覚える基準は3つだけです。厚さ3センチ以内・重さ1キロ以内ならネコポスで210円。専用の箱に入るなら宅急便コンパクトで450円と資材70円。それを超えると宅急便で750円からです。
衣類は畳み方で厚さが変わり、本やゲームソフトは最初から薄い。逆に、靴、食器、家電は箱が要ります。送料の区分が1つ上がると、手取りは目に見えて減ります。なお家電は、仕入れる前に確かめることが別にあります。電気製品の回をご覧ください。
1品を売るのに何分かかるか
物販の所要時間に公的な統計はありません。以下は工程を分解した本メディアの想定モデルで、統計ではありません。自分の作業ログに置き換えて使ってください。
| 工程 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 仕入れの判断 | 10分 | 相場を調べ、送料区分と利益を計算する |
| 検品と清掃 | 10分 | 傷や汚れ、付属品の有無を確認して記録する |
| 撮影 | 10分 | 全体、傷の部分、付属品。明るい場所で撮る |
| 出品の作文 | 10分 | サイズ、状態、発送方法を書く |
| 梱包と発送 | 15分 | 資材に詰めて発送する |
| 取引のやり取り | 5分 | 購入後の連絡と評価 |
合計で1品あたり約60分です。先ほどの3,000円の商品で利益が1,180円なら、1時間あたり1,180円という計算になります。
ここで見落としやすいのが、売れるまでの時間は含まれていないことです。出品して1週間後に売れても、3か月後に売れても、作業時間は同じ60分です。だから物販の時間効率を上げる方法は、作業を速くすることよりも、売れるまでが短い物を選ぶことのほうに寄ります。
最初の3か月にやる順番
始め方を順番に書きます。急ぐ必要はありません。
1か月目:自分の物だけを10品売る
まず、許可の要らない範囲で練習します。家にある使わない物を10品出して、撮影、作文、梱包、発送、評価までを一周する。この段階の目的は稼ぐことではなく、1品あたりの自分の作業時間を実測することです。
ここで送料の区分も体で覚えます。厚さ3センチの壁、宅急便の60サイズの壁。これを知らないまま仕入れを始めると、計算が合いません。
10品という数にも理由があります。1品目は何もかも初めてで時間がかかり、3品目で撮影の手順が決まり、10品目には自分なりの型ができます。この型ができる前に仕入れを始めると、時間の見積もりができません。
出品する物は、売れやすさより手放していい物で選んでください。この段階の目的は売上ではなく、工程を一周することです。
2か月目:売れるまでの日数を記録する
10品売ると、何が何日で売れたかのデータが手元にたまります。出品日と売れた日をメモして、日数の短いカテゴリを見つけてください。この記録が、仕入れの判断基準になります。
記録するのは4つです。出品日、売れた日、販売価格、送料の区分。表計算ソフトの1行に収まります。20品も並ぶと、売れるまでの日数がカテゴリごとにはっきり違うことが見えてきます。
同時に、仕入れて売ることを続けるかどうかを決めます。続けるなら、その時点で管轄の警察署に電話して、許可の要否と書類を確認します。続けないなら、家の不要品を売り切ったところで終わりにしてかまいません。この判断を2か月目に置いているのは、許可の費用と手間をかける前に、自分の生活に合うかを見極めるためです。
3か月目:許可を取ってから仕入れる
申請には手数料19,000円と書類の準備が必要で、審査にも日数がかかります。許可が下りる前に仕入れて売り始めない。ここは順番を守ってください。
待っている期間は、帳簿の様式を確認して記録の形を決める時間に充てます。表示義務の文面(公安委員会名、許可証番号、氏名)も、許可が下りたらすぐ貼れるように準備しておきます。
仕入れ先の下見もこの期間にできます。買わずに店に行って、価格帯と回転の速さを見る。フリマアプリなら、狙うカテゴリの売れた価格を毎日見る。仕入れの判断は相場を知っているかどうかで決まるので、許可を待つ時間は、そのまま相場を覚える時間に使えます。
