
転職したい気持ちはあるのに、「じゃあ何がしたいの?」と聞かれると答えに詰まる。 そんな状態のまま、転職活動を先延ばしにしている20代は少なくありません。 実際にGoogleでの検索データを見ても、「やりたい仕事がない」というキーワードでの検索が急増しており、多くの20代が同じ悩みを抱えていることがわかります。 この記事では、20代特有の転職理由の実態から、「やりたいこと」を見つけるための具体的なステップまでをまとめました。
20代の転職理由、実は他の世代と1位が違う
doda(パーソルキャリア)「転職理由ランキング【2025年版】」によると、全年代での転職理由1位は5年連続で「給与が低い・昇給が見込めない」(36.6%)でした。ところが年代別に見ると、20代だけが唯一異なる結果になっています。
| 年代 | 転職理由1位 | 割合 |
|---|---|---|
| 20代 | 労働時間に不安(残業が多い・休日出勤がある) | 44.6% |
| 30代 | 給与が低い・昇給が見込めない | 36.9% |
| 40代 | 給与が低い・昇給が見込めない | 39.6% |
| 50代 | 給与が低い・昇給が見込めない | 31.9% |
さらに同調査では、「個人の成果で評価されない」がTOP10入りしているのは20代のみで、前回調査の圏外から一気に2位へ急上昇しています。給与水準自体は初任給引き上げなどで上がっている一方、成果が正当に反映されていないと感じる20代が増えていることがうかがえます。
つまり20代の転職理由は、「お金」よりも「働き方」や「正当な評価」という、より個人の価値観に近い部分に比重が移ってきているということです。これは裏を返せば、「自分が何を大事にしたいか」がはっきりしていないと、転職先を選ぶ軸がぶれやすいということでもあります。
「やりたいことがわからない」のは甘えではない

「甘えているから、やりたいことが見つからないのでは」と自分を責めてしまう人もいますが、これは20代に非常に多い悩みです。
株式会社ミズカラ「20代のキャリアの悩みに関する意識調査」(2024年8〜9月実施、キャリアコーチング申込者20代587名対象)によると、申込理由として「自分に合った仕事を見つけたい」が21%以上、「自分の強みや特性を知りたい」が17%以上、「キャリアの方向性を明確にしたい」が約17%を占めました。また「自分のキャリアの方向性や向かうべきゴールが知りたい」人は約3割にのぼります。
この調査はすでに悩みを自覚してコーチングに申し込んだ人が対象のため、割合をそのまま20代全体には当てはめられません。ただし、それだけの人数が「自分がわからない」という同じ入り口でつまずいているという事実は、あなた一人の弱さの問題ではないことを示しています。
なぜ20代は「自分がわからない」状態に陥りやすいのか
背景には、20代特有の将来への漠然とした不安があります。マイナビ「転職動向調査2026年版」では、転職者が「働きたい年齢」の平均は62.8歳、「働かないといけないと思う年齢」の平均は65.6歳で、後者が2.8歳上回るという結果が出ています。この差は20代がもっとも大きく、3.3歳にのぼりました。
「いつまで働くのか」「何のために働くのか」というキャリアの土台となる問いに対して、20代はまだ具体的なイメージを持てていない人が多いということです。学生時代からの延長で就職先を選び、社会人としての経験もまだ数年という段階では、「自分は何が好きで、何が向いているか」を判断する材料そのものが不足しているのは自然なことだといえます。1社しか経験していなければ、「今の会社が普通なのか、特殊なのか」を比較する基準すら持てていないケースも多く、それも「わからなさ」の一因になっています。
「やりたいこと」を見つける4つのステップ
STEP1:「辞めたい理由」をそのまま書き出す
いきなり「やりたいこと」を考えようとすると手が止まります。まずは今の会社・仕事に対する不満をそのまま紙に書き出すことから始めましょう。「残業が多くてつらい」「評価されている実感がない」など、ネガティブな内容で構いません。前述のdodaの調査でも、20代の転職理由1位は「労働時間への不安」でした。この裏側には必ず「本当はこうしたい」という理想が隠れています。
STEP2:不満の裏にある「理想」を言語化する
書き出した不満ひとつひとつに対して、「本当はどうだったら満足だったか」を問い直します。「残業が多くてつらい」なら「定時で帰れて、プライベートの時間を確保できる働き方がしたい」というように、不満を理想の言葉に置き換えていく作業です。同じように「評価されている実感がない」なら「成果を出したらきちんと数字や役職で返ってくる環境がいい」というふうに変換します。これを5〜10個繰り返すと、自分が仕事に求めている軸が具体的な文章として見えてきます。
STEP3:無料の適性診断ツールで客観視する
自分の言葉だけでは偏りが出やすいため、doda「転職タイプ診断」やRe就活「適職診断」のような無料の適性診断も併用しましょう。doda転職タイプ診断は仕事に求める価値観を6タイプに分類し、Re就活の適職診断は向いている仕事・不向きな仕事を提示してくれます。自己分析の結果と診断結果を照らし合わせることで、思い込みだけに頼らない客観的な判断材料が手に入ります。
STEP4:転職エージェントを「壁打ち」として使う
ここまでで方向性がぼんやり見えても、まだ確信が持てないことがほとんどです。転職エージェントのキャリア面談は「応募を前提にしなくても相談できる」という点を知っておくと、利用のハードルがぐっと下がります。面談ではSTEP1・2で書き出した「不満」と「理想」をそのまま伝えるだけで十分です。第三者に自分の考えを話すことで、自分では気づかなかった強みや、逆に矛盾している部分に気づけることがあります。すぐに転職しなくても、キャリアの棚卸しとして活用する価値は十分にあります。
自己分析を深めるためのインプット

