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レビューを集める仕組みを作る前に|依頼はしてよい、内容に手は入れない

お客様の声を集めたい。レビューを増やしたい。そう考えて、依頼の仕組みを作り始める会社は多くあります。

ただ、依頼の方法を決める前に確認することがあります。そのレビューが、事業者の表示にあたらないかどうかです。景品表示法は、一般消費者に誤認されるおそれがある表示のうち内閣総理大臣が指定するものを禁止しています。この記事では、依頼の設計を3段階に分ける方法と、条文の構造を説明します。

この記事でわかること

  • レビューが集まらない構造と、依頼のタイミングを1つに決める方法
  • 依頼を3段階に分ける設計と、内容に手を入れないという線
  • 景品表示法が禁止する表示の3つの類型と、指定の仕組み

ムダの現状:依頼しても集まらず、集まると使えない

レビューを集める取り組みは、2つの壁にぶつかります。

1つは、依頼しても書いてもらえないこと。もう1つは、集まったものが使いにくいことです。

集まらない理由は、タイミングと手間

やってしまうこと 起きること 設計で消えるか
時期を決めずに依頼する 思い出せない、熱が冷めている 消える
自由記述だけを求める 何を書けばよいか分からない 消える
全員に同じ依頼をする 書く動機がある人に届かない 消える

1つ目がいちばん大きい。体験から時間が経つほど、書ける内容は薄くなります。「よかったです」しか書けなくなるのは、記憶が薄れているからです。

集まっても使えない理由

もう1つの壁は、集まった後に起きます。

短すぎて情報がない。特定の1点だけに触れている。そして、そのまま載せてよいかの判断がつかない。

3つ目が、この記事の中心です。依頼の仕方によっては、集まったレビューを使うこと自体が問題になりえます。

そして、1つ目と2つ目も設計で減らせます。短すぎるのは、何を書けばよいかが示されていないから。1点だけに触れているのは、質問が1つしかないからです。どちらも、聞き方の問題です。

機械に渡せる部分と、人に残す部分

工程 中身 誰がやるか
依頼のタイミングの検出 納品や利用から一定の日数 機械
依頼の送信 案内を送る 機械
内容の記録 1件1行で溜める 機械
使ってよいかの判断 掲載の可否、範囲 人
内容への対応 指摘があれば直す 人

1番目と2番目を機械に渡すと、依頼が現場の仕事から外れます。依頼を人が思い出してやる形にしている限り、件数は増えません。

スキームの全体図:依頼を3段階に分ける

1. タイミングを、1つに決める 納品や利用から、何日後に送るか 時間が経つほど、書ける内容は薄くなる 2. まず、2問だけ聞く 満足しているか。改善点はあるか 最初から長文を求めない 3. 満足していた人にだけ、次を頼む 公開の場への投稿をお願いする 改善点があった人には、まず対応する 4. 内容に、手を入れない 書く内容を指定しない、書き換えない ここが、表示に関する線になる 5. 改善点は、対応して返す 集める目的は、掲載だけではない 返すと、次の回答率が上がる 依頼の方法を決める前に、線を確認する

4番目が、この記事でいちばん重要な部分です。依頼はしてよいが、内容に手を入れると性質が変わります。次の節で条文の構造を確認します。

必要なツールと費用(2026年9月23日時点)

必要なもの 用途 費用の考え方
2問のアンケート 最初の依頼 既存の契約の範囲
送信のきっかけ 納品や利用からの日数 追加費用なし
回答の台帳 内容と対応の記録 追加費用なし
掲載の可否の基準 使ってよいかの判断 作成の時間のみ

4つ目を、仕組みを作る前に決めてください。集まってから判断すると、その都度の判断になります。そして、基準がないまま掲載すると、後から見直すことになります。

導入手順:タイミングを1つに決める

Step 1:送るタイミングを、1つに決める

最初に決めるのは、いつ送るかです。

基準になるのは、相手が体験を終えた時点です。商品なら届いて使い始めた頃、サービスなら提供が終わった直後。

そこから何日後に送るかを、1つに決めてください。複数のタイミングを試したくなりますが、最初は1つです。複数を同時に試すと、どちらが効いたのか分かりません。

目安は、体験の直後から数日以内です。それ以上経つと、書ける内容が薄くなります。ただし、商品によっては使い込んでからでないと評価できないものもあります。自社の商品で、相手が「これは良い」と感じる時点を考えて決めてください。

