この記事の内容
往復1回で、何日遅れるか
商談の約束が取れてから、実際に会うまでに何往復かかっているでしょうか。3往復以上になっているなら、直せる余地があります。
1往復は実質2営業日
メールを送って、相手が読んで、返すまで。ビジネスメール実態調査2026では6割超が24時間以内に返信していると報告されています。残る4割は翌日以降なので、1往復あたり1営業日から2営業日を見ておくのが現実的です。
3往復なら、最短でも3営業日。相手が1日空ければ、6営業日です。約束から商談まで2週間かかる原因は、たいていここにあります。
往復が増える5つの原因
| 原因 | 相手が返せない理由 |
|---|---|
| 候補日が足りない | 3つ全部が埋まっていて、選べない |
| 所要時間が書いていない | 30分か1時間か分からず、空ける枠を決められない |
| 形式が書いていない | 訪問か会議ツールかで、前後の予定の組み方が変わる |
| 参加者が書いていない | 自社の誰を呼ぶべきか判断できない |
| いつまでに返せばよいか分からない | 急いでいないと判断し、後回しにする |
5つのうち、どれか1つでも欠けると往復が増えます。逆に言えば、5つとも書いてあれば1往復で決まります。
遅れると温度が下がる
日数の損だけではありません。約束した時点が、相手の関心が最も高い瞬間です。
そこから2週間空くと、社内の別の優先事項が入ります。当日にキャンセルが出る確率も上がる。日程調整の速さは、商談の実施率に直接響きます。
1通目に入れる5要素
前の章で挙げた5つの原因は、そのまま1通目に入れる項目になります。
5要素
| 要素 | 書き方 |
|---|---|
| 候補日時 | 3つ以上。日と時間帯の両方を散らす |
| 所要時間 | 「45分」と数字で。「1時間程度」は避ける |
| 形式 | オンラインか訪問か。オンラインなら使うツール名 |
| 参加者 | 自社から出る人数と役割。相手に誰を呼んでほしいか |
| 返信の目安 | 「今週中にいただけると調整しやすいです」程度 |
この5つを入れても、本文は300字に収まります。長くなるのは候補日を箇条書きで並べる部分だけです。
所要時間を先に書く
所要時間が分からないと、相手は予定表に枠を作れません。1時間空けるのか、30分で済むのか。
そして「1時間程度」は避けてください。程度という言葉が入ると、超える前提だと読まれます。45分と書いたなら、45分で終える。
短く書くほど通りやすくなります。60分より45分、45分より30分。ただし短く書いて超えるのは最悪なので、実際に終わる長さを書いてください。
形式と参加者を書く
オンラインなら、使うツール名まで書きます。相手の社内で使えないツールの場合、それが分かった時点で1往復増えます。
参加者は、自社から何人出るかを書いてください。1人で行くのか3人で行くのかで、相手が用意する会議室も変わります。
そして相手に誰を呼んでほしいかも、必要なら書きます。「現場でご担当の方がご同席いただけると、具体的な話ができます」という形です。呼んでほしい人がいるなら、当日に言うより先に書いたほうが通ります。
返信の目安を書く
5つ目の要素が、いちばん省かれます。急かしているように見えると感じるからです。
ですが目安が無いと、相手は急ぎでないと判断します。判断されると、優先度の高いメールが先に処理されて後回しになる。目安を書かないことは、遠慮ではなく後回しの許可になります。
書き方は依頼の形にしてください。「本日中にご返信ください」は期限の指定で、相手に義務を課す形です。「今週中にいただけると、候補を確保しておけます」なら、こちらの都合の説明になります。
そして理由を1つ添えると通ります。候補を確保している、社内の予定を押さえている。理由があると、急かしているのではなく事情があると伝わります。
候補日の出し方
ここが最も差が出るところです。候補を3つ出していても、出し方が悪ければ1往復増えます。
日と時間帯の2軸で散らす
候補を選ぶとき、2つの軸を同時に散らしてください。日をずらすだけでは足りません。
候補は日と時間帯の2軸で散らす。同じ日や同じ時間帯に固めると、条件1つで全滅する。
同じ日に午前と午後を並べる出し方をよく見ます。これは、その日が終日埋まっていた場合に3つとも消えます。
全部を午前に固めるのも同じです。朝に定例会議が入っている相手には、1つも当たりません。
やってはいけない並べ方
- 同じ日に2つ以上置く。1日が埋まるだけで候補が減る