この3か月で、自分の作業時間、売れるまでの日数、扱うカテゴリの相場が揃います。ここまで来てから仕入れを始めると、最初の1品から計算が合います。
つまずく場所は決まっている
物販でやめる人が引っかかる場所は、ほぼ5つです。
1. 利益の計算に送料と手数料を入れていない
いちばん多い失敗です。3,000円で売れた、1,000円で仕入れた、2,000円の利益だと考えてしまう。実際は手数料300円と送料520円が引かれて、残りは1,180円です。
先に引き算をしてから仕入れる。この順番にするだけで、赤字の仕入れがなくなります。売れる価格は自分では決められませんが、仕入れる価格は自分で決められます。
計算の型を1つ持っておくと速くなります。想定の販売価格から、その1割、送料の区分、仕入れ値を順に引く。残った額が、自分の作業60分に見合うかで判断する。残りが500円を切るなら見送るといった基準を先に決めておくと、店頭で迷いません。この基準の作り方は仕入れ判断の回で詳しく扱っています。
2. 在庫が部屋を圧迫する
物販が他の副業と決定的に違うのは、場所を使うことです。売れなければ物として残り、生活空間が減ります。これは心身の負担として効いてきます。
先に上限を決めてください。この棚に入る分まで、と物理的な上限を決めておくと、仕入れすぎが止まります。上限を超えたら、新しく仕入れる前に今ある物を減らす。
大きい物ほど場所を使うのに、利益は比例しません。同じ2,000円の利益なら、箱で場所を取る家電より、薄くて軽い物のほうが続けやすい。部屋の広さが、そのまま扱う商品の上限を決めます。
一人暮らしで始めるなら、最初は本、ゲーム、小物といった薄い物に絞るのが現実的です。生活空間を削って続ける形は、この媒体の考え方に合いません。
3. 売れない在庫を持ち続ける
仕入れ値を下回る価格で売るのは、心理的に抵抗があります。ただ、売れない在庫は時間が経つほど価値が下がることが多く、置いている間も場所を使い続けます。
出品から◯日経ったら値下げ、◯日経ったら仕入れ値以下でも売る、という基準を先に決めておく。決めた基準に従うだけにすると、毎回悩まずに済みます。
置き方の例を挙げます。14日で反応がなければ1割下げる。30日で売れなければ、仕入れ値を下回っても売り切る。この2段階だけでも、在庫が滞留しなくなります。それでも残ったものをどう手放すかは、売れない在庫の回で扱っています。
売れなかった事実は、仕入れの判断が外れたという情報です。記録に残して次に活かせば授業料になります。持ち続けても情報は増えません。
4. 本名の表示を後から知る
許可を取ってネットで売る場合、氏名の表示が必要です。屋号だけでは認められません。この事実を後から知って、続けるかどうかで迷う人がいます。
これは仕組み上どうにもならない部分なので、始める前に知っておくべきこととして扱ってください。本名を出したくないなら、仕入れて売る形をとらない選択もあります。
方法は2つです。自分の不要品を売る範囲にとどめる。あるいは、住所や氏名の公開を伴わない副業に切り替える。どちらも、隠れて仕入れを続けるより安全です。
勤務先に知られたくないという理由で表示を省くのは、義務違反の側に立つことになります。表示できない形なら、その副業は選ばない。これが結論です。
5. 記録を後回しにする
帳簿の記録も、仕入れの記録も、売れた記録も、後からまとめてやろうとすると必ず抜けます。1品ごとに、仕入れた日、金額、仕入れ先、売れた日、売れた金額を同じ表に書く。
この表は、義務としての帳簿とは別に、自分の判断材料としても効きます。どのカテゴリが何日で売れているかが見えるのは、この記録だけです。
入力は、出品したその場でやると続きます。売れてから書こうとすると、仕入れ値を思い出せなくなります。スマートフォンから同じ表に追記できるようにしておくと、店を出た瞬間に書けます。
記録は確定申告のときにもそのまま使えます。物販は仕入れと在庫があるぶん、他の副業より記帳の細かさが要ります。日々1行書く人と、年末にまとめる人とでは、後半の負担がまったく違います。