Step 2:まず、2問だけ聞く

最初の依頼で、長い文章を求めないでください。

聞くのは2問です。満足しているかどうか。そして、改善したほうがよい点はあるか。

1問目は選択式にします。2問目は自由記述ですが、空欄でも送信できるようにしてください。必須にすると、何も思いつかない人が送信を諦めます。

この2問なら、30秒で終わります。そして、この時点では公開の場への投稿をお願いしません。

2問目を「改善点」にする理由

2問目を「ご意見ご感想」にしないでください。何を書けばよいか分からず、空欄になります。

「改善したほうがよい点」と聞くと、答えやすくなります。人は、良かったことより気になったことのほうを言語化しやすいからです。

そして、この回答はレビューより価値があることがあります。掲載には使えませんが、商品やサービスを直す材料になります。集める目的は、掲載だけではありません。

Step 3:満足していた人にだけ、次を頼む

1問目で満足していると答えた人にだけ、公開の場への投稿をお願いします。

この設計について、誤解のないように書きます。これは、悪い評価を隠す仕組みではありません。公開の場に書くかどうかは相手が決めることで、こちらから止めることはできません。

やっているのは、満足していない人に投稿をお願いしないことです。満足していない人には、まず改善点への対応を返します。

依頼の文面には、投稿の場所へのリンクと、お願いの一文だけを入れてください。長い説明は要りません。

Step 4:内容に、手を入れない

ここが、この記事でいちばん重要な部分です。

依頼をすること自体は、問題になりません。問題になりうるのは、内容に手を入れることです。

やってはいけないことを3つ挙げます。書く内容を指定すること。書かれたものを事業者が書き換えること。そして、事業者が関与していることを分からなくすること。

3つ目が、近年とくに問題にされている点です。次の節で条文の構造を確認します。

実務としては、依頼の文面に「内容はご自由にお書きください」と入れ、社内の運用でも内容への関与を禁止してください。そして、この方針を書面に残しておきます。

Step 5:改善点は、対応して返す

2問目で出てきた改善点を、放置しないでください。

対応したものについては、相手に返します。「いただいたご指摘について、こう変えました」。この1通が、次の回答率を上げます。

対応しなかったものについても、理由を1行返してください。返信がまったくないと、次から回答されません。

そして、改善点は月に1回集計してください。同じ内容が繰り返し出ているなら、それは商品やサービスの問題です。レビューを集める仕組みの副産物として、これがいちばん価値があることもあります。

最初の1か月は、依頼の件数を見ない

始めたばかりの時期に、集まった件数を目標にしないでください。

最初の1か月で見るのは3つです。依頼が自動で送られているか。2問の回答率がどれくらいか。そして、改善点にどんな内容が出てくるか。

公開の場への投稿の件数は、この後です。まず、2問の回答が安定して集まる状態を作ってください。

この1か月で、たいてい送る時期の調整が必要になります。早すぎて「まだ分かりません」と返ってくる、遅すぎて回答率が低い。実際の回答を見ると、どちらかが分かります。

そして、依頼の文面も直すことになります。長すぎる、何を求められているか分からない。自分宛てに1通送ってみて、届いた状態で読んでください。作っているときには気づかないことが見つかります。

現場の合意の取り方:依頼を現場の負担にしない

懸念 背景 答え方
依頼するのが気まずい 担当者が口頭で頼む前提 依頼は自動送信にし、担当者から頼まない
悪い評価が来たら困る 評価が個人の責任になる不安 担当者別の集計を作らないと決める
対応する時間がない 改善点への対応が増える 対応するのは繰り返し出たものだけと決める