- 全部を同じ時間帯にする。相手の習慣で全滅する
- 全部を来週に置く。今週動ける相手を取り逃がす
- 3営業日以内に全部を置く。準備が必要な相手が選べない
- 2週間以上先だけを置く。温度が下がる
散らす範囲の目安は、翌営業日から2週間先までです。この幅に3つ以上を散らせば、条件1つで全滅する形は避けられます。
時間の書き方
避ける 10月20日 午前中 10/20 10時〜 来週の火曜か水曜あたり 使う 10月20日(火)10:00〜10:45 10月22日(木)16:00〜16:45 10月27日(火)13:00〜13:45
曜日と終了時刻を必ず書く。終了時刻があると、相手は次の予定を入れられる。
終了時刻を書かないと、相手はその後を空けておくことになります。空けられなければ、その候補を選べません。
曜日を書くのは、相手の確認の手間を消すためです。日付だけだと、相手はカレンダーを開いて曜日を確かめます。その一手間が、返信を後回しにする理由になります。
3つとも埋まっていると返ってきたら
散らしても全滅することはあります。このとき、次の候補を出す前に1つ確認してください。
相手が「その週は難しい」と書いてきたのか、「3つとも埋まっている」と書いてきたのか。前者なら週をずらし、後者なら同じ週で時間帯を変えます。
そして2回目の候補は、5つに増やしてください。3つで全滅した相手の予定は、こちらの想定より詰まっています。同じ数で出すと、また全滅する確率が残ります。
2回目でも決まらない場合は、候補を出す方式をやめます。相手の空いている曜日と時間帯だけを聞いて、そこから逆にこちらが合わせる。ここまで来たら、往復を減らすことより確定させることが優先です。
往復を増やす言い方
丁寧に書いたつもりの文が、往復を増やしていることがあります。3つ挙げます。
「ご都合のよい日時をお知らせください」
これが最も往復を増やす一文です。相手に、こちらの空きを知らないまま候補を作らせているからです。
相手が出した候補がこちらで埋まっていれば、もう1往復増えます。しかも相手は候補を考える手間を負っているので、断りにくさも生まれます。
候補を出すのは、依頼する側の仕事です。相手に出させる形は、丁寧ではなく手間の転嫁になります。
「いつでも大丈夫です」
相手から候補を求められた場合でも、いつでもと答えないでください。選択肢が無限だと、相手は選べません。
3つに絞って出す。絞ることが親切です。選択肢を減らすほど、返信は速くなります。
相手が候補を出したらそのまま受ける
相手が先に候補を出してきた場合、対案を出すと1往復増えます。受けられる候補が1つでもあるなら、そのまま受けてください。
社内の予定と重なっているなら、社内を動かすほうが早い。相手に動かしてもらうと、そこで1往復と、もう1回の調整が発生します。
どうしても受けられない場合は、断るのではなく「その週の別の日で、この3つならいかがでしょうか」と新しい候補を出します。断りだけを返すと、また相手に考えさせることになります。
「折り返しお電話します」で止めない
もう1つ、往復を増やす形があります。日程の話をメールから電話に移すことです。
電話に移すと、つながらなかった時点で止まります。メールなら相手の都合で読めますが、電話は両者が同時に空いている必要があります。日程調整のために日程を合わせることになります。
電話が有効な場面もあります。候補を3つ出して2往復した後、まだ決まらないとき。ここまで来ているなら、5分の通話で終わります。
ただし、その場合もメールで「お電話してよい時間帯を3つ」出してください。かけていい時間を書かずにかけると、つながらないまま1日が過ぎます。電話の時間帯の考え方は営業メールは何時に送るべきかで触れた考え方と同じで、自分で測って決めるものです。
日程調整ツールを使ってよい相手
候補を出す代わりに、空き枠のURLを送る方法があります。これは相手によって、効くか失礼かが変わります。
立場の非対称
| 場面 | URLを送る | 理由 |
|---|---|---|
| 相手から問い合わせが来た | 送ってよい | 相手が動いている。選ぶ手間より、往復が減る利点が大きい |
| 既に一度会った相手との2回目 | 送ってよい | 関係ができている。効率を優先して構わない |
| こちらから新規で依頼する | 避ける | 依頼する側が相手に入力作業をさせる形になる |
| 相手が役職者で、秘書が調整している | 避ける | 秘書がツールに入力する運用になっていない場合が多い |
