
BASEとSTORES。どちらも無料で始められるカートです。比べるときに見るのは、たいてい決済手数料の率だと思います。
ただ、率だけを並べても答えが出ませんでした。BASEには1注文あたり40円という固定の費用があり、STORESにはありません。
この違いのせいで、「月商いくらで有料プランに切り替えるべきか」という問いの答えが変わります。この記事では、両社の公式ページで確かめた数字から、その線を計算します。
無料プラン同士なら、STORESのほうが安い
まず、始めるときに選ぶ無料プラン同士を比べます。ここは計算するまでもなく差が出ました。
両社の公式の料金ページから、そのまま引きます。書き方がそろっていないので、並べてから足し算します。
BASEは決済手数料とサービス利用料を分けて書いていて、STORESは決済手数料にまとめています。この違いのせいで、パッと見の数字が比べられません。
BASE スタンダードプラン
初期費用 0円/月額費用 0円
決済手数料 3.6%+40円/サービス利用料 +3%
STORES フリープラン
月額 0円/月
決済手数料 5.5%〜
出典:BASE 公式料金ページ/STORES 公式料金ページ
足すと、差がはっきりします
BASEは決済手数料とサービス利用料が別に書かれているので、合計します。3.6%+3%で6.6%、これに1注文あたり40円が乗ります。
STORESのフリープランは5.5%です。固定の加算はありません。
率だけで1.1ポイント差があり、そこにBASEは40円が足されます。クレジットカード決済で比べる限り、無料プラン同士ではSTORESのほうが安くなります。
BASEには「1注文あたり40円」がある
この40円が、比較をややこしくしている正体です。率ではなく固定額なので、客単価が低いほど重くのしかかります。
同じ40円でも、売った金額によって意味が変わります。率に直してみると分かりやすくなります。
1万円の注文で40円なら、気になりません。1,000円の注文で40円なら、無視できない大きさになります。同じ金額でも、比率が10倍違うからです。
40円を率に直すと
客単価 1,000円 → 4.0%に相当
客単価 3,000円 → 約1.3%に相当
客単価 5,000円 → 0.8%に相当
客単価 10,000円 → 0.4%に相当
安い商品を扱う店ほど、効きます
客単価1,000円の店なら、BASEの実質的な負担は6.6%+4.0%で10.6%になります。STORESのフリープランは5.5%のままです。
客単価10,000円なら、BASEは6.6%+0.4%で7.0%。差は縮まりますが、それでもSTORESのほうが低いままでした。
アクセサリーや小物のように単価が低いものを扱っているなら、この40円は無視できない大きさになります。
「月商いくらで逆転」の話に抜けているもの
ここから、有料プランに切り替える線の話です。よく「月商◯万円を超えたら有料プランのほうが安い」という説明を見かけます。
その計算には、前提が1つ抜けていることがあります。BASEの場合、月商だけでは線が出ません。
理由は、さきほどの40円です。同じ月商30万円でも、1,000円の商品が300件売れたのか、10,000円の商品が30件売れたのかで、40円の合計が変わります。
月商30万円でも、これだけ違う
客単価1,000円 → 300件 → 40円×300=12,000円
客単価10,000円 → 30件 → 40円×30=1,200円
だから、月商と客単価を両方使います
同じ月商で、固定費の合計が10倍違う。この差を無視して「月商◯万円で逆転」と言うと、どちらかの店では答えが合いません。
一方でSTORESは固定の加算がないので、月商だけで線が出せます。 ここは計算が楽です。
以下、それぞれの線を出します。数字は公式ページから確認したもので計算していますが、実際の請求は端数処理などで前後します。目安として見てください。
STORESの逆転点は、月商だけで出せる
STORESから先に計算します。こちらは単純です。
公式ページによると、スタンダードプランは「月額 3,300円/月(税込)」で、決済手数料は「3.6%〜」。フリープランは月額0円で「5.5%〜」です。なお、月額3,300円は年間契約の場合で、月額契約なら3,960円(税込)と注記されていました。
固定の加算がないので、月額の差を率の差で割るだけで線が出ます。
計算
手数料の差:5.5% - 3.6% = 1.9%
3,300円 ÷ 1.9% = 約17万4,000円
月額契約(3,960円)の場合は、約20万8,000円
月商17万円あたりが目安になります
年間契約で考えるなら、月商が17万4,000円を超えたところでスタンダードプランのほうが安くなります。月商20万円なら、差は月に500円ほどです。
ただし、スタンダードプランには機能の違いもあります。公式ページには、有料機能としてPOSレジ連携、広告非表示、メルマガ機能が利用できると書かれていました。金額が拮抗しているなら、機能で決めるほうが早いと思います。
それから、年間契約には注意書きがありました。解約を申し出たあとも契約期間中は利用扱いとなり、途中解約による返金は発生しない、とされています。
BASEの逆転点は、客単価で動く
BASEの計算に移ります。公式ページによると、グロースプランは月額16,580円(年払いの1か月あたり)で、決済手数料2.9%、サービス利用料0円です。月払いなら19,980円と書かれていました。
