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志望動機の作り方|会社から書き始めるから書けない。軸から照らす3要素

ノートに書き出す手元。志望動機を組み立てているイメージ

志望動機の欄で手が止まる。企業サイトを読んで、理念や事業内容を書き写してみるものの、これで何が伝わるのか分からない。例文を探すと、どれも自分の状況に合いません。

書けない理由は、着手の順番にあります。志望動機は「その会社を調べて作る」ものではなく、「自分の軸を先に決めて、そこから照らす」ものです。会社から入ると、誰でも書ける文章になります。

この記事では、採用側が志望動機で何を見ているかを確認したうえで、3つの要素で組み立てる方法、「なぜこの会社か」の作り方、異業種の場合の組み立てまでを解説します。転職理由そのものは納得のいく転職理由の作り方で扱っています。

志望動機が書けないのは、順番が逆だから

会社から入ると書けない

多くの人は、応募先の情報を集めてから志望動機を書き始めます。ですがこの順番だと、書けるのは「その会社の説明」だけです。理念に共感した、事業が魅力的だ、成長性がある。これらはすべて、その会社に応募する人なら誰でも書けます。

採用側が知りたいのは会社の説明ではありません。あなたが何を求めていて、それがなぜこの会社なのかです。この順番で書くには、自分の側を先に決める必要があります。

軸が先、会社は後

正しい順番は、自分の軸を3つ決めてから、応募先がその軸をどう満たすかを照らすことです。軸が決まっていれば、志望動機は「軸→その会社での実現方法」という形に自動的に決まります。

軸がないまま会社を調べると、その会社の良い点を並べるだけになります。軸の作り方は転職の軸は何個必要かで扱っています。

この順番の利点は、応募先が増えても書く手間が増えないことです。軸は共通なので、会社ごとに変えるのは「その軸をどう実現できるか」の部分だけになります。1社あたり15分程度で書き上がります。

転職理由との違い

転職理由は「なぜ今の会社を辞めるのか」、志望動機は「なぜその会社を選ぶのか」です。時間の向きが違います。転職理由が過去、志望動機が未来を向いています。

この2つを1つの文にまとめようとすると、どちらも薄まります。面接では別々に聞かれることが多いので、分けて用意してください。

ただし、2つはつながっている必要があります。転職理由で「企画に関われないこと」を挙げたなら、志望動機の軸も企画に関わることでなければ筋が通りません。別々に用意しつつ、同じ方向を向いているかを最後に確認してください。

採用側が志望動機で見ている2点

1:入社後に続くか

採用する側にとって最大のリスクは早期離職です。育成に時間をかけた直後に辞められると、投資が回収できません。志望動機はまず、この人は続くかどうかの判断材料として読まれます。

続くかどうかを判断する材料は、志望の強さではなく具体性です。「成長したい」では判断できませんが、「入社1年目から企画の起案に関わりたい」なら、自社でそれが可能かどうかを判断できます。

2:期待とのずれがないか

もう1つは、本人の期待と実際の業務がずれていないかです。ずれたまま入社すると、数か月で不満が出ます。

実際、転職した人の「今後の転職希望」を見ると、「今の職場で今後も働きたい」52.7%、「わからない」24.9%、「機会があれば転職したい」21.0%です(厚生労働省 令和2年転職者実態調査)。転職した人の45.9%が「ここが終点」と思えていないという数字の背景には、入社前の期待のずれも含まれると考えられます。

「熱意」は評価軸に入っていない

志望動機で熱意を伝えようとする人が多くいますが、熱意そのものは判断材料になりません。熱意がないと書く応募者はいないため、差がつかないからです。

差になるのは、調べた事実と、自分の経験との接続です。処遇の決定で最も重視されるのも「これまでの経験・能力・知識」で53.7%であり、志望動機でも経験との接続が語られているかが効きます。

