
「この取引先、うちのメールが届いていないらしい」と調べたら、コンタクトが配信停止になっていた。あるいは、本人から「また送ってほしい」と言われた。
ここで管理画面を探し回ることになります。配信停止の解除は、こちらの操作だけで自由に戻せる仕組みになっていません。
さらに知っておくべき前提があります。配信停止のステータスは、コンタクトのレコードではなくメールアドレスそのものに紐づいています。だから、コンタクトを削除して作り直しても解除されません。ここで時間を溶かす人が多いところです。
この記事では、何ができて何ができないのか、本人に戻してもらう手段、そして管理者側で更新できる条件を整理します。
先に結論:解除の道は3本です
- 過去のメールのフッターから、本人が設定を開いて戻す。いちばん確実で、プランを問いません
- 配信カテゴリーに紐づくフォームから、本人が登録し直す。こちらもプランを問いません
- 配信再登録メールを送る。ただしMarketing Hub Professional以上の機能です
管理者が直接ステータスを更新できるのは、手動でオプトアウトした場合に限られます。しかも法的根拠と同意の説明をレコードに記録する必要があります。
前提:配信停止はメールアドレスに紐づいています
ここが最初の分岐点です。
多くの人は「コンタクトのレコードに、配信停止というフラグが立っている」と考えます。実際は違います。オプトアウトの状態は、メールアドレスそのものに紐づいています。
レコードは入れ物にすぎません。中身のメールアドレスが「送らないでほしい」と表明した状態になっているので、入れ物を取り替えても状態は変わりません。
コンタクトを削除して作り直しても解除されません
前章の仕組みから導かれる、いちばん実用的な結論がこれです。
「配信停止になっているなら、いったん消して、もう一度登録すればいいのでは」と考えたくなります。これは効きません。同じメールアドレスで作り直した瞬間、そのアドレスが持っていた配信停止の状態がそのまま適用されます。
やってしまうと失うもののほうが大きい
効かないだけなら「試して終わり」ですが、実際には損をします。削除すると、そのコンタクトに紐づいていた活動履歴、取引、メモがすべて失われます。そして配信停止は解除されません。
得るものがゼロで、失うものだけが残ります。この操作は絶対に避けてください。
インポートで上書きしても同じです
同じ発想で「CSVで上書きすれば戻るのでは」と考える人もいますが、こちらも効きません。配信停止はアドレスの状態なので、レコードの項目を書き換えても変わりません。
本人に戻してもらう3つの道
では、どうやって戻すか。原則は「本人に操作してもらう」です。3つの方法があります。
道1:過去のメールのフッターから戻してもらう
いちばん確実で、プランを問いません。
その相手が過去に受け取ったマーケティングメールの末尾に、配信設定を管理するためのリンクがあります。そこから開いた画面で、本人が受け取る設定に戻せます。
依頼するときは「以前に届いた弊社のメールを開いて、いちばん下にある設定のリンクから戻していただけますか」と伝えます。相手の受信箱に過去のメールが残っていれば、これで完結します。
道2:配信カテゴリーに紐づくフォームから登録し直してもらう
過去のメールが残っていない場合はこちらです。配信カテゴリーに関連付けたHubSpotのフォームを用意しておき、そのURLを相手に渡します。
この方法の良いところは、URLを1つ持っておけば使い回せる点です。「メールマガジンの登録ページ」を1枚作っておけば、こういう場面で毎回それを案内できます。プランも問いません。
道3:配信再登録メールを送る(Professional以上)
HubSpotには、配信停止した相手に再登録を促すメールを送る機能があります。ただしMarketing Hub Professional以上の機能です。無料版やStarterでは使えません。
1〜10人の会社では、この機能のためだけにProfessionalへ上げる判断にはなりにくいはずです。道1と道2で足ります。
管理者が更新できるのは「手動で停止した場合」だけ
管理者側で配信登録のステータスを更新する方法もあります。ただし条件が厳しく、誤解されやすいところです。
