
届いた商品の色が、写真と違う。ネットショップをやっていると、いつか来る連絡だと思います。
直し方を調べると、撮影の話ばかり出てきます。ただ、先に確かめておく部分がありました。返品を受けるかどうかの決まりです。
この記事では、消費者庁の特定商取引法ガイドと景品表示法の条文、Google Merchant Centerのヘルプから引きます。撮り方の話は、そのあとにします。
「色が違う」は、写真だけの問題ではありません
連絡が来たとき、まず考えるのは対応のしかただと思います。返品を受けるか、受けないか。
ここは、その場の判断ではありませんでした。あらかじめ何を書いていたかで決まります。
そして、写真そのものについても、条文や公式の記述がありました。
順番に並べると、3つの層があります。どれも別の話なので、混ぜずに見ていくことになります。
3つの層
1. 返品を受けるかどうか(特定商取引法の返品特約)
2. 写真が実物と違いすぎないか(景品表示法の優良誤認表示)
3. どう撮れば近づくか(撮影と編集の手順)
3番目から手をつけると、時間がかかります
撮り方を直すのは大事ですが、いま来ている連絡には間に合いません。まず1番目を確かめて、次に2番目を見ます。
1番目は、商品ページを1か所開けば分かります。 書いてあるか、書いていないかだけです。
そのうえで、撮り方を直していく順番になります。この記事もその順で並べます。
返品できるかどうかは、特約を書いたかで決まります
消費者庁の特定商取引法ガイドに、通信販売の返品についての項目があります。法第15条の3です。
通信販売にはクーリング・オフの制度がない、と言われることがあります。ただ、条文の構造は少し違っていました。
原則として返品できる期間があり、そのうえで特約が優先される、という作りです。何も書かなければ原則が効きます。
そのまま引きます。
通信販売では、消費者が売買契約を申し込んだり、締結したりした場合でも、その契約に係る商品の引渡し(特定権利の移転)を受けた日から数えて8日以内であれば、消費者は事業者に対して、契約申込みの撤回や解除ができ、消費者の送料負担で返品ができます。もっとも、事業者が広告であらかじめ、この契約申込みの撤回や解除につき、特約を表示していた場合は、特約によります。
出典:消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売」
「特約によります」が効いてきます
最後の1文が、この記事の要点です。広告にあらかじめ特約を表示していれば、その特約が優先されます。
色が違うという理由での返品を受けないなら、その旨をあらかじめ書いておくことになります。 連絡が来てから決めるのでは、順番が違います。
逆に言えば、特約を書いていないなら、原則のほうが適用されます。その場合は、引渡しを受けた日から8日以内であれば返品されることになります。
特約がないと、8日以内は返品されます
原則のほうをもう一度見ておきます。8日以内であれば、消費者は契約申込みの撤回や解除ができる、とされています。
そして、送料についても書かれていました。消費者の送料負担で返品ができる、という部分です。
返品そのものは受けることになりますが、送料は買った側が持つ形になります。
この媒体の別の回で、返品の表示は広告で省略できない項目だと書きました。
返品についての表示
特約を書いていない場合:引渡しを受けた日から8日以内は返品できる(送料は消費者負担)
特約を書いている場合:その特約による
返品に関する事項(可否・期間等の条件・送料負担の有無)は、広告の表示事項として省略できない項目に入っている
出典:消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売」
書いていないつもりで、書いてあることもあります
カートによっては、特商法表記の欄に返品についての初期の文言が入っていることがあります。自分で書いた覚えがなくても、何か表示されている場合があります。
そこに書いてある内容が、いまの自分の運び方と合っているか。色が違うという連絡を受けたときに、その文言どおりに動けるかどうかです。
個別の判断は専門家に確認してください。ここに書いたのは、ガイドに並んでいる内容を整理したものです。
加工でよく見せると、別の問題になります
写真のほうにも、条文が関係してきます。景品表示法です。
この法律の第5条に、不当な表示の禁止という規定があります。第1号が、いわゆる優良誤認表示にあたる部分でした。
長い条文ですが、前半だけ引きます。どこに線が引かれているかが分かる部分です。
キーになるのは「著しく」という言葉でした。この1語があるかないかで、読み方が大きく変わります。
商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し(中略)、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
出典:不当景品類及び不当表示防止法 第5条第1号(e-Gov法令検索。条文の一部を省略して示しています)
少し違うことと、著しく違うことは別です
条文には「著しく優良であると示し」とあります。少しでも違えば当たる、という書き方ではありません。
ただ、彩度を上げて実物より鮮やかに見せる、色そのものを変える。こういう加工は、実物と離れていく方向です。
この媒体では、加工より撮影の段階で合わせるほうがよいと繰り返し書いています。理由は手間の話だけではなく、ここにもありました。