自己分析は自分の頭の中だけで完結させようとすると、堂々巡りになりがちです。他人の考え方の枠組み(フレームワーク)を借りることで、思考が整理しやすくなります。書籍やオーディオブックのサブスクを使えば、通勤時間や家事の合間に自己分析系のコンテンツにまとめて触れられます。
自己分析のインプットに使えるサービス
どちらも無料体験の範囲で解約すれば費用はかかりません。対象タイトルはサービス内で変動するため、気になる本があるかは実際にアプリ内で検索して確認してください。
後悔しない転職にするための注意点
「やりたいこと」が見えてきても、焦って転職先を決めるのは避けましょう。前述のとおり20代の転職理由1位は「労働時間への不安」ですが、転職先の労働時間や評価制度を、口コミや面接だけで正確に見抜くのは簡単ではありません。求人票の記載だけでなく、可能であれば社員の口コミサイトや、面接での逆質問で「残業の実態」「評価制度の具体的な運用」を確認しておくことをおすすめします。
また、STEP1〜4で見えてきた「軸」は、1社の面接を受けただけで完成するものではありません。複数の求人・複数のエージェントと接点を持つことで、自分の軸が本当に正しいかを検証する機会が増えます。1つの選択肢だけに絞り込まず、比較材料を持ったうえで最終判断をすることが、後悔しない転職につながります。エージェントによって紹介される求人の傾向や強みが異なるため、大手1社だけでなく、20代・第二新卒に特化したサービスを含めて2〜3社を併用すると、より多角的に自分の市場価値や選択肢を把握できます。
まとめ:わからないままでも、動き出していい

20代の転職理由は「給与」よりも「働き方」「正当な評価」に比重が移っており、その分、自分の価値観がはっきりしていないと転職先選びで迷いやすくなっています。「やりたいことがわからない」のは特別なことではなく、多くの20代が同じ入り口でつまずいています。完璧な答えが出るまで動かないのではなく、辞めたい理由を書き出す→理想を言語化する→診断で客観視する→エージェントで壁打ちするという順番で、わからないなりに一歩ずつ動き出してみることが、結果的に一番の近道になります。
方向が決まったあと、実際に何をどれくらいやっている人が多いのかは20代のスキルアップガイドにまとめています。自己啓発をしている20代の割合と、平均の学習時間を公的統計で確認できます。
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