| 状況 | 管理者が更新できるか |
|---|---|
| 本人がフッターから配信停止した | できません |
| こちらが手動でオプトアウトにした | 更新できます |
公式に示されている条件は「手動でオプトアウトされた場合のみ」です。本人の意思で停止したものを、こちら側で勝手に戻すことはできません。
更新するなら、記録が必須です
手動オプトアウトを更新する場合でも、連絡を行うための法的根拠と、同意に関する説明をコンタクトのレコードに記録する必要があります。
「電話で本人から再開の希望を受けた(2026年9月22日・担当◯◯)」のように、いつ・誰から・どういう形で同意を得たかをメモに残してください。これは形式的な作業ではなく、後で問題になったときに自社を守る記録です。
オプトアウトした相手を、手でリストに入れることはできません
あわせて押さえておきたい制約です。オプトアウトしたコンタクトを、HubSpotのユーザーが手動でリストに登録することはできません。
「リストに入れてしまえば送れるのでは」という抜け道は塞がれています。設計としてそうなっているので、探しても見つかりません。
メールアドレスを変えると設定は引き継がれません
もう1つ、実務で効いてくる挙動があります。
配信停止の状態はメールアドレスに紐づいているため、コンタクトのメールアドレスを変更すると、以前の設定は引き継がれません。
これは良い方向にも悪い方向にも働きます
担当者が異動して社内の別アドレスになった場合、新しいアドレスは配信停止の状態を持っていません。前任者が停止していても、新しいアドレスには送れる状態になります。
ただし「送れる」ことと「送っていい」ことは別です。会社として配信を断られていたなら、担当が変わっただけで再開するのは筋が通りません。アドレスが変わったからといって、機械的に送り始めないでください。
逆のケースにも注意
本人が受け取る設定にしていたのに、アドレスを変えた途端に届かなくなる、ということもありません。新しいアドレスは初期状態から始まるので、通常は送れます。ただし相手からすると「登録した覚えのないアドレスに届いた」と見える可能性はあります。
戻せるかどうかの切り分け
ここまでの内容を、実際の判断手順に並べます。上から順に見てください。
まず「誰が停止したか」を見る
コンタクトのレコードを開くと、配信登録に関する情報が記録されています。本人がフッターから停止したのか、こちらが手動でオプトアウトにしたのか。ここで対応が完全に分かれます。
確認せずに「管理者権限があるから戻せるはず」と探し始めると、時間だけが過ぎます。最初の1分をここに使ってください。
戻せないと分かったら、すぐ本人に連絡する
管理画面で粘っても状況は変わりません。戻せないと分かった時点で、相手に連絡する判断に切り替えてください。1通のメールか1本の電話で片付きます。
そもそも全停止させない:配信カテゴリーの設計
ここからは予防の話です。配信停止は、起きてから戻すより、起きる前に設計するほうが圧倒的に楽です。
鍵になるのが配信カテゴリー(購読タイプ)です。「この種類のメールだけ止める」という選択肢を相手に渡す仕組みです。
カテゴリーが1つしかないと、全停止しかできません
カテゴリーを分けていない場合、相手に提示される選択肢は「全部受け取る」か「全部止める」かの二択になります。
「セミナーの案内はいらないけれど、契約に関わる連絡は受け取りたい」という人も、全部止めるしかありません。本当は失わなくてよかった接点まで失います。
3つに分けるのが現実的です
| カテゴリー | 内容 |
|---|---|
| お知らせ | サービスの変更、重要な連絡 |
| お役立ち情報 | メールマガジン、事例 |
| イベント案内 | セミナー、キャンペーン |
これ以上細かく分けると、相手が選ぶのを面倒に感じます。3つが上限だと考えてください。
使っていないカテゴリーは整理する
作ったまま使われていない配信カテゴリーがあると、相手に見せる設定画面が無駄に長くなります。HubSpotには、現在使われているカテゴリーを確認する機能があります。半年に一度見直して、使っていないものは整理してください。
再登録用フォームの作り方
「道2」で使うフォームを、先に1枚作っておくことをおすすめします。必要になってから作ると、相手を待たせます。
