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ワンルーム投資「やめとけ」の根拠|出口の価格を入れて収支を計算し直す【2026年版】

入居者のいないワンルームの室内。ワンルーム投資の収支を数字で検証する

「ワンルーム投資 やめとけ」という検索が、毎月一定数あります。一方で、新築のワンルームマンションを勧める電話は今も鳴り続けています。どちらが正しいのかを、感想ではなく数字で確かめるのがこの記事の目的です。

先に結論を書きます。問題は「毎月の収支がプラスかマイナスか」ではありません。出口、つまり売るときにいくらになるかを計算に入れていないことです。毎月わずかにプラスでも、売却時に数百万円の持ち出しになれば、通算では損失になります。逆に毎月マイナスでも、出口で回収できるなら成り立ちます。

この記事では、独立行政法人国民生活センターが公表している相談データと、国税庁のタックスアンサー、そして国土交通省の不動産情報ライブラリの実データだけを使って、新築区分ワンルームの収支を計算します。営業資料の「シミュレーション」ではなく、公的な数字から組み立てます。

結論:「やめとけ」の正体は、出口の価格を計算に入れていないこと

営業資料に載っていない3つの数字

新築ワンルームの提案書には、たいてい次のような表が載っています。家賃収入、ローン返済額、管理費・修繕積立金、そして「月々の持ち出しは数千円」。この表自体に嘘はありません。問題は、載っていないものです。

載っていないのは、主に3つです。1つめは家賃が下がること。新築時の家賃は「新築プレミアム」を含んでおり、最初の入居者が退去した後は下がるのが通常です。2つめは空室の期間。入居率100%を前提にした表は、現実の運用と一致しません。3つめが最も大きく、売るときの価格です。

この3つを入れると、表の見え方が変わります。以下、それぞれを公的データで確認していきます。

結論:判断軸は「通算でいくら残るか」

投資の良し悪しは、月次のキャッシュフローではなく、保有期間を通じた通算で決まります。式にすると単純です。

通算損益 =(家賃収入の累計 - 経費と返済の累計)+(売却価格 - 売却時のローン残債 - 売却費用)- 自己資金

前半が運用期間の収支、後半が出口です。新築ワンルームで問題になるのは、ほぼ例外なく後半です。購入直後に中古になり、次に売るときは中古価格で評価されるためです。

以下、この式の各項目を、公的な数字で埋めていきます。まず、そもそもどういうトラブルが起きているのかを、国が公表しているデータで確認します。

国が公表している、投資用マンションの相談の中身

20歳代の相談が5年で2.5倍

独立行政法人国民生活センターは2019年3月28日、「20歳代に増える投資用マンションの強引な勧誘に注意!-マンションへの投資にはリスクがあり、必ず儲かるわけではありません-」という資料を公表しています。全国の消費生活センターに寄せられた相談を集約したPIO-NETというデータベースに基づくものです。

この資料によれば、投資用マンションの相談件数は全体としては減少傾向にあるにもかかわらず、20歳代は2013年度の160件から年々増加し、2018年度(2019年2月28日時点)は405件と2.5倍に増えました。そして実際に契約してしまってからの相談が多いと指摘されています。

年度 20歳代の相談件数/平均契約購入金額
2013年度 160件/2,491万円
2015年度 218件/2,680万円
2017年度 339件/2,565万円
2018年度 405件/2,776万円

平均契約購入金額は2,000万円を超えて推移しており、2018年度は2,776万円でした。20歳代が、2,700万円を超える借入れを伴う契約をしているということです。この記事では、この2,776万円を後の計算の入力値に使います。

相談事例からみる問題点

同資料は、相談事例として4つを挙げています。投資用マンションをしつこく勧誘され、事業者が怖くて契約をしてしまった。街頭アンケートに記入したところ、投資用マンションを勧誘されて契約することになった。家賃保証があると勧誘され投資用マンションを購入したが、赤字になっている。事業者に指示されて虚偽申告をしローン等を組んだが支払えない。

そのうえで「相談事例からみる問題点」として、次の4点を整理しています。強引な勧誘や説明不足がみられる。収入に合わない高額なローン等を組み返済困難になっている。金融機関のローン等の申告で虚偽申告を指示されるケースもみられる。事業者がクーリング・オフさせないようにする。

ここで注意したいのが3番目です。金融機関への虚偽申告は、指示された側も責任を負います。国民生活センターもアドバイスとして「金融機関から融資を受ける際に虚偽申告をしてはいけません」と明記しています。年収や勤務先、他の借入れについて事実と違う内容で申し込むことは、どのような経緯であれ避けてください。

