
同じ文面を毎回打ち直している。それは、機能を知らないだけです。
HubSpotには、定型文を登録する仕組みが2つあります。テンプレートとスニペットです。名前が似ていますが、役割が違います。
そして、無料アカウントにははっきりした上限があります。3つです。この制約を前提に設計しないと、すぐに足りなくなります。
この記事では、2つの違いと、少ない枠で回すための考え方を扱います。
先に結論:3つのポイント
- テンプレートはメール1通ぶん、スニペットは文章の一部です。
- 無料アカウントは、どちらも3つまでと記載されています。
- 予備値を入れないと、空欄のまま相手に届きます。
枠が少ないからこそ、何を型にするかを決める作業に価値があります。
テンプレートとスニペットは別のもの
まず、この2つの違いを押さえてください。ここを混ぜると、設計を間違えます。
テンプレートはメール1通ぶんです
公式ヘルプの対象は「すべての製品とプラン」です。件名と本文をまとめて呼び出せる仕組みだと考えてください。
初回の提案メール、日程調整の依頼、訪問後のお礼。丸ごと1通として使うものが、これにあたります。
スニペットは文章の一部です
公式には、スニペットは「コンタクト、会社、取引、チケット、カスタムオブジェクトの各レコードで使用できる、再利用可能な短いテキストブロック」と説明されています。
対象はこちらも「すべての製品とプラン」です。1通まるごとではなく、差し込む部品という位置づけになります。
使える場所が違います
公式には、スニペットの使用場所としてEメールテンプレートやチャットのコミュニケーション、アクティビティーやメモのログ記録が挙げられています。
つまり、スニペットはメール以外でも使えます。レコードにメモを残すときにも呼び出せる、というのが大きな違いです。
無料アカウントの上限
ここが、この記事でいちばん重要な部分です。
| 項目 | 無料アカウント | 有料プラン |
|---|---|---|
| スニペット | 最大3つ | 最大5,000件 |
| テンプレート | 3つ(2024年9月18日以降に作成のアカウント) | 公式カタログを参照 |
スニペットは無料で3つまで
公式には、無料アカウントは1アカウントあたり最大3つのスニペットを作成できると記載されています。
そして、Starter、Professional、Enterpriseでは最大5,000件と記載されています。3と5,000。差が極端です。
テンプレートも3つです
公式には、「2024年9月18日以降に作成された無料アカウントの場合、1アカウント当たりのテンプレートの上限は3つとなります」と記載されています。
有料プランの上限については、公式の製品&サービスカタログで確認するよう案内されています。
「1人あたり」ではありません
読み落としやすいのが、1アカウントあたりという部分です。ユーザーごとに3つずつではありません。
営業が3人いても、会社全体で3つです。誰かが勝手に作ると、他の人の枠がなくなります。
スニペットの文字数制限
数の制限に加えて、長さの制限もあります。
1件あたり2,500文字です
公式には、スニペットあたり2,500文字という制限があると記載されています。
実務では、これはかなり長い。署名や案内文なら、まず足ります。制限を気にする場面は少ないはずです。
長くなるならテンプレートにしてください
2,500文字に近づいているなら、それは部品ではなく1通です。テンプレート側で作るべきものです。
役割で分けてください。差し込むものがスニペット、丸ごと送るものがテンプレートです。
ショートカットの決め方
スニペットには、呼び出すための短い名前をつけます。
ショートカットで呼び出します
公式には、ショートカットについて「レコード、Eメールテンプレート、ウェブチャットコミュニケーションにスニペットを挿入するために使用されます」と説明されています。
つまり、覚えやすい文字列を決めておけば、入力の途中で呼び出せるということです。
日本語で決めないでください
ショートカットは、入力しやすい短い文字列にしてください。変換が必要な文字列だと、手間が増えて使われなくなります。