依頼を、担当者から切り離す

1つ目の懸念は、依頼を担当者がやる前提だから生まれます。

口頭で「レビューを書いてください」と頼むのは、頼む側にも気まずさがあります。そして、頼みやすい相手にだけ頼むことになり、内容が偏ります。

だから、依頼は自動送信にしてください。担当者は依頼しません。この形にすると、依頼が現場の仕事から外れます。

ただし、担当者には「こういう依頼が自動で送られる」ことを先に伝えてください。伝えていないと、相手から依頼について聞かれたときに答えられません。

そして、送る対象から外したい相手がいる場合の手順も決めておきます。トラブルが継続している相手、こちらから連絡を控えている相手。除外の指定ができる形にしておくと、現場が安心します。

担当者別の集計を、作らない

2つ目の懸念には、集計の設計で答えます。

満足度を担当者別に集計すると、その数字が評価に使われるのではないかという不安が生まれます。そして、不安があると依頼の仕組みそのものに協力が得られません。

集計の軸は、商品別、時期別、そして改善点の内容別の3つに限ってください。担当者別は作らない。

そして、個別のレビューを社内で共有するときも、担当者名を付けないでください。「特定の担当者の案件で低い評価が出た」という共有の仕方をすると、次から依頼への協力が得られなくなります。

共有するのは、内容と、そこから何を変えるかです。誰の案件かは、対応が必要な場合に個別に伝えれば足ります。

失敗パターンと限界:表示に関する定めの構造

景品表示法が禁止している、3つの類型

不当景品類及び不当表示防止法第5条は、事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならないと定めています。

号 禁止されている表示
第1号 品質、規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
第2号 価格その他の取引条件について、実際のもの又は他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
第3号 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

レビューとの関係で押さえるべきは、第3号の構造です。この号は、内閣総理大臣が指定したものが禁止の対象になるという形になっています。

指定は、告示によって行われる

同法第6条第1項は、内閣総理大臣は、第5条第3号の規定による指定をしようとするときは、内閣府令で定めるところにより、公聴会を開き、関係事業者及び一般の意見を求めるとともに、消費者委員会の意見を聴かなければならないと定めています。

そして同条第2項は、これらの指定は告示によって行うものとするとしています。

つまり、第5条第3号で何が禁止されているかは、法律の条文だけでは分かりません。告示を見る必要があります。

レビューや口コミに関する指定がされているかどうか、その内容がどのようなものかは、消費者庁が公表している告示と運用基準を確認してください。この記事は条文の構造を示すものであり、個別の表示が該当するかどうかの判断を示すものではありません。

実務として、線を引く場所

条文の構造を踏まえると、実務で気をつける場所は決まってきます。

1つ目は、事業者が内容に関与していないこと。書く内容を指定しない、書かれたものを書き換えない。

2つ目は、事業者が関与している場合に、それが分かる状態にすること。何らかの形で事業者が関わっているなら、その事実が一般消費者に分かるようにする。

3つ目は、実際と違う内容にしないこと。第1号と第2号は、内容が実際のものより著しく優良または有利であると示す表示を禁止しています。

自社の運用がこれらに照らしてどうかは、告示と運用基準を確認したうえで判断してください。判断に迷う場合は、弁護士など専門家に相談することを勧めます。

謝礼を出す場合に、確認すること

レビューの依頼に謝礼を付けるかどうかは、慎重に決めてください。

謝礼があると、回答率は上がります。ただし、謝礼と引き換えに書いてもらった場合、事業者の関与があると評価されうる場面があります。

また、謝礼そのものについても景品類に関する定めがあります。同法第4条は、内閣総理大臣が、景品類の価額の最高額等について制限し、又は景品類の提供を禁止することができるとしています。

謝礼を出す設計にする場合は、表示の面と景品類の面の両方について確認が必要です。ここは自社で判断せず、専門家に相談してください。

この仕組みが向かない場合

取引の件数が少なく、相手と直接の関係が続いている業態では、自動の依頼より直接聞くほうが得られる情報は多くなります。この場合は、聞いた内容を記録する仕組みだけを作ってください。