スタンダードプランは6.6%+40円なので、率の差は3.7ポイント。ここに40円の分が加わります。
40円を率に直した値を足してから、月額を割ります。客単価ごとに計算したものを並べます。
客単価ごとの逆転点(年払いで計算)
客単価 1,000円 → 実質の差7.7% → 月商 約21万5,000円
客単価 3,000円 → 実質の差5.0% → 月商 約33万円
客単価 5,000円 → 実質の差4.5% → 月商 約36万8,000円
客単価 10,000円 → 実質の差4.1% → 月商 約40万4,000円
単価が低い店ほど、早く切り替える意味が出ます
客単価1,000円の店と10,000円の店では、切り替えの線が20万円近く違いました。単価が低いほど、40円の比重が大きいので、グロースプランに移る効果が早く出ます。
逆に単価が高い店は、月商40万円あたりまで引っ張っても大きくは損しません。月額16,580円は、売れていない月にも出ていきます。
それから、注意点が1つありました。公式ページの注記に、PAY IDアプリからの注文には1注文あたり決済手数料3.6%+40円とサービス利用料5.9%がかかり、BASEの手数料はかからない、とあります。グロースプランでもこの経路の注文は別の扱いになるので、その比率が高い店では計算が変わります。
決済手段によっても率が変わる
ここまではクレジットカードで計算しました。ただ、どちらのカートも決済手段によって率が変わります。
ここを見落とすと、計算した線が実際とずれます。とくにコード決済や後払いを入れている店では、差が出ます。
両社の注記を並べます。どちらも料金ページの下のほうに、小さく書かれている部分です。
両社の注記を並べます。
BASE
「決済方法がPayPay、Amazon Pay、PayPalの場合、決済手数料にシステム手数料相当額1%が加算されます」
STORES
「次の決済手段は、決済手数料がフリープランの場合6.5%、スタンダードプランの場合4.6%になります。対象決済手段:PayPal、あと払い(ペイディ)、atone(アトネ)、楽天Pay、PayPay残高、Amazon Pay、キャリア決済」
出典:BASE 公式料金ページ/STORES 公式料金ページ
PayPayが多い店は、計算し直します
BASEのスタンダードプランでPayPayを使われると、3.6%+1%+サービス利用料3%で7.6%、これに40円です。STORESのフリープランなら6.5%になります。
自分の店でどの決済手段が多いかは、注文の履歴から分かります。カード決済だけで計算していると、実際の負担とずれます。
それから、STORESの対象には「あと払い(ペイディ)」「atone」が含まれていました。後払いを入れる予定があるなら、この率で見ておいてください。
振込のしくみが、まったく違う
手数料の率とは別に、売上金の受け取り方も違いました。ここは運転資金に関わる部分です。
手数料は率の差なので、月に数千円の話になります。一方で入金の時期は、資金が回るかどうかの話です。金額が小さいうちは、こちらのほうが効きます。
BASEは申請する形、STORESは自動で振り込まれる形になっています。
BASEは申請する形、STORESは自動で振り込まれる形になっています。
BASE
「振込申請ごとに以下の【振込手数料】と【事務手数料】がかかります」
振込手数料:一律250円
事務手数料:2万円未満の場合500円/2万円以上の場合0円
STORES
「STORES ネットショップ の売上は、月末締め・翌月末払いで振り込まれます」
振込手数料275円を差し引いた入金額が10,000円以上の場合が対象
「手動での入金申請機能はありません」
出典:BASE 公式ヘルプ(2026年9月25日更新)/STORES 公式ヘルプ(2026年9月22日更新)。いずれも
2万円未満で申請すると、BASEは750円かかります
BASEは申請のたびに250円、しかも2万円未満だと事務手数料500円が加わります。合計750円です。 小刻みに引き出すと、ここで消えていきます。
2万円以上をまとめて申請すれば250円で済みます。売上が少ないうちは、ためてから申請するほうが有利です。
一方STORESは月末締めの翌月末払いで、手動の申請機能がありません。入金の時期を自分で選べないということです。売上が入るのは最長で2か月後になります。仕入れの支払いが先に来る商売だと、ここが効いてきます。
どちらを選ぶかの決め方
数字を並べたので、判断の順番をまとめます。金額だけで決められない部分があるので、そこも書きます。
まず、始めるときの話です。無料で始めるならSTORESのフリープランのほうが手数料は低くなります。 ただし、入金は翌月末までかかります。
手数料で選ぶか、入金の早さで選ぶか。ここが最初の分かれ目になります。自分の商売がどちらを必要としているかで決まります。
手数料を抑えたいなら
STORESのフリープラン。5.5%で固定の加算なし
早く現金化したいなら
BASE。手数料は高いが、自分のタイミングで申請できる
単価が低い商品なら
40円の比重が大きいので、STORES寄り。BASEを使うなら早めにグロースプランを検討する
ただし、URLは後から変えられません