実務では、用途がすぐ分かる英字の短い語がおすすめです。furikomi、eigyo、faq のような形です。
命名の規則を先に決める
この媒体で何度も書いていることです。3人が思いつきで名前をつけると、3つしかないのに探せなくなります。
枠が3つなら、規則は不要に見えます。しかし、有料に切り替えた日から一気に増えます。そのときに効きます。
パーソナライズトークンの入れ方
定型文に、相手の名前や会社名を差し込む仕組みがあります。
挿入の手順
公式では、テンプレートまたはスニペットを開き、トークンを入れる位置にカーソルを置き、下部のツールバーの「パーソナライズ」から対象のプロパティーを選んで挿入すると説明されています。
対象は「すべての製品とプラン」です。無料でも使えます。
何を差し込むかは、データ次第です
差し込めるのは、レコードに入っている項目だけです。入力されていない項目は、当然ながら差し込めません。
以前の記事で書いたとおり、会社名が空のコンタクトが多いと、この機能は使えません。先にデータを整えてください。
差し込みすぎないこと
名前、会社名、役職、前回の商談日。入れようと思えば、いくらでも入れられます。
しかし、差し込みが多いほど1つ欠けたときの違和感が大きくなります。実務では、名前と会社名の2つで十分です。
予備値を入れ忘れるとどうなるか
ここが、実務でいちばん事故が起きるところです。
公式に書かれている仕様
公式には、トークンを選ぶときに「予備値フィールドに、そのプロパティーに値が保存されていない場合に表示される既定値を入力します」と記載されています。
つまり、予備値を入れておけば、空のときは代わりの言葉が入ります。
入れないと、そのまま送られます
公式には、値が入力されていない場合について、メールは送信されるがプレースホルダーのテキストが表示されると説明されています。
止まってはくれません。送信自体は成功します。これが怖いところです。
日本語では、より目立ちます
日本の商習慣では、「様」を必ずつけます。名前が空だと、冒頭が「様」だけになります。
予備値には、「ご担当者」のような言葉を入れておいてください。これだけで事故は防げます。
共有と非公開の設定
作ったテンプレートを、誰が使えるようにするか。
既定では共有されます
公式には、テンプレートを非公開にする場合は「全員と共有」のドロップダウンから「非公開」を選ぶと説明されています。
つまり、何もしなければ全員が使える状態です。個人用のメモのつもりで作ると、全員に見えます。
あとから変更できます
公式には、テンプレートのダッシュボードで共有する相手を変更することもできると記載されています。
作ったあとで気づいても直せます。ただし、その間に他の人が使っている可能性はあります。
共有を前提に書いてください
枠が3つしかない以上、個人用に1つ使うのはもったいない。全員が使える文面にしてください。
特定の担当者しか使わない言い回しは、スニペット側に逃がすという手もあります。
画像だけのテンプレートは送れません
見落としやすい仕様が1つあります。
本文のテキストが必要です
公式には、「テンプレートにはテキストを含める必要があります。画像のみのテンプレートは、HubSpotまたはメールクライアントでメールに正常に添付されません」と記載されています。
案内の画像を1枚貼るだけ、という使い方はできません。必ず文章を添えてください。
チラシを送りたいときの代替
画像で見せたい情報があるなら、短い説明文を添えるのが前提です。
そして、メールに重い画像を貼ると届きにくくなります。以前の記事で書いた到達率の話につながります。
3つしか作れない前提での設計
ここからは、制約の中での使い方です。
| 枠 | 何を入れるか | 理由 |
|---|---|---|
| 1つ目 | 初回の問い合わせ返信 | 件数がいちばん多い |
| 2つ目 | 日程調整の依頼 | 毎回同じ文面になる |
| 3つ目 | 商談後のお礼と次の案内 | 書くのに時間がかかる |
回数が多いものから型にする
判断の基準は単純です。月に何回書いているか。それだけで決めてください。
凝った提案文を型にしたくなりますが、年に数回しか使わないなら、枠の無駄です。