「必ず儲かるわけではありません」

同資料のアドバイス欄は、4つの項目を挙げています。投資にはリスクがあり、必ず儲かるわけではありません。契約の意思が無ければ会わずに、きっぱり断りましょう。金融機関から融資を受ける際に虚偽申告をしてはいけません。不安に思った場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談してください。

相談先として、消費者ホットライン「188」が案内されています。最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等につながる全国共通の3桁の電話番号です。

また同資料は、一般社団法人不動産協会、公益社団法人全日本不動産協会、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会、一般社団法人全国住宅産業協会の4団体に対して、長時間勧誘や深夜の時間帯の勧誘、説明不足やクーリング・オフ妨害等がみられることから、より一層の法令遵守に努め、従業員等の指導、教育を徹底すること、という要望を出しています。行政が業界団体に是正を求める水準の問題が起きているということです。

収支計算① 表面利回りから引かれるもの

表面利回りは、経費を引く前の数字

営業資料に出てくる利回りは、多くの場合「表面利回り」です。年間の家賃収入を物件価格で割っただけの数字で、経費が引かれていません。

表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 物件価格
実質利回り =(年間家賃収入 - 年間経費)÷(物件価格 + 購入時の諸費用)

では何が経費になるのか。国税庁のタックスアンサー1370は、不動産所得の必要経費について、不動産収入を得るために直接必要な費用のうち家事上の経費と明確に区分できるもの、としたうえで、主なものとして固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費を挙げています。

ここに挙がっていないもので、実際に出ていくお金があります。管理費、修繕積立金、賃貸管理会社への管理委託料、ローンの利息(元金部分は経費になりません)、入居者募集の広告費、原状回復費用です。経費として認められるかどうかと、財布から出ていくかどうかは別の話である点に注意してください。

総収入金額にも、家賃以外が含まれる

逆に、収入側にも家賃以外のものが入ります。国税庁のタックスアンサー1370は、総収入金額には貸付けによる賃貸料収入のほかに、名義書換料、承諾料、更新料または頭金などの名目で受領するもの、敷金や保証金などのうち返還を要しないもの、共益費などの名目で受け取る電気代・水道代や掃除代なども含まれる、としています。

ワンルーム1戸であれば、これらの金額は限定的です。更新料が2年に1回入る程度で、収支を大きく動かすものではありません。収入側の上振れ要素は小さく、支出側の見落としが大きいというのが、この構造の特徴です。

そして、表面利回りには空室が織り込まれていません。年間12か月分の家賃が入る前提で計算されています。実際には、退去から次の入居までの空室期間、原状回復の費用、募集の広告費が発生します。

購入時の諸費用も分母に入る

実質利回りの分母は、物件価格だけではありません。購入時にかかった諸費用を足します。仲介手数料、登記費用、不動産取得税、ローン事務手数料、火災保険料などです。

新築の場合、売主が不動産会社であれば仲介手数料はかからないことが多いですが、その分は物件価格に含まれています。手数料が無料だから安い、という話ではありません。

不動産取得税は取得後しばらくしてから納税通知が届きます。購入から半年ほど経って請求が来るため、資金計画から抜け落ちやすい費用です。軽減措置の対象になるかは物件の条件によります。

収支計算② 2,776万円のワンルームで計算してみる

前提を置く

国民生活センターの資料にあった2018年度の平均契約購入金額2,776万円を、物件価格の入力値に置きます。フルローンで35年、金利は仮に年2.0%とします。実際の金利は金融機関と条件によって異なるため、ここでは計算例としての設定です。

家賃は月9万円(表面利回り約3.9%)、管理費・修繕積立金が月1万円、賃貸管理会社への管理委託料が家賃の5%で月4,500円と置きます。固定資産税・都市計画税は年6万円としました。これらはすべて計算例のための仮定値であり、実際の物件の数字ではありません。自分の検討物件の数字に置き換えて計算してください。

元利均等返済で35年・年2.0%・2,776万円を借りた場合、毎月の返済額はおよそ9万2千円になります。ここから収支を見ます。

満室想定での月次収支

項目 月額
家賃収入 +90,000円
ローン返済 -92,000円
管理費・修繕積立金 -10,000円
賃貸管理委託料 -4,500円
固定資産税・都市計画税(月割) -5,000円
差引 -21,500円

満室で、家賃が下がらず、修繕も発生しないという最良の前提で、月2万1千500円の持ち出しです。年間で25万8千円。営業資料が「月々わずかな負担で資産形成」と表現するのは、この数字を指しています。