手数料で選ぶ前に、確かめておくことがあります。どちらのカートも、ショップのURLを後から変えるのが難しい設計になっています。
BASEは公式ヘルプに「あとから変更できません」とあり、退会して新規登録することになります。STORESは変更できますが、オーダー履歴があるストアは対象外とされています。
つまり、1件でも売れたあとに乗り換えると、URLが変わります。この話は別の記事にまとめました。手数料の差より、こちらのほうが影響が大きい場面があります。
この記事で確認した料金のまとめ
両社の公式ページとヘルプで確かめた数字を並べ直します。計算は料金で行いました。
料金は変わります。切り替えを決めるときは、必ず公式ページで最新の数字を見てから計算し直してください。
このページを読んだ時点で、料金が変わっていることもあります。決める前に、各社の公式ページで計算し直してください。
それから、確かめられなかったことも書いておきます。とくに端数処理と税の扱いは、金額が大きくなるほど差が出る部分です。
無料プラン
BASE スタンダード:月額0円/決済手数料3.6%+40円/サービス利用料+3%
STORES フリー:月額0円/決済手数料5.5%〜
有料プラン
BASE グロース:月額16,580円(年払いの1か月あたり。月払いは19,980円)/決済手数料2.9%/サービス利用料0円
STORES スタンダード:月額3,300円(税込・年間契約。月額契約は3,960円)/決済手数料3.6%〜
逆転点(この記事での計算)
STORES:月商 約17万4,000円(年間契約の場合)
BASE:客単価1,000円で約21万5,000円、10,000円で約40万4,000円
確認できなかったこと
BASEの決済手数料の端数処理(STORESは「小数点以下を繰り上げ」と公式に記載あり)
BASEの手数料の率が税込か税別か(公式ページで「税込」と明記されているのは年払いの総額のみ)
STORESのコンビニ決済・銀行振込の率(表の結合セルのため単独の数値として確認できませんでした)
※BASEとSTORESの公式料金ページおよび公式ヘルプを確認したものです。料金は変わります。この記事の逆転点は確認した数字をもとにした計算であり、実際の請求額とは端数処理などで差が出ます。
よくある質問
結局、BASEとSTORESはどちらが安いですか
無料プラン同士で、クレジットカード決済で比べるなら、STORESのフリープランのほうが安くなります。BASEのスタンダードプランは決済手数料3.6%にサービス利用料3%が加わって6.6%、さらに1注文あたり40円がかかります。STORESのフリープランは5.5%で、固定の加算がありません。ただし、BASEは売上金を自分のタイミングで申請して引き出せるのに対し、STORESは月末締めの翌月末払いで手動の申請機能がありません。手数料だけでは決められない部分があります。
月商いくらで有料プランにすべきですか
STORESは月商が約17万4,000円を超えたところで、スタンダードプラン(年間契約)のほうが安くなります。BASEは客単価によって変わります。1注文あたり40円という固定の費用があるためで、客単価1,000円なら約21万5,000円、3,000円なら約33万円、10,000円なら約40万4,000円が目安です。同じ月商30万円でも、1,000円の商品が300件売れた場合の40円の合計は12,000円、10,000円の商品が30件なら1,200円と、10倍違います。
PayPayを使われると手数料は変わりますか
変わります。BASEの公式料金ページには「決済方法がPayPay、Amazon Pay、PayPalの場合、決済手数料にシステム手数料相当額1%が加算されます」とあります。STORESは「次の決済手段は、決済手数料がフリープランの場合6.5%、スタンダードプランの場合4.6%になります」として、PayPal、あと払い(ペイディ)、atone、楽天Pay、PayPay残高、Amazon Pay、キャリア決済を挙げています。自分の店でどの決済手段が多いかは注文履歴から分かるので、カード決済だけで計算しないでください。
売上金はいつ受け取れますか
仕組みが違います。BASEは振込申請をする形で、公式ヘルプには振込申請ごとに振込手数料一律250円がかかり、さらに事務手数料として2万円未満の場合500円、2万円以上の場合0円と書かれています。小刻みに引き出すと合計750円かかるので、2万円以上をまとめて申請するほうが有利です。STORESは「月末締め・翌月末払いで振り込まれます」「手動での入金申請機能はありません」とされていて、時期を自分で選べません。仕入れの支払いが先に来る商売では、ここが効いてきます。
あとから乗り換えられますか
乗り換えること自体はできますが、ショップのURLが変わります。BASEは公式ヘルプに「BASEでショップを開設するときに登録したURLは、あとから変更できません」とあり、退会して新規登録することになります。STORESはURLを変更できますが、オーダー履歴があるストアは対象外とされています。つまり1件でも売れると変えられません。手数料の差が月に数千円でも、URLが変わると検索結果もブックマークも作り直しになります。独自ドメインを最初から当てておくと、この問題は避けられます。
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