Googleも「正確に表示」と書いています
広告や無料リスティングに出す場合は、もう1つ条件がありました。Google Merchant Centerのヘルプです。
画像の最小要件のところに、商品の表示についての記述があります。
演出についての言い方も含めて、短い1文でした。広告や無料リスティングに出すなら、この1文が条件になります。
色についても、この中に含まれる読み方になります。
そのまま引きます。
商品全体を正確に表示し、演出は最低限または一切含まれないようにします。
出典:Google Merchant Center ヘルプ「商品画像リンク [image_link]」
色についての直接の記述は見つけられませんでした
このページを読み直しましたが、色を正確に出すことについての独立した項目は見つけられませんでした。正確に表示する、という一般的な言い方にとどまります。
同じページには、単色で塗りつぶした画像を使わないことや、宣伝要素を入れないことなど、具体的な禁止は並んでいます。色の再現については、そこまで細かく書かれていませんでした。
この媒体では、画像の要件を別の回でまとめています。あわせて確かめてください。
なぜ色が変わるのか
ここからは公式の記述ではなく、自分で試して整理した内容です。撮影と編集の話になります。
同じ商品でも、写る色が変わる理由は、たいてい光の色でした。
部屋の照明が電球色なら、白い紙も黄色く写ります。曇りの日の窓辺なら、少し青く写ります。
カメラは自動で補正しますが、補正しきれないことがあります。とくに、光が2つ以上混ざっているときでした。
色が変わる原因(自分で整理したもの)
照明の色:電球色だと黄色く、曇天だと青く写る
光が混ざる:窓の光と部屋の照明が同時に当たると、場所ごとに色が変わる
まわりの色:色のついた壁や机の反射が、商品に乗る
※ここは公式の記述ではなく、自分で試して整理した内容です
照明を消してみると、はっきりします
いちばん起きやすいのが、2つ目の光が混ざる場合でした。窓の横で撮っているのに、天井の照明もついている状態です。
片方を消して撮り比べると、違いが分かります。どちらか1つの光だけで撮るほうが、色は安定しました。
この媒体では、窓の光を横から当てる撮り方を別の回で書いています。そのとき、部屋の照明は消す前提になります。
白い紙を1枚、一緒に写します
ここも自分で試した手順です。色を合わせるときに、基準になるものが要ります。
使うのは、白い紙です。コピー用紙でかまいません。
商品の横に置いて、1枚撮っておきます。商品を撮るついでなので、手間はほとんどかかりません。
この1枚が、あとで効いてきます。撮ったときの光が、どんな色だったかの記録になるからです。
白い紙を使う手順
1. 商品の横に白いコピー用紙を置いて、1枚撮る
2. 紙をどけて、商品だけをそのまま撮る(設定を変えない)
3. あとで1枚目を見て、紙が白く写っているかを確かめる
4. 黄色いなら暖かみを下げ、青いなら上げる。2枚目に同じだけ当てる
※ここは公式の記述ではなく、自分で試した手順です
目で見た色は、あてになりません
人の目は、光の色にすぐ慣れます。電球の下にいると、しばらくで白い紙が白く見えてきます。
撮った写真を別の場所で見ると、黄色さに気づきます。 撮っているその場では分かりにくい部分でした。
だから、白い紙を写真の中に入れておきます。あとで見たときに、ずれているかどうかが分かります。
編集で直すときの順番
撮り直せない写真もあります。在庫が出てしまった、季節が終わった、という場合です。
そのときは編集で近づけることになりますが、触る順番がありました。
先に明るさを合わせてから、色に手をつけます。暗い写真のまま色を見ても、判断が定まりません。
逆にすると、やり直しになります。ここは何度か失敗して覚えた順番でした。
編集で直す順番(自分で試した手順)
1. 明るさを合わせる(暗いまま色を触ると、判断を間違えます)
2. 白いはずの部分が白くなるまで、色味を動かす
3. 商品の色を見る。ここで彩度は上げない
4. 実物を横に置いて、画面と見比べる
彩度は、上げないでおきます
鮮やかにすると、見栄えはよくなります。ただ、それは実物から離れる方向でした。
さきほどの条文でいえば、実際のものよりよく見せる方向です。「色が違う」という連絡を減らしたいなら、逆の操作になります。
この媒体では、撮影の段階で色が合っていることのほうが大事だと別の回でも書きました。加工で足せるのは明るさまでで、色そのものは戻せません。
見る側の画面でも変わります
ここまでは、こちら側でできることでした。ただ、こちらで完璧に合わせても、変わる部分が残ります。
見る人の画面です。スマートフォンの機種や設定によって、同じ画像が違う色で表示されます。
画面の明るさや、周囲の光の色に合わせる機能もあります。使っている人が意識していないことも多い設定です。
ここは、こちらでは決められない部分でした。
こちらで決められない部分
見る人の画面の種類と設定
見ている場所の明るさと、光の色
※ここは公式の記述ではなく、自分で整理した内容です
だから、言葉でも書いておきます
画面の違いをこちらで消すことはできません。できるのは、そういうことがあると伝えておくことでした。
商品ページに1行入れておくと、連絡が来たときの話が早くなります。写真は実物に近づけていること、それでも画面によって見え方が変わることの2つです。
ただし、これは免責の文言ではありません。返品を受けるかどうかは、さきほどの特約のほうで決まります。