ここに現実の変動を入れます。2年ごとに1か月の空室が出ると仮定すると、年あたり4万5千円の減収(9万円÷2年)。退去のたびに原状回復と募集広告費で10万円かかるとすれば、年あたり5万円。合わせて年間9万5千円が上乗せされ、年間の持ち出しは35万3千円になります。

家賃が下がるとどうなるか

新築時の家賃は、次の入居者募集では維持できないのが通常です。仮に最初の退去時に5%下がり、以後10年ごとにさらに5%下がるとします。

家賃9万円が2年後に8万5,500円になれば、月次の差引は約2万6千円の持ち出しに増えます。家賃だけが下がり、ローン返済額と管理費は下がりません。この非対称性が、区分ワンルームの構造的な弱点です。

管理費・修繕積立金はむしろ上がる方向に動きます。修繕積立金は、新築時に低く設定され、大規模修繕の時期に向けて段階的に引き上げられる例が一般的です。収入は下がり、支出は上がる。この差が毎年広がっていきます。

収入は下がり、支出は下がらない ※計算例。実際の数値は物件と契約条件によって異なります 高 低 購入 10年 20年 30年 家賃 ローン返済 管理費・修繕積立金 家賃は退去のたびに下がりやすい 返済は変わらず、修繕積立金は上がっていく

「節税になる」の仕組みと、効かなくなる年

赤字を給与と通算する仕組み

勧誘でよく使われるのが「節税になる」という説明です。仕組み自体は実在します。不動産所得が赤字になった場合、一定の範囲で他の所得と損益通算できるためです。国税庁のタックスアンサーにも、1391「不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」という項目があります。

赤字を作る主な要因が、減価償却費です。国税庁のタックスアンサー2100は、減価償却について、減価償却資産の取得に要した金額は取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものであり、この使用可能期間に当たるものとして法定耐用年数が財務省令の別表に定められている、と説明しています。

減価償却費は、実際に現金が出ていかないのに経費として計上できます。だから、現金ベースでは持ち出しがあっても、税務上はさらに大きな赤字になり、給与所得と通算して所得税・住民税が戻る、という構図が成立します。

ただし土地は減価しない

ここで押さえておくべき前提が2つあります。1つめは、土地は減価償却の対象外であることです。国税庁は、土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産は減価償却資産ではない、と明記しています。

区分マンションの価格には、建物部分と土地(敷地利用権)部分が含まれます。減価償却できるのは建物部分だけで、土地部分は何年持っていても経費になりません。物件価格のうち建物がいくらかによって、節税効果の大きさが変わります。売買契約書で建物価格と土地価格が区分されているかを確認してください。

そして、土地にはもう1つの制限がかかります。タックスアンサー1391は、不動産所得の損失のうち損益通算の対象とならないものとして「不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額」を挙げており、根拠法令等として租税特別措置法第41条の4を示しています。

ローンで区分マンションを買った場合、支払う利息のうち土地部分に対応する分は、赤字が出ても他の所得と通算できません。借入の初期は利息の割合が大きいため、この制限が効く場面も初期に集中します。節税額を見積もるときは、利息の全額が通算できる前提になっていないかを確かめてください。なお同項は、別荘等のように主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産の貸付けに係る損失も、損益通算の対象とならないとしています。

2つめは、平成10年4月1日以後に取得した建物の償却方法は、旧定額法または定額法のみになっている点です。国税庁のタックスアンサー2100に明記されています。定額法は毎年同じ額を償却する方法なので、初年度に大きく償却して後を薄くする、という使い方はできません。

効かなくなる年が来る

減価償却費は、耐用年数が過ぎれば計上できなくなります。新築のRC造マンションであれば、法定耐用年数は長く設定されています。長い期間にわたって薄く償却することになるため、1年あたりの金額は大きくありません。

ここに落とし穴があります。ローンの返済が進むと、経費にできる利息部分が減っていきます。元利均等返済では、返済当初は利息の割合が大きく、年が経つにつれて元金の割合が増えます。元金部分は経費になりません。

つまり、年を追うごとに、経費にできる金額(減価償却費+利息)は減り、税務上の赤字は縮小します。節税額は年々小さくなり、やがて黒字転換して納税が発生します。現金ベースでは持ち出しが続いているのに、税金を払う年が来る。この時点で「思っていたのと違う」となるケースが少なくありません。

出口。売るときいくらになるかを、公的データで確かめる

新築で買って、中古で売る

ここが本題です。新築のワンルームを買った瞬間、その物件は中古になります。次に売るときは中古市場の価格で評価されます。

新築の価格には、販売会社の広告費、モデルルームの費用、営業人件費が含まれています。これらは中古になった時点で価格に反映されません。この差が、いわゆる新築プレミアムです。