3つの要素で組み立てる

構成は決まっている

志望動機は3つの要素でできている ① 何がしたいか(自分の軸) 求人票や面接で確認できる形で書く 例:企画の起案から実行まで一人で担当したい 「成長したい」では確認できない + ② なぜこの会社か(調べた事実) 公開情報から、①が実現できる根拠を1つ 例:中途入社の方が起案を担当した事例 理念への共感は根拠にならない + ③ 何ができるか(経験との接続) 入社直後から貢献できる部分を1つ 例:関係者調整と進行管理は業種を問わない 処遇決定の最重視は経験・能力・知識53.7% ①だけ=わがまま ②だけ=誰でも書ける ③だけ=自己PR

3つが揃って初めて志望動機になります。1つでも欠けると、別のものになります。①だけなら要望の表明、②だけなら会社の説明、③だけなら自己PRです。

書けない人の多くは②だけを書いています。会社を調べて、良いと思った点を並べる。これは会社の説明であって、自分がなぜそこを選ぶのかの説明にはなっていません。

逆に、①と③だけで②がない場合は、応募先を調べていないことが伝わります。3つのうちどれが欠けているかを確認するだけで、書き直す箇所が特定できます。

順序と分量

書く順序は①②③です。何がしたいかを先に置き、その実現手段としてこの会社を挙げ、最後に自分が提供できるものを示す。この流れだと、読み手は「この人の目的は何か」から理解できます。

分量は、書類なら300字前後、面接なら60秒程度が目安です。①に3割、②に4割、③に3割が配分の目安になります。②が最も薄くなりやすいので、ここに調べた事実を入れてください。

組み立てた例

現職では既存顧客への提案までを担当してきましたが、企画の起案から実行までを一人で担当できる環境に移りたいと考えております。(①)

御社の採用ページで、中途入社の方が入社1年目から新規サービスの要件定義に関わられている事例を拝見し、その環境があると判断いたしました。(②)

私は前職で、3部署にまたがる案件の関係者調整と進行管理を担当しておりました。この進め方は業種が変わっても同じ手順で進められるため、入社後は複数部署が関わる案件の推進からお役に立てると考えております。(③)

この例では、理念や事業への共感が1回も出てきません。出てくるのは、自分の目的、調べた事実、提供できるものの3つだけです。

「なぜこの会社か」の作り方

根拠は公開情報から取る

②が最も難しい部分です。ここで理念や事業内容を書き写すと、誰でも書ける文章になります。探すべきは、自分の軸が実現できる根拠となる事実です。

探す場所 見つかる根拠の例
採用ページの社員紹介 中途入社の人が何年目にどんな仕事を任されているか
求人票の業務内容 担当範囲の広さ、分業の程度、募集の背景
企業の公表資料・ニュース どの事業を強化しているか、新規領域があるか
サービスの実物 利用者として使った所感(BtoCの場合)
説明会・面談での説明 一次面接で聞いた内容を、二次面接の志望動機に反映

最終行が効きます。一次面接で得た情報を二次面接の志望動機に織り込むと、「話を聞いたうえで志望が強まった」という自然な説明になります。

「その会社でなければならない」は要らない

志望動機で「他社ではなく御社でなければならない理由」を求められると感じる人がいますが、そこまでの必然性は必要ありません。同業他社にも当てはまる理由であっても、事実にもとづいていれば問題ありません。

採用側が警戒するのは、必然性の弱さではなく、何も調べていないことです。1つでも具体的な事実が入っていれば、調べたことは伝わります。

調べても根拠が見つからない場合

公開情報が少ない企業もあります。その場合は、面接で確認したいこととして正直に書いてください。「公開されている情報からは◯◯の体制が読み取れなかったため、本日伺いたいと考えております」。

これは弱さではなく、確認すべき点を把握していることの表明になります。逆に、根拠がないまま「魅力を感じました」と書くと、深掘りで答えられません。

使い回しがばれる書き方

固有名詞がない

最も分かりやすいのは、会社名を入れ替えればどこにでも出せる文章です。「業界をリードする御社で」「成長性のある事業に魅力を感じ」といった表現は、固有の事実を含んでいません。