30代につながるのは、仕入れの勘ではない
このメディアは、20代の副業を「30代に何が残るか」で選ぶ立場で書いています。物販で残るのは、安く買う勘ではありません。相場は変わりますし、人気の商品も入れ替わります。
残るのは、1つの取引の利益を、手数料と送料と時間まで含めて分解する習慣です。売上ではなく手元に残る額で考える。これは、事業の数字を見る目そのものです。30代で自分で何かを始めるときにも、会社で予算を見る立場になったときにも、そのまま使えます。
もう1つ残るのが、始める前に法令を確認する習慣です。許可が要るかどうか、表示は何が必要か、記録はどう残すか。この順番で確認できる人は、次に別の事業を始めるときにも同じ順番で動けます。やってから怒られて学ぶのと、始める前に30分調べるのとでは、失うものが違います。
まとめ
- 古物営業法上の「古物」は、一度使用された物品と、使用のために取引された物品、それらに手入れをした物(第2条第1項)。新品未使用でも一度誰かに渡っていれば古物にあたる
- 許可が要るかどうかを分けるのは仕入れがあるかどうか。売るだけなら営業に当たらず、外から仕入れて売るなら1回目から古物営業(第2条第2項第1号、第3条)
- 申請は管轄の警察署の防犯係へ。手数料は19,000円、個人は略歴書・住民票の写し・誓約書・身分証明書を本人と管理者の分だけ用意する
- 許可後は義務が増える。相手方の確認(住所・氏名・職業・年齢/非対面は法定の方法)、ネットでの表示(公安委員会名・許可証番号・氏名。個人は本名)、特定商取引法の表示、帳簿と標識
- 手取りは販売価格から手数料10パーセントと送料を引いた額。3,000円の商品で宅急便コンパクトなら2,180円、そこから仕入れ値を引く
- 1品あたりの作業は約60分(本メディアの想定モデル)。売れるまでの日数は作業時間に関係ないので、売れるまでが短い物を選ぶほうが効く
よくある質問(FAQ)
月に数品しか売らなくても、古物商の許可は必要ですか。
回数や金額の基準は古物営業法に書かれていません。判断の軸は、その品物を売るために外から仕入れたかどうかです。仕入れた物を売るなら、数量にかかわらず古物営業にあたります。自分が使っていた物を売るだけなら、何品売っても営業には当たりません。個別の判断は管轄の警察署に確認してください。
新品を買って転売する場合も許可が要りますか。
自分が最初の買い手として店で買った新品を売る場合は、古物にあたらないという整理になります。ただし、誰かが一度買ったものを買い取って売る場合は、未開封でも仕入れです。また、チケットの高額転売のように別の法律で規制されているもの、販売店やプラットフォームの規約で禁止されているものは、古物商の許可とは別の問題として残ります。
許可を取ると、本名を公開しなければいけませんか。
インターネットを利用して取引する場合、許可を受けた公安委員会名、許可証番号、氏名または名称の表示が必要です。個人で許可を受けたときは氏名の表示が求められ、営業所の名称だけに代えることは認められていません。さらに、通信販売にあたるため特定商取引法でも氏名や住所などの表示義務が生じます。
フリマアプリで仕入れるときも、相手の確認は必要ですか。
必要です。警視庁は、インターネットオークションやフリマアプリを利用する取引でも相手方の確認が必要だと明記しています。さらに、対面しない取引では法令で定められた確認方法をとる必要があり、運転免許証のコピーを送ってもらうだけでは足りないとされています。仕入れ経路を決める前に、この確認ができる形かどうかを考えてください。
副業として始めるとき、確定申告はどうなりますか。
この記事では物販という仕事の中身と手続きだけを扱っています。副業全般の論点は姉妹メディア「20代の放課後」で扱っています。確定申告と20万円ルール、副業の始め方を参照してください。
仕入れる前に、管轄の警察署で確認する
扱う品物と仕入れ先を説明すれば、許可が要るかどうかはその場で分かります。申請の様式と必要書類は警視庁のページで公開されています(他の道府県は各警察本部のページを確認してください)。