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AI画像生成で副業は成立するか|国内大手の取扱い停止と、著作権で押さえる3点

液晶タブレットとペンで絵を描いている手元

「AIで画像を作って売る」は、副業の入口としてよく紹介されます。道具は無料でそろいますし、1枚あたりの制作時間も短い。数を出せば売れそうに見えます。

ところが、この1年で状況が変わりました。国内最大手のストックフォトサイトが、AI生成素材の取り扱いを停止しています。2026年5月22日をもって、該当する作品は販売停止になりました。

この記事では、実際にいま何が起きているのかを公式の発表で確認したうえで、売る場所ごとに条件がどう違うかと、著作権まわりで最低限おさえる3点を整理します。文化庁の見解も、原文にあたって引用します。

結論を先に書くと、「AI画像を量産して売る」という形は、少なくとも国内のストック素材の市場では成立しにくくなっています。ただ、AIを画像制作の一部の工程に使うという形なら話は別です。この線引きを最後に書きます。

※本記事の各社の規約・公的資料は公式ページで確認したものです。この分野は方針の変更が特に速いため、実際に出品する前にご自身で最新の内容をご確認ください。


まず起きたこと:国内大手が取り扱いを停止した

ストックフォトサイトのPIXTAは、2026年4月14日付で、AI生成素材の取り扱いを停止すると発表しました。

発表された日程

できごと 日付
お知らせの公表 2026年4月14日
新規の審査申請の受け入れ終了 2026年4月20日(月)
販売中のAI生成コンテンツの販売停止 2026年5月22日(金)
出典: PIXTA「AI生成画像・動画素材の取扱い停止に関するお知らせ」

「AIチェックボックス」にチェックが入っていた作品が、5月22日にすべて販売停止になりました。つまり、それまで販売していた人も、その日を境に収入が止まっています。

停止の理由として書かれていること

お知らせには、理由が3つ挙げられています。

購入者様側のニーズや購入者様が求めるAI生成コンテンツとのマッチングが困難な状況

生成AIによらない、クリエイター会員の皆様が自ら撮影・制作したコンテンツが従前以上に購入者様に求められている

AI生成コンテンツのコスト増加に伴いこのままAI生成コンテンツを維持するなら各コンテンツの販売価格を上昇させなければならなくなること

注目したいのは2つめです。「自ら撮影・制作したコンテンツが従前以上に求められている」と書かれています。買う側が、AIで作られたものよりも、人が撮ったものを選ぶ方向に動いている、ということです。

これは規約が厳しくなったという話ではなく、需要のほうが変わったという話です。だから、別のサイトに移れば解決するとは限りません。

「AI加工」の線引きも明確になっている

同じPIXTAのガイドラインでは、販売できないAIの使い方が具体的に挙げられています。

  • フル生成 — プロンプト等に基づきAIがゼロから生成したもの
  • 画像変換 — 既存画像をAIに読み込ませ、別の造形や画風に変換・修正したもの
  • 構成要素の合成 — 画像の一部にAI生成物を使用・合成したもの

3つめが重要です。「一部に使う」のも対象になっています。自分で撮った写真の背景だけAIで足す、といった使い方も含まれます。

出品する場所を選ぶときは、「AI生成はOKか」ではなく、「どこまでをAI生成とみなすか」まで確認してください。ここの線が各社で違います。

売る場所によって、条件はまったく違う

「AI画像を売る」と一口に言っても、売り先は何種類もあります。そして、条件が揃っていません。

売り先ごとに、確認すべきことが違う 「AIで作った画像を売る」は、同じ言葉で4つの違う商売を指している ① ストック素材サイトに出品する AI生成の可否そのものを確認する。国内大手は取り扱いを停止した ② 個人向けの販売サイトで直接売る サイトごとに方針が分かれる。表示義務の有無を確認する ③ 依頼を受けて納品する 発注側のルールが最優先。使ってよいかを応募前に確認する ④ 自分の制作物の一工程に使う 下書き・案出し・素材の下ごしらえ。ここは作業時間が実際に減る

