
メールを配信すると、必ず何件かは届きません。その中でも注意が必要なのがハードバウンスです。
公式ヘルプには、ハードバウンスしたコンタクトについて「HubSpotによってこれらのコンタクトが除外されます」と書かれています。以降、そのアドレスには届かなくなります。
そして、この状態を解除する機能は、Marketing HubまたはContent HubのProfessional以上です。無料版やStarterでは、自分で戻せません。
この記事では、2種類のバウンスの違いと、解除の条件、そして増やさないための運用を扱います。
先に結論:出してしまうと、戻すのが難しい
- ハードバウンスしたアドレスは、以降のメールから自動で除外されます。
- 解除できるのはProfessional以上。しかも、相手が有効だと確認できていることが条件です
- 3つ以上のアカウントでハードバウンスすると、全HubSpotアカウントで除外されます。自社の操作では戻せません
バウンスの種類を見る機能自体は、すべての製品とプランで使えます。
前提:ハードバウンスした相手は、自動で除外されます
公式には、ハードバウンスは「通常は永続的なエラーを示します」と書かれています。存在しないアドレス、閉鎖されたドメインなどが該当します。
そして、「HubSpotによってこれらのコンタクトが除外されます」と明記されています。次回以降、そのアドレスは配信の対象から外れます。
これは送信者を守るための仕組みです
届かないアドレスに送り続けると、受信側から「管理されていない送信者」と判断されます。その結果、届くはずの相手にも届かなくなります。
自動で除外されるのは、この連鎖を止めるためです。除外されたこと自体は、悪いことではありません。
ただし、永続的なエラーとは限りません
公式には、ハードバウンスが「厳格なEメールセキュリティーフィルターによって発生することもあります」とも書かれています。
つまり、生きているアドレスがハードバウンスになることがあります。大企業や官公庁のように、受信側のフィルターが厳しい相手で起こりやすい。
ここが厄介な点です。「届かない=存在しない」とは限らないのに、扱いは同じになります。
ハードバウンスとソフトバウンスの違い
2つの違いを整理します。
| ハードバウンス | ソフトバウンス | |
|---|---|---|
| 意味 | 通常は永続的なエラー | 一時的な問題 |
| 原因の例 | アドレスが存在しない | 受信側サーバーの不調 |
| 以降の扱い | 除外されます | 受信対象にできます |
| 対応 | 解除は条件つき | 様子を見る |
ソフトバウンスは放っておいて構いません
公式には、ソフトバウンスしたコンタクトは「今後のEメールの受信対象にできます」と書かれています。除外されません。
相手のサーバーが一時的に混んでいた、容量がいっぱいだった。こうした理由なので、次回は届く可能性があります。
ソフトが続くなら、別の問題です
ただし、同じ相手で何度もソフトバウンスが続く場合は、受信箱が放置されている可能性があります。配信を続けても読まれません。
数か月続くようなら、リストから外すか、別の連絡手段を探してください。
解除できるのはProfessional以上だけ
ここが、この記事でいちばん重要な制約です。
バウンスを解除して再び送れるようにする機能の対象は、公式ヘルプによるとMarketing Hub ProfessionalとEnterprise、Content Hub ProfessionalとEnterpriseです。
無料版とStarterでは、自分で戻せません
間違って取り込んだアドレスがハードバウンスした場合でも、下位プランでは解除の操作ができません。
この制約があるからこそ、バウンスを出さない運用がより重要になります。出してから直す道が、実質的に用意されていません。
解除には条件があります
Professional以上であっても、無条件に解除できるわけではありません。公式には、解除の前に次を確認する必要があると書かれています。
- 接続済みのEメール送信ドメインを使っていること
- そのアドレスから、有効であり受信を希望する旨の連絡を受け取っていること
- 受信者側のサーバーの問題が解決したことを確認していること
2つ目が重要です。相手から「届いていない」という連絡をもらってから解除するのが本来の順番です。こちらの判断だけで戻す機能ではありません。
件数が多いとサポート対応になります
公式には、次のいずれかに該当する場合はHubSpotサポートへの問い合わせが必要と書かれています。
月に1,000件以上、またはアカウント全体の2%以上を解除する場合。すでに一度解除したコンタクトの場合。そして、グローバルバウンスの場合です。
なお、操作にはスーパー管理者またはマーケティングEメールの権限が必要です。
グローバルバウンスという、もっと重い状態
ここは知らない人が多い仕組みです。
公式には、「3つ以上のHubSpotアカウントでハードバウンスが発生」した場合、グローバルバウンスとして扱われ、「全てのHubSpotアカウント上で以降のEメールから外されます」と書かれています。
自社以外の送信結果で決まります
つまり、他社が送ったメールの結果で、自社からも送れなくなるということです。
退職して使われなくなったアドレスなどは、複数の会社のリストに残っています。3社が送ってハードバウンスすれば、その時点で全体から外れます。