スニペットは共通部品にする
スニペットの3つは、どのメールにも入る部分に使ってください。
振込先の案内、営業時間と定休日、よくある質問への短い回答。この3つで、たいていの会社は回ります。
足りなくなったら、それが有料化の判断材料です
この媒体で繰り返し書いていることです。手作業が回らなくなってから、有料を検討してください。
3つで足りないと本気で感じた時点で、それは実際に使っている証拠です。いい判断材料になります。
日本の営業メールで使える型
日本のビジネスメールには、決まった形があります。型にしやすい部分です。
冒頭と結びは、ほぼ固定です
「お世話になっております」から始まり、「よろしくお願いいたします」で終わる。ここは毎回同じです。
この部分をスニペットにすると、入力の手間が減り、表記も統一されます。
社名の表記を揃えられます
株式会社を前につけるか後ろにつけるか。人によってばらつきます。
署名をスニペットにしておけば、全員が同じ表記になります。細かいようですが、外に出る文面です。
敬称の間違いを減らせます
御中と様の使い分け。間違えると失礼にあたります。
型にしておけば、考えずに正しい形が出ます。新しく入った人がいる会社ほど、効果があります。
型にする前に決める3つ
いきなり作り始めると、あとで作り直すことになります。先に3つ決めてください。
誰の名前で送るか
担当者個人の名前か、部署の名前か。返信がどこに来るかが変わります。
担当者名にすると、その人が休んでいるときに止まります。問い合わせ対応の型なら、部署名のほうが安全です。
どこまで書いて、どこから個別にするか
全部を型にすると、読んだ相手に伝わります。冷たい印象になります。
目安は、最初の2行を個別に書くこと。相手の状況に触れる部分だけ手で書けば、残りは型で構いません。
どのくらいの頻度で見直すか
作って終わりにしないでください。料金も、担当者も、案内する内容も変わります。
四半期に1回、カレンダーに入れてください。予定にしておかないと、誰も見直しません。
スニペットはメール以外でも効きます
メールの話ばかりしてきましたが、スニペットの本当の価値は別のところにあります。
レコードのメモで使えます
公式には、スニペットの使用場所としてアクティビティーやメモのログ記録が挙げられています。
商談のあとに残すメモ。毎回、同じ観点で書けるようになります。予算、決裁者、導入の時期。この3点を並べたスニペットを1つ作っておく。
記録の質がそろいます
メモは、人によって書く内容がばらばらになります。丁寧に書く人と、1行で終える人がいます。
型があれば、最低限の項目は全員が埋めます。あとから読み返したときに、使える記録になります。
チャットの返信にも使えます
公式には、ウェブチャットのコミュニケーションでも挿入できると記載されています。
以前の記事で書いたチャットボットと組み合わせると、有人対応に切り替わったあとの返信が速くなります。
有料に切り替えたあとに起きること
上限が3つから5,000件になります。ここで、多くの会社が別の問題を抱えます。
作りすぎて、探せなくなります
枠がなくなった瞬間に、全員が自由に作り始めます。半年で100件を超える会社があります。
そうなると、探すより新しく書いたほうが速い。型があるのに使われない、という状態になります。
3つの時期に決めた規則が効きます
だから、枠が少ないうちに命名の規則を決めておくのです。頭に用途を入れる、といった単純なもので構いません。
返信用なら「返信_」、案内用なら「案内_」。これだけで、一覧が読めるようになります。
使われていないものを消す担当を決める
増えたものは、誰かが減らさないと減りません。四半期に1回、見直す人を決めてください。
この媒体で何度も書いているとおり、担当者を決めていない作業は実行されません。名前を1人書くだけで変わります。
運用でよくある失敗
最後に、実際に起きる失敗を挙げます。
1. 作ったまま、誰も使わない
作った本人しか存在を知らない。これがいちばん多い。
作ったら、ショートカットの一覧を共有してください。1行ずつ書いた紙で足ります。
2. 古い情報が残り続ける
料金、担当者名、キャンペーンの期限。変わったのに、型が古いまま使われます。