問題は、ローンの残債がその下落に追いつかないことです。35年ローンの初期は元金がほとんど減りません。売却価格が残債を下回れば、差額を現金で用意しない限り売れません。家を売って手元に残る金額で書いたとおり、抵当権を外せなければ売却は成立しないからです。

自分で確かめる方法

では、自分の検討物件が将来いくらで売れそうかを、どう調べるか。国土交通省の不動産情報ライブラリで、同じ地域・同じ面積帯の中古ワンルームが実際にいくらで成約しているかを見ます。

手順はこうです。不動産情報ライブラリの「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」を開き、都道府県と市区町村を選び、種類で「中古マンション等」を選んで、期間を直近1〜2年にします。一覧には所在地(町名まで)、最寄駅、距離、取引総額、間取り、面積、建築年、構造、用途地域が出ます。

4種類ある価格情報の違いと、検索画面の設定項目は不動産情報ライブラリの使い方で1画面ずつ説明しています。

ここから、面積が20〜30㎡程度の行を拾い、築年ごとに取引総額を並べます。築5年、築10年、築20年でいくらになっているか。これが、自分の物件の将来価格を推定する最も確実な材料です。営業担当者の「資産価値は落ちません」という説明と、この実データを突き合わせてください。

通算で計算し直す

出口価格の見当がついたら、冒頭の式に戻ります。運用期間の収支の累計に、売却時の手残りを足します。

先ほどの計算例では、年間の持ち出しが35万3千円でした。10年保有すれば累計353万円の持ち出しです。10年後の残債は、35年ローンなら2,100万円前後残っています。売却価格がこれを下回れば、その差額も持ち出しになります。売却には仲介手数料もかかります。

逆に、売却価格が残債を十分上回るなら、運用期間の持ち出しを回収できる可能性があります。成立するかどうかは、出口価格で決まるというのは、この計算の構造から出てくる結論です。月々の数千円ではないのです。

それでも検討するなら、契約前に確認する6項目

書面で確認する

この記事は、不動産投資そのものを否定するものではありません。数字が合うなら成立します。検討する場合、次の6項目を口頭ではなく書面で確認してください。

  1. 売買契約書の建物価格と土地価格の区分(減価償却できるのは建物だけ)
  2. 修繕積立金の将来の引き上げ計画(長期修繕計画表と、段階増額の予定)
  3. 家賃保証(サブリース)契約の見直し条項(何年ごとに、どういう基準で見直すか)
  4. ローンの金利タイプと、金利が上がった場合の返済額(変動なら試算を出させる)
  5. 同じ建物・同じ面積帯の中古成約価格(不動産情報ライブラリで自分で確認)
  6. 売却したい場合の手順と、想定される費用(仲介手数料、残債との関係)

これらは、提案書に書かれていなければ、聞けば出てくる情報です。出てこない、あるいは口頭でしか答えない場合は、そこが弱点だと考えてください。

家賃保証は保証ではない

国民生活センターの相談事例にも「家賃保証があると勧誘され投資用マンションを購入したが、赤字になっている」という例が挙げられていました。家賃保証、いわゆるサブリースには見直し条項があるのが一般的で、永続的に同額が保証されるものではありません。

サブリースについては、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)が勧誘や契約前の説明を規制しています。この法律の内容は別記事で扱いますが、「保証」という言葉から受ける印象と、契約書の条項は別物であるという点だけは押さえておいてください。

確認すべきは、見直しの頻度、見直しの基準、保証されない期間(免責期間)の有無、そして契約解除の条件です。これらは契約書に書かれています。

断るときは、会わない

最後に、勧誘を受けている段階の方へ。国民生活センターのアドバイスは明確です。「契約の意思が無ければ会わずに、きっぱり断りましょう」。

相談事例には「投資用マンションをしつこく勧誘され、事業者が怖くて契約をしてしまった」「街頭アンケートに記入したら投資用マンションを勧誘され契約してしまった」というものがありました。問題点として「事業者がクーリング・オフさせないようにする」も挙げられています。

不安に思った場合やトラブルになった場合の相談先は、消費者ホットライン「188」です。最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号として、国民生活センターが案内しています。

まとめ

「ワンルーム投資はやめとけ」という言葉の中身は、月々の収支の話ではありません。出口、つまり売るときの価格を計算に入れていないことです。新築で買った物件は購入した瞬間に中古になり、次は中古価格で評価されます。その一方で、35年ローンの初期は元金がほとんど減りません。