解除にはサポートが必要です
前述のとおり、グローバルバウンスの解除はサポートへの問い合わせが必要です。自社の画面だけでは完結しません。
この仕組みを知っておくと、「自分は何もしていないのに送れない」という状況の理由が分かります。
保留バウンスは72時間待ちます
もう1つ、間の状態があります。
公式には、保留バウンスについて「最大72時間にわたってEメールの送信を試みます。メッセージがその時間内に配信されなかった場合は、ソフトバウンスになります」と書かれています。
送信直後の数字は確定値ではありません
配信した直後にレポートを見て、届いた件数が少ないと不安になります。ただ、保留中のものが含まれています。
数字を見るのは、送信から3日後以降にしてください。直後の数字で判断すると、不要な対策を打つことになります。
バウンスを増やさないための3つ
解除が難しい以上、出さない運用が中心になります。
1. 古い名簿を一度に送らない
いちばん多い事故がこれです。何年も送っていない名簿に、一斉に送る。その瞬間に大量のバウンスが出ます。
対策は、新しい順に少しずつ送ることです。直近1年の相手から始めて、問題がなければ範囲を広げる。
2. 入力の時点で確認する
名刺を見ながら手で入力すると、打ち間違いが混ざります。ハイフンとアンダースコア、数字の0とアルファベットのO。
可能なら、相手にフォームから入力してもらう形が確実です。自分で入れたアドレスは、自分では間違いに気づけません。
3. 届かない相手を放置しない
ソフトバウンスが続いている相手を、そのまま送り続けない。いつかハードバウンスに変わります。
3回続いたら、いったんリストから外す。電話や郵送で連絡先を確認してから戻すほうが、結果的に早い。
バウンスが出たときの手順
実際にバウンスが出たあと、何をするか。順番を書きます。
- 3日待つ。保留中のものが確定するまで待ちます
- 種類を確認する。ハードかソフトかで対応が変わります
- ハードの件数を数える。全体の何割かを見ます
- 原因を見分ける。ドメイン単位でまとまっていないかを確認します
- 必要なら連絡する。重要な相手なら、別の手段で確認します
ドメイン単位でまとまっていたら、フィルターです
4つ目が重要です。同じ会社のアドレスばかりがハードバウンスしている場合、存在しないのではなく、受信側のフィルターが原因です。
この場合、アドレスは生きています。先方に電話して、迷惑メール設定を確認してもらってください。
重要な相手は、別の手段で確認する
取引先や進行中の商談相手がバウンスした場合、そのままにしないでください。その相手には、以降マーケティングメールが届きません。
個別のやりとりは通常のメールで続けられますが、案内が届かない状態が続きます。電話で確認して、必要なら解除の手続きを検討してください。
名刺や名簿から取り込むときの注意
バウンスの多くは、取り込みの段階で決まります。
取り込む前に、明らかなものを除く
取り込み用のファイルを開いて、アドレスの列を並び替えてください。空欄、記号だけ、明らかに形式がおかしいものが上下に集まります。
この作業は5分で終わります。取り込んでから直すより、はるかに速い。
「info@」ばかりの名簿は要注意
代表アドレス宛ばかりの名簿は、届いても読まれない可能性が高い。バウンスはしなくても、反応がありません。
それ自体は問題ではありませんが、開封されないことを前提に期待値を置いてください。数字が悪いのは文面のせいではありません。
購入した名簿は使わない
外部から購入したリストは、バウンス率が高く、苦情も出やすい。前述のとおり、それが積み上がると届くはずの相手にも届かなくなります。
そして、本人の同意なく取得した連絡先への配信は、法令上の問題にもつながります。判断に迷う場合は専門家に確認してください。
配信のたびに見る3つの数字
バウンスは、出てから慌てるより毎回の配信で傾向を見ておくほうが安全です。見るのは3つだけです。
率ではなく件数で見る
配信先が50件なら、1件バウンスしただけで2%です。率で見ると、少人数の配信は常に悪く見えます。
見るべきは実数です。先月2件だったものが今月10件なら、何かが変わっています。
増えたときは、直前に何をしたかを思い出す
名簿を追加した、宛先の条件を広げた、久しぶりの相手を含めた。バウンスが増える直前には、必ず何かをしています。
配信の設定を変えた日をメモしておくと、原因がすぐ分かります。1行で構いません。
ドメインの偏りは、最優先で見る
前の章でも触れましたが、同じ会社のアドレスに集中している場合は、受信側のフィルターが原因です。
この場合、そのまま放置するとその会社との接点が全部切れます。取引先なら、すぐ電話してください。
届かない状態を早く見つける方法
バウンスとして返ってこない「届いていない」もあります。迷惑メール扱いは、数字に出ません。
自分宛のテスト送信を、毎回1通入れる
配信のたびに、自社の業務用アドレスと、外部のフリーメールに1通ずつ入れてください。
受信箱に入るか、迷惑メールに入るか。これを毎回見ていれば、状態の変化に早く気づけます。
開封率が急に落ちたら、届いていない可能性
文面を変えていないのに開封率が半分になったら、読まれていないのではなく、届いていないことを疑ってください。