①〜③は「AIで作ったものを商品にする」形です。ここは各社の方針しだいで、いつ止まってもおかしくありません。実際に止まりました。

④だけ性質が違います。商品はあくまで自分の制作物で、AIは工程の一部を担うだけです。この形なら、方針が変わっても商品そのものは残ります。

著作権まわりで、最低限おさえる3点

ここは推測で書くと危ないので、文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」から原文を引きます。

① AI生成物に著作権が発生するかは、使い方で変わる

「AIが作ったものには著作権がない」と単純に言い切られることがありますが、正確ではありません。文化庁の資料では、判断に影響する要素が整理されています。

試行回数が多いこと自体は、創作的寄与の判断に影響しないと考えられる。他方で、①と組み合わせた試行、すなわち生成物を確認し指示・入力を修正しつつ試行を繰り返すといった場合には、著作物性が認められることも考えられる。

単なる選択行為自体は創作的寄与の判断に影響しないと考えられる。

また、人間が、AI生成物に、創作的表現といえる加筆・修正を加えた部分については、通常、著作物性が認められると考えられる。

出典: 文化庁「AIと著作権に関する考え方について」

実務に落とすと、こうなります。

やり方 著作物性の考え方
プロンプトを入れて、出てきたものをそのまま使う 回数を重ねても、それだけでは判断に影響しない
たくさん生成して、良いものを選ぶ 単なる選択だけでは判断に影響しない
出てきたものを見て指示を直し、また試す、を繰り返す 著作物性が認められることも考えられる
出てきたものに、創作的表現といえる加筆・修正を加える その部分は通常、著作物性が認められる

下の2つが、実務上の分かれ目です。「作らせて選ぶ」だけだと、自分の著作物とは言いにくい。手を入れた部分については話が変わります。

② 既存の作品を認識して似せたら、侵害になりうる

ここが、いちばん事故が起きやすいところです。

生成AIを利用した場合であっても、AI利用者が既存の著作物(その表現内容)を認識しており、生成AIを利用して当該著作物の創作的表現を有するものを生成させた場合は、依拠性が認められ、AI利用者による著作権侵害が成立すると考えられる。

つまり、特定の作品や作風を知ったうえで、それに似せるよう指示して生成した場合は、侵害が成立しうるということです。「AIが勝手に出した」という説明は通りません。

具体的に避けるべき指示は、次のようなものです。

  • 特定の作品名を挙げて「〜のような」と指示する
  • 特定の作家名・イラストレーター名を挙げて画風を指定する
  • 既存の画像を読み込ませて、それをもとに変換する
  • 実在の人物の顔を再現しようとする

同じ資料には、侵害となった場合に何が起きるかも書かれています。

当該既存の著作物の著作権者は、生成物の生成行為や利用行為が、既存の著作物の著作権侵害に当たるとして、当該行為の差止請求や損害賠償請求を請求し得る。また、故意による著作権侵害に対しては、刑事罰の適用があり得る。

差止め、損害賠償、そして故意の場合は刑事罰。副業の収入と釣り合うリスクではありません。

③ 売る人が責任を負う

販売プラットフォーム側は、たいてい規約で責任の所在を明示しています。PIXTAのガイドラインにも、こう書かれています。

素材の品質、権利(著作権、肖像権、知的所有権など)、タグの正誤性に関しては、クリエイター自身で担保するものであり、問題がある素材が購入・使用された場合、PIXTAでは一切責任を負いかねます

出典: PIXTA「販売素材ガイドライン」

「サイトの審査を通ったから大丈夫」ではありません。審査を通っても、権利の担保は出品者の責任です。

では、AIをどこに使うか

ここまで読むと「AIで画像を作る副業はもう無理」と思われるかもしれませんが、そうではありません。商品にするのをやめて、工程に使うという形が残ります。

時間が実際に減る4つの使い方

使い方 何が減るか 納品物への影響
案出し・ラフ 構図やレイアウトの叩き台を作る時間 成果物には残らない
不要物の除去・補正 写真の細かい修正に使う時間 元は自分で撮った写真
サイズ違いの書き出し 同じ画像を各媒体向けに作り直す時間 元画像は同じ
説明文・タグの下書き 1枚ごとにキーワードを考える時間 画像そのものではない

