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マンバメンタリティとは|朝4時の練習を見に行った指導者が、そこで見た中学生レベルの基礎

成功の原理原則

マンバメンタリティとは、コービー・ブライアント本人の言葉によれば「常に自分の最高のバージョンであろうとし続けられること」を指します。朝4時からの練習で語られることが多い言葉です。ただ、その練習を実際に見に行った指導者がいます。彼が45分間見ていたのは、中学生に教えるような基礎のドリルでした。時間の話ではなかった、ということになります。

マンバメンタリティとは

まず、本人の定義から確認します。

「マンバメンタリティを一言でまとめるなら、常に自分の最高のバージョンであろうとし続けられること、という意味だ」

出典: Entertainment Tonight

読み飛ばしそうになりますが、ここには時間の話も、量の話も入っていません。比較の相手は他人でもありません。昨日の自分より今日を良くする、という話です。

言葉の由来も本人が語っています。2016年、子どもたち向けのツアーで大量のドリルやクリニックをやらせている最中に、ふと頭に浮かんだのだそうです。思想として練り上げたものではなく、練習の現場で出てきた言葉でした。

朝4時の練習を見に行った男がいる

この言葉が「朝4時」と結びついて広まったのには、きっかけになった出来事があります。

2007年、ナイキが第1回コービー・ブライアント・スキルズ・アカデミーを開きました。全米の高校・大学のトップ選手を集めた3日間のキャンプです。

そこに指導者として招かれたのが、アラン・スタイン・ジュニアでした。バスケットボールのトレーナーとして長く現場に立ってきた人物です。

彼はコービーの練習の凄まじさを噂で聞いていました。そこで本人に頼みます。個人練習を見学させてほしい、と。

返ってきた答えは、こうでした。「朝4時から始める」

3時に着いても、間に合わなかった

スタインは考えます。せっかく見せてもらうのだから、先に体育館にいたい。

目覚ましを3時にセットしました。1時間前に着けば十分だろう、という判断です。

ところが、体育館に入ったときにはもう遅かった。コービーはすでに汗だくで、ウォームアップを終え、練習は本格的に動き出していました(iSport360)。

1時間早く行っても、遅かった12午前3時スタインが到着コービーはすでに汗だくウォームアップは終わっていた本人の申告は「午前4時から」実際の開始はそれより前だったこの場面が「朝4時」の話として広まっていく。

先回りしたはずが、間に合わなかった。ここまでが、よく知られている部分。

ここまでが、世に広まった部分です。そして多くの場合、話はここで終わります。

45分間、彼が見ていたもの

スタインはその後、練習を眺め続けました。世界最高の選手が何をしているのかを、間近で見られる機会です。

ところが、目の前で行われていたのは基本のボールハンドリング、基本のフットワーク、基本のオフェンスの動きでした。

スタイン自身が、中学生に教えている内容です。それが45分間、続きました。

違ったのは中身ではなく、精度のほうでした。ひとつひとつの動作を、完全な集中と正確さで行っていたと彼は書いています。

ここが「裏」の部分

この逸話は「朝4時に起きろ」という話として広まりました。しかしスタインが実際に目撃したのは、時間ではなく内容のほうです。

世界最高の選手が、中学生レベルのドリルを45分やっていた。驚くべきは早さではなく、何をやっていたかだったということになります。

「基礎に飽きたことがない」

その日のうちに、スタインは本人に聞いています。

あなたは世界最高の選手だ。なぜ、あんな基礎的なドリルをやっているのか。

コービーは笑って、こう答えました。

「なぜ俺が世界最高の選手だと思う? 基礎に飽きたことがないからだ」

原文: Why do you think I’m the best player in the world? Because I never get bored with the basics. / 出典: iSport360