また、公開の場へのレビューが事業に直結しない業態では、掲載を目的にせず、2問のアンケートだけを回す形で足ります。改善点を集めるだけでも、価値があります。

AIを使うなら、改善点の分類に

レビューの文章をAIに書かせる、あるいは書き換えさせる使い方は、してはいけません。これは、前の節で述べた線を越えます。

効くのは、集まった改善点を分類する部分です。同じ内容を指摘しているものをまとめ、多い順に並べる。件数が増えると、この整理は人がやると時間がかかります。

ただし、分類した結果をそのまま社内の報告にしないでください。実際の文面をいくつか読んだうえで、分類が合っているかを確認してから使ってください。

効果の測り方

数字 測り方 いつ見るか
2問の回答率 送った数に対する回答数 毎月
改善点の件数 2問目が空欄でなかった数 毎月
対応して返した件数 改善点に返信した数 毎月

1つ目が、タイミングと質問の設計を示します。低い場合、送る時期が遅いか、質問が多すぎます。

2つ目は、多いほうが望ましい数字です。改善点が集まらないのは、問題がないからではなく、書きにくいからであることが多い。

3つ目が、この仕組みが続くかを決めます。返していないと、次から回答されません。ここが低い場合、対応の判断に時間がかかっている可能性があります。繰り返し出たものだけに対応する、という線を引いてください。

まとめ

レビューを集める仕組みを作る前に、確認することがあります。依頼の方法によって、集まったものの扱いが変わるからです。

やることは3つです。送るタイミングを1つに決めること。最初は2問だけ聞き、公開の場への投稿は満足していた人にだけお願いすること。そして、内容に手を入れないことです。

2問目は「ご意見ご感想」ではなく「改善したほうがよい点」にしてください。人は、良かったことより気になったことのほうを言語化しやすい。そして、この回答は掲載には使えませんが、商品やサービスを直す材料になります。

依頼は自動送信にして、担当者から頼まない形にしてください。頼みやすい相手にだけ頼むと、内容が偏ります。

条文については、景品表示法第5条が3つの類型を定めており、第3号は内閣総理大臣が指定するものを対象としています。同法第6条第2項により、その指定は告示によって行われます。レビューに関して何が指定されているかは、消費者庁が公表している告示と運用基準を確認してください。判断に迷う場合は、弁護士など専門家に相談することを勧めます。

よくある質問

レビューを依頼すること自体が、問題になりますか

依頼をすること自体ではなく、内容への関与が問題になりえます。書く内容を指定する、書かれたものを書き換える、事業者が関与していることを分からなくする。これらを避けてください。景品表示法第5条第3号は、内閣総理大臣が指定するものを禁止の対象としており、同法第6条第2項により指定は告示によって行われます。具体的に何が指定されているかは、消費者庁が公表している告示と運用基準を確認してください。

満足していた人にだけ投稿を頼むのは、悪い評価を隠すことになりませんか

公開の場に書くかどうかは相手が決めることで、こちらから止めることはできません。やっているのは、満足していない人に投稿をお願いしないことです。そして、満足していない人には改善点への対応を返します。なお、この設計が自社の状況で適切かの判断に迷う場合は、専門家に相談してください。

2問目を「ご意見ご感想」にしてはいけませんか

「改善したほうがよい点」と聞くほうが、答えやすくなります。人は、良かったことより気になったことのほうを言語化しやすいからです。そして、この回答は掲載には使えませんが、商品やサービスを直す材料になります。集める目的は、掲載だけではありません。

謝礼を付けてもよいですか

慎重に決めてください。謝礼があると回答率は上がりますが、謝礼と引き換えに書いてもらった場合、事業者の関与があると評価されうる場面があります。また、景品表示法第4条は、内閣総理大臣が景品類の価額の最高額等について制限し、又は景品類の提供を禁止することができるとしています。表示の面と景品類の面の両方について、専門家に確認してください。

依頼を担当者がやってはいけませんか

自動送信にすることを勧めます。口頭で頼むのは頼む側にも気まずさがあり、そして頼みやすい相手にだけ頼むことになって内容が偏ります。自動送信にすると、依頼が現場の仕事から外れ、件数も安定します。

集まった改善点に、全部対応する必要がありますか

繰り返し出たものだけに対応する、という線を引いてください。全部に対応しようとすると、対応の判断に時間がかかり、返信そのものが止まります。対応しなかったものについても、理由を1行返してください。返信がまったくないと、次から回答されません。

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