商品ページに書いておくこと
ここまでを踏まえて、商品ページに何を書くかを整理します。ここも自分で整理した内容です。
色について書くことは、大きく2つでした。実物に近づける努力をしていることと、それでも差が出ることです。
そして、返品の条件は別に書きます。こちらは特商法に基づく表記のほうに入る項目でした。
混ぜないほうが、読む側にも分かりやすくなります。
書き分ける内容
商品ページ:どんな光で撮ったか、画面によって見え方が変わること
特商法に基づく表記:返品の可否、期間、送料の負担
※返品の条件は、広告の表示事項として省略できない項目に入っています
色の名前も書いておきます
写真だけで色を伝えようとすると、画面に左右されます。文章で「くすんだ青緑」「黄みの強いベージュ」のように書いておくと、判断の材料が増えます。
布なら、生地の名前や織り方も書けます。写真が1つしかない情報源だという状態を減らすのが、いちばん効きました。
この媒体では、商品ページの構成を別の回で扱う予定です。色の説明も、そこに入る項目になります。
まとめと、確認できなかったこと
確かめた内容を並べ直します。条文と公式のヘルプから引いたものです。
そして、確かめられなかったことも書きます。スマートフォンのカメラの色についての公式の説明は、開けませんでした。目次までは見えているのに、本文にたどり着けない形でした。
法令の運用は変わります。とくに返品の条件は、書いた時点のものが効いてきます。個別の判断は専門家に確認してください。
確かめたこと
通信販売では、特約を表示していなければ引渡しから8日以内は返品できる(消費者の送料負担)
あらかじめ特約を表示していた場合は、特約による
景品表示法 第5条第1号は「実際のものよりも著しく優良であると示し」た表示を禁じている
Google Merchant Centerのヘルプには「商品全体を正確に表示し、演出は最低限または一切含まれないようにします」とある
確認できなかったこと
iPhoneのユーザガイドに「Appleリファレンス画像を使って、検証可能な写真を撮る」という項目があることは目次で確認できましたが、本文を開けませんでした
Androidのカメラの色についての公式の説明
Google Merchant Centerに、色の再現についての独立した要件があるかどうか。今回は見つけられませんでした
色の違いを理由とする返品が、どの程度で「著しく」にあたるかの線引き
※消費者庁 特定商取引法ガイド・e-Gov法令検索・Google Merchant Center ヘルプを確認したものです。運用は変わります。個別の判断は専門家に確認してください。
よくある質問
色が違うという理由の返品を断れますか
あらかじめ広告に特約を表示していたかどうかによります。消費者庁の特定商取引法ガイドには「通信販売では、消費者が売買契約を申し込んだり、締結したりした場合でも、その契約に係る商品の引渡し(特定権利の移転)を受けた日から数えて8日以内であれば、消費者は事業者に対して、契約申込みの撤回や解除ができ、消費者の送料負担で返品ができます。もっとも、事業者が広告であらかじめ、この契約申込みの撤回や解除につき、特約を表示していた場合は、特約によります」とあります。連絡が来てから決めるのではなく、先に書いておく形になります。個別の判断は専門家に確認してください。
写真を鮮やかに加工してもいいですか
程度によります。景品表示法 第5条第1号は、商品の品質や内容について「一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し」た表示などを禁じています。「著しく」という言葉が入っているので、少しでも違えば当たるという書き方ではありません。ただ、彩度を上げて実物より鮮やかに見せるのは、実物から離れていく方向です。Google Merchant Centerのヘルプにも「商品全体を正確に表示し、演出は最低限または一切含まれないようにします」とあります。
どうすれば実物に近い色で撮れますか
ここは公式の記述ではなく、自分で試した手順です。まず、光を1種類にします。窓の光で撮るなら、部屋の照明を消します。次に、商品の横に白いコピー用紙を置いて1枚撮っておきます。あとでその1枚を見て、紙が白く写っているかを確かめます。黄色ければ暖かみを下げ、青ければ上げて、同じだけ商品の写真にも当てます。目は光の色に慣れてしまうので、撮っているその場では気づきにくい部分でした。
「画面により色が異なります」と書いておけば大丈夫ですか
書いておくこと自体は、説明として役に立ちます。ただ、それで返品を断れるかは別の話です。返品の可否は、広告にあらかじめ表示した特約によって決まります。返品に関する事項(可否、期間等の条件、送料負担の有無)は、広告の表示事項として省略できない項目に入っています。色の説明と、返品の条件は、分けて書いておくほうが読む側にも分かりやすくなります。
撮り直せない商品はどうしますか
編集で近づけることになります。順番としては、先に明るさを合わせてから色に手をつけます。暗いまま色を触ると、判断を間違えやすいためです。白いはずの部分が白くなるまで色味を動かし、そのあとで商品の色を見ます。ここで彩度を上げないでください。鮮やかにすると見栄えはよくなりますが、実物から離れる方向です。あわせて、文章で色の名前を書いておくと、写真だけに頼らずに済みます。
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