飽きなかった、ではありません。飽きたことがない、です。

基礎の反復は、退屈だから続かないとされます。技術が上がるほど、簡単すぎて手応えがなくなるからです。彼はそこを問題にしていません。

朝4時に起きられるかどうかより、同じことを何年も続けて退屈しないかどうかのほうが、はるかに難しい条件です。

なぜ「朝4時」だけが残ったのか

同じ日に起きた出来事なのに、片方だけが広まりました。理由は、伝わりやすさの違いにあります。

「朝4時」は数字です。誰でも自分に当てはめられて、しかも真似したかどうかを一目で判定できます。目覚ましをかければ、今日から始められるという手軽さもあります。

一方の「基礎のドリルを45分」は、聞いてもすぐには動けません。自分の仕事における基礎とは何かを、まず自分で決める必要があるからです。面倒な問いが1つ挟まる話は、そこで止まります。

結果として、実行しやすいほうだけが残りました。広まりやすさと、効き目の大きさは別だということになります。むしろ多くの場合、逆に働きます。すぐ真似できる話は、すぐ真似できる程度のことしか含んでいないからです。

コービーの逸話でいえば、時刻は誰でもコピーできます。しかし基礎に飽きないかどうかは、コピーできません。その差が、そのまま結果の差になっていたと読むほうが自然です。

本人が挙げた5つの柱

コービーは著書のなかで、マンバメンタリティを5つの要素で説明しています。

本人が挙げた5つの柱マンバメンタリティ回復力resilience恐れないことfearlessness執着obsessiveness容赦のなさrelentlessness情熱passion土台にあるのは、基礎の反復5つのどこにも「早起き」は入っていない。

回復力、恐れないこと、執着、容赦のなさ、情熱。時間や量を指す項目はない。

並べてみると分かります。5つのどこにも、起床時刻や練習量は入っていません。

本人が別の場面で語った説明には、朝4時の練習も出てきます。ただしそれは項目のひとつではなく、結果として現れる形のほうでした。「勉強と準備と練習をしなければ、結果を運に委ねることになる。俺は運任せにしない」というのが、その文脈です。

この話の弱点

この逸話には、そのまま真似すると害になる部分があります。

1. 朝4時は、真似する対象ではない

コービーはプロのアスリートです。日中に仮眠を取る時間があり、回復のための専門的な環境も整っています。同じ起床時刻を、睡眠時間を削る形で真似すれば、単に不足するだけです。

本人の定義にも5つの柱にも、起床時刻は入っていません。この話から時刻だけを取り出すのは、いちばんやってはいけない読み方ということになります。

2. 「基礎に飽きない」は、基礎を知っている人の言葉

コービーがドリルを繰り返せたのは、その動作が試合のどこで効くかを知っていたからです。意味の分かっている反復と、意味の分からない反復は別物です。

初心者が同じ言葉を真似ても、何を反復すべきかが分からなければ、時間を使っただけになります。基礎の反復は、基礎が何かを知ってから効いてきます。

3. 成功した人の練習法しか残らない

同じ量を練習して届かなかった選手のほうが、圧倒的に多いはずです。彼らの練習法は記録されません。

この練習をしたから世界最高になったのか、世界最高になれる素質があったからこの練習が成立したのか。この逸話だけでは、区別がつきません。

では、自分はどうするか

1. 自分の仕事の「基礎」を、言葉にして書き出す

基礎の反復が効くのは、何が基礎かを分かっている場合だけです。ところが多くの仕事では、それが言語化されていません。

今日できること:自分の職種で「これができていないと話にならない」という動作を3つだけ書き出してください。5つでも10でもなく3つです。絞れないなら、まだ自分の基礎を把握できていません。

書き方にコツがあります。「コミュニケーション力」のような抽象語ではなく、動作の形で書くことです。営業なら「初回の面談で相手の課題を3つ聞き出す」、事務なら「受け取った依頼をその日のうちに分解して工数を出す」のように、やったかどうかを他人が判定できる粒度まで下ろします。

判定できない粒度で書くと、練習のしようがありません。コービーが繰り返していたのも、ボールハンドリングやフットワークという形の決まった動作でした。

2. 手応えのなさを、判断材料にしない

基礎の反復がつらいのは、うまくなるほど手応えが消えるからです。手応えを基準に練習を選ぶと、新しくて刺激のあることばかりになっていきます。

今日できること:書き出した3つのうち1つを選び、1週間、毎日15分やる予定を先に入れてください。やる気が出たらではなく、予定として置きます。退屈だと感じても、それは効いていない証拠ではありません。