対策は、②に必ず1つ、その会社でしか書けない事実を入れることです。社員紹介の内容、公表されている取り組み、求人票に書かれた体制。どれか1つで足ります。

求人票の言葉が1つも入っていない

もう1つの兆候は、求人票に出てくる業務の言葉が志望動機に1つも入っていないことです。求人票を読んでいれば、自然と相手の言葉が入ります。

ただし、言葉を入れるだけで中身が伴わないのは逆効果です。用語を貼り付けたものの、その業務の経験も関心もない場合、面接で聞かれて答えられません。入れてよいのは、自分の軸や経験と実際に重なる言葉だけです。

長すぎる

志望動機が長い場合、①②③以外の要素が入っています。企業の沿革の説明、業界全体の話、自分の人生観。これらは読み手の判断に使えないため、削ってください。

300字を超える場合は、②に会社の説明が混ざっていないかを確認します。②に書くべきなのは会社の説明ではなく、自分の軸が実現できる根拠です。

削るときの順序は、業界全体の話、企業の沿革、自分の人生観、の順です。この3つは読み手の判断に使えません。残すのは、自分の軸、調べた事実、提供できるものの3つだけにしてください。

異業種・未経験の場合の組み立て

③の書き方が変わる

異業種に応募する場合、③で「同じ業務の経験があります」とは書けません。代わりに書くのは、業種を越えて持ち運べる経験です。

業務プロセスの設計、関係者の調整、数字の分析、新しい領域を短期間で立ち上げた経験。これらは業界が変わっても同じ手順で使えます。持ち運べる経験の見分け方は未経験の異業種転職で後悔する人の共通点で扱っています。

①に「なぜこの業界か」を含める

異業種の場合、採用側は「なぜこの業界を選んだのか」を必ず気にします。ここで「成長産業だから」「興味があるから」と答えると、続く根拠になりません。

効くのは行動の事実です。その業界の人に会った、関連する資格の勉強を始めた、そのサービスを利用者として使い込んでいる。1つでもあると、判断が変わります。

行動がまだない場合は、応募前に1つ作ってください。書籍を1冊読む、業界団体の公開資料に目を通す、無料の勉強会に参加する。数日でできる範囲で構いません。行動があるかないかで、続くかどうかの判断が変わります。

未経験であることを隠さない

未経験であることを曖昧にすると、かえって不信感を生みます。できないことは明示し、そのうえで何から貢献できるかを書くほうが信用されます。

「業界の知識はこれから学ぶ必要がありますが、関係者の調整と進行管理については前職の手順がそのまま使えると考えております」。この形なら、過大な自己申告になりません。

採用する側は、未経験者に即戦力を期待していません。企業が転職者を採用した理由でも「職場への適応力があるから」が25.9%を占めており、経験だけが基準ではないことが分かります。できないことを認めたうえで、できる部分を示す構成のほうが信用されます。

書いたあとに確認する4項目

チェックリスト

  1. ①②③がすべて入っているか(欠けると別のものになる)
  2. 会社名を入れ替えても成立しないか(成立するなら②に固有の事実がない)
  3. 求人票の言葉が1つ以上入っているか(かつ、それが自分の経験と重なるか)
  4. 300字を超えていないか(超えるなら会社の説明が混ざっている)

4つのうち、最も効くのは2番目です。実際に会社名を別の企業名に置き換えて読んでみてください。違和感なく読めるなら、書き直しが必要です。

面接用は短くする

書類の志望動機が300字なら、面接で話すのは60秒程度です。書いた内容をそのまま読み上げると長すぎます。①を1文、②を1文、③を2文に圧縮してください。

面接では、話したあとに深掘りの質問が来ます。詳細はそこで答えればよいので、最初は骨格だけで足ります。

暗記して話すと、質問で流れが崩れたときに詰まります。覚えるのは3要素の順番だけにして、言葉はその場で組み立ててください。①②③の順を守れば、多少言い回しが変わっても内容は伝わります。