作る手順
- まず、設定から配信カテゴリーを確認します。分けていなければ、先にカテゴリーを作ります
- マーケティングからフォームを開き、新しいフォームを作成します
- 項目はメールアドレスだけにします。名前すら要りません
- フォームの設定で、対象の配信カテゴリーに登録されるように紐づけます
- 送信後はサンクスページか、お礼メッセージを設定します
- 公開して、URLを控えておきます
項目を増やさないでください
ここは強調しておきます。再登録のフォームで会社名や電話番号を聞かないでください。相手はすでに自社を知っている人で、こちらの都合で戻してもらう場面です。そこで入力を求めると、途中でやめられます。
メールアドレス1つ。それだけです。すでにコンタクトとして登録されているので、アドレスさえ一致すれば既存のレコードに紐づきます。
お礼メッセージに「次に届くもの」を書く
送信後の画面には「登録ありがとうございます」だけでなく、次に何がいつ届くのかを1行書いてください。「毎月第2火曜日にお役立ち情報をお送りします」のような形です。
これがあると、相手は「何を受け取ることにしたのか」を理解したまま終われます。理解せずに登録した相手は、次の1通で再び止めます。
URLは社内で共有しておく
作ったフォームのURLは、営業担当が使える場所に置いてください。メールの署名や、よく使う定型文のテンプレートに入れておくのが実用的です。探さないと出てこない状態だと、結局使われません。
配信停止が増えたときに見るところ
配信停止率が上がってきたら、原因は内容ではなく「頻度」か「相手」であることが多いです。順に見てください。
頻度を疑う
週に何通も届けば、内容が良くても止められます。1〜10人の会社が出すメールなら、月1〜2通が上限だと考えてください。それ以上出したくなるのは、たいてい送り手の都合です。
宛先の鮮度を疑う
何年も接点のない相手に一斉に送ると、配信停止と迷惑メール報告が同時に増えます。最終接点から2年より前の相手は、そもそも宛先から外すほうが安全です。
配信停止の理由を見る
配信停止のページで理由を選んでもらう設定にしておくと、傾向が見えます。「頻度が多すぎる」が多ければ頻度、「内容に関心がない」が多ければカテゴリー設計の問題です。推測で直すより、理由を集めたほうが早いです。
相手に頼むときの伝え方
最後に、実務でそのまま使える伝え方を書いておきます。配信停止の解除は相手に手を動かしてもらう作業なので、頼み方で成否が変わります。
「解除してください」と言わない
相手からすると、自分が止めたものを「解除しろ」と言われるのは気持ちのいいものではありません。こちらの都合を押し付けている形になります。
代わりに「以前に配信を停止いただいていたようで、現在ご案内が届かない状態になっています」と、事実だけを伝えてください。そのうえで、必要なら戻す方法を添えます。
手順を1行で書く
「弊社から過去に届いたメールの末尾に配信設定のリンクがございます。そちらから受け取る設定に変更いただけます」。この1行で足ります。長い説明は読まれません。
戻してもらえなくても、連絡はできます
ここは誤解されやすいところですが、配信停止はマーケティングメールに対するものです。個別のやりとりまで止まるわけではありません。
取引に必要な連絡は、これまでどおり普通のメールで行えます。「配信停止されているから何も送れない」と考えて、必要な連絡まで止めてしまわないでください。
他のメール配信ツールから移行するとき
見落とされやすく、かつ実害が大きいのがここです。別のメール配信ツールを使っていた会社がHubSpotに移るとき、配信停止の情報を持ってこないまま送り始めてしまうことがあります。
停止していた人に、また届いてしまいます
前のツールで「配信を止めてください」と言っていた人の情報は、HubSpot側には何も入っていません。連絡先の一覧だけを移して送信すると、止めたはずの人にまた届きます。
受け取った側から見れば、いったん止めたのに再開された、という体験になります。苦情の連絡が来ればまだましで、多くは黙って迷惑メール報告をします。それが積み上がると、止めていない人にも届きにくくなります。
移行の順番を逆にしないでください