基準は1つです。依頼している側が、作業を負う。こちらから頼んでいるなら候補を書き、相手から来ているならURLで手間を減らす。
URLだけ送らない
URLを送る場合でも、候補を3つ本文に書いてください。URLを開かずに返信したい相手もいます。
そして、URLを開いたら枠が全部埋まっていた、という事故を防ぐ意味もあります。本文に候補があれば、その場で返せます。
併記する形
下記のいずれかでいかがでしょうか。 10月20日(火)10:00〜10:45 10月22日(木)16:00〜16:45 10月27日(火)13:00〜13:45 上記以外をご希望の場合は、こちらから 空いている枠をお選びいただけます。 (URL)
候補が先、URLが後。順番を逆にすると、URLを開くことが前提になる。
確定してからやること
日程が決まったら、やることが3つあります。ここを省くと、当日に事故が起きます。
カレンダー招待は自分が出す
確定したら、こちらから招待を出してください。相手に出してもらうと、相手の作業が1つ増えます。
そして招待に、会議ツールのURLと所要時間を入れます。当日に相手がURLを探す状態を作らないことです。
確定メールに書く4項目
- 日時。曜日と終了時刻まで
- 形式と接続先。オンラインならURL、訪問なら住所と入り方
- 参加者。自社から出る人の名前と役割
- 当日の流れ。何を話すか3行程度
4つ目を書くと、相手が社内に説明できます。相手が上司に「何の打ち合わせ?」と聞かれたときに、そのまま使える文を渡すということです。
これを書いておくと、当日の参加者が増えることもあります。増えたほうが話は進みます。
前日のリマインド
前日に短い確認を送ってください。3行で足ります。
目的は2つです。1つは、忘れられていた場合に気づけること。もう1つは、直前のキャンセルをその日のうちに知れることです。
当日の朝に連絡が来るより、前日に来たほうが枠を埋め直せます。リマインドは、相手のためではなく自分の枠を守るために送ります。
確定から実施までが長いとき
2週間以上先に決まった場合、前日のリマインドだけでは足りません。
確定した週の終わりに、1回だけ短い連絡を入れてください。資料を送る、当日話す論点を1行足す。用件があるほうが自然です。
目的は、相手の予定表に残っている状態を確かめることです。2週間空くと、相手側の都合で動いている可能性があります。その変更を当日に知ると、こちらの枠が1つ無駄になります。
ここで返信が来ない場合、前日ではなく3営業日前に確認を入れてください。3営業日あれば、枠を埋め直せます。
相手が複数名のとき
相手側が3人以上になると、調整の往復が一気に増えます。ここには別の手順が必要です。
全員の都合を聞かない
参加者全員に候補を確認すると、往復が人数分に近づきます。3人なら3往復です。
こちらから全員に聞く形は取らないでください。やりとりの相手は1人に固定します。
主担当を決めてもらう
最初のメールで、窓口を1人に絞る依頼を入れます。
特定の担当者を名指しして取りまとめを頼むと、その人の社内での立場を外から決めることになります。名前を出さずに「代表の方お1人とやりとりさせていただければ助かります」と書くほうが通ります。誰を窓口にするかは、相手が決めることです。
そして候補の数は、複数名のときだけ増やします。3つではなく5つ。人数が増えるほど、1つの候補が埋まる確率が上がるからです。
参加者が増えたときの扱い
確定後に参加者が増えることがあります。これは歓迎してよい変化です。
ただし日時を変える必要が出たら、確定を優先してください。増えた1人に合わせて日程を動かすと、既に予定を空けた人の枠を壊します。
増えた人が必須なら、日程を動かすよりその人だけ後日に別の場を作るほうが早く済むこともあります。
調整を記録に残す
往復の回数は、改善できる指標です。感覚ではなく数えてください。
何往復かかったかを数える
日程調整の記録 会社ID / 約束した日 / 確定した日 / 往復回数 / 実施日 / 結果 計算する値 約束から確定まで 確定した日 − 約束した日 約束から実施まで 実施日 − 約束した日 往復の平均 往復回数の合計 ÷ 件数
3つの値を出す。往復回数だけでは、相手の返信が遅いのか候補が悪いのか分からない。
約束から確定までが長く、往復が少ないなら、相手の返信が遅いということです。往復が多いなら、こちらの1通目に欠けがあります。
候補を出した順と決まった候補
3つ出したうち、何番目が選ばれたかを記録してください。1番目ばかり選ばれるなら、候補を絞っても通ります。3番目ばかりなら、候補の置き方が相手の習慣と合っていません。