ポイントは、上の3つは「納品する画像そのものをAIが作っていない」ことです。出品先のAI生成の判定にかかりません。

ただし、2番目の「不要物の除去・補正」は要注意です。前述のとおり、PIXTAは「画像の一部にAI生成物を使用・合成したもの」も販売不可としています。消すだけなのか、消して何かを足しているのか、で扱いが変わる可能性があります。出品する予定があるなら、その場所のガイドラインで「どこまでを加工とみなすか」を必ず確認してください。

4つめが、いちばん効く

意外に思われるかもしれませんが、実務でいちばん時間を食うのは画像を作る工程ではなく、1枚ずつ説明文とキーワードを付ける工程です。

100枚出品するなら、100回この作業が発生します。1枚3分でも300分です。

ここはAIに任せられます。ただし、そのまま使わないでください。事実と違うタグを付けると、前述の「タグの正誤性」の責任に関わります。出てきた候補から選んで、違うものを消すという使い方にしてください。

出品先の規約を、どこから読むか

「規約を確認してください」と言われても、規約は長いです。どこを見ればいいかを先に決めておくと、5分で済みます。

探す言葉を決めておく

規約やヘルプのページで、次の言葉を検索してください。ブラウザの検索機能(WindowsはCtrl+F、Macは⌘+F)で足ります。

検索する言葉 わかること
「生成AI」「AI生成」 そもそも受け付けているか
「申告」「チェック」「ラベル」 出品時の申告が必須か
「加工」「編集」「合成」 どこまでをAI生成とみなすか
「責任」「担保」「補償」 権利の問題が起きたとき誰が負うか
「肖像」「モデルリリース」 人物が写る場合の必要書類

3つめが、いちばん見落とされます。「AI生成はOK」と書いてあっても、その定義が自分の作り方と合っているとは限りません。

更新日を必ず見る

規約のページには、たいてい最終更新日が書かれています。1年以上更新されていない規約は、いまのAIの状況を想定していない可能性があります。

その場合、規約に書かれていないからといって「OK」とは限りません。問い合わせて確認するほうが確実です。実際、この1年でルールを新設・変更したサービスは多く、PIXTAのように取り扱いそのものを停止した例もあります。

問い合わせるときの書き方

迷ったら聞いてしまうのが早いです。ただ「AIで作った画像は売れますか」だと、一般論の返信が来て終わります。

自分の作り方を具体的に書いて聞いてください。

自分で撮影した写真をもとに、背景の不要物をAI機能で除去した画像を出品したいと考えています。この場合、AI生成素材として申告が必要でしょうか。また、販売可能な範囲に含まれますか。

この粒度で聞けば、自分のケースに対する答えが返ってきます。そして、そのやり取りは保存しておいてください。後から方針が変わったときに、いつ何を確認したかの記録になります。

これから始めるなら、確認する順番

順番を間違えると、作ってから売れないことがわかります。

  1. 売る場所を決めて、その規約を先に読む。「AI生成の可否」と「どこまでをAI生成とみなすか」の2つを見る
  2. その場所が需要のある場所かを見る。規約でOKでも、買い手がいなければ意味がありません。PIXTAの停止理由の2つめは、まさにこの話です
  3. 1枚だけ作って、審査に出す。100枚作ってから出すと、方針に合わなかったときの損失が大きい
  4. 通ったら、同じ手順で数を増やす。ここで初めて効率化を考える
  5. 定期的に規約を見直す。この1年の変化を見ると、半年に1回では足りないかもしれません

3番目を飛ばす人が多いのですが、ここを飛ばすとまとめて無駄になります。まず1枚です。

画像を扱うときに合わせて見ておく記事を挙げます。配布元の条件の読み方はAI画像の「使ってよい素材」を見分ける、規約で踏みやすい線は生成AIの規約違反になりやすい使い方です。動画の中で画像を使う手順はAIショート動画で副業する手順に分けて書いています。