順番はこうです。まず前のツールから配信停止者の一覧を書き出す。次に連絡先を取り込む。そのうえで、配信停止者のアドレスを「オプトアウトリスト」として取り込む。最後に送信を始める。
この取り込みは、通常のインポートとは別の入口が用意されています。すべての製品とプランで使えます。取り込まれたアドレスは配信解除済みとして扱われ、マーケティングメールの対象から外れます。なお、コンタクトとしては残るため、課金対象の件数には引き続き数えられます。
よくある失敗は、連絡先を取り込んだ直後に「せっかくだから1通送ってみよう」とテスト配信してしまうことです。この1通で、上の事故が起きます。停止状態を移すまでは、誰にも送らない。ここだけは守ってください。
書き出せないツールだった場合
前のツールから配信停止者の一覧が取り出せない、というケースもあります。その場合は、移行前の最後の配信で、受け取り続けるかどうかを一度確認しておくのが現実的です。
「配信の仕組みを変更します。引き続き受け取る方は、こちらから設定をお願いします」という案内を出し、返ってきた人だけを移す。件数は減りますが、届く相手だけが残ります。
数が減るのを嫌って全員を移すと、前の章で書いたとおり、配信停止は本人にしか戻せません。一度失った宛先は、こちらの操作では取り返せない。減らす判断のほうが、結果的に安全です。
まとめ
配信停止の解除は、仕組みを知っていれば迷いません。
- 配信停止はメールアドレスに紐づいています。コンタクトを削除して作り直しても解除されません。履歴を失うだけです
- 戻す原則は「本人に操作してもらう」。過去メールのフッター、または配信カテゴリーに紐づくフォームから。どちらもプランを問いません
- 配信再登録メールはProfessional以上。この機能のためだけに上げる必要はありません
- 管理者が更新できるのは手動オプトアウトの場合だけ。しかも法的根拠と同意の説明を記録する必要があります
- 予防は配信カテゴリーを3つに分けること。「全部止める」以外の選択肢を相手に渡します
まずは自社の配信カテゴリーが1つしかないかを確認してください。1つなら、そこが全停止を生んでいます。
よくある質問(FAQ)
コンタクトを削除して作り直せば解除されますか
されません。配信停止の状態はコンタクトのレコードではなく、メールアドレスに紐づいています。同じアドレスで作り直せば、そのまま停止の状態が適用されます。削除すると活動履歴や取引を失うだけなので、この操作は避けてください。
管理者側で配信停止を解除できますか
手動でオプトアウトした場合に限り、個別または一括で更新できます。本人がフッターなどから停止した場合は対象外です。また更新する場合も、連絡を行うための法的根拠と同意に関する説明を、コンタクトのレコードに記録する必要があります。
オプトアウトした人をリストに入れて送れませんか
できません。オプトアウトしたコンタクトを、HubSpotのユーザーが手動でリストに登録することはできない仕様です。抜け道を探しても見つからないので、本人に戻してもらう方法を検討してください。
メールアドレスを変えたら設定はどうなりますか
以前の設定は引き継がれません。配信停止はアドレスに紐づいているためです。ただし「送れる状態になる」ことと「送っていい」ことは別です。会社として配信を断られていたなら、担当者のアドレスが変わっただけで再開するのは筋が通りません。
配信停止された相手には何も送れませんか
止まるのはマーケティングメールです。個別のやりとりまで止まるわけではないので、取引に必要な連絡は通常のメールで行えます。必要な連絡まで止めてしまわないでください。
配信停止を減らすにはどうすればいいですか
配信カテゴリーを分けてください。1つしかないと、相手の選択肢は「全部受け取る」か「全部止める」の二択になります。お知らせ・お役立ち情報・イベント案内の3つ程度に分けると、全停止を選ばれる場面が減ります。あわせて、頻度を月1〜2通に抑えることも有効です。
参考にした公式ドキュメント
HubSpotは無料で始められます
コンタクト管理・フォーム・メール配信・商談管理を1つにまとめたCRMプラットフォームです。配信カテゴリーの設計や再登録用フォームの用意は、無料の範囲でも進められます。プランごとの違いと料金は公式サイトでご確認ください。