国民生活センターが2019年に公表した資料では、投資用マンションの相談が20歳代で2013年度の160件から2018年度の405件へと2.5倍に増え、平均契約購入金額は2,776万円でした。問題点として、強引な勧誘や説明不足、収入に合わない高額なローン、金融機関への虚偽申告の指示、クーリング・オフ妨害が挙げられています。

収支を計算するときは、表面利回りではなく実質利回りを使います。国税庁が必要経費として挙げているのは固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費ですが、財布から出ていくお金はこれだけではありません。空室期間、原状回復、募集広告費も入れてください。「節税」の源泉である減価償却費と利息は年々減っていき、やがて納税が始まります。

そして最も重要なのが、出口価格を自分で確かめることです。不動産情報ライブラリで、同じ地域・同じ面積帯の中古ワンルームが築年ごとにいくらで成約しているかを見る。これが、営業資料の「資産価値」に対する唯一の対抗手段です。

よくある質問(FAQ)

不動産投資そのものが悪いということですか

そうではありません。数字が合えば成立します。この記事が問題にしているのは、月々の収支だけを見せて出口価格を示さない売り方と、それを検証せずに契約してしまうことです。運用期間の収支の累計と、売却時の手残りを合わせた通算で判断してください。出口価格は不動産情報ライブラリで、同じ地域・同じ面積帯の中古物件が築年ごとにいくらで成約しているかを見れば、自分で推定できます。

「節税になる」という説明は嘘ですか

嘘ではありませんが、時限的です。不動産所得が赤字になれば他の所得と損益通算できる仕組みは実在します。ただし赤字の源泉である減価償却費は法定耐用年数の範囲でしか計上できず、土地部分は減価償却の対象外です。また元利均等返済では年を追うごとに利息(経費になる部分)が減り、元金(経費にならない部分)が増えます。結果として節税額は年々小さくなり、やがて税務上は黒字化して納税が始まります。現金の持ち出しが続いている状態で納税が発生することもあります。

家賃保証(サブリース)があれば安心ではないですか

国民生活センターの相談事例には「家賃保証があると勧誘され投資用マンションを購入したが、赤字になっている」という例が挙げられています。サブリース契約には一般に見直し条項があり、永続的に同額が保証されるものではありません。確認すべきは、見直しの頻度と基準、免責期間の有無、契約解除の条件です。いずれも契約書に書かれています。口頭の「保証します」ではなく、条項を読んでください。

営業担当者に年収を多めに書くよう言われました

応じてはいけません。国民生活センターは相談事例からみる問題点として「金融機関のローン等の申告で虚偽申告を指示されるケースもみられる」を挙げ、アドバイスとして「金融機関から融資を受ける際に虚偽申告をしてはいけません」と明記しています。指示されたという経緯があっても、申告した本人が責任を負います。そうした指示が出る時点で、その取引は成立させるべきものではありません。消費者ホットライン188に相談してください。

中古のワンルームなら大丈夫ですか

新築プレミアムの分がすでに剥がれているため、購入直後の価格下落という意味では新築より緩やかです。ただし、収入が下がり支出が上がるという構造は同じで、築年数が進んでいる分だけ修繕積立金の引き上げや大規模修繕が近い可能性があります。判断の方法は変わりません。表面利回りではなく実質利回りで計算し、出口価格を不動産情報ライブラリで確認し、通算で見る。この記事の手順をそのまま使ってください。

すでに契約してしまいました。どうすればいいですか

まず、契約からの経過日数と契約書の内容を確認してください。宅地建物取引業法にはクーリング・オフの制度がありますが、適用の可否は事務所等以外の場所で申込みをしたかどうか、告知を受けてからの日数など、条件によって変わります。国民生活センターは問題点として「事業者がクーリング・オフさせないようにする」も挙げています。自己判断せず、消費者ホットライン188または弁護士に相談してください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断はできません。

相談の実態と、出口の価格は、公的機関で確認できます

どんなトラブルが起きているかは国民生活センターの資料に、同じ地域の中古ワンルームが実際にいくらで成約しているかは不動産情報ライブラリに出ています。提案書を見る前に、この2つを確認してください。

国民生活センター 投資用マンションの勧誘
不動産情報ライブラリ 価格検索

本記事は一般的な情報提供を目的としています。本文中の収支計算は仮定値による計算例であり、特定の商品の収益を示すものではありません。個別の物件・投資・税務の判断は、宅地建物取引士・税理士など専門家にご相談ください。データは2026年9月時点で確認したものです。

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