そして、型は疑われません。そのまま何十件も送られます。四半期に1回、中身を確認してください。
3. 予備値を入れずに一斉送信する
前に書いたとおりです。送信は成功します。だから気づきません。
送る前に、値が入っていないコンタクトが何件あるかを確認してください。リストで絞り込めば分かります。
まとめ
定型文の仕組みは、無料でも使えます。ただし、数に制限があります。
- テンプレートはメール1通ぶん、スニペットは文章の一部です。
- 無料アカウントのスニペットは最大3つ。有料は最大5,000件と記載されています。
- テンプレートも、2024年9月18日以降に作成された無料アカウントは3つまでです。
- スニペットは1件あたり2,500文字までです。
- 予備値を入れないと、空欄のまま送信されます。止まりません
枠が少ないほど、何を型にするかを考えることになります。その検討自体が、業務の整理になります。
よくある質問(FAQ)
テンプレートとスニペットは、どう使い分けますか
テンプレートはメール1通ぶんの型、スニペットは文章の一部を差し込む部品です。公式には、スニペットは「コンタクト、会社、取引、チケット、カスタムオブジェクトの各レコードで使用できる、再利用可能な短いテキストブロック」と説明されています。丸ごと送るものはテンプレート、どのメールにも入る共通部分はスニペットにしてください。
無料版でいくつ作れますか
スニペットは、公式に無料アカウントは1アカウントあたり最大3つと記載されています。Starter、Professional、Enterpriseは最大5,000件です。テンプレートについては、2024年9月18日以降に作成された無料アカウントの上限は3つと記載されています。いずれもユーザーごとではなく、アカウント単位の数です。
スニペットの文字数に制限はありますか
公式には、スニペットあたり2,500文字という制限があると記載されています。署名や定型の案内文であれば、まず足りる長さです。これに近づくようなら、それは部品ではなく1通ぶんなので、テンプレート側で作ってください。
名前が入っていないコンタクトに送るとどうなりますか
予備値を設定していなければ、そのまま送信されます。公式には、値が入力されていない場合はメールは送信されるがプレースホルダーのテキストが表示される、と説明されています。トークンを挿入するときに「ご担当者」などの予備値を入れておいてください。
作ったテンプレートは他の人にも見えますか
既定では共有されます。非公開にする場合は「全員と共有」のドロップダウンから「非公開」を選ぶ、と公式に記載されています。テンプレートのダッシュボードで、あとから共有する相手を変更することもできます。枠が少ないので、共有を前提に書くほうが実用的です。
画像だけのテンプレートを作れますか
作れません。公式には、テンプレートにはテキストを含める必要があり、画像のみのテンプレートはHubSpotまたはメールクライアントでメールに正常に添付されない、と記載されています。必ず本文の文章を添えてください。
テンプレートは営業以外の部署でも使えますか
使えます。対象は「すべての製品とプラン」と記載されており、既定では全員と共有される設定です。問い合わせ対応や請求の案内など、営業以外の定型連絡でも同じように作れます。ただし作成できる数はアカウント単位なので、部署をまたいで枠を取り合うことになります。誰が何を作るかは先に決めてください。
ショートカットはどう決めればいいですか
入力しやすい短い文字列にしてください。公式には、ショートカットはレコード、Eメールテンプレート、ウェブチャットのコミュニケーションにスニペットを挿入するために使用されると説明されています。変換が必要な文字列にすると手間が増え、結局使われなくなります。
参考にした公式ドキュメント
あわせて読みたい
HubSpotは無料で始められます
コンタクト管理・フォーム・メール配信・商談管理を1つにまとめたCRMプラットフォームです。テンプレートとスニペットは、すべての製品とプランで使えます(作成できる数には上限があります)。プランごとの違いと料金は公式サイトでご確認ください。