これが分かると、次の候補の出し方が変わります。選ばれる時間帯が偏るなら、そこに寄せて構いません。
月1回、往復の平均を見る
月に1回、往復の平均を出してください。2回を超えているなら、1通目の5要素を見直します。
そして実施率も一緒に見ます。約束した件数のうち、実際に商談が行われた件数の割合です。日程調整が長引くと、ここが落ちます。
指標の置き方はインサイドセールスのトスアップ基準と同じ考え方です。工程ごとに分けて数えると、直す場所が1つに絞れます。
まとめ
- ビジネスメール実態調査2026では6割超が24時間以内に返信。残る4割は翌日以降なので1往復あたり1営業日から2営業日を見ておく。3往復なら商談まで2週間かかる
- 往復が増える原因は5つ。候補不足、所要時間、形式、参加者、返信の目安
- この5つを1通目に入れれば1往復で決まる。本文は300字に収まる
- 所要時間は「45分」と数字で。「1時間程度」は超える前提だと読まれる
- 候補は日と時間帯の2軸で散らす。同じ日や同じ時間帯に固めると条件1つで全滅する
- 散らす範囲は翌営業日から2週間先まで。終了時刻と曜日を必ず書く
- 「ご都合のよい日時をお知らせください」が最も往復を増やす。候補を出すのは依頼する側の仕事
- 相手が候補を出してきたら、対案を出さずそのまま受ける。社内を動かすほうが早い
- 調整ツールのURLは相手から問い合わせが来た場合と2回目以降だけ。依頼している側が作業を負う
- URLを送るときも候補3つを本文に書く。順番は候補が先
- 確定したらカレンダー招待を自分が出し、当日の流れを3行書いて相手が社内に説明できる形にする
- 前日のリマインドは、相手のためではなく自分の枠を守るために送る
- 相手が複数名なら窓口を1人に固定し、候補は3つではなく5つ出す
- 往復回数を記録して月1回平均を見る。2回を超えたら1通目を見直す
日程調整は、丁寧さを競う工程ではありません。相手が考える回数を減らすほど、速く決まります。候補を3つ散らして、5要素を書く。この2つだけで、ほとんどの調整は1往復で終わります。
よくある質問
商談の日程調整メールに候補は何個出せばいいですか
3つ以上です。ただし数より散らし方が重要で、日と時間帯の2軸を同時に変えてください。同じ日に午前と午後を並べると、その日が終日埋まっていた場合に3つとも消えます。相手が複数名参加する場合は、3つではなく5つ出したほうが決まりやすくなります。
「ご都合のよい日時をお知らせください」はだめですか
最も往復を増やす一文なので避けてください。相手はこちらの空きを知らないまま候補を作るため、出した候補が埋まっていればもう1往復増えます。しかも相手は考える手間を負っているので断りにくさも生まれます。候補を出すのは依頼する側の仕事です。
所要時間はどう書けばいいですか
「45分」のように数字で書きます。「1時間程度」は程度という言葉が入るため、超える前提だと読まれます。短く書くほど通りやすくなりますが、書いた時間を超えるのは最悪なので、実際に終わる長さを書いてください。終了時刻を候補に併記すると、相手は次の予定を入れられます。
日程調整ツールのURLを送ってもいいですか
相手から問い合わせが来た場合と、一度会った相手との2回目なら送ってよいです。こちらから新規で依頼する場合は避けてください。依頼している側が相手に入力作業をさせる形になるためです。送る場合も候補3つを本文に書き、URLはその後に置きます。
相手が候補を出してきたら、どう返しますか
受けられる候補が1つでもあれば、そのまま受けてください。対案を出すと1往復増えます。社内の予定と重なっている場合は、社内を動かすほうが早く済みます。どうしても受けられないときは断りだけを返さず、その週の別の日で新しい候補を3つ出してください。
日程が確定したあと、何を送ればいいですか
カレンダー招待をこちらから出し、確定メールに4項目を書きます。日時(曜日と終了時刻まで)、形式と接続先、自社の参加者、当日の流れを3行です。4つ目があると相手が社内に説明できるので、当日の参加者が増えることもあります。前日に3行のリマインドも送ってください。
往復が減っているかを、どう確かめますか
会社ごとに約束した日、確定した日、往復回数、実施日を記録してください。約束から確定までが長く往復が少ないなら相手の返信が遅く、往復が多いならこちらの1通目に欠けがあります。月1回平均を出し、2回を超えていたら5要素を見直します。