深掘りへの備え

志望動機を話すと、ほぼ必ず「それはうちでどう実現できると思いますか」と聞かれます。ここで詰まるのは、②の根拠が薄い場合です。

備えは1つで、②で挙げた事実について、面接で確認する質問を1つ用意しておくことです。「中途入社の方が起案に関わられた事例を拝見しましたが、どのような段階から関わられたのでしょうか」。この質問があると、志望動機と逆質問がつながります。逆質問の作り方は転職面接の逆質問で扱っています。

まとめ

  • 志望動機が書けないのは順番が逆だから。会社から入ると誰でも書ける文章になる。自分の軸を先に決めて、そこから照らす
  • 採用側が見ているのは2点。入社後に続くか、期待と実際の業務にずれがないか。熱意は評価軸に入っていない
  • 転職した人の45.9%が「ここが終点」と思えていない(厚生労働省 令和2年転職者実態調査)。背景には入社前の期待のずれも含まれる
  • 構成は3要素。①何がしたいか(自分の軸)②なぜこの会社か(調べた事実)③何ができるか(経験との接続)。1つでも欠けると別のものになる
  • 分量は書類300字前後、面接60秒。①に3割、②に4割、③に3割が目安
  • ②の根拠は公開情報から取る。採用ページの社員紹介、求人票の業務内容、公表資料、サービスの実物、一次面接で聞いた内容
  • 「その会社でなければならない理由」は不要。同業他社に当てはまっても、事実にもとづいていればよい
  • 使い回しの兆候は3つ。固有名詞がない、求人票の言葉が1つも入っていない、長すぎる
  • 異業種では③に持ち運べる経験を書き、①に「なぜこの業界か」を行動の事実で示す。未経験であることは隠さない
  • 書いたら会社名を別の企業に置き換えて読む。違和感なく読めるなら書き直す

よくある質問(FAQ)

志望動機が書けません。何から始めればいいですか。

会社を調べるのをいったんやめて、自分の軸を3つ決めてください。軸は「求人票や面接で確認できる形」にします。「成長したい」ではなく「入社1年目から企画の起案に関わりたい」という形です。軸が決まれば、志望動機は「軸→その会社での実現方法」という形に自動的に決まります。

理念に共感した、と書くのは駄目ですか。

それだけでは判断材料になりません。その会社に応募する人なら誰でも書けるためです。書くなら、共感した理念が自分の軸とどう結びつくか、そしてその理念が実際の業務にどう表れているかを、公開情報の事実で示してください。事実が1つ入っていれば、調べたことは伝わります。

「他社ではなく御社でなければならない理由」が書けません。

そこまでの必然性は必要ありません。同業他社にも当てはまる理由であっても、事実にもとづいていれば問題ありません。採用側が警戒するのは必然性の弱さではなく、何も調べていないことです。採用ページの社員紹介や求人票の業務内容から、具体的な事実を1つ入れてください。

志望動機は何字くらいがいいですか。

書類なら300字前後、面接で話すなら60秒程度です。300字を超える場合は、企業の沿革や業界全体の話など、判断に使えない要素が混ざっている可能性があります。①軸に3割、②根拠に4割、③経験との接続に3割が配分の目安です。

未経験の業界に応募します。志望動機をどう書けばいいですか。

③には業種を越えて持ち運べる経験(業務プロセスの設計、関係者の調整、数字の分析など)を書きます。そして①に「なぜこの業界か」を行動の事実で示してください。その業界の人に会った、関連する資格の勉強を始めた、サービスを利用者として使い込んでいるなど、1つでもあると判断が変わります。未経験であることは隠さず、何から貢献できるかを明示するほうが信用されます。

面接で志望動機を深掘りされると詰まります。

②の根拠が薄い場合に起きます。備えとして、②で挙げた事実について面接で確認する質問を1つ用意してください。「中途入社の方が起案に関わられた事例を拝見しましたが、どのような段階から関わられたのでしょうか」という形です。志望動機と逆質問がつながり、深掘りにも自然に答えられます。

転職は、人生の経営判断です

志望動機は、会社を褒める文章ではなく、自分の目的を説明する文章です。書き上げたら会社名を別の企業に置き換えて読んでみてください。それで成立するなら、まだ自分の話になっていません。

出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」(図1・表23)

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