まとめ

AI生成画像を「商品として売る」形は、国内のストック素材市場では成立しにくくなっています。PIXTAは2026年4月14日に取り扱い停止を発表し、5月22日に販売を停止しました。理由の1つとして、自ら撮影・制作したコンテンツのほうが求められている、と明記されています。

著作権まわりで最低限おさえるのは3点です。

  1. 著作物性は使い方で変わる。「たくさん作って選ぶ」だけでは判断に影響しない。生成物を見て指示を直しながら繰り返す、加筆・修正を加える、といった関わり方が要素になる
  2. 既存の作品を認識して似せたら、侵害が成立しうる。作品名・作家名を挙げた指示、既存画像の変換は避ける。差止め・損害賠償・故意なら刑事罰
  3. 権利の担保は出品者の責任。審査を通っても、プラットフォームは責任を負わない

そのうえで、AIは商品そのものではなく工程に使うほうが、方針の変更に振り回されません。特に、説明文とキーワード付けは枚数ぶん効いてきます。

AIで作った成果物を扱うときの考え方は、AIでブログ記事を書く手順とも共通します。工程を分けて、人が触る場所を決める。やっていることは同じです。

よくある質問

海外のストックサイトなら売れますか?

サイトによって方針が違うので、一律には言えません。確認するときは「AI生成素材を受け付けるか」だけでなく、「申告が必須か」「モデルリリースの扱いはどうなるか」「どこまでをAI生成とみなすか」まで見てください。ただ、PIXTAが挙げた停止理由の1つは規約ではなく需要の変化でした。受け付けているサイトでも、買われるかどうかは別の問題として見る必要があります。

自分で撮った写真をAIで補正するのは大丈夫ですか?

出品先によります。PIXTAは「画像の一部にAI生成物を使用・合成したもの」を販売不可としているので、補正の内容によっては対象になります。単に明るさを調整するのと、消した部分をAIが描き足すのとでは、意味が違います。出品予定のサイトのガイドラインで、加工の線引きを確認してください。迷う場合は、審査に出す前に問い合わせるのが確実です。

「〜風」の指示なら大丈夫ですか?

作家名や作品名を挙げて「〜風」と指示するのは避けてください。文化庁の資料では、既存の著作物を認識したうえでその創作的表現を有するものを生成させた場合、依拠性が認められると整理されています。「風」と付けたから別物になる、という理屈は通りません。画風そのものはアイデアの領域とされることもありますが、判断が分かれる領域にわざわざ踏み込む必要はありません。

AI生成物であることを、購入者に伝える義務はありますか?

法律上の一律の義務としては定められていませんが、プラットフォームの規約で申告が求められることが一般的です。PIXTAにも「AIチェックボックス」がありました。申告せずに出品すると、規約違反として削除やアカウント停止の対象になりえます。伝えるかどうかは自分で判断する話ではなく、出品先のルールに従う話です。

AIで作ったイラストを、自分のブログやSNSに使うのは問題ないですか?

販売ではなく自分の発信に使う場合でも、著作権侵害の考え方は同じです。既存の作品を認識して似せたものは、公表した時点で問題になりえます。逆に、特定の作品を参照していない自分用の挿絵であれば、通常は問題になりません。実在の人物の顔を生成しないこと、既存画像を読み込ませて変換しないこと。この2つを守っていれば、大きな事故は避けられます。

結局、AI画像で副業するのは無理ということですか?

「AI画像を量産して売る」形は厳しくなっています。ただ、それはAIの使いどころを間違えているだけかもしれません。この記事で挙げた4つめ、自分の制作物の工程にAIを使う形なら、方針が変わっても商品そのものは残ります。案出し、補正、書き出し、説明文の下書き。ここで浮いた時間を作品そのものに戻す、というのが現実的な形です。

作る前に、売る場所の規約を読む

この分野は方針の変更が特に速く、1年で前提が変わりました。出品を考えているなら、まず最新のガイドラインを確認してください。

PIXTAのAI加工ガイドラインを見る

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