迷惑メール判定は、ある日から急に始まります。徐々に悪くなるのではなく、段差で落ちます。その形が見えたら、送信の設定を確認する合図です。
取引先に直接聞くのがいちばん早い
親しい取引先が1社あれば、「先週のお知らせ、届いていましたか」と聞いてください。迷惑メールフォルダを見てもらえば確定します。
数字を眺めて推測するより、はるかに速い。1本の電話で、何週間分の迷いが消えます。
退職・異動で起きるバウンス
日本の会社で特に多いのがこのパターンです。
担当者の異動で、アドレスが消えます
4月と10月に、まとめてバウンスが出ます。異動や退職でアドレスが閉じられるからです。
これは自社に問題があるわけではありません。ただ、放置すると件数が積み上がります。
配信のたびに、バウンスした相手を確認する
毎回数件のはずです。その会社の別の担当者を知っているなら、そちらに連絡して後任を教えてもらう。
この一手間が、既存顧客との接点を守ります。メールが届かなくなったことに、相手は気づきません。
代表アドレスを予備で持っておく
重要な取引先については、担当者個人のアドレスに加えて、代表アドレスも記録しておいてください。
担当者が代わっても、代表宛なら届きます。連絡が切れる事故を、これで防げます。
バウンスしたコンタクトを消すかどうか
最後に、判断が分かれるところを書きます。ハードバウンスした相手を、削除すべきかどうかです。
基本は消さないでください
消したくなる理由は2つあります。件数を減らしたい、請求の対象から外したい。どちらも、消す以外の方法があります。
件数については、リストの条件でバウンスした相手を除けば足ります。一覧に出したくないだけなら、消す必要はありません。
消すと、履歴も一緒に消えます
その相手とのやりとりの記録、過去の取引、商談の経緯。コンタクトを削除すると、紐づいていた履歴の参照が難しくなります。
メールが届かないことと、その会社との関係が終わったことは別です。担当者が代わっただけかもしれません。
本当に消すなら、先に書き出す
それでも整理したい場合は、削除の前にエクスポートしてください。会社名、担当者名、過去の取引。あとから必要になることがあります。
そして、消す前にもう一度考えてください。その会社に、別の担当者はいませんか。アドレスが死んでいるだけで、取引先としては生きていることがあります。
まとめ
ハードバウンスは、出さない運用が中心です。
- ハードバウンスしたアドレスは、以降のメールから自動で除外されます。
- 解除できるのはProfessional以上。しかも相手が有効だと確認できていることが条件です
- 3つ以上のアカウントでハードバウンスすると、全アカウントで除外されます。自社の操作では戻せません
- ソフトバウンスは除外されません。ただし続く場合は、読まれていない可能性があります
- 送信直後の数字は確定していません。保留は最大72時間です
古い名簿への一斉送信が、最大の原因です。新しい順に、少しずつ送ってください。
よくある質問(FAQ)
ハードバウンスした相手に、また送れますか
自動では送られません。解除の機能はMarketing HubまたはContent HubのProfessional以上が対象です。さらに、接続済みの送信ドメインを使っていること、そのアドレスが有効で受信を希望していると確認できていることなどが条件になります。
無料版でも解除できますか
できません。解除の機能は上位プランが対象です。だからこそ、下位プランほどバウンスを出さない運用が重要になります。
存在するアドレスなのにハードバウンスしました
起こり得ます。公式に、ハードバウンスは厳格なEメールセキュリティーフィルターによって発生することもあると記載されています。同じ会社のアドレスばかりがバウンスしている場合は、受信側のフィルターを疑ってください。
グローバルバウンスとは何ですか
3つ以上のHubSpotアカウントでハードバウンスが発生したアドレスです。この場合、全てのHubSpotアカウントで以降のメールから外されます。解除にはHubSpotサポートへの問い合わせが必要です。
ソフトバウンスは何もしなくていいですか
基本は様子を見て構いません。公式に、ソフトバウンスしたコンタクトは今後のメールの受信対象にできると記載されています。ただし同じ相手で何度も続く場合は、受信箱が放置されている可能性があります。
バウンスしたコンタクトは削除すべきですか
基本は消さないでください。一覧に出したくないだけなら、リストの条件で除けば足ります。削除すると、その相手とのやりとりの記録や過去の取引の参照が難しくなります。メールが届かないことと、その会社との関係が終わったことは別です。
取引先がバウンスしました。どうすればいいですか
放置しないでください。その相手には以降マーケティングメールが届きません。個別のやりとりは通常のメールで続けられますが、案内は届かない状態が続きます。同じ会社のアドレスが複数バウンスしている場合は、受信側のフィルターが原因の可能性が高いため、電話で確認してください。
送信直後にバウンスが多く見えます
保留中のものが含まれています。公式に、最大72時間にわたって送信を試み、その時間内に配信されなければソフトバウンスになると記載されています。数字を見るのは3日後以降にしてください。
参考にした公式ドキュメント
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