1週間が終わったら、続けるかどうかを決める前に1行だけ記録を見返してください。日付と、やったかどうかの丸だけで構いません。手応えは当てになりませんが、記録は当てになります。

それでも退屈が勝つようなら、種目を変えるのではなく時間を10分に減らして続けるほうを選びます。反復の効き目は、1回の長さではなく回数の積み上げから出てくるためです。

3. 比較の相手を、昨日の自分に固定する

マンバメンタリティの定義は「常に自分の最高のバージョンであろうとし続けられること」でした。他人との比較は入っていません。

今日できること:進捗を測る指標を1つ決め、他人の数字を見ない期間を1か月つくってください。見るのは自分の先月分だけにします。比較対象を変えるだけで、続けられる範囲が変わります。

まとめ

マンバメンタリティとは、コービー・ブライアント本人の定義では「常に自分の最高のバージョンであろうとし続けられること」です。言葉が生まれたのは2016年、子どもたちにドリルをやらせている最中でした。

朝4時と結びついたきっかけは、2007年にアラン・スタイン・ジュニアが個人練習を見学した一件です。「4時から」と言われて3時に着いたスタインは、それでも間に合いませんでした。

ただし彼が45分間見ていたのは、中学生に教えるような基礎のドリルでした。違ったのは内容ではなく、その精度です。理由を尋ねると、コービーは「なぜ俺が世界最高だと思う? 基礎に飽きたことがないからだ」と答えています。

本人が挙げた5つの柱は、回復力、恐れないこと、執着、容赦のなさ、情熱。そのどこにも、起床時刻や練習量は入っていません。朝4時は、この話のいちばん目立つ部分であって、中身ではありませんでした。

よくある質問

マンバメンタリティとは何ですか

コービー・ブライアント本人の定義では「常に自分の最高のバージョンであろうとし続けられること」です。昨日の自分より今日を良くしようとし続ける姿勢を指し、他人との比較や、練習時間の長さを意味する言葉ではありません。

マンバメンタリティの5つの柱とは何ですか

コービーが著書で挙げているのは、回復力、恐れないこと、執着、容赦のなさ、情熱の5つです。起床時刻や練習量にあたる項目は含まれていません。

コービーは本当に朝4時に練習していたのですか

2007年、指導者のアラン・スタイン・ジュニアが個人練習の見学を申し出たところ「朝4時から始める」と伝えられています。スタインは先に着こうと3時に体育館へ向かいましたが、そのときすでにコービーは汗だくで、ウォームアップを終えていました。

その練習では何をしていたのですか

基本のボールハンドリング、基本のフットワーク、基本のオフェンスの動きです。スタインが中学生に教えている内容と同じもので、それが45分間続きました。違っていたのは中身ではなく、ひとつひとつの動作の集中と精度でした。

コービーの練習量はどれくらいだったのですか

具体的な総量は記録によって幅がありますが、この逸話から分かるのは量より内容です。世界最高の選手が基礎のドリルを45分続けていたこと、そして本人が理由を「基礎に飽きたことがないからだ」と説明したことのほうが、記録として残っています。

朝4時の起床は真似したほうがいいですか

おすすめできません。コービーはプロのアスリートで、日中の仮眠や専門的な回復環境がありました。睡眠を削る形で時刻だけを真似ても、不足するだけです。本人の定義にも5つの柱にも起床時刻は含まれていません。

マンバメンタリティという言葉はいつ生まれたのですか

コービーの説明によれば、2016年のツアー中です。子どもたちに大量のドリルやクリニックをやらせている最中に、ふと頭に浮かんだ言葉だと語っています。思想として先に組み立てたものではなく、練習の現場から出てきた表現でした。

物語の続きは、耳と目で。

記事で読んだ人物の話は、音声「一流の耳学」とYouTube、noteでも配信しています。移動中や